金吉商店

株式会社金吉商店
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
110-0001
東京都台東区谷中3-11-10
設立 1955年12月5日
業種 小売業
法人番号 5010501002670 ウィキデータを編集
事業内容 食品販売[1]
代表者 関正平(代表取締役)
資本金 1000万円
主要子会社 株式会社一燈庵
外部リンク https://kanekichi-shouten.com/
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株式会社金吉商店(かねきちしょうてん)は、日本小売業者

概要[編集]

東京都台東区谷中に本社を置く。をはじめ、茶菓子や食品などの販売を手掛けている[1]谷中銀座商店街を代表する老舗のひとつとして知られている。さらに、ホテルを展開するなど、宿泊業にも進出している。経営は創業家である関一族が担っている。

金吉園[編集]

東京都台東区において、茶葉海苔の小売店「金吉園」を営んでいる。谷中銀座商店街に古くから立地しており、「谷中きっての老舗店」[2]と評されている。店奥には茶を一定の温度に保つ機能を持った倉庫を備え、店頭には茶の香りが漂う[3]

1950年代の開店で[4][5]、茶葉と海苔を扱う昔ながらの小売店であったが、1970年代に店舗をビル化[6]急須湯飲みなど茶器も取り扱うようになった。近年では、谷中銀座商店街を訪れる外国人観光客が急増したことにともない、英語による商品説明書も完備するようになった。こうした取り組みは、テレビ朝日系列で放送される『モーニングバード』など[7]、小規模小売店の国際化対応の事例としてマスコミに取り上げられることも多い。また、鹿児島県茶業会議所から「かごしま茶販売協力店」の指定を受けている[8][9]。店舗での販売のほか、卸売も行っている[10]

かね吉一燈庵[編集]

かね吉一燈庵

静岡県賀茂郡河津町においては、ホテルを展開している。今井浜温泉に立地し、今井浜海岸がすぐ目の前に広がっており、今井浜海水浴場など観光地に程近い[11]。1972年の創業で[12]、従前は「かねよし」として営業してきたが、2005年7月に「かね吉一燈庵」に改名、リニューアルした[13]文藝春秋が発行する『週刊文春』や[14]テレビ東京系列で放送される『厳選!いい宿』など[15][16][17]、マスコミにさかんに取り上げられ、このうち『おとなの週末』誌による調査では伊豆地区の旅館で唯一の総合評価5を獲得した[18]。また、『週刊文春』でこのホテルに関する記事を執筆したジャーナリストの村田和子は「お茶屋さんを経営されているオーナーが、『自分が泊まりたいと思う宿を……』というコンセプトで運営。設備サービスなど、細部にまでこだわった宿」[19]だと評している。従業員の採用なども含め、ホテルの運営は全て金吉商店がおこなってきた。その後、傘下企業として新たに「株式会社一燈庵」を設立し、関圭宏が代表取締役に就任し、ホテル運営を担っている。

お茶の菊川城[編集]

静岡県道79号吉田大東線が通り、東名高速道路菊川インターチェンジの前という交通の要衝の地に、城郭を模した地上4階建(櫓部を含めると5階建)のビルがある。

実業家の関正治が1988年7月に「菊川農園」を設立し建設に着手し、総工費3億円を投じて総面積1056平方メートル・4階建ての建物を完成させ、1989年3月6日にオープンした[20][21][22]

金吉商店はこの館を「お茶の菊川城」と称しており、茶葉や茶菓子などを販売する店舗を設けているほか、展示会の開催可能なイベントフロアも備えていた。2021年に有限会社開利(菊川市半済,人材派遣業。有限会社加藤軽合金と代表者、所在地同じ)に譲渡するまで、30年余りにわたり金吉商店が運営した。現在も開利によって従前通り営業が続けられている。

イベントフロアは絵画展、生け花展などに利用されている。2008年4月には大正期まで輸出用の日本茶に使用されていたラベル「蘭字」をアレンジした「新蘭字」の展示会に使用され[23]、店舗で販売する製品にもこのラベルが採用された[24]。なお、「お茶の菊川城」は実際の城郭を活用したわけではなく、いわゆる天守閣風建築物である。日本の歴史上、「菊川城」という名の城郭が存在したという根拠はない。また、菊川市の高田大屋敷遺跡と横地氏城館群とを総称して「菊川城館遺跡群」と呼ぶこともあるが[25]、これはあくまで菊川にある城館の遺跡群という意味であり、菊川城という名の城が存在したわけではない。

脚注[編集]

  1. ^ a b 金吉園について|金吉商店
  2. ^ 「谷中銀座の老舗お茶屋さん『金吉園』」『谷中銀座の老舗お茶屋さん「金吉園」|台東区エリアガイド|住みたい街がきっとみつかるエリアガイド【itot】』ココロマチ。
  3. ^ 「ゆうYOUとうきょう 第3都内版 専門店 新茶の香り、一年中」『読売新聞』昭和61年(1986年)7月25日付東京本社朝刊21面。
  4. ^ Kit Nagamura, "Season’s greetings garnered in Tokyo’s Yanaka Ginza", Season's greetings garnered in Tokyo's Yanaka Ginza | The Japan Times, Japan Times, November 23, 2013.
  5. ^ Kit Nagamura, "Backstreet Stories; Season’s greetings garnered in Tokyo’s Yanaka Ginza", Japan Times on Sunday, Japan Times, November 24, 2013, pp.16-17.
  6. ^ 吉嶺友三郎「商店と商店街の復権⑯――谷中銀座商店街――毎月三分の一は特売また特売の必死の販促活動」『商業界』34巻11号、商業界1981年11月、194-197頁。
  7. ^ モーニングバードテレビ朝日2013年12月17日
  8. ^ 「かごしま茶販売協力店一覧」『鹿児島県/かごしま茶販売協力店(県外のかごしま茶の買える店)』鹿児島県茶商業協同組合、2014年8月21日
  9. ^ 農政部農産園芸課「かごしま茶販売協力店(県外のかごしま茶の買える店)」『鹿児島県/かごしま茶販売協力店(県外のかごしま茶の買える店)鹿児島県庁2014年9月5日
  10. ^ 『地域雑誌 谷中・根津・千駄木』其の七十二、谷根千工房、2003年2月20日、20-22ページ。
  11. ^ 「るるぶ太鼓判 伊豆の宿 新鮮な海の幸をいただきます! 極上料理の宿」『るるぶ伊豆 '13〜'14』JTBパブリッシング2013年、152頁。
  12. ^ 『るるぶ温泉&宿関東周辺 信州 新潟 伊豆箱根 '15』JTBパブリッシング2014年、70頁。
  13. ^ 「リニューアルのお知らせ」『かね吉』かね吉一燈庵。(インターネットアーカイブ
  14. ^ 「今週のお泊まり――旅館の岩盤浴も堪能できる――今井浜『かね吉一燈庵』」『週刊文春』48巻28号、文藝春秋2006年7月20日、59頁。
  15. ^ 「初秋にオススメの群馬・箱根・伊豆」『厳選!いい宿テレビ東京コミュニケーションズ2012年8月15日
  16. ^ 「テレビ放送バックナンバー一覧」『厳選いい宿|テレビ東京|バックナンバー一覧テレビ東京
  17. ^ 「今井浜温泉 かね吉一燈庵」『厳選いい宿|テレビ東京|今井浜温泉 かね吉一燈庵テレビ東京
  18. ^ めんくい鈴木「覆面調査タブーに挑戦――人気温泉旅館を覆面調査――伊豆」『おとなの週末』6巻4号、講談社2008年4月、96-99頁。
  19. ^ 村田和子「週刊文春~かね吉一燈庵ご紹介」『週刊文春~かね吉一燈庵ご紹介: 旅行ジャーナリスト村田和子のブログ2006年7月13日
  20. ^ 「しずおか西東――〝菊川にお城!?〟――実はお茶屋さんでした」『産経新聞産業経済新聞社1989年3月3日、朝刊21面静岡版。
  21. ^ 静岡新聞静岡新聞社1989年3月2日、朝刊20面。
  22. ^ 「新社屋でオープン――菊川農園」『讀賣新聞読売新聞社1989年3月1日、朝刊27面静岡第三県版。
  23. ^ 「茶ラベルに明治の薫り――菊川――『蘭字』アレンジ展」『静岡新聞静岡新聞社2008年4月25日、朝刊17面掛川版。
  24. ^ 「よみがえる輸出茶ラベル――『蘭字』で静岡茶PR――菊川のグループ地元で普及活動――現代風にアレンジ」『静岡新聞静岡新聞社2008年5月21日、夕刊1面。
  25. ^ 菊川市教育文化部社会教育課「菊川城館遺跡群横地氏城館跡/菊川市内の指定文化財」『菊川市/菊川城館遺跡群 横地氏城館跡/菊川市内の指定文化財菊川市役所2012年12月21日

外部リンク[編集]