アカニ・シンビネ

アカニ・シンビネ Portal:陸上競技
選手情報
ラテン文字 Akani Simbine
国籍 南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国
競技 陸上競技短距離走
種目 100m, 200m
大学 南アフリカ共和国の旗 プレトリア大学
生年月日 (1993-09-21) 1993年9月21日(30歳)
出身地 南アフリカ共和国の旗 ケンプトン・パーク (en[1]
身長 176cm
体重 74kg
成績
オリンピック 100m:5位(2016年
世界選手権 100m:4位(2019年
200m:準決勝1組6着(2015年
4x100mR:5位(2019年
地域大会決勝 英連邦競技大会
100m:優勝(2018年
200m:5位(2014年
4x100mR:2位(2018年)
最高世界ランク 100m5位(2016年)
自己ベスト
100m 9秒84(2021年)
200m 19秒95(2017年)
獲得メダル
陸上競技
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国
ワールドリレーズ
2021 シレジア 4×100mR
2019 横浜 4×200mR
英連邦競技大会
2018 ゴールドコースト 100m
2018 ゴールドコースト 4x100mR
アフリカ選手権
2016 ダーバン 4x100mR
2016 ダーバン 100m
ユニバーシアード
2015 光州 100m
2015 光州 4x100mR
アフリカ
IAAFコンチネンタルカップ
2018 オストラヴァ 100m
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アカニ・シンビネAkani Simbine1993年9月21日 ‐ )は、南アフリカ・ケンプトン・パーク出身の陸上競技選手。専門は短距離走100mで9秒84(元アフリカ記録)、200mで19秒95の自己ベストを持つ。2016年リオデジャネイロオリンピック男子100mファイナリスト(5位)である。

経歴[編集]

2012年まで[編集]

サッカー陸上競技の両方に取り組み、サッカーでは右ウイングを務めていた[2]。しかし、2012年12月11日にルサカで開催されたZone VI U20 Gamesの男子100mで10秒19(+1.3)のU20南アフリカ記録(当時)を樹立し[注 1]、これを機に陸上競技に専念することを決めた[4]

2013年[編集]

8月のモスクワ世界選手権男子100mでシニアの世界大会デビューを果たしたが、10秒38(-0.3)の組7着で予選敗退に終わった。この時にジャマイカのヨハン・ブレークから「細いから筋肉をつけたほうがいい」とアドバイスを貰ったという[4]

2014年[編集]

4月12日にプレトリアで開催された南アフリカ選手権男子100m決勝で10秒02(+1.4)をマーク。この記録は従来の南アフリカ記録(当時10秒06)を上回るタイムだったが、このレースでサイモン・マガクウェが南アフリカ人初の9秒台となる9秒98をマークしたため、南アフリカ歴代2位(当時)の記録となった[5]

2015年[編集]

7月1日にヴェレニエで開催されたEuropean Athletics Classics Meeting男子100mで9秒99(-0.2)の自己ベスト(当時)をマークし、10秒の壁を突破した史上2人目の南アフリカ人となった[6]

同月の光州ユニバーシアードに出場すると、男子100mは準決勝で10秒00(+0.3)の大会記録を樹立し、1987年ザグレブ大会リー・マクレーがマークした10秒07を塗り替えると、決勝では準決勝の記録を更に縮める9秒97(0.0)の南アフリカタイ記録(当時)を樹立して金メダルを獲得した[注 2][7]。学生の世界大会とはいえ、世界チャンピオンに輝いたことは大きな自信になったという[4]。男子4×100mリレーではアンカーを務め、39秒68をマークしての銅メダル獲得に貢献した。

8月の北京世界選手権に出場すると、2013年モスクワ大会に続いて出場した男子100mは予選を10秒09(-0.1)で突破し、シニアの世界大会で初のセミファイナリストになったが、準決勝は10秒02(+0.9)の組4着(全体11位)で敗退した[8]男子200mも予選を20秒23(-0.4)の自己ベスト(当時)で突破してセミファイナリストになったが、準決勝は20秒37(+0.4)の組6着で敗退[9]。男子4×100mリレーは予選でアンカーを務めたが、1-2走間でバトンが渡らず途中棄権に終わった[10]

2016年[編集]

3月8日にプレトリアで開催された南アフリカ陸上競技連盟Night Series Meeting男子100mで9秒96(+0.4)の南アフリカ記録(当時)を樹立。ヘンリコ・ブルンジースと保持していた従来の記録(9秒97)を塗り替え、単独での南アフリカ記録保持者となった[11]

6月には苦手なスタートを改善するためにジャマイカでのトレーニングキャンプに参加し、ウサイン・ボルトのコーチであるグレン・ミルズ英語版からアドバイスを受けた[4]

7月18日にセーケシュフェヘールヴァールで開催されたジュライ・イシュトヴァーン記念(Gyulai István Memorial)に出場すると、男子100mでアフリカ歴代3位タイの記録となる9秒89(+1.9)をマーク[注 3]。自身の持つ南アフリカ記録を0秒07更新し、公認記録で9秒8台をマークした史上初の南アフリカ人となった[注 4]。男子100mから約1時間30分後に行われた男子200mでも自己ベストを0秒07更新する20秒16(+0.7)をマークし、両種目で優勝を果たした[12]

8月のリオデジャネイロオリンピック男子100mに出場すると、13日の予選を10秒14(-1.3)、14日の準決勝は9秒98(+0.2)で突破し、この種目での南アフリカ人としては、1932年ロサンゼルスオリンピックで5位に入ったDanie Joubert以来、82年ぶりにファイナリストとなった。準決勝から約1時間30分後に行われた決勝では、準決勝のタイムを更に縮める9秒94(+0.2)をマークして5位に入った[13][14]

2017年[編集]

3月4日にプレトリアで開催されたGauteng North league meeting男子100mで9秒93(+2.0)をマークすると、その2時間後に行われた男子200mでは南アフリカ歴代3位(当時)の記録となる19秒95(+1.7)をマーク[注 5][15][16]。20秒の壁を破った史上3人目の南アフリカ人[注 6]10秒の壁と20秒の壁を破った史上2人目の南アフリカ人となった[注 7][17]

8月のロンドン世界選手権男子100m予選には今季世界ランク3位(9秒92)で臨んだが[18]、着順で予選を突破できる組3着以内には入れず、タイムで拾われての突破となった。しかし、準決勝では10秒05(-0.5)で組1着(全体5位)に入り、予選の10秒15(0.0)からタイムを縮めて決勝に進出。この種目では南アフリカ勢初のファイナリスト(女子も含め)となった決勝では[19]、更にタイムを縮める10秒01(-0.8)をマークしたが5位に終わった[20]。今季世界ランク5位(19秒95・出場選手の中では3位)で臨んだ男子200mは[21]、腰を痛めての出場ながら予選を突破したものの[22]、準決勝は20秒62(+2.1)の組7着で敗退した[23]

2018年[編集]

4月の英連邦競技大会(コモンウェルスゲームズ)では男子100m決勝を10秒03(+0.8)で制し、この種目で南アフリカ人初となる優勝(女子も含め)を成し遂げた[24]。アンカーを務めた4×100mリレーは優勝したイングランドに0秒11及ばなかったものの順位を4位から2位に押し上げ[25]、38秒24の南アフリカ新記録を樹立しての銀メダル獲得に貢献した[26]

2021年[編集]

2021年7月6日、ハンガリーセーケシュフェヘールヴァールで行われた競技会でアフリカ新記録(当時)となる9.84(+1.2)をマークし、自己ベストを更新した。(この記録はケニアファーディナンド・オムルワによって破られた。)

人物[編集]

ヒーローはジャマイカ人スプリンターのアサファ・パウエル[27]

自己ベスト[編集]

記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風、-は向かい風を意味する。

種目 記録 年月日 場所 備考
100m 9秒84 (+1.2) 2021年7月6日 ハンガリーの旗 セーケシュフェヘールヴァール 南アフリカ記録 前アフリカ記録
200m 19秒95A (+1.7) 2017年3月4日 南アフリカ共和国の旗 プレトリア 南アフリカ歴代4位
高地記録

主要大会成績[編集]

備考欄の記録は当時のもの

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2013 ユニバーシアード (en ロシアの旗 カザン 100m 準決勝 10秒49 (-0.4)
4x100mR 7位 45秒82 (1走)
世界選手権 ロシアの旗 モスクワ 100m 予選 10秒38 (-0.3)
2014 英連邦競技大会 (en イギリスの旗 グラスゴー 100m 準決勝 10秒21 (-0.5)
200m 5位 20秒37 (+0.5) 自己ベスト
4x100mR 4位 38秒35 (4走) 南アフリカ記録
アフリカ選手権 (en モロッコの旗 マラケシュ 100m 8位 13秒14 (+0.4)
4x100mR 予選 DQ (3走)
2015 ユニバーシアード (en 大韓民国の旗 光州 100m 優勝 9秒97 (0.0) 大会記録
4x100mR 3位 39秒68 (4走)
世界選手権 中華人民共和国の旗 北京 100m 準決勝 10秒02 (+0.9)
200m 準決勝 20秒37 (+0.4) 予選20秒23 (-0.4):自己ベスト
4x100mR 予選 DNF (4走)
2016 アフリカ選手権 (en 南アフリカ共和国の旗 ダーバン 100m 3位 10秒05 (+2.4)
4x100mR 優勝 38秒84 (4走)
オリンピック ブラジルの旗 リオデジャネイロ 100m 5位 9秒94 (+0.2)
2017 世界選手権 イギリスの旗 ロンドン 100m 5位 10秒01 (-0.8)
200m 準決勝 20秒62 (+2.1)
2018 英連邦競技大会 (en オーストラリアの旗 ゴールドコースト 100m 優勝 10秒03 (+0.8)
4x100mR 2位 38秒24 (4走) 南アフリカ記録
IAAFコンチネンタルカップ チェコの旗 オストラヴァ 100m 3位 10秒11 (0.0)
4x100mR DNF - (4走)
2019 世界選手権 カタールの旗 ドーハ 100m 4位 9秒93 (+0.6)
4x100mR 5位 37秒73 (4走) 予選37秒65:アフリカ記録

ダイヤモンドリーグ[編集]

ダイヤモンドリーグの総合成績を記載。獲得ポイント欄の( )内は出場したポイント対象レースの数を意味する。

種目 総合順位 獲得ポイント
2016 100m 3位 18 (2レース)

優勝したダイヤモンドリーグの大会を記載(個人種目のみ)。金色の背景はポイント対象レースを意味する。

大会 場所 種目 記録 備考
2017 カタールスーパーグランプリ カタールの旗 ドーハ 100m 9秒99 (-1.2)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 従来の記録は2008年にWilhelm van der Vyverがマークした10秒30。これ以前のシンビネの自己ベストは10秒55だった[3]
  2. ^ タイ記録保持者は4日前に9秒97をマークしたヘンリコ・ブルンジース
  3. ^ オルソジ・ファスバ(9秒85)、フランク・フレデリクス(9秒86)に次いで、ンゴニザシェ・マクシャと並ぶ。
  4. ^ 追い風参考記録を含めると、2016年5月29日にヘンリコ・ブルンジースが9秒89(+4.0)をマークしていた。
  5. ^ 歴代1位はアナソ・ジョボドワナ(19秒87)、2位はウェイド・バンニーキルク(19秒94)。
  6. ^ ウェイド・バンニーキルク、アナソ・ジョボドワナに次ぐ。
  7. ^ ウェイド・バンニーキルクに次ぐ。

出典[編集]

  1. ^ Akani Simbine primed for a stellar 2016”. Varsity Sports (2016年3月7日). 2017年2月26日閲覧。
  2. ^ Predictions: The Pro vs The Pundit”. SportsClub - The Foschini Group SportsClub Magazine website (2016年9月19日). 2017年2月26日閲覧。
  3. ^ SA athlete makes history”. sport24 (2012年12月12日). 2016年3月14日閲覧。
  4. ^ a b c d Focus on Athletes Biography参照”. 国際陸上競技連盟 (2016年7月23日). 2017年3月5日閲覧。
  5. ^ Magakwe breaks 100m 10-second barrier”. eNCA (2014年4月13日). 2017年3月5日閲覧。
  6. ^ SA’s Simbine joins sub-10 second elite”. sport24 (2015年7月2日). 2016年3月14日閲覧。
  7. ^ Simbine and Fajdek win World University Games titles in Gwangju”. 国際陸上競技連盟 (2015年7月9日). 2016年3月14日閲覧。
  8. ^ 第15回世界選手権男子100m準決勝サマリー”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月14日閲覧。
  9. ^ 第15回世界選手権男子200m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月14日閲覧。
  10. ^ SA relay team fumble out of contention”. sport24 (2015年8月29日). 2016年3月14日閲覧。
  11. ^ Simbine sets South African 100m record of 9.96 in Pretoria”. 国際陸上競技連盟 (2016年3月8日). 2016年3月14日閲覧。
  12. ^ Simbine breaks SA 100m record!”. IOL (2016年7月18日). 2016年7月19日閲覧。
  13. ^ Report: men's 100m semi-finals – Rio 2016 Olympic Games”. 国際陸上競技連盟 (2016年8月15日). 2016年8月15日閲覧。
  14. ^ Report: men's 100m final – Rio 2016 Olympic Games”. 国際陸上競技連盟 (2016年8月15日). 2016年8月15日閲覧。
  15. ^ Scorching Simbine breaks 20-second barrier in 200 metres”. Times LIVE (2017年3月4日). 2017年3月5日閲覧。
  16. ^ SA's Akani Simbine starts season with a bang: 9.93 in 100m and 19.95 over 200m”. watchathletics.com (2017年3月5日). 2017年3月6日閲覧。
  17. ^ Lightning Akani Simbine is the fastest man ever in South Africa”. The Citizen(citizen.co.za/) (2017年3月4日). 2017年3月6日閲覧。
  18. ^ 2017年世界選手権男子100m予選スタートリスト (PDF, 134 KB) 国際陸上競技連盟 2017年08月06日閲覧
  19. ^ IAAF World Championships London 2017 statistics handbook (ebook) / BEST NATIONAL PLACINGS (P.628と760参照)”. 国際陸上競技連盟 (2017年8月3日). 2017年8月3日閲覧。
  20. ^ 2017年世界選手権男子100m決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年8月6日). 2017年8月6日閲覧。
  21. ^ 2017年世界選手権男子200m予選スタートリスト (PDF, 134 KB) 国際陸上競技連盟 2017年08月10日閲覧
  22. ^ Wayde van Niekerk’s double dream alive but heartbreak for Munyai”. The Citizen(citizen.co.za/) (2017年8月7日). 2017年8月15日閲覧。
  23. ^ 2017年世界選手権男子200m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2017年8月10日). 2017年8月10日閲覧。
  24. ^ Walsh dominates shot put, Simbine and Ahye take 100m titles - Commonwealth Games day 2”. 国際陸上競技連盟 (2018年4月9日). 2018年4月10日閲覧。
  25. ^ Obiri and Manangoi lead Kenyan 1-2s on day seven of Commonwealth Games”. 国際陸上競技連盟 (2018年4月14日). 2018年4月14日閲覧。
  26. ^ Simbine chases down Blake to clinch record relay silver for Team SA”. IOL (2018年4月14日). 2018年4月14日閲覧。
  27. ^ プロフィール”. 2014年英連邦競技大会公式サイト. 2014年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月26日閲覧。

外部リンク[編集]

記録
先代
オルソジ・ファスバ
(9秒85)
2006年5月12日
男子100m
アフリカ記録保持者
(9秒84)

2021年7月6日 -
次代
未定
先代
ヘンリコ・ブルンジース
(9秒97)
2015年7月5日
男子100m
南アフリカ記録保持者
(9秒97 - 9秒84)

2015年7月9日 -
次代
未定
先代
Wilhelm van der Vyver
(10秒30)
2008年4月18日
男子100m
U20南アフリカ記録保持者
(10秒19)

2012年12月11日 - 2017年3月18日
次代
Tlotliso Leotlela
(10秒12)
2017年3月18日
功績
1人目
サイモン・マガクウェ
(9秒98)
2014年4月12日
男子100m
10秒の壁を破った南アフリカ人
(9秒99)

2015年7月1日
3人目
ヘンリコ・ブルンジース
(9秒97)
2015年7月5日
2人目
アナソ・ジョボドワナ
(19秒87)
2015年8月27日
男子200m
20秒の壁を破った南アフリカ人
(19秒95)

2017年3月4日
4人目
クラレンス・ムンヤイ英語版
(19秒69)
2018年3月16日