セイヨウシナノキ

セイヨウシナノキ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: アオイ目 Malvales
: シナノキ科 Tiliaceae
: シナノキ属 Tilia
: セイヨウシナノキ T. ×europaea
学名
Tilia ×europaea
L. 1753
英名
common lime

セイヨウシナノキ(西洋科の木、Tilia × europaea,(syn. T. × vulgaris = T. cordata × T. platyphyllos))は、シナノキ科シナノキ属落葉樹である。

解説[編集]

別名は リンデンバウム (: Lindenbaum)あるいは リンデ (: Linde)。フユボダイジュ Tilia cordataナツボダイジュ Tilia platyphyllos の自然交配種で、ヨーロッパでは古くから植えられ、木材は楽器や木彫材などに利用された。また、樹皮は繊維[1]を採るために利用される。ハーブとしても利用され、フランス語由来のティユール (tilleul)で知られる。花は蜂蜜の蜜源として珍重されている。

「植物学者カール・フォン・リンネの姓の由来はシナノキである」と伝えられるが、和名シナノキ Tilia japonica は日本特産種(同属だが)であるので、このセイヨウシナノキか原種のフユボダイジュ T. cordata であると考えられる。

本種は中世ヨーロッパでは、自由の象徴とされた。ドイツ首都ベルリン大通りであるウンター・デン・リンデンの両側に街路樹として植えられているのがよく知られている。またシューベルトの歌曲『菩提樹』(歌曲集『冬の旅』)で有名である。他にもドイツのフランクフルト日本人国際学校校歌にも登場している。ドイツライプツィヒロシアリペツクなどの地名は、この樹木のスラブ語名称(例えばロシア語: Ли́па)に基づいている。

ナイチンゲールサヨナキドリ)が枝で歌を歌い、広がった梢の葉がやさしい木蔭をつくってくれるぼだい樹は、「ナイーブな美しさによって、ドイツ中世の恋愛詩の中で最もよく知られた歌」(高津春久)とされるヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデの「ぼだい樹の木かげ」をはじめ中世からハインリヒ・ハイネまで優れた数々のドイツ恋愛詩の場面に設定されている[2]

脚注[編集]

  1. ^ リンデンバウム Lindenbaum / Linは繊維を示す語(リネン、ライン(糸)など)
  2. ^ Jacob und Wilhelm Grimm: Deutsches Wörterbuch. Band VI. Leipzig (S. Hirzel) 1885. = Nachdruck Band 12. München (Deutscher Taschenbuch Verlag) 1984 (ISBN 3-423-05945-1). Sp. 1032-1034. - 高津春久編訳『ミンネザング(ドイツ中世叙情詩集)』郁文堂 1978年、185-185頁。

関連項目[編集]