サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ

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サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ
ジョン・レノン&オノ・ヨーコライブ録音を含む スタジオ・アルバム
リリース
録音 スタジオ: 1971年11月1972年3月
ライヴ: 1969年12月15日 & 1971年6月6日
ジャンル ロック
時間
レーベル アップルEMIEMIミュージック・ジャパン
プロデュース ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、フィル・スペクター
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 11位 (イギリスの旗 イギリス)
  • 48位 (アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国)
  • 15位 (日本の旗 日本)
  • ジョン・レノン&オノ・ヨーコ アルバム 年表
    イマジン
    (1971年)
    サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ
    (1972年)
    マインド・ゲームス
    (1973年)
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    サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』(英語: Sometime in New York City)は、1972年に発表されたジョン・レノンオノ・ヨーコによる共作アルバムである[1][注釈 1]

    概要[編集]

    本作は2枚組アルバムで、A面とB面はアルバム・タイトルと同じく『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』と題されたスタジオ録音、C面とD面は『ライブ・ジャム』(英語: Live Jam)と称されたライブ音源集である[注釈 2]

    『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』[編集]

    A面とB面に収録された10曲はニューヨークのレコード・プラント・スタジオで1971年12月から1972年3月にかけて制作された。その内訳は、レノン作が2曲、ヨーコ作が3曲、共作が5曲である。フィル・スペクターが共同プロデューサーを務め、ジム・ケルトナー(ドラムス)とニューヨーク・シティ出身のエレファンツ・メモリーのメンバーが参加した。

    1971年9月、レノンとヨーコはニューヨークに移住し、政治、平和等に関する活動を行った。本作はレノンのアルバムの中でも最も政治的な色合いが濃い作品に仕上がっている。『ジョンの魂』(1970年)や『イマジン』(1971年)でも政治を風刺した楽曲や平和をテーマとした楽曲は制作されていたが、本作ではシングルで先行発表された「女は世界の奴隷か!」をはじめとして、非常に直接的な言葉が使われた楽曲が多い。

    『ライブ・ジャム』[編集]

    C面には1969年12月15日にロンドンのライシーアム劇場で開催された[2] UNICEF主催のチャリティー・コンサート『ピース・フォー・クリスマス』[3] に、プラスティック・オノ・バンドを率いて出演した時の音源が収録された[4]。同年10月24日にプラスティック・オノ・バンドの2作目のシングルとして発表された「コールド・ターキー」と「ドント・ウォリー・キョーコ」の演奏が収録され、レノンの生涯最後のイギリスでのライブ活動の模様が捉えられている。エリック・クラプトンジョージ・ハリスンキース・ムーンビリー・プレストンらが参加している[5][注釈 3]

    D面にはレノンとヨーコが1971年6月6日にニューヨークのフィルモア・イーストで、フランク・ザッパ・アンド・ザ・マザーズ・オブ・インヴェンションのコンサートのアンコールにゲスト出演した[注釈 4]時の音源が収録された[6]。レノンとザッパは各々が単独で音源を編集して別々に発表する事に同意しており、本作にはレノンの編集が収録され、1曲目のジ・オリンピックスの「ウェル」[注釈 5]以外の曲の曲名と作者名も全てレノンが独自に決定した[注釈 6]。2曲目はレノン/オノ作の「ジャムラグ」[注釈 7]となっている[7]が、内容はザ・マザーズ・オブ・インヴェンションによるザッパ作の'King Kong'(1969年)の演奏である。「オー」はザ・マザーズ・オブ・インヴェンションが退場した後の録音で、レノンのギターのフィードバック音とヨーコの叫び声からなる[注釈 8]

    アルバム・ジャケット[編集]

    アルバム・カバーは新聞を模しており、記事は歌詞になっている。アメリカ合衆国第37代大統領のリチャード・ニクソン中華人民共和国中国共産党中央委員会主席毛沢東[注釈 9]が裸踊りをする合成写真、一部店舗では女性のヌード・イラストがステッカーで隠されて販売された。アメリカ盤の内袋には"New Army Pay Rise!"という1970年4月1日号「THE SUN」の記事が複写されている。

    Live Jamの内袋は、ザ・マザーズ・オブ・インヴェンションのFillmore East - June 1971[注釈 10]のカバーにレノン自ら手書きで加筆したものが使われている。

    アルバムには炬火が拳に代えられた自由の女神像のカード、アメリカ盤にはさらに"National Committee for John & Yoko"への郵便書簡が添付された。

    リイシュー[編集]

    2005年には、最新のリミックスとリマスタリングを施し、ボーナストラックとして、1971年11月にシングルで発表した「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」と、カップリング曲であるヨーコの「リッスン・ザ・スノウ・イズ・フォーリング」を追加したバージョンが発売された。

    2010年には最新のリマスタリングを施した紙ジャケット仕様の2枚組CDとして発売された。

    また、発売から50年の節目となる2022年には、最新のリミックス&リマスタリングを施し、デモ音源や未公開音源、別ミックスの音源を収録した『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ:アルティメイト・コレクション』の発売が予定されている[8]

    収録曲[編集]

    ディスク1:Sometime In New York City[編集]

    1. 女は世界の奴隷か!  Woman is the Nigger of the World (John Lennon and Yoko Ono)
    2. シスターズ・オー・シスターズ  Sisters, O Sisters (Ono)
    3. アッティカ・ステート  Attica State (Lennon and Ono)
    4. ボーン・イン・ア・プリズン  Born in the Prison (Ono)
    5. ニューヨーク・シティ  New York City (Lennon)
    6. 血まみれの日曜日  Sunday Bloody Sunday (Lennon and Ono)
    7. ザ・ラック・オブ・ジ・アイリッシュ  The Luck of the Irish (Lennon and Ono)
    8. ジョン・シンクレア  John Sinclair (Lennon)
    9. アンジェラ  Angela (Lennon and Ono)
    10. ウィアー・オール・ウォーター  We're All Water (Ono)

    ディスク2:Live Jam[編集]

    Performed live at the Lyceum Ballroom in London, England on 15 December 1969, for a UNICEF charity [編集]

    1. コールド・ターキー  Cold Turkey (Lennon)
    2. ドント・ウォリー・キョーコ  Don't Worry Kyoko (Ono)

    Recorded live at the Fillmore East in New York City with Frank Zappa and The Mothers of Invention on 6 June 1971[編集]

    1. ウェル(ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー)  Well (Baby Please Don't Go) (Walter Ward)
    2. ジャムラグ  Jamrag (Lennon and Ono)
    3. スカンバッグ  Scumbag (Lennon/Ono/Zappa)
    4. オー  Au (Lennon and Ono)

    2005年のリミックス/リマスター版[編集]

    2005年のリミックス/リマスター版ではライヴ・ジャム後半の3曲がカットされ、シングル・リリースの2曲が追加された。 ※2005年発表のリミックス/リマスター盤の曲目。

    1. 女は世界の奴隷か!  Woman is the Nigger of the World
    2. シスターズ・オー・シスターズ  Sisters, O Sisters (Ono)
    3. アッティカ・ステート  Attica State
      • リマスターのみ
    4. ボーン・イン・ア・プリズン  Born in the Prison (Ono)
    5. ニューヨーク・シティ  New York City
    6. 血まみれの日曜日  Sunday Bloody Sunday
    7. ザ・ラック・オブ・ジ・アイリッシュ  The Luck of the Irish
    8. ジョン・シンクレア  John Sinclair
      • リマスターのみ
    9. アンジェラ  Angela
    10. ウィアー・オール・ウォーター  We're All Water (Ono)
    11. コールド・ターキー  Cold Turkey
    12. ドント・ウォリー・キョーコ  Don't Worry Kyoko (Ono)
    13. ウェル(ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー)  Well (Baby Please Don't Go) (Walter Ward)
    ボーナス・トラック
    1. リッスン・ザ・スノウ・イズ・フォーリング Listen, the Snow is Falling (ono)
    2. ハッピー・クリスマス(戦争は終った) Happy Xmas (War is Over)

    参加ミュージシャン[編集]

    ディスク1:Sometime In New York City[編集]

    • ウェイン 'Tex' ガブリエル
      • Guitar(#1,2,3,4,5,6,7,10)
    • ゲーリー・ヴァン・ショコ
      • Bass(#1-10)
    • リチャード・フランク Jr.
      • Drums(#1-10)
      • Percussion(#1-10)
    • アダム・イッポリート
      • Piano(#1-10)
      • Organ(#1-10)
    • ジョン・ラ・ボス
      • Piano(#4)
    • スタン・ブロンスタイン
      • Saxophone(#1,2,3,4,5,6,9,10)
      • Flute(#7)

    ディスク2:Live Jam[編集]

    Performed live at the Lyceum Ballroom in London, England on 15 December 1969, for a UNICEF charity[編集]

    Recorded live at the Fillmore East in New York City with Frank Zappa and The Mothers of Invention on 6 June 1971[編集]

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ 「ジョン・アンド・ヨーコ/プラスティック・オノ・バンド・ウィズ・エレファンツ・メモリー・プラス・インビジブル・ストリングス」(英語: John & Yoko/Plastic Ono Band with Elephant's Memory plus Invisible Strings)の名義で発表された。
    2. ^ A面とB面の収録曲に比べて、C面とⅮ面の収録曲には政治的な色合いは薄い。
    3. ^ レノンとヨーコは『ピース・フォー・クリスマス』の出演に際し、同年9月13日にカナダのトロントで開催された『ロックン・ロール・リバイバル・コンサート』にプラスティック・オノ・バンドとして出演した時のメンバーだったエリック・クラプトン(ギター)、クラウス・フォアマン(ベース)、アラン・ホワイト(ドラムス)を招聘した。すると当時デラニー&ボニーのイギリス・ツアーに同行していたクラプトンは、デラニー・ブラムレット(ギター)、ボニー・ブラムレット(ボーカル)をはじめ、ジョージ・ハリスン(ギター)、ボビー・ウィットロック(キーボード)、ジム・ゴードン (ドラムス)、ボビー・キーズ(サクソフォーン)、ジム・プライス(トランペット)などのツアー・メンバーを連れて来た。さらにビリー・プレストン(オルガン)、ニッキー・ホプキンス(ピアノ)、キース・ムーン(ドラムス)も参加した
    4. ^ レノンはヴィレッジ・ヴォイスの寄稿者でラジオパーソナリティハワード・スターンに、ニューヨークの事を色々と教えてもらっていた。彼はスターンがザ・マザーズ・オブ・インヴェンションのコンサートの当日の昼にザッパにインタビューする予定になっていることを知って、ザッパに会いたがってヨーコと二人でスターンについて行った。そしてインタビューでの会話で、二人がその晩のコンサートにゲスト出演することになった。
    5. ^ ウォルター・ワード
    6. ^ ザッパによる編集は、'Well' (Ward)、'Say Please' (Lennon, Ono, Zappa)、 'Aaawk' (Lennon, Ono, Zappa)、'Scumbag' (Lennon, Ono, Kaylan, Zappa)、'A Small Eternity with Yoko Ono' (Lennon, Ono)の5曲が、彼が病没する約1年前に発表したアルバム『プレイグラウンド・サイコティクス』(1992年)に収録された。この編集ではレノンの「ジャムラグ」に相当する'King Kong'は省かれ、'Scumbag'の作者にハワード・カイランが加えられ、レノンの編集では低い音量に抑えられていた彼とマーク・ボルマンのボーカルが明瞭になった。
    7. ^ イギリスの俗語でタンポンの意。
    8. ^ 2022年にザッパの遺族により発表されたTHE MOTHERS 1971には、'Well'、'King Kong'、'Say Please'、'Aaawk'、'Scumbag'、'A Small Eternity with Yoko Ono'の6曲が収録された。'Well'はこれまでに発表された音源の約2倍の長さの相当する約9分間の演奏であった
    9. ^ 本作が制作されていた1972年2月、ニクソン大統領は中華人民共和国を訪問して毛沢東中国共産党主席と会談した。本作は、この訪問の4か月後の6月に発表された。
    10. ^ 1971年に発表されたライブ・アルバム。この日のコンサートからレノン夫妻の出演時以外の音源が選ばれて編集された。

    出典[編集]

    1. ^ johnlennon.com”. 2023年4月15日閲覧。
    2. ^ Blaney, John (2005). John Lennon: Listen to This Book (illustrated ed.). [S.l.]: Paper Jukebox. p. 41. ISBN 978-0-9544528-1-0 
    3. ^ Urish, Ben; Bielen, Kenneth G. (2007). The Words and Music of John Lennon. Greenwood Publishing Group. p. 15. ISBN 978-0-275-99180-7 
    4. ^ udiscovermusic.com”. 2023年4月14日閲覧。
    5. ^ Edmondson, Jacqueline (2010). John Lennon: A Biography (illustrated ed.). Santa Barbara, CA: Greenwood. p. 131. ISBN 978-0-313-37938-3 
    6. ^ Miles, Barry (2004). Zappa. New York: Grove Press. pp. 212-214. ISBN 0-8021-4215-X 
    7. ^ Mastropolo, Frank (2016年6月6日). “That Time John Lennon and Frank Zappa Jammed at the Fillmore East”. Ultimate Classic Rock. Diffuser Network. 2017年8月8日閲覧。
    8. ^ John & Yoko / Sometime in New York City”. sometimeinnyc.com. 2022年1月4日閲覧。

    外部リンク[編集]