ヤマザキショップ

大阪府内の店舗
YSPS女子美術大学店(相模原市北緯35度31分39.5秒 東経139度23分25.4秒

ヤマザキショップYショップとも呼ばれる、旧ヤマザキサンロイヤル)は、山崎製パンとの契約による日本小売店業態の店舗の名称である。同社の市場開発営業部が所管する。

本項では、ヤマザキショップの機能強化業態である「ヤマザキスペシャルパートナーショップ(YSPS)」についても説明する。

概要[編集]

ヤマザキショップ[編集]

しばしばフランチャイズ方式のコンビニエンスストアと同様のものとして見られるが、主に個人経営の商店や雑貨店、医療機関や教育機関などの購買部が転換するための業態であり、山崎製パンという共通仕入れ先を持ついわゆるボランタリーチェーン方式の小売店[注 1]である。

山崎製パン本社ではコンビニ機能店として位置付けているが、山崎製パンの大規模コンビニ店舗を担っていた「(株)デイリーヤマザキ」は、2013年7月1日に山崎製パン本社と合併してデイリーヤマザキ事業統括本部の管轄となって以降、事実上デイリーヤマザキの小型サテライト店舗ブランドとなり、一般的なコンビニエンスストアと異なり店舗の契約形態は比較的鷹揚である。

建物や商品陳列方式もコンビニエンスストア形態の店舗が多いが、オーナーによって店舗の独自性が強い店があり、店舗の形態や品揃えは多様でもある。営業時間は、毎日14時間以上とする条件がある[注 2]が24時間営業はオーナーに委ねており、立地条件や経営形態によっても異なる[注 3]。午前5時から7時頃に開店して20時から24時頃に閉店する店舗が多く、月2回まで定休日を設ける事が可能で毎週定休日を設けている店舗もある。家族経営を基本としており、都合に応じて臨時休業も可能である。

多くのコンビニエンスストアチェーンはオーナーに専業を求めるが、ヤマザキショップは制限が無くオーナーの兼業も可能である。別業種の建物の一部を区分してヤマザキショップを営む者や、学校病院の購買部門などがそのままヤマザキショップに転換した事例も見られる。

2006年には3975店存在したが、オーナーの後継者不足や不採算店舗等で、2018年に2852店と次第に減少している[1]

品揃えは、山崎製パンのパン製品、サンデリカなど系列デリカ工場が製造する弁当やサンドイッチなどの「ヤマザキクールデリカ」食品ヤマザキビスケット不二家東ハトの菓子など、全店舗で共通する。その他、雑誌新聞タバコ類なども扱うコンビニエンスストア相当の店舗のほかに、宅配便やクリーニングなどのサービスを取り次ぎ、食堂を併設し、独自に仕入れた生鮮食品などを販売する店舗も少なくない。手作りサンドイッチやファーストフードを提供する「COOK33」、焼きたてパンを提供する「CEBS」のシステムに別途契約し、ヤマザキショップ業態でなくこれらを単独で運営する店舗も存在する。

山崎製パン系列のコンビニエンスストア業態である「デイリーヤマザキ」・「ニューヤマザキデイリーストア」の取扱全商品も同ネットワークを利用し仕入れることが可能である。ヤマザキショップオリジナル商品として500ミリリットルペットボトル入りの茶やジュース類は100円程度の安価で販売され、ヤマザキのドリンク自動販売機を設置している店舗もある。

ヤマザキショップは店頭のレジスターと本部のホストコンピュータは連携しておらず、POSや在庫管理のシステムは各店が独自に構築していることから、公共料金の収納代行が可能な店舗は一部に限られ、電子マネー楽天Edyも一部の店舗のみで利用可能である。商品の発注は専用のEOS端末を使用する。

店舗運営に関して本部である山崎製パンは基本的に介入しない分、デイリーヤマザキなどのコンビニエンスストア業態と比較して、オーナーの権限と責任はより大きくなる。

他のコンビニエンスストアチェーンよりもロイヤリティーや機器リース料が低いこともあり、住宅地や農村部など人通りや人口の少ない地帯にも数多く存在する。また、医療機関教育機関の施設内に設置されている雑貨売店にもヤマザキショップとして運営されている所が多い[注 4]

上記の通りコンビニエンスストアよりも緩やかな契約である事から、コンビニエンスストアチェーンのフランチャイズ店舗などからの転換も多い。特に同じ系列のデイリーヤマザキに移行が進んでいない「ヤマザキデイリーストアー」の店舗で、店舗面積が比較的小さい或いは郊外部にある店舗からの転換例もある。また、地域にもよるが、一部にはコンビニ本部が24時間営業しか事実上認めていないチェーンもある。そのため、深夜帯の極端な不採算や周辺の道路事情の変化などの経営問題に直面した場合、24時間営業を辞め経営規模を縮小しての存続の可能性を模索してヤマザキショップへと転換する事も見られる。

他社コンビニおよびデイリーヤマザキともっとも大きく異なる点としては、仕入れにおいて本部的役割を果たす山崎製パンが各店のお客様サポートをほとんど受け付けていない点があげられる。デイリーヤマザキや他社コンビニにおいては店舗における苦情・問い合わせも本部にて電話・メール等での受付をしているが、ヤマザキショップはオーナーと契約しているだけの別会社店舗と位置づけているため、ヤマザキショップおよび山崎製パンの本部には加盟受付に関する電話受付窓口案内があるだけで、ヤマザキショップ店舗に関する苦情・問い合わせの総合窓口は無い。また、通常ならコンビニのホームページに必ずある各店情報の案内さえもないため、全国規模のコンビニチェーンでありながら、消費者には他社コンビニやデイリーヤマザキよりも知名度と評価が低く見られることがある。

2020年7月現在、デイリーヤマザキ・ニューヤマザキデイリーストア・ヤマザキデイリーストアーは北海道福井県鳥取県高知県鹿児島県沖縄県の以上6道県には店舗が置かれていないが、これらの地域でも沖縄県を除き「ヤマザキショップ」としての店舗展開は行われている。

かつてココストアエブリワンがほとんどファミリーマートへ転換される中、僅かに残った転換しない店舗の運営元がミツウロコグループへ譲渡されRICストア,タックメイト,ミツウロコグローサリー(MG)等となり、またポプラとの提携により一部店舗がポプラRIC,ポプラMGとなっていた。2021年3月には、ポプラの事業縮小により、ミツウロコプロビジョンズはポプラRIC,ポプラMG,ミツウロコグローサリー(MG)等のブランドをヤマザキショップとの提携に伴い「ヤマザキYショップMG」とした。

過去には愛媛県松山市にある伊予鉄道の交通ICカードであるICい〜カードが使用できる店舗は、「い〜ショップ」という名で運営されていた(市駅店・古町店の2箇所、いずれも現在ではセブン-イレブンに転換されている)。

ヤマザキスペシャルパートナーショップ(YSPS)[編集]

ヤマザキスペシャルパートナーショップ(YSPS)」は、POSレジ、ストアコントローラ、携帯端末SSTを備えた店舗と本部・取引先を結ぶ高速通信ネットワークで、単品情報を管理し、発注・検品・販売・在庫管理を一貫して行うトータル店舗システムを導入した機能強化店舗である。原則16時間営業で、トータル店舗システムの導入により、在庫発注管理、収納代行、電子マネーの提供や、店内厨房で調理し焼きたてパン・サンドイッチの提供、マルチコピー機サービス、宅配便等の取り扱いもできる。ATMなどのコンビニエンスストア機能を付加する場合は、デイリーヤマザキなどへ移行することを勧めている。最盛期は関東から九州まで約60店舗存在したが、現在は殆どの店が閉店ないしニューヤマザキデイリーストアに転換しており、数店舗しか存在しない[2]。YSPSのロゴマークは山崎製パンに勤める女子美術大学のOGがデザインした。

特徴のある店舗[編集]

高野山内の店舗
Yショップニシ
Yショップニシ[3]長野県大町市
コンビニ商品のほかに長野県名物のおやき・立ち食いそば等を販売。店内にギャラリースペースを設けイベントを多数開催する他、アルバイトの希望で店内での結婚式まで行った。
Yショップ上総屋(東京都中央区
元々は3代続く酒屋だったなかレコードの販売を開始。現在店の売り上げの3割を占めるまでとなり、通称「レコードコンビニ」と呼ばれている。岸野雄一小西康陽TOMC常盤響など様々なミュージシャン〜文化人のDJ出演・来店等で知られる[4]
Yショップ未来コンビニ店(徳島県那賀郡那賀町
YUZU CAFE株式会社が運営。2021年レッド・ドット・デザイン賞のベスト・オブ・ザ・ベストを受賞している[5]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 山崎製パン株式会社Yショップ事業部として日本ボランタリー・チェーン協会に加盟している。
  2. ^ 医療機関や教育機関などの構内にある店舗は、その施設に応じてそれ以上に短い営業時間の場合もある。
  3. ^ 広島県の山陽自動車道小谷サービスエリア(下り線)のYショップのように24時間営業している店舗も存在している。
  4. ^ 例としては、広島県東広島市にある東広島医療センター(元国立療養所広島病院)の中の売店や、東京情報大学のキャンパス構内にあるコンビニが挙げられる。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]