ブールドロ

できたてのブールドロ

ブールドロまたはブルドロ (: bourdelot) は、丸のままのリンゴの実をパイ生地で包んで焼いたフランス菓子

16世紀には作られていた記録がある伝統的な菓子である。古くは脱穀作業の季節の晩に、近所から持ち寄った材料で作る習慣があった。ノルマンディー地方が本場とされる[1]

ブールドロというのはノルマンディーでの呼び名であり、語源はフランク語起源のフランス語の古語 "bihurder"(「冗談を言う」)とされる。パリ郊外のペルシュ地方ではブールデーヌ(bourdaine, 一般の意味は「私生児」)、オルレアンではガロパン(galopin, 「小僧」を指す名詞だが関連性は不明)、ピカルディ地域圏アルデンヌ県ではラボート(rabbote, オランダ語の古語で「ウサギ」を指す robbe に由来)の地方名をもつ。ピカルディでは、タリビュール (talibur) とも呼ぶ[2]。なお、オルレアンでの呼び名「ガロパン」は、ピカルディではブリオッシュを材料とした別の菓子を指す[3]

カルヴィル種系のリンゴの一つ fr:Calville blanc d'hiver の実

作り方は、まず、焼きリンゴと同じようにリンゴの芯を抜いて砂糖バター、あるいはグロゼイユ(フサスグリ)のジャムアーモンドパウダーなどを詰める。リンゴはノルマンディー特産のカルヴィル種 (fr:Calville) を使うのが正統[1]。折りパイ生地や練りパイ生地(ブリゼ生地)で包み、卵黄を塗ってオーブンで焼く。ラボート(ウサギ)の地方名で呼ぶアルデンヌ県では、生地で作った耳やレーズンの目で飾り付けて、ウサギの顔に見立てた形に作って焼くこともある[2]

ドゥイヨン[編集]

ノルマンディーでは、リンゴではなく洋梨を使って同様の菓子を作ることもあり、ドゥイヨン (douillon) またはドワヨン (doillion) と呼んでいる(fr:Douillonも参照)。名前の由来は、ラテン語の "ductilis"(「柔軟な」)より派生したフランス語の古語 "doille"(「柔らかい」)である[4]

脚注[編集]

  1. ^ a b 外部リンク「SWEET MAP」 2010-05-14 閲覧。
  2. ^ a b 日仏料理協会(編)より「ブールドロ」の項目。
  3. ^ 日仏料理協会(編)より「ガロパン」の項目。
  4. ^ 日仏料理協会(編)より、「ドゥイヨン」の項目。

参考資料[編集]

  • 日仏料理協会(編) 『フランス食の事典』(白水社、2000年)

関連資料[編集]

  • 藤野真紀子 『フランスの素朴なお菓子』(オレンジページ、1999年)
  • 『別冊 暮しの手帖 すてきなあなたに 秋冬』(暮しの手帖社、2005年)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]