ブラチスラヴァ・トロリーバス

ブラチスラヴァ・トロリーバス
シュコダ25Tr イリスバス
シュコダ25Tr イリスバス
基本情報
スロバキアの旗スロバキア
ブラチスラヴァ県の旗ブラチスラヴァ県
所在地 ブラチスラヴァ
種類 トロリーバス[1][2]
路線網 14系統(深夜系統を含む)[3]
開業 1941年(2代目)[2]
運営者 ブラチスラヴァ交通企業会社スロバキア語版[1][4]
路線諸元
電化方式 直流600 V
架空電車線方式[5]
路線図
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ブラチスラヴァ・トロリーバススロバキア語: Trolejbusová doprava v Bratislave)は、スロバキア首都であるブラチスラヴァを走るトロリーバス2021年現在は路面電車ブラチスラヴァ市電)や路線バスと共に、ブラチスラヴァ市が全株を所有するブラチスラヴァ交通企業会社スロバキア語版によって運営されている[1][2]

歴史[編集]

初代[編集]

ブラチスラヴァ市内における電気交通は1895年に開通した路面電車ブラチスラヴァ市電)であったが、その建設過程の中で路面電車より安価で敷設可能な電気交通であるトロリーバスが注目を集めた。この路線はプラスズカ通り(Pražskú ulicu)を経由する全長5.8 kmの路線で、1909年7月19日から営業運転を開始した。車両については6両の旅客用車両(定員24人)と1両の貨物用車両が用意されたが、貨物用車両については営業運転の開始初年に旅客用に改造された[6][7]

だが、営業初年度こそ高い利益を達成したもののそれ以降は利用客が伸びず、運営事業者は大幅な損失を記録し、1912年以降は冬季の運航を休止する事態となった。そして1915年、財政面や頻発する車両故障に加えて第一次世界大戦の勃発などが影響し、このトロリーバス路線は廃止され、運営事業者も解散した[6][7]

2代目[編集]

ブラチスラヴァ市内に再度トロリーバスを建設する計画が立てられたのは1930年代後半であり、1941年から建設が始まった後、同年7月31日から路線バスに代わってM号線で営業運転を開始した。続いて同年10月1日からP号線が、1943年にはH号線がそれぞれ路線バスを置き換える形で開通したが、これらの路線は第二次世界大戦の影響を受け、日曜日の営業運転が停止する事態となり、空襲やドイツ軍による破壊により甚大な被害を受け、終戦後はこれらの復旧が行われた。また、それに先立つ1944年には系統名がアルファベットから数字(M号線→11号線、P号線→12号線、H号線→13号線)に変更されている[6][8][2]

終戦直後は深刻な輸送力不足に直面し、プラハプラハ・トロリーバス)からの譲渡車両で対応する事態にもなったが、1950年代以降はシュコダタトラ製のトロリーバス車両の導入が実施されるようになった。路線に関しても1950年以降再度積極的な延伸が進められた。1960年代後半からはモータリーゼーションの影響で一部区間が路線バスに置き換えられたが、1970年代のオイルショックによる石油価格の上昇を受けて化石燃料の消費を抑えられる電気交通が見直されるようになり、1980年代からチェコスロバキア末期まで再度路線網の拡大が実施された[6][9][10][11]

ビロード離婚後のスロバキア共和国成立後も引き続き新規路線の開通が行われ、1999年時点で13系統を有していたが、同年に系統の再編が実施され、2021年現在は後述の通り11系統が存在する。一方で2012年2013年には一部系統の延伸が実施されている。車両については2003年から導入が実施されたシュコダ21Tr以降ノンステップバスの導入が進められている[12][13][14][2]

系統[編集]

路線図(深夜系統)
トロリーバスが停車するバス停2008年撮影)

ブラチスラヴァ市内のトロリーバスの系統名については1980年以降200番台(213号線、214号線等)の数字が付けられていたが、1990年代以降増設された系統にはそれらの法則に拠らない路線バスとの共通番号が用いられており、2021年11月には200番台の番号が付けられていた系統についても同様の変更が実施されている。同月現在の系統は以下の通りである[11][3][15]

系統番号 起点 終点 備考
33 Riviéra Dlhé diely
40 Hlavná stanica Nové SND
42 Červený most Cintorín Vrakuňa
44 Búdková Koliba
45 Červený most Nár. onkol. ústav
47 Červený most Zimný štadión
49 Mliekarenská Nár. onkol. ústav
Mliekarenská NÚSCH
60 Rádiová Rajská
64 Jelačičova Valašská
71 Hlavná stanica Čiližská
72 Rajská Čiližská
N44 Hodžovo nám. Koliba 深夜系統
N47 Hodžovo nám. Valašská 深夜系統
N72 Hodžovo nám. Čiližská 深夜系統

車両[編集]

2021年現在、ブラチスラヴァ市内のトロリーバスで使用されている営業用車両は以下の通り。これらに加え、過去に使用されていた車両の一部が保存されている[16][17]

形式 両数 備考
シュコダ14Tr 2両
シュコダ15Tr 8両 連節バス
シュコダ25Tr イリスバス 6両 連節バス
ディーゼル発電機を搭載[13]
シュコダ30Tr SOR 50両 15両は充電池を搭載[2]
シュコダ31Tr SOR 70両 連節バス

今後の予定[編集]

ブラチスラヴァ交通企業会社は、需要が高い路線を対象に定員160人という高い輸送力を有する二連節バス2023年以降に導入する事を決定しており、ポーランドソラリスが展開するトロリーノ24(Trollino 24)を16両導入する契約を2021年に締結している。また、トロリーバスの44号線を延伸し従来の路線バス系統の41号線と統合する事も計画しており、架線がない区間でも充電池の電力で走行可能なSORリブハヴィ製のTNS 12チェコ語版2023年以降11両導入する事になっている[18][19][20]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c O podniku”. Dopravný podnik Bratislava. 2021年12月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e f Verejná doprava v hlavnom meste”. Dopravný podnik Bratislava. 2021年12月11日閲覧。
  3. ^ a b Schedules”. imhd.sk. 2021年12月11日閲覧。
  4. ^ 在スロバキア日本国大使館 (2018-2). 政治・経済月報(2018年2月) (PDF) (Report). p. 5. 2021-12-11閲覧 {{cite report}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  5. ^ Obnovená premávka trolejbusov na Záhradníckej a Karadžičovej.”. Dopravný podnik Bratislava (2019年10月21日). 2021年12月11日閲覧。
  6. ^ a b c d Matej Kavacký (2009-7-7). HisPred 100 rokmi začal v Prešporku prevádzku predchodca dnešných trolejbusov (Report). imhd.sk. 2015-9-25時点のオリジナルよりアーカイブ2021-12-11閲覧 {{cite report}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  7. ^ a b d3k0; TeBeCe (2011-11-18). História bratislavskej MHD v rokoch 1909 až 1926 (Report). imhd.sk. 2014-11-4時点のオリジナルよりアーカイブ2021-12-11閲覧 {{cite report}}: |archivedate=の日付が不正です。 (説明)
  8. ^ d3k0; TeBeCe (2011-11-18). História bratislavskej MHD v rokoch 1938 až 1952 (Report). imhd.sk. 2014-12-3時点のオリジナルよりアーカイブ2021-12-11閲覧 {{cite report}}: |archivedate=の日付が不正です。 (説明)
  9. ^ d3k0 (2011年11月18日). “História bratislavskej MHD v rokoch 1953 až 1969”. imhd.sk. 2014年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月11日閲覧。
  10. ^ d3k0; TeBeCe (2011-11-20). História bratislavskej MHD v rokoch 1970 až 1979 (Report). imhd.sk. 2014-9-2時点のオリジナルよりアーカイブ2021-12-11閲覧 {{cite report}}: |archivedate=の日付が不正です。 (説明)
  11. ^ a b d3k0; TeBeCe (2011-11-20). História bratislavskej MHD v rokoch 1980 až 1989 (Report). imhd.sk. 2014-9-2時点のオリジナルよりアーカイブ2021-12-11閲覧 {{cite report}}: |archivedate=の日付が不正です。 (説明)
  12. ^ d3k0 (2011-11-18). História bratislavskej MHD v rokoch 1990 až 1999 (Report). imhd.sk. 2014-9-2時点のオリジナルよりアーカイブ2021-12-11閲覧 {{cite report}}: |archivedate=の日付が不正です。 (説明)
  13. ^ a b d3k0; TeBeCe (2011-11-18). História bratislavskej MHD v rokoch 2000 až 2009 (Report). imhd.sk. 2014-9-2時点のオリジナルよりアーカイブ。2020-2-8閲覧 {{cite report}}: |accessdate=|archivedate=の日付が不正です。 (説明)
  14. ^ TeBeCe (2014-1-5). História bratislavskej MHD od roku 2010 (Report). imhd.sk. 2014-9-2時点のオリジナルよりアーカイブ。2020-2-8閲覧 {{cite report}}: |accessdate=|date=|archivedate=の日付が不正です。 (説明)
  15. ^ Pripravujeme jednotné číslovanie liniek”. Dopravný podnik Bratislava (2021年10月15日). 2021年12月11日閲覧。
  16. ^ Vehicle Statistics Bratislava, Trolleybus”. Urban Electric Transit. 2021年12月11日閲覧。
  17. ^ Bratislava má už 50 nových klbových trolejbusov”. Dopravný podnik Bratislava (2015年3月19日). 2021年12月11日閲覧。
  18. ^ 16 Solaris Trollino 24 vehicles may be delivered to the Slovak capital”. Solaris (2019年11月9日). 2021年12月11日閲覧。
  19. ^ 24-meter Trollino, here we go! 16 vehicles are set to run in Bratislava (Slovakia)”. Sustainable-BUS (2019年11月9日). 2021年12月11日閲覧。
  20. ^ DP Bratislava podepsal smlouvu na dodání 11 trolejbusů SOR TNS 12”. Československý Dopravák (2022年5月31日). 2022年6月23日閲覧。

外部リンク[編集]