パレオ・インディアン

パレオ・インディアン(Paleo-Indians)とはかつて旧石器時代北米大陸に定住していた原始的な古代先住民族で、現インディアンの祖先である。

名前のパレオの名はギリシャ語で古代を意味する「palaios」から名付けられている。

パレオ・インディアンが使っていたとされるクローヴィス文化尖頭器は、北米各地で発掘されている。石器で作った槍で北米に生息していたマストドンマンモス、古代のカリブーバイソン(Bison latifrons) 、ヘラジカアメリカアカシカナキウサギなどの古代の動物を狩り食料や衣服にしたりしていたとされる。また昆虫や木の実や漿果根菜などを食料にし、洞窟で暮らしていた。

氷期の終わり紀元前5000年頃ベーリング海峡を経たユーラシア大陸東シベリア)と北米(アラスカ)が陸続きになっていたときに移動しながら狩猟をして暮らす遊牧民族のグループが北米に渡ったとされる。そしてアラスカからさらに南に移動して行きロッキー山脈周辺で定住していたが後に幾つかのグループに別れ、バラバラに更に南や東などに移動していった。それが現在のインディアン部族となるアパッチ族アラパホ族クロウ族シャイアン族ショーショーニー族スー族セネカ族ブラックフット族フラットヘッド族ユート族などの各部族である。

アメリカ大陸への移住[編集]

アフリカ単一起源説を基にした初期の人類の移住地図[1]

詳細な時期や経路等を含むアメリカ大陸へのパレオ・インディアンの移住については、現在も研究や議論の対象となっている[2]。伝統的な理論では、初期の移住は第四紀氷期[3]のため海面が大きく下がったため、17,000年前に東部シベリアと現在のアラスカ間のベーリング地峡を渡ったこととされている[4]

これらの人々は、ローレンタイド氷床コルディレラ氷床の間に広がる氷の回廊を伝って現在既に絶滅した更新世の大型哺乳類を追って来たと考えられている[5]。また徒歩またはを使用し太平洋岸を伝って南アメリカ大陸ヘ渡ったという経路も考えられている[6]。後者の証拠が最終氷期に起こった数百メートルの海面上昇により隠れていると考えられる[7]

パレオ・インディアンは考古学者は約40,000年前から約16,000年前にかけてベーリング地峡(西アラスカ)を渡ったと考えている[8][9][10]。時期については大きな幅があり、よって今後の議論や研究が待たれる。特に16,000年前–13,000年前の最終氷期末の多くのアメリカ大陸での移住民は中央アジアに起源を発するものと考える説もある[4][11]。しかし、アメリカ大陸への先住民の入植は1回ではないとする別の説もあり、現在のヨーロッパ大陸を起源とする説もある[12]

脚注[編集]

  1. ^ Burenhult, Göran (2000). Die ersten Menschen. Weltbild Verlag. ISBN 3-8289-0741-5 
  2. ^ Phillip M. White (2006). American Indian chronology: chronologies of the American mosaic. Greenwood Publishing Group. p. 1. ISBN 978-0-313-33820-5. https://books.google.com/books?id=_VnZ8_2kSScC&pg=PA1 2011年11月29日閲覧。 
  3. ^ Paleoamerican”. Smithsonian Institution Anthropology Outreach Office. 2009年1月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年1月15日閲覧。
  4. ^ a b Wells, Spencer; Read, Mark (2002) (Digitised online by Google books). The Journey of Man - A Genetic Odyssey. Random House. pp. 138–140. ISBN 0-8129-7146-9. https://books.google.com/books?id=WAsKm-_zu5sC&lpg=PP1&dq=The%20Journey%20of%20Man&pg=PA138#v=onepage&q&f=true 2009年11月21日閲覧。 
  5. ^ The peopling of the Americas: Genetic ancestry influences health”. Scientific American. 2009年11月17日閲覧。
  6. ^ Fladmark, K. R. (Jan 1979). “Alternate Migration Corridors for Early Man in North America”. American Antiquity 44 (1): 55–69. doi:10.2307/279189. JSTOR 279189. 
  7. ^ 68 Responses to "Sea will rise 'to levels of last Ice Age'"”. Center for Climate Systems Research, Columbia University. 2009年11月17日閲覧。
  8. ^ Introduction”. Government of Canada. Parks Canada (2009年). 2011年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月9日閲覧。 “Canada's oldest known home is a cave in Yukon occupied not 12,000 years ago as at U.S. sites, but at least 20,000 years ago”
  9. ^ Pleistocene Archaeology of the Old Crow Flats”. Vuntut National Park of Canada (2008年). 2008年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月10日閲覧。 “However, despite the lack of this conclusive and widespread evidence, there are suggestions of human occupation in the northern Yukon about 24,000 years ago, and hints of the presence of humans in the Old Crow Basin as far back as about 40,000 years ago.”
  10. ^ Journey of mankind”. Brad Shaw Foundation. 2009年11月17日閲覧。
  11. ^ Bonatto, SL; Salzano, FM (1997). “A single and early migration for the peopling of the Americas supported by mitochondrial DNA sequence data”. PNAS 94 (5): 1866–71. Bibcode1997PNAS...94.1866B. doi:10.1073/pnas.94.5.1866. PMC 20009. PMID 9050871. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC20009/. 
  12. ^ Neves, W. A.; Powell, J. F.; Prous, A.; Ozolins, E. G.; Blum, M. (1999). “Lapa vermelha IV Hominid 1: morphological affinities of the earliest known American”. Genetics and Molecular Biology 22 (4): 461. doi:10.1590/S1415-47571999000400001. 

外部リンク[編集]