ロバート・F・ヤング

ロバート・F・ヤング(Robert Franklin Young、1915年6月8日 - 1986年6月22日)は、アメリカ合衆国小説家SF作家。叙情的で優しい、気恥ずかしいほどストレートに愛を語るロマンティックな作風が特徴。作風はジャック・フィニイ[1]レイ・ブラッドベリシオドア・スタージョンと類比されることもある。

1953年に「スタートリング・ストーリーズ」誌からデビュー。以降、各誌に多くの短編を寄稿した。『リトル・ドッグ・ゴーン』(Little Dog Gone)は1965年のヒューゴー賞 短編小説部門にノミネートされた。生涯に発表した長編は"Starfinder"(1980年)、"The Last Yggdrasill"(1982年)、"Eridahn"(1983年 邦訳『時が新しかったころ』)、"The Vizier's Second Daughter"(1985年 邦訳『宰相の二番目の娘』)の4作、および短編 "The Quest of the Holy Grille"(日本語訳未刊)の加筆版で、フランスでのみ刊行された "La Quete de la Sainte Grille"(1975年)の計5冊のみである。

代表作は短編の『たんぽぽ娘』、『ジョナサンと宇宙クジラ』 (Jonathan and the Space Whale) 、『いかなる海の洞に』[2] (In what Cavern of the Deep) など。

第二次世界大戦で3年半の間、陸軍に従軍した。戦後は進駐軍MPとして名古屋にいたことがある。[3]

ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延)3巻で短編「たんぽぽ娘」を収録し表題作とした集英社コバルト文庫の短編集『たんぽぽ娘 海外ロマンチックSF傑作選2』(1980年刊、風見潤編)が採り上げられ、これを原作とする剛力彩芽主演のテレビドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』が2013年に放映されたことで、該当の古書価格が急騰した。またこのドラマ化を機に、「たんぽぽ娘」を含む短編集が刊行されることになった[4]

日本語訳された著作[編集]

長編[編集]

短編集(日本で独自編集)[編集]

  • 『ジョナサンと宇宙クジラ』早川書房 ハヤカワ文庫SF、1977年6月(新装版 2006年10月 ISBN 978-4-15-011584-5伊藤典夫編訳
    • 収録作品:「九月は三十日あった」「魔法の窓」「ジョナサンと宇宙クジラ」「サンタ条項」「ピネロピへの贈りもの」「雪つぶて」「リトル・ドッグ・ゴーン」「空飛ぶフライパン」「ジャングル・ドクター」「いかなる海の洞に」
  • 『ピーナツバター作戦』青心社、1983年11月(新装版 2006年12月)、桐山芳男編集
    • 収録作品:「星に願いを」「ピーナツバター作戦」「種の起源」「神の御子」「われらが栄光の星」
  • 『たんぽぽ娘』河出書房新社、2013年5月(河出文庫 2015年1月)、伊藤典夫編訳
    • 収録作品:「特別急行がおくれた日」「河を下る旅」「エミリーと不滅の詩人たち」「神風」「たんぽぽ娘」「荒寥の地より」「主従問題」「第一次火星ミッション」「失われし時のかたみ」「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」「スターファインダー」「ジャンヌの弓」
  • 『たんぽぽ娘』(短編「たんぽぽ娘」のみ収録)復刊ドットコム、2013年5月
  • 『時をとめた少女』早川書房 ハヤカワ文庫SF、2017年2月、小尾芙佐他訳、ISBN 978-4-15-012115-0
    • 収録作品:「わが愛はひとつ」「妖精の棲む樹」「時をとめた少女」「花崗岩の女神」「真鍮の都」「赤い小さな学校」「約束の惑星」

出典・脚注[編集]

  1. ^ 伊藤典夫ほか『世界のSF文学総解説』自由国民社、1984年
  2. ^ 『ジョナサンと宇宙クジラ』に収録
  3. ^ 「奇想コレクション たんぽぽ娘」河出書房新社、2013、368-372ページ
  4. ^ 大森望 (2015年6月18日). “<9>時間SFロマンス【たんぽぽ娘】”. 西日本新聞. https://www.nishinippon.co.jp/item/n/176387/ 2022年1月25日閲覧。 

外部リンク[編集]