'87未来の東北博覧会

'87未来の東北博覧会
EXPO'87 TOHOKU
イベントの種類 地方博覧会
通称・略称 未来の東北博、東北博
開催時期 1987年7月18日9月28日(73日間)
会場 宮城県仙台市港地区(仙台港
会場規模36ha、駐車場46ha
主催 宮城県、仙台市、仙台商工会議所、河北新報社
出展数 約500社
来場者数 296万8,723人
最寄駅 東北博覧会前駅(仙台臨海鉄道
直通バス
駐車場
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'87未来の東北博覧会('87 みらいのとうほくはくらんかい、略称:東北博)は、1987年(昭和62年)7月18日から9月28日までの73日間にかけて宮城県仙台市港地区(仙台港)で開催された地方博覧会。同年のNHK大河ドラマ独眼竜政宗」による政宗ブーム、および、バブル景気の後押しにより、予想を上回る成功を収めた。

概要[編集]

  • テーマ - 東北新時代の夜明け・日本のふるさと新発見
  • シンボルマーク - 青い丸に東北地方の形状を6本の白い線で描き21世紀へ向け飛躍する東北のイメージとした。
  • 会場:仙台市港地区(主会場36ha・駐車場46ha)
  • 会期 - 1987年7月18日 - 9月28日
  • 営業時間 - 平日:9:30 - 18:00・休日ほか夜間営業日9:30 - 21:00
  • 来場者:2,968,723人(目標200万人)
  • 主催;宮城県、仙台市、仙台商工会議所、河北新報社
  • 協力:青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、新潟県、東北経済連合会他
  • マスコット - コケット君 (こけしを宇宙少年として擬人化。デザインは岩淵忠昭。愛称は一般公募されたもので「こけし」と「ロケット」を組み合わせたもの)
  • テーマソング - 「まばゆい気分で」/ 歌:さとう宗幸(作詞:伊藤輝雄 作曲:さとう宗幸 編曲:榊原光裕
  • 主な役員

沿革[編集]

  • 1980年(昭和55年)12月:宮城県議会の一般質問にて東北新幹線開業記念のイベント開催が提案され、その後先進地視察などで検討。
  • 1984年(昭和59年)
    • 2月:山本壮一郎宮城県知事が博覧会開催の意向を公表。
    • 12月:基本構想を決定。
  • 1985年昭和60年)
    • 1月16日:仙台市内のホテルにおいて主催4団体のトップ会談により、博覧会の骨組みを審議・決定し、準備委員会が結成される。
    • 4月1日:未来の東北博覧会協会、未来の東北博覧会協会事務局が発足。協会事務局は河北新報社内に置かれることとなった。同日、第1回役員会開催。名誉総裁三笠宮崇仁親王、総裁宮城県知事山本壮一郎、副総裁仙台市長石井亨、などの就任が話し合われた。
    • 9月、入場者の動員目標を200万人とする基本計画策定。
    • 12月2日、第2回役員会開催。第1次実行予算を総額30億円と決定。主催4団体の分担金は宮城県2億円、仙台市1億円、河北新報社7千万円、仙台商工会議所3千万円。
  • 1986年(昭和61年)
    • 4月:事務局に出展課が設置され、出展交渉の本格化が始まる。
    • 4月26日:前売券の販売開始。
    • 9月:東北電力日立グループが出展を決定。これを機に企業の出展決定が相次ぐこととなる。
    • 11月15日:第1回前売券抽選会を開催、テーマソングの作曲を担当したさとう宗幸がゲストとして招かれた。
  • 1987年(昭和62年)
    • 1月:「水の広場」の建設を皮切りに会場建設着工。
    • 3月14日:河北新報朝刊で協会コンパニオン募集開始。同年4月10日の締め切りまでに130人の定員に対して1073人の応募があった。
    • 3月:郵政館の起工式を皮切りにパビリオン建設開始。
    • 4月:集合館のすべての出展企業が出揃う。
    • 6月:報道関係者への現地説明会開催。
    • 7月1日:第2回前売券抽選会を開催、ゲストは早見優
    • 7月9日:第6回役員会にて前売り入場券の販売状況を報告、目標の100万枚を大幅に上回る好調な売れ行きとの報告があった(最終集計では145万枚)。
    •  7月17日:東北7県知事・東北選出国会議員・出展代表ら招待客1300人による内覧会や懇親会、キリンホールでの一般招待客3000人を加えての前夜祭を実施。
    • 7月18日:開会式、三笠宮夫妻や主催者代表・東北7県代表など17名の代表と2001年に新成人となる仙台市内の小学1年の男女各1名がテープカット。
    • 8月16日:来場者数100万人突破。
    • 9月13日:目標来場者数200万人を達成。
    • 9月20日:来場者250万人達成。
    • 9月23日:1日での最大入場者数121,435人を記録。
    • 9月28日:閉会式、18時から山本宮城県知事ら博覧会役員5名による中央ゲートでのテープ結び式、18時半からキリンホールに移りコンパニオン行進・県知事と河北新報社社長挨拶、出展企業への表彰状・ミス東北博への感謝状授与、国旗・博覧会旗・東北7県旗降納、コンパニオンから役員への花の授与を実施。その後水の広場で慰労パーティを実施。
    • 10月4日:出展物搬出終了、その後パビリオン撤去・敷地原状回復工事に移行。
    • 10月10日:海中噴水用の送水管の撤去工事を終了、海域閉鎖を解除。

パビリオン[編集]

パビリオン数は協会のテーマ館3、単独館16、共同館10、集合館4の合計33館。これは、神戸ポートピア'81の27館を上回るものであった。

以下にパビリオンを列挙する。紹介順はパビリオン番号順である。

テーマ館[編集]

東北未来館
  • 出展者 : 未来の東北博覧会協会
  • テーマ : 21世紀の東北へ未来ロボットが案内
  • 東北に住む太郎一家の留守を守る4体のロボットを中心に、宇宙基地に赴いた太郎と父やフィジー旅行中の祖父母とともに東北の50年後の暮らしをマジックビジョン[1]による映像等を交えて紹介する。
ふるさと東北館
  • 出展者 : 未来の東北博覧会協会、東北6県、新潟県
  • テーマ : 自然、人間、祭りの宝庫。日本のふるさと新発見
  • 東北の「自然」「文化」「伝統」を紹介。10メートル四方の大スクリーンに18台のスライドプロジェクターを使用したマルチイメージシステムによる映像ホールでは、「祭り―東北のこころ―」と題した映像を上映。
みやぎ館
  • 出展者 : 宮城県、宮城県内全市町村
  • テーマ : 見つけよう、君たちの明日を
  • 宮城県内74市町村の紹介。開催期間73日間中、仙台市を除く73市町村の「市町村デー」が催された。

単独館[編集]

三菱宇宙館
日本たばこ館「アフィニス」
  • 出展者 : 日本たばこ産業東北支社
  • テーマ : ここは、心にマイルドな風そよぐ ふれあいオアシス
  • 鑑賞用植物である花たばこ「アフィニス」の展示とにまつわる展示。会場限定パッケージたばこの販売。
ハイビジョンシアターの松下館
  • 出展者 : 松下電器産業
  • テーマ : 未来が見える遊メディア
  • スペインの風土、文化を紹介する映像「スペイン光の大地」を180インチハイビジョンで放映。そのほか、3D立体映像体験やMSX2を43インチテレビで体験するコーナーなど。
NTTスペースシアター
  • 出展者 : NTT東北総支社
  • テーマ : 未来を考える人間企業
  • 地球に紛れ込んだ宇宙人と出会った少年が、UFO軍団との戦いなどを通じて友情を深めていく物語のシアター上映と、入場者のボタン操作によりストーリーが変化するズッコケ三人組をメインにしたアニメーションの上映。オリジナルテレホンカードの製作と販売。
東北電力館
  • 出展者 : 東北電力
  • テーマ : 電気・21世紀を豊かにする友達
  • 天井・壁をすべて鏡張りとした万華鏡ホール。立体映像シアターでの映像上演。
日立グループ館
  • 出展者 : 日立グループ
  • テーマ : Interface 人と技術のハーモニー 進んだ技術は人にやさしい
  • スクラムビジョン、144台の29インチテレビとVDP(光ディスクプレーヤー)により「どうぶつたちの音楽会」を上映。
独眼竜政宗館
立体CGシアター富士通パビリオン
  • 出展者 : 富士通
  • テーマ : CGで描く「宇宙と生命の営み」
  • 3D立体映像で太陽系原始生命体などを描く「ザ・ユニバース」を上映。当時では最先端の15MFLOPSの演算処理能力の超大型コンピュータを使用していた。
CO・OPいきいき館
  • 出展者 : みやぎ生活協同組合
  • テーマ : 食と健康
  • 70インチリアプロジェクター3台による立体紙芝居風パッケージ映像「コータとミドリのおいしい大冒険」とライブ演出「CO・OPふれあいネットワーク」の上映。
住友館
  • 出展者 : 住友グループ(未来の東北博住友館実行委員会)
  • テーマ : エンジョイ・大自然 迷路オリエンテーリングランド
  • 丸太材でつくられた巨大迷路をクイズが出題されるチェックポイントを巡りながら踏破するオリエンテーリングレクリエーション。
NEC C&Cパビリオン
  • 出展者 : 日本電気
  • テーマ : Man and C&C -いつでも どこでも だれとでも-
  • つくば万博に出展された「C&Cシアター」のバージョンアップ版を出展。
三井グループ・東芝館
  • 出展者 : 三井グループ東芝
  • テーマ : コミュニケーションスタジオ
  • 観客参加の双方向型シアター「コミュニケーションスタジオ」を展示。映像の質問に客席のスイッチで応答すると、スクリーンの結果が変化していく。
日本アイ・ビー・エム館
  • 出展者 : 日本アイ・ビー・エム
  • テーマ : 東北新発見―科学の目で見るすばらしい東北
  • 伊達政宗の生きた時代と、科学技術の進歩した現代との対比を通して未来の東北を探るサイエンスショーの上映。
TOHOKUガスパビリオン
郵政館“ふれあいランド”
  • 出展者 : 東北郵政局
  • テーマ : ハイタッチ!21世紀
  • 人とのふれあいを軸とした郵政事業の現在と未来に関する展示。来館者の書いたメッセージカードを風船につけて飛ばすショーや、絵はがきなどの販売、郵便貯金ATMなどの設置があった。
セゾン海像儀館
  • 出展者 : 西武セゾングループ
  • テーマ : 海と一緒に、海を大切に、生きたい
  • 音響馴致システムにより餌付けされたマダイの稚魚5000匹が回遊する巨大水槽の展示。安藤忠雄の設計したパビリオン建造物は博覧会閉会後、唐十郎の芝居小屋として東京・浅草に移設された。

共同館[編集]

産学交流館
バイオ館
国際交流館
ササニシキ館
  • 出展者 : 宮城県内市町村農協中央会連合会、宮城県内農業土木関連企業・団体
  • テーマ : 稲穂人形による“ササニシキ賛歌”
  • ササニシキの稲穂をかたどった「稲穂人形」20体による人形劇。世界のコメやササニシキに関するクイズなどのパネル出展。
エンドー・氷山の館
森ときのこの館
  • 出展者 : 森産業、明治製菓ほか種菌メーカー十数社、宮城県内の生産者・流通団体・原木関連団体、日本冬虫夏草の会、及川自動車、北日本ランバー、加藤徹、鬼首高原開発、山陽木材防腐、三菱農機三菱地所、未来の東北博覧会協会、日本鋼管
  • テーマ : ログハウスできのことコミュニケーション!
  • 菌類やきのこに関する展示。冬虫夏草の標本や、生態、原図写真などの展示。
交通館
おもちゃ館
東北伝統工芸・フジサキ館
水産・海洋館

集合館[編集]

あすの産業館
国際バザール館
  • 出展者 : 藤崎、ダックシティ丸光、カネサ藤原屋
  • テーマ : 世界のグッズ新鮮到着
  • 世界各国の物産品の展示即売。
全国観光物産館
総合食品館

その他施設[編集]

大回廊(コロネード)
  • 長さ282.545m、幅11.591mにもおよぶ日よけ・雨よけのための大回廊。高さ6.26mの天井からは80個の吹き流しやくす玉が取り付けられた。
キリンホール
  • 施設提供:キリンビールソニー
  • 開会式・閉会式をはじめとして、各種コンサート、イベントのメイン会場となった。縦50m×横30m、高さ11.3m、広さ1500平方メートルで客席数は5000席。屋内が1200席と屋外が1700席、移動席が2100席となっていた。ステージ上には縦3m×横9mの、ソニージャンボトロンが設置された。
会場大噴水
  • 設計/施工:荏原製作所
  • 海沿いの立地を生かした海上噴水。噴出される海水は高さ85m(20階建ビル相当)に達する。

プレーランド[編集]

  • ウォータージャンプ
  • スクリューコースター
  • 急流滑り
  • ドラゴンコースター
  • キャメルコースター
  • 大観覧車
  • フライングカーペット
  • スーパーバイキング
  • スーパースイング
  • バルーンレース
  • ファンハウス
  • ニューエンタープライズ
  • モンスター
  • メリーゴーラウンド
  • サイクルモノレール
  • 弁慶号列車(周回列車)
  • ゲームコーナー、ゴーカート等

海の催し物[編集]

海沿いの立地という特色を生かし、海上での催し物が多数実施された。

その他[編集]

  • 会場内には「未来の公衆電話」と題して、通話中にテレビゲームができる公衆電話や、縦横10cm程度もある巨大なプッシュボタンの公衆電話など、一風変わった公衆電話が設置されていた。

交通について[編集]

バス路線

主にJR各駅から会場を結ぶシャトルバスが利用され、平日10分・休日5分間間隔で運行された。また電話予約制で宮城県の各地域から会場を直接結ぶバス「EXPOコケット号」が運行された。

  • 仙台市交通局:仙台駅東口
  • 宮城交通:多賀城駅・塩釜駅
  • 宮城交通トラベル「コケット号」:気仙沼・築館・角田・志津川・鳴子・白石
  • 東日本急行バス:盛岡
鉄道

仙台臨海鉄道仙台西港線に臨時駅「東北博覧会前駅」を設けアクセス列車を毎日運行、また7月18日-8月2日・9月12日-23日にはSL列車「SL東北100年号」が仙台駅から1日2往復で結んだ[2]

観光船

海沿いの特性を生かし、会場と塩竈松島を結ぶ観光船の定期航路が設けられ、松島観光船共同運航会により松島発会場行き3便・会場発松島行き2便・会場発塩竈行き1便を運航。さらに仙台湾を観光船が1日6便周遊する特別航路も設けられた。

入場券[編集]

大人 高校生 小・中学生 幼児(3歳以上)
当日券 2000円 1500円 1000円 500円
前売券 1600円 1200円 800円 400円
団体券 1700円 1300円 900円 400円
夜間券 1200円 900円 600円
2回券 3600円 2700円 1800円

ライブコンサート・イベント[編集]

会期中、キリンホールにてコンサートやイベントが開かれた。

開催後[編集]

閉会後の仮決算において約13億円の黒字を計上し、未来の東北博覧会記念国際交流基金などに拠出された。

博覧会閉会後の跡地利用として、テーマ館・単独館などのあった区画は夢メッセみやぎ(みやぎ産業交流センター)として利用されたほか、プレーランドのあった区画は仙台港中央公園へと復元された。

1997年7月19日から9月30日まで、未来の東北博覧会と同じ場所で「国際ゆめ交流博覧会」が開催されている。

仙台市で開催された博覧会[編集]

会期は、花見シーズン後から梅雨前まで、あるいは、梅雨明けから秋口までとなっている。

脚注[編集]

  1. ^ 造形物にブラウン管の映像をハーフミラーで反射させて見せるという仕掛け。未来の東北博覧会協会 『'87未来の東北博覧会公式記録』1988年1月 p.196.
  2. ^ 鉄道ジャーナル』第21巻第12号、鉄道ジャーナル社、1987年10月、93頁。 

参考資料[編集]

  • 未来の東北博覧会協会 『'87未来の東北博覧会公式ガイドブック』1987年7月
  • 未来の東北博覧会協会 『'87未来の東北博覧会公式記録』1988年1月

関連項目[編集]

外部リンク[編集]