ズニ族

ズニ族のトゥー・スピリットであるウェーワ英語版
ズニ族の少女、1903年撮影

ズニ族は(ズニぞく、Zuñi)は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州に住むインディアンネイティブ・アメリカン)の部族である。ツニ、ズーニーとも表記される。

「ズニ」は近くのケレスの部族による呼称だが、意味は不明である。

概要[編集]

部族の起源や歴史については詳しいことはわかっていない。生業はトウモロコシやカボチャ、豆の農耕である。母系制社会で、カチナという神々(精霊)を信仰している[1]。カチナは村を訪れ、雨の恵みをもたらすとされており、カチナの訪問を祝う儀式が守られている。

1877年にズニ族の保留地が設けられた。

人類学者のフランク・ハミルトン・クッシングは1879年から1884年まで部族と一緒に暮らし、神話や習俗について報告を残している。

ルース・ベネディクトは著書『文化の型』の中で、穏やかなズニ族の文化を「アポロ型」、競争心が旺盛なクワキウトゥル族の文化を「ディオニソス型」と定義した(「アポロ型」「ディオニソス型」はニーチェ悲劇の誕生』の所論を援用したもの)。

現在のズニ族[編集]

20世紀には保留地の範囲が削減されており、現在割り当てられている土地は本来の3%であるという[2]。1630年の人口は1万だったが、1937年には2000人、1980年代には約2500人[3]

ズニ族の銀細工の工芸品(インディアンジュエリー)が知られている。元は19世紀にナバホ族が作り始め、ズニ族やホピ族も作るようになった。

言語[編集]

文献[編集]

N・Y・デイビス、吉田禎吾、白川琢磨『ズニ族の謎』(ちくま学芸文庫、2004年) - 日本文化とズニ族の文化の類似点を論じ、13世紀に日本人が太平洋を渡ったという仮説を提示している。

脚注[編集]

  1. ^ 『文化人類学事典』(弘文堂、1987年)p401。
  2. ^ デイヴィッド・M.ジョーンズ、ブライアン・L.モリノー『世界の神話百科 アメリカ編』(原書房、2002)p76。
  3. ^ 『文化人類学事典』p401。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • 牧田満知子「環境との共生をめざすアメリカ先住民族文化 ズニ族環境保護プロジェクト(ニューメキシコ州/アメリカ)の現状についての一考察」[1](『環境社会学研究』6号(2000.10)