しびん

しびん(尿瓶)は古典落語の演目。別題に花瓶(かびん)、しびんの花活け[1]宝暦13年(1763年)に出版された笑話本「軽口太平楽」の一遍である「しびんの花活」[1]

あらすじ[編集]

ある田舎者の武士が道具屋を訪れると、そこにあった尿瓶(しびん)を、珍しい形をした花器(花瓶)と勘違いし、買いたいと申しでる。最初、店主は誤解を解こうとするが、相手の立場を憚って明言できず、これは不浄の物を入れるものだとボカして説明したため、理解してもらえない。結局、店主は開き直り、武士の言い値5両で、尿瓶を珍しい花器として売ってしまう。

帰宅した武士は、さっそく尿瓶を磨くと床の間に花を活けて飾った。そこにちょうど出入りの商人が訪問し、床の間を見て驚き、これは尿瓶だと教える。騙されたとして激怒した武士は、店に舞い戻ると店主を手討ちにしようとするが、店主はひたすらに平服し、病の母のためにやむを得ず売ってしまったと弁明する。これを聞いて武士はしばし考えた末、金はくれてやると言って何もせず帰った。

騒動を見ていた隣の店主が道具屋に「あの武士は良い人だ。騙されたと知っても、金を返せとは言わないんだから」と話しかけると道具屋は言う。

「小便はできねえよ。尿瓶は向こうにあるんだから」

サゲの解説[編集]

サゲは、売買において購入(契約)を取りやめる行為を「小便」(流れるの意)と呼ぶことに引っ掛けている。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 東大落語会 1969, p. 230, 『しびん』.

参考文献[編集]

  • 東大落語会 (1969), 落語事典 増補 (改訂版(1994) ed.), 青蛙房, ISBN 4-7905-0576-6