オセロ (ボードゲーム)

オセロ
オセロの盤と石
デザイナー 長谷川五郎
販売元 メガハウスマテル
発売日 1973年4月29日 (50年前) (1973-04-29)
ジャンル ボードゲーム
プレイ人数 2人
準備時間 1分間未満
プレイ時間 標準10分間、最大80分間
運要素 なし
必要技能 頭脳、読み合い、駆け引き
ウェブサイト オセロ公式サイト
リバーシ
デザイナー ジョン・モレット、ルイス・ウォーターマン
販売元 ジャック・オブ・ロンドン、ほか多数
発売日 1883年 (141年前) (1883)(or earlier)—present
対象年齢 8歳以上
準備時間 1分未満

オセロ(Othello、Reversi)は、2人のプレイヤーが交互に盤面へ石を打ちながら、相手の石を自分の石で挟むことによって自分の石へと換えていき、最終的な盤上の石の個数を競うボードゲームである。イギリスで19世紀後半に考案されたリバーシReversi)の一形態が1973年に日本でオセロとして発売され、爆発的な人気を呼んだ[1]オセロゲーム(Othello Game)とも呼ぶ。

概要[編集]

プレイ中のオセロの盤と石

オセロはボードゲームの1つである。8×8の正方形の盤と、表裏を黒と白に塗り分けた平たい円盤状の石を使用する。それぞれ黒と白を担当する2人のプレイヤーが交互に盤面へ石を置いていき、最終的に盤上の石が多かったほうが勝ちとなる。相手の石を自分の石で挟んだときは、相手の石を裏返すことで、自分の石にする。「挟んだら裏返す」という基本原理が解れば、初期配置やパスなどいくつかのルールを知るだけで、すぐにオセロをプレイできる。なお、公式戦では、さらに細かい競技規則も定められている。

オセロとほぼ同様のゲームは、もともとリバーシとして知られていた。リバーシは、ジョン・モレット (John Mollett) とルイス・ウォーターマン (Lewis Waterman) によって19世紀イギリスロンドンで考案された。その後、水戸市出身のボードゲーム研究家・長谷川五郎によって1970年頃に東京都で現在知られているパッケージが開発され、その父・四郎によって「オセロ」(ウィリアム・シェイクスピア戯曲オセロ』に由来)と命名された。完成したオセロは、1973年にツクダ(後のツクダオリジナルパルボックスメガハウス)から発売され、ヒット商品となった。「オセロ」「Othello」という名称は株式会社オセロの登録商標であり[2]、メガハウスが専用使用権を有している[3][4]

オセロは、抽象戦略ゲーム(アブストラクトゲーム)の一つであり、運の要素がなく、2人のプレイヤーが互いに知恵を絞り実力だけを頼りに勝敗を決する。ゲームのルールは単純明快だが、多数の戦術が生み出され、日々戦略的な進歩を続けている。このことを端的に表した「覚えるのに一分、極めるのに一生 (A minute to learn, a lifetime to master)」という言葉がキャッチフレーズになっている。著名な戦術としては、定石や偶数理論などがある。

数学的には、オセロは囲碁将棋チェスなどと同様に二人零和有限確定完全情報ゲームに分類され、コンピュータによる研究も行われている。コンピュータオセロは、1997年に人間の世界チャンピオンに勝利しており、人間のトッププレイヤーを上回る実力を持つ。もっとも、コンピュータが発達した2022年現在もオセロの完全解析はなされておらず、なお未知なる奥深さを持つ。

世界各国で子供から老人まで様々な人によってプレイされており、世界のオセロ競技人口は約6億人と推計されている。特に、日本では遊びの文化として定着しており、競技人口が多いだけでなく、オセロを題材にした数々の文化的活動も行われている。

オセロは、遊びであると同時にマインドスポーツの一つとしても知られている。世界各国で多くの大会が開催されており、日本では囲碁や将棋などと同様に複数のタイトル戦が存在する。最も大きな大会は、1977年から毎年開催されている世界オセロ選手権である。

このほか、オセロ・リバーシには、ニップグランドオセロエイトスターズオセロロリットなどの派生ゲームも存在し、様々な形で人々から親しまれている。

ルール[編集]

使用用具[編集]

オセロをプレイするために必要な用具は、盤と石である[5][6][注釈 1]。オセロの盤は、8×8の正方形のマス目が描かれた緑色のものを使用する[5][6]

オセロの石は、表裏を黒と白に塗り分けた平たい円盤状のものを使用する[5][6]

メガハウスによる公式のオセロ用具は、表のようにプレイヤーの便宜を図るために様々な工夫を凝らした製品が順次追加されている[8]

メガハウスによるオセロ用具
発売時期 製品名 特徴
1973年 - オフィシャルオセロ 最初に発売されたオリジナルの用具。公式大会では現在もこれが使用される。2019年にマイナーチェンジあり。
1975年頃 - マグネットオセロ 石がマグネット式で盤に張り付くので傾けてもずれにくい。盤は折り畳み可能。
1970年代後半 - ベストオセロ 石を保管するためのケースが盤に内蔵されている。2000年代にもマイナーチェンジあり。かつては同様の商品の「ナイスオセロ」もあったが、現在は終売。
1980年代前半 - ヴィクトリーオセロ(終売) 入門用。盤のマス目に立体ガイドが付いており、簡単にマス目中央に石を置くことができる。
2004年 - 一体オセロ 盤に固定された回転式の石を使用。石をなくす心配がない。旧称「オセロ極」( - 2013)、「大回転オセロ」( - 2021)。
2005年 - 大回転オセロミニ 大回転オセロの小型版。持ち運びに適する。旧称「オセロ極Jr.」( - 2013)。
2022年 - カラーオセロ ビタミンオレンジ・インディゴブルー・パールブラックの3色展開。盤面の線が凸状で石がズレない。石収納用の引き出し付き。

また、視覚障害者向けに触って石を識別できるもの(表の「カラーオセロ」も該当)、石をつまむことのできない肢体不自由者向けに盤と一体化した石を回すことでプレイできるもの(表の「一体オセロ」も該当)など、バリアフリーを意識した用具も開発・発売されている[9]

基本ルール[編集]

オセロの基本ルールは以下の通りである。なお、以下では符号を用いて説明することがあるが、図の盤面外に記載されている列と行を表す。例えば、f5はf列5行目のことである。

事前準備として、以下の2つが必要である。

  • じゃんけんなどで各プレイヤーがそれぞれ黒番(黒石を打つ)と白番(白石を打つ)のどちらを担当するかを決めておく[10](公式戦での手番決定方法は後述)。
  • 初期配置として、図1のように盤面中央の4マスに黒石と白石を2つずつ置く[11][6]。右上と左下が黒石、左上と右下が白石になるように互い違いに配置する[11]

事前準備を終えたらゲームを開始する。

図1
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
初手(黒番)

初手は黒番が打つ[11]。この際、今打った石と他の自分の色の石とで縦・横・斜めのいずれかの方向で挟んだ相手の色の石は、裏返して自分の色に変える[11][6]。例えば、図1の局面で、黒番がf5に打てば、今打った黒石とd5の黒石によってe5の白石を横に挟んでいるので、これを裏返して黒石に変える(図2)。

図2
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5X f5X g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
2手目(白番)

2手目は白番が打つ[11]。さきほどと同じように、挟んだ相手の色の石を裏返して自分の色に変える。例えば、図2から白番がd6に打てば、今打った白石とd4の白石によってd5の黒石を縦に挟んでいるので、これを裏返して白石に変える(図3)。

図3
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5O e5X f5X g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6O e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
3手目(黒番)

後は同様に、相手の石を挟みながら、黒番と白番が交互に空きマスに自分の色の石を打っていく[11]。例えば、図3から黒番がc3に打てば、d4の白石を斜めに挟んでいるので、これを裏返して黒石に変える。

図4
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3X f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4O g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5O g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
複数の石(黒番)

複数の石を一度に挟むことも可能である[11]。この場合、挟んだ石はすべて自分の色に変えなければならない[11][6]。例えば、図4の局面で黒番がg5に打つと、f5とe5の白石を横に挟み、f4の白石を斜めに挟んでいるので、これら3つの石をすべて黒石に変える(図5)。

図5
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3X f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4X g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5X f5X g5X h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6O g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
不正な着手(白番)

石を打つときは、必ず相手の色の石を1つ以上挟むように打たなければならない[11][6]。例えば、図5で仮に白番がh5に打ったとしても黒石を1つも挟めないから、白番がh5に打つことはできない。

図6
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4X d4X e4X f4 g4 h4O 4
5 a5 b5 c5 d5X e5X f5X g5O h5O 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6X g6 h6O 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7X g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
パス・ルール(黒番→白番)

挟める石がなければパスとなり、相手の手番になる[11][6]。例えば、図6の局面で、黒番は挟める白石がないのでパスとなる。パスに回数制限はないが、挟める石があるときはパスできない[11]。なお、相手のパスによって自分の着手が続くと手元の石が足りなくなることがあるが、相手の手元の石を使ってもよい[11]

図7
a b c d e f g h
1 a1O b1O c1O d1O e1O f1O g1O h1O 1
2 a2O b2X c2X d2O e2O f2X g2O h2X 2
3 a3O b3X c3X d3X e3X f3O g3X h3X 3
4 a4O b4X c4O d4X e4X f4X g4X h4X 4
5 a5O b5X c5O d5O e5X f5X g5X h5X 5
6 a6O b6X c6O d6O e6O f6X g6X h6X 6
7 a7O b7O c7O d7O e7O f7O g7X h7X 7
8 a8O b8X c8X d8X e8X f8X g8X h8X 8
a b c d e f g h
通常の終局(34対30)

このようにしてプレイを続けていき、盤上のすべてのマスが石で埋まって空きマスがなくなれば、ゲーム終了(終局)となる[11][6]。例えば、図7では、すべてのマスが石で埋まっているため、終局である。

図8
a b c d e f g h
1 a1 b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3X d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4X e4X f4X g4X h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5X f5X g5X h5X 5
6 a6 b6 c6 d6 e6X f6 g6X h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7X g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8O f8 g8X h8 8
a b c d e f g h
双方打てずの終局(63対1)

空きマスがあっても、両者ともに挟める石がないときは終局となる[11]。例えば、図8では、まだ空きマスがあるが、黒番も白番も相手の色の石を挟む方法がないから、終局である。なお、一方の石が全滅してしまった場合も、両者ともに挟める石がないときに該当するから終局である[11]

ゲームが終了したら黒石・白石の数を数え、多いほうが勝ちとなる[10][6]。同数の場合は、通常の対局では引き分け、引き分けでは不都合のある対局(勝ち上がり式トーナメントの大会等)では黒番・白番の決定時に「終局時に石の数が同数だった場合に勝者となる権利」(後述)を得ていた側の勝ちとなる[7]

成績は、石数もしくは石差で記録される[11]。例えば、図7ならば34対30(4石差)で黒番の勝ちである。空きマスがある場合には、その数が勝者の石数に加算される[7][注釈 2]。例えば、図8ならば63対1(62石差)で黒番の勝ちである。

ハンデキャップ[編集]

オセロのハンデキャップ
a b c d e f g h
1 a1X b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8 8
a b c d e f g h
1子局(白番)
a b c d e f g h
1 a1X b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7 d7 e7 f7 g7 h7 7
8 a8 b8 c8 d8 e8 f8 g8 h8X 8
a b c d e f g h
2子局(白番)
a b c d e f g h
1 a1X b1 c1 d1 e1 f1 g1 h1X 1
2 a2 b2 c2 d2 e2 f2 g2 h2 2
3 a3 b3 c3 d3 e3 f3 g3 h3 3
4 a4 b4 c4 d4O e4X f4 g4 h4 4
5 a5 b5 c5 d5X e5O f5 g5 h5 5
6 a6 b6 c6 d6 e6 f6 g6 h6 6
7 a7 b7 c7