ウィンターリーグ

ウィンターリーグとは、冬季に行われる野球リーグの総称である。

主にラテンアメリカオーストラリアで行われるプロ野球台湾アメリカで開かれる教育リーグの事を指す。それ以外にも、アメリカ国内でMLBのオフシーズンに行われるプロを目指す選手のためのトライアウトリーグ[1] や沖縄県で開催されているジャパンウィンターリーグなどがある。

その中でもメジャーリーガーが多く参加するメキシコLMP)、ベネズエラLVBP)、プエルトリコLBPRC)、ドミニカ共和国LIDOM)を4大ウィンターリーグと呼び、それらのリーグの王者に加え、パナマPROBEIS)、コロンビアLCBP)などの王者が優勝を争う国際野球大会であるカリビアンシリーズは毎年大きな盛り上がりを見せる[2][3][4]

概要[編集]

一般的に下記の表に記載されているリーグを指す。

地域 国名 リーグ名 英語(orスペイン語)表記 備考
パンアメリカン アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アリゾナ・フォールリーグ Arizona Fall League MLB傘下の広義のウィンターリーグ
ハワイ・ウィンターリーグ Hawaii Winter Baseball 2008年限りで休止
ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国 リーガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・デ・ラ・レプブリカ・ドミニカーナ Liga de Béisbol Profesional de la República Dominicana
プエルトリコの旗 プエルトリコ リーガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・ロベルト・クレメンテ Liga de Béisbol Profesional Roberto Clemente
ベネズエラの旗 ベネズエラ リーガ・ベネソラーナ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル Liga Venezolana de Béisbol Profesional
メキシコの旗 メキシコ リーガ・メヒカーナ・デル・パシフィコ Liga Mexicana del Pacifico
リーガ・デ・ベイスボル・デル・ノロエステ・デ・メヒコ Liga de Béisbol del Noroeste de México
リーガ・インベルナル・メヒカーナ Liga Invernal Mexicana
リーガ・インベルナル・ベラクルサナ Liga Invernal Veracruzana 優勝チームはラテンアメリカンシリーズに参加する
リーガ・マヨル・デ・ベイスボル・デ・ラ・ラグーナ Liga Mayor de Béisbol de La Laguna
 コロンビア リーガ・コロンビアーナ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル Liga Colombiana de Béisbol Profesional 優勝チームはラテンアメリカンシリーズに参加する
ニカラグアの旗 ニカラグア リーガ・ニカラグエンセ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル Liga de Béisbol Profesional Nacional 優勝チームはラテンアメリカンシリーズに参加する
パナマの旗 パナマ リーガ・プロフェシオナル・デ・ベイスボル・デ・パナマ Liga Profesional de Béisbol de Panamá 優勝チームはラテンアメリカンシリーズに参加する
アジア 中華民国の旗 台湾 アジア・ウィンター・リーグ Asia Winter Baseball League 2015年は台湾のほかに、日本の旗 日本大韓民国の旗 韓国欧州連合の旗欧州が参加
日本の旗 日本 ジャパンウィンターリーグ Japan Winter League 2022年11月より沖縄で開幕。

初代チャンピオンは読谷ThreeStrings

オセアニア オーストラリアの旗 オーストラリア オーストラリアン・ベースボールリーグ Australian Baseball League

カリビアンシリーズは、1949年に始まった当初はキューバ共和国が加盟していたが、キューバ革命による社会主義体制への移行の影響でプロスポーツが禁止されたために脱退。1960年から1969年の10年間は大会が行われなかったが、1970年にメキシコが加盟して現在の形となった。

ラテンアメリカオーストラリアのリーグはその国でのトップリーグである。そのためMLBNPB同様に興行的な性格が強い。[5]またメキシコに関しては、春秋制のリーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボルよりもウィンターリーグであるリーガ・メヒカーナ・デル・パシフィコのほうが人気・実力ともに上回っている[6]

その一方で、アメリカ日本などに存在する春秋制の各プロ野球組織[注 1] に所属する選手たちがオフシーズンを利用して調整、アピールのために出場することも多い。また、生活のためにプレーする選手や故郷への恩返しのためにプレーする選手も存在する[7]。中には、ウィンターリーグでの活躍を機にメジャーに昇格・活躍する選手もいる。例えば、主に1980年代後半から1990年代に活躍したウォーリー・ジョイナー1985年にプエルトリコのウィンターリーグで三冠王を獲得し、翌年メジャーデビューし、いきなり同年のMLBオールスターゲームに選出される活躍を見せた。

各国のリーグ戦の優勝チームは、シーズン終盤に「カリビアンシリーズ」に出場してその地域の統一チャンピオンをかけて戦う。このカリビアンシリーズは、優勝チーム以外からも各国のリーグ戦に登録された若干名の選手が補強選手としてレンタル入団する形式が取られており、4チームの2回総当り方式でカリブ海地域のクラブナンバーワンを決定する。この地域において多くの関心を集める大会であり、海を渡って開催地まで母国チームの応援に行くファンも大勢いるという[8]

日本球界との関係[編集]

日本人選手でも、水野雄仁が1996年にドミニカ共和国で、また伊良部秀輝も2001年にプエルトリコでそれぞれ試合に出場した。2003年にはベネズエラで養父鐵が、2004年にはメキシコで養父、入来祐作が活躍し、2007年にはベネズエラで野茂英雄が、ドミニカ共和国で前川勝彦が、2015年にはドミニカ共和国で筒香嘉智が出場している。

他にも近年、日本のプロ野球球団は若手を中心に育成目的で数多くの選手を派遣している。特に中日ドラゴンズはドミニカのウィンターリーグに毎年若手選手を数人派遣し育成し、同行するコーチが同国の選手をスカウト・獲得するという流れができつつある。また、福岡ソフトバンクホークスも、プエルトリコのウィンターリーグに若手投手を派遣している。

逆にここで活躍することによって日本球界から注目され移籍・入団に至るケースもあり、最近ではトニ・ブランコ(中日→DeNA→オリックス)やウィルフィン・オビスポ(巨人→日本ハム)らがこれにあたる。

また2022年より沖縄県でジャパンウィンターリーグが開催されている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ セミプロの独立リーグを含む。

出典[編集]

  1. ^ 「ノマドリーガーはつらいよ アメリカ"底辺リーグ"の日本人選手たち」『週刊プレイボーイ』第30号、集英社、2014年7月20日、142-145頁、2014年9月30日閲覧 
  2. ^ DeNA乙坂智も大暴れした中南米ウインターリーグの給料はいくら?|MLB|集英社 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva”. 集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva. 2023年1月31日閲覧。
  3. ^ メジャー選手も多数参加 世界屈指のレベル ドミニカウインターリーグとは? - スポニチ Sponichi Annex 野球”. スポニチ Sponichi Annex. 2023年1月31日閲覧。
  4. ^ ラテンアメリカ野球最大の祭典、カリビアンシリーズの風景(阿佐智) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2023年1月31日閲覧。
  5. ^ 「武者修行」の場、ウインターリーグ 台湾、豪州、北中米の違いとは?”. Full-Count(フルカウント) ― 野球ニュース・速報・コラム ― (2018年12月15日). 2023年1月29日閲覧。
  6. ^ 奥深いメキシコの野球システム:年を通じて複数のリーグが存在するメキシコ(阿佐智) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2023年1月29日閲覧。
  7. ^ 野球ウインターリーグ、中米に集う意外に豪華な面々”. 日本経済新聞 (2016年1月5日). 2023年1月29日閲覧。
  8. ^ ラテンアメリカ野球最大の祭典、カリビアンシリーズの風景(阿佐智) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2023年1月29日閲覧。

関連項目[編集]