カイエビ

カイエビ
カリフォルニア・カイエビ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 鰓脚綱 Branchiopoda
亜綱 : 葉脚亜綱 Phyllopoda
: 双殻目 Diplostraca
亜目 : カイエビ亜目 Spinicaudata
タマカイエビ亜目
Laevicaudata
英名
Clam shrimp

カイエビ亜目 Spinicaudata

タマカイエビ亜目 Laevicaudata

カイエビ(貝蝦)は、二枚貝に似た小型の甲殻類である。日本では水田に出現する。

特徴[編集]

カイエビは、節足動物 甲殻亜門 鰓脚綱 双殻目 カイエビ亜目およびタマカイエビ亜目に属する動物である。全身が二枚貝のような甲羅に覆われ、その隙間から脚を出して泳ぎ回る。水田ホウネンエビカブトエビと共に出現するが、この両者に比べると知名度ははるかに低い。

最も普通に見られるのは和名をカイエビ(Caenestheriella gifuensis)という種である。外見的には全くの二枚貝である。ただし、殻は薄く、内部がやや透けて見える。大きさは長さが約1cm、褐色かオリーブ色をしている。外敵に触れた場合などはこの殻を完全に閉じることができるが、ふだんはやや隙間を開ける程度に開き、そこから脚を出して泳ぎ回る。

全身は殻の中にあって、頭部と閉殻筋で殻とつながっているほかは、ほぼ自由に動かせる。頭部には大きい複眼が一対あり、眼には柄はない。口は下面後方の胸の側にある。頭部の側面からは第二触角が伸びる。第二触角は太い腕の先に二本の枝を出し、そこに多数の毛が並んでおり、遊泳に使う。頭部に続く体は節が多く、鰓脚のついた胸部と鰓脚のない短い腹部に分かれる。胸部は30節にも達し、それぞれに一対の鰓状の付属肢がある。腹部は短く、最後は前に曲がった鉤状の突起で終わる。これは鰓脚を掃除するのに使われる。これらの構造は、ミジンコの仕組みとやや似ていて、ミジンコの場合、これをはるかに小さく、体節を少なくしたようなものである。

雌雄はよく似た姿をしていて、外見での区別は難しい。時折一頭の腹部に頭部を付着させた姿で、二頭がつながって泳いでいるのを見かける。卵は殻の中、背中側にかためて保護される。

生息環境[編集]

水田に多く出現する。たいていは、カブトエビ・ホウネンエビと共に出現する。主として一時的な水たまりに出現する。世界的には、約200種が知られている。

分類[編集]

日本では7種ほどが知られる。場合によっては同一の水田に混在している。 最も普通種であるカイエビによく似て、やや小型のものにトゲカイエビがある。正確には頭部を見なければならない。

カイエビは背中のチョウツガイ部が長く、そのため背中側が平坦になっている。これに対して、背中側が丸く弓なりになっているのがヒメカイエビ類で、カイエビよりやや殻が薄い。

タマカイエビは、甲羅がほぼ球形に近いほど丸い形のカイエビで、他のカイエビ類とは異なり、頭部が殻から出ている。タマカイエビ亜目という別の亜目に分類されている[1]

以下に日本産の各属の代表を上げる。

  • 鰓脚綱 Branchiopoda

葉脚亜綱 Phyllopoda

  • 双殻目 Diplostraca
  • カイエビ亜目 Spinicaudata
  • カイエビ科 Cyzicidae
  • カイエビ Caenestheriella gifuensis (Ishikawa, 1895)
  • トゲカイエビ科 Leptestheriidae
  • トゲカイエビ Leptestheria kawachiensis Ueno, 1927
  • ヒメカイエビ科 Limnadiidae
  • ミスジヒメカイエビ Eulimnadia braueriana Ishikawa
  • ヤマトウスヒメカイエビ Limnadia lenticularis (Linnaeus, 1761)[2]

タマカイエビ亜目 Laevicaudata

  • タマカイエビ科 Lynceidae
  • タマカイエビ Lynceus biformis (Ishikawa, 1895)

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ 大塚攻・駒井智幸 「甲殻亜門分類表」 『節足動物の多様性と系統』 石川良輔編、岩槻邦男・馬渡峻輔監修、裳華房、2008年、421-422頁
  2. ^ 吉岡翼、小野村一人「ヤマトウスヒメカイエビの島根県地倉沼からの記録」『CANCER』第26号、日本甲殻類学会、2017年、13-15頁、doi:10.18988/cancer.26.0_13NAID 130006107992 
  • 上野益三,『日本淡水生物学』,(1973),図鑑の北隆館
  • 岡田要,『新日本動物図鑑』,(1976),図鑑の北隆館

外部リンク[編集]