エルタテハ

エルタテハ
エルタテハ(2013年8月3日、白山の高山帯にて)
エルタテハ Nymphalis vaualbum
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目 Lepidoptera
上科 : アゲハチョウ上科 Papilionoidea
: タテハチョウ科 Nymphalidae
亜科 : タテハチョウ亜科 Nymphalinae
: タテハチョウ族 Nymphalini
: タテハチョウ属 Nymphalis
: エルタテハ N. vaualbum
学名
Nymphalis vaualbum
(Denis & Schiffermüller, 1775)
シノニム
  • Nymphalis l-album
  • Papilio l-album
和名
エルタテハ
英名
Compton Tortoiseshell
亜種
  • Nymphalis vaualbum samurai[1]

エルタテハ(L立翅、学名:Nymphalis vaualbum (Denis & Schiffermüller, 1775) )は、タテハチョウ科タテハチョウ属分類されるチョウの一

分布[編集]

ユーラシア大陸アフリカ大陸北部の旧北区のほぼ全域と北アメリカ大陸に分布する[1]

日本では北海道中部地方以北の本州に分布する[1]東北地方では局所的、近畿地方以西では稀に見られる[2]。北海道では平地から山地にかけて、本州では主に標高1,000 m以上の落葉広葉樹林などに分布する[3]

特徴[編集]

前翅長が30 mmほどの中型のチョウで[4] 、翅の表面は橙色で大きな黒斑があり、前翅の頂付近に白斑がある[3]。翅の裏面は部分的な濃淡のある茶褐色と濃褐色[3]。前翅頂きは突出し、外縁の中央部は窪む[3]。後翅の表面中央部に縦長の白斑があり[5](オスの方が鮮明)、後翅の裏面中央部に和名の由来となっている白色のL字紋がある[3]

生活史[編集]

5-6月頃に長野県では6月頃に幼虫となり[3]、成虫は年一回7-9月に発生し、9月下旬には成虫で越冬する[1][2]。日中に林縁部などを敏速に飛翔し、アザミ類やノリウツギナナカマドノアザミキブシアセビウドなどの花を吸蜜したり、コナラミズナラ、ダケカンバなどの樹液、獣糞、人尿、動物の死体などを吸ったり、腐った果実に集まったり、地面で吸水したりする[3][2]。食草とする樹の枝先などにリング状に産卵を行う[2]

幼虫はニレ科ハルニレオヒョウカバノキ科シラカンバダケカンバウダイカンバ(学名:Betula maximowicziana Regel)などを食草とする[1][3][2]

近縁種[編集]

ヒオドシチョウNymphalis xanthomelas)と形態が類似する。エルタテハには後翅の裏面中央部に白色のL字紋があるが、ヒオドシチョウにはない[3]。エルタテハには翅外縁の表面に青色の縁取りがないが、ヒオドシチョウにはある[3]

エルタテハ、香川県にて

種の保全状況評価[編集]

日本では個体数が少ないチョウで、植林に伴う自然林の消滅により個体数が減少している[3]。以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 猪又 (2006)、203頁
  2. ^ a b c d e 蛭川 (2013)、111頁
  3. ^ a b c d e f g h i j k 須田 (2012)、224-225頁
  4. ^ a b レッドデータブックにいがた” (PDF). 新潟県. pp. 192 (2001年). 2014年2月6日閲覧。
  5. ^ 猪又 (2006)、66頁
  6. ^ 日本のレッドデータ検索システム(エルタテハ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2014年2月6日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。

参考文献[編集]

  • 猪又敏男(編・解説)、松本克臣(写真)『蝶』山と溪谷社〈新装版山溪フィールドブックス〉、2006年6月。ISBN 4-635-06062-4 
  • 須田真一、永幡嘉之、中村康弘、長谷川大、矢野勝也 著、日本チョウ類保全協会 編『日本のチョウ』誠文堂新光社〈フィールドガイド〉、2012年4月30日。ISBN 978-4416712030 
  • 蛭川憲男『日本のチョウ 成虫・幼虫図鑑』メイツ出版、2013年4月。ISBN 978-4780413120 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]