エーレンフェストの定理

エーレンフェストの定理(エーレンフェストのていり、: Ehrenfest's theorem[1])は、量子力学における重要な定理のひとつで、大まかにいえば『シュレーディンガー方程式期待値を取ることで古典力学における運動方程式(に大変よく似たもの)が得られる』ことを主張している。この定理はオランダ物理学者ポール・エーレンフェストにより提唱され、量子力学と古典力学の対応を論じるときによく用いられる。

定理の主張

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量子系の座標のrの期待値とそれに共役な運動量pの期待値とが時間とともにどのように変化するかを計算し、,より、それぞれ、 (1)     (2)

が得られる。これは、古典論の運動方程式、

とよく似ている。rの期待値とpの期待値が時間とともにどのように変化していくかという関係、(1)の式と(2)の式をエーレンフェストの定理という。[2]

証明

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まず、期待値の定義より

を得る。ここでシュレーディンガー方程式より

部分積分と、積分範囲が空間全体にわたること、及び波動関数は無限遠では0となるという仮定を用いると

これらを用いると

再度シュレーディンガー方程式を用いて

また部分積分を使うと、

加えて

を用いると、

を得る。この右辺の積分は、期待値の導出法からの期待値であるから、

となる。

脚注

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出典

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  1. ^ 文部省日本物理学会編『学術用語集 物理学編培風館、1990年。ISBN 4-563-02195-4http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  2. ^ 『量子力学1』講談社、2月20日 1994。 

関連項目

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