万城目学

万城目 学
(まきめ まなぶ)
ペンネーム 万城目 学(まきめ まなぶ)
誕生 (1976-02-27) 1976年2月27日(48歳)
日本の旗 日本大阪府
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 京都大学法学部卒業
活動期間 2006年 -
ジャンル ファンタジー小説
エッセイ
代表作鴨川ホルモー
鹿男あをによし
主な受賞歴 第4回ボイルドエッグズ新人賞(2006年
第170回直木三十五賞2024年
デビュー作鴨川ホルモー』(2006年
テンプレートを表示

万城目 学(まきめ まなぶ、1976年昭和51年〉2月27日[1] - )は、日本小説家大阪府出身。京都大学法学部卒業。本名同じ。

鴨川ホルモー』『プリンセス・トヨトミ』などの、実在の事物や日常の中に奇想天外な非日常性を持ち込むファンタジー小説で知られ、作風は「万城目ワールド」と呼ばれる[2][3]直木三十五賞に6回ノミネートされ、6回目の候補作『八月の御所グラウンド』で受賞[4]

経歴・人物[編集]

高校卒業後、1浪ののち京都大学法学部に入学。お笑い芸人ロザン宇治原史規は大学の同級生に当たる[5]。元々京大よりも難易度が低い大学を目指していたが、自分よりも成績が悪い友人が京大志望だったことから、つられて目指すようになった。高校1年生のときに古文の教師から受けた「かしこすぎると先のことが見えて、あきらめてしまう。アホになりなさい」という言葉によって生まれた「アホになる力」が受験への原動力となった。のちに小説家を目指すと決断したのも、この力によるものであると話している[6]

大学ではアカペラサークルに所属するも、どこか満たされない気持ちから、3年生になってからは顔を出さなくなった。将来への不安を抱えながら賀茂川の河川敷でぼんやりと過ごすなかで、小説の執筆を思い立った[7]

卒業後は化学繊維会社へ就職[8]静岡の工場に配属され経理マンをしながら小説を書いていたが、26歳の時東京本社への転勤を言い渡され、残業続きで書く時間がなくなることを危惧し、辞令が出る前に退社し東京へ移る。このころの出来事を後の『バベル九朔』に活かす。2年で芽が出なければ社会復帰すると決め、投稿生活を送るも成果が出ず、資格の学校に通い再就職の準備をし始めた矢先、第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞し2006年平成18年)『鴨川ホルモー』でデビュー。同書は『本の雑誌』で2006年エンターテインメント1位になり、2007年(平成19年)の本屋大賞にもノミネートされた[8]。続く第2作『鹿男あをによし』は第137回直木三十五賞候補となる。2009年(平成21年)、『プリンセス・トヨトミ』で第141回直木賞候補。2009年度咲くやこの花賞受賞。2010年(平成22年)、『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』で第143回直木賞候補。2013年(平成25年)、『とっぴんぱらりの風太郎』で第150回直木賞候補。2014年(平成26年)、『悟浄出立』で第5回山田風太郎賞候補、第152回直木賞候補。2016年(平成28年)、『バベル九朔』で第7回山田風太郎賞候補。2018年(平成30年)、『パーマネント神喜劇』で第31回山本周五郎賞候補。2021年(令和3年)、『ヒトコブラクダ層ぜっと』で第12回山田風太郎賞候補。

2010年(平成22年)には、フジテレビ系列で放送されている『世にも奇妙な物語』の「20周年スペシャル・秋 〜人気作家競演編〜」で「はじめの一歩」を書き下ろした。万城目は放送開始当初からのファンで、1991年(平成3年)に放映された「大蒜」(主演:榊原郁恵)が印象に残っているとインタビューで語っている[9]

2022年(令和4年)、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)営業部からの執筆依頼を受け、沿線を舞台とした連作短編小説「みをつくし戦隊メトレンジャー」を書き下ろした。5路線の5駅で各5000部限定で無料配布が行われた[10]

2023年(令和5年)、『ホルモー六景』以来16年ぶりとなる京都を舞台とした小説『八月の御所グラウンド』を上梓した[11]。本作は、万城目にとって6度目となる直木賞の候補作となった[12]。2024年(令和6年)1月17日に第170回芥川賞・直木賞の選考会が行われ、河﨑秋子の『ともぐい』とともに直木賞の受賞が決まった[4]

評価[編集]

京都大学卒業の大森望は、同じく京大卒の森見登美彦と合わせて、その面白さの背景にマジックリアリズムがあると話す。京大生にとってはリアルな出来事が、東京から見るとフィルターがかかり、非現実的でファンタジーに見えると分析している[13]

書評家大矢博子は「奇想天外、荒唐無稽が持ち味」と評している。その中でも最も奇想天外な作品として『ヒトコブラクダ層ぜっと』を挙げている[14]

書評家の杉江松恋は、万城目の特徴を「虚構を語る小説ならではのうそを、現実と接続する手法に優れていること」としたうえで、現代を代表する幻想小説作家の1人であると高く評価している[12]

作品[編集]

単行本[編集]

小説[編集]

エッセイ(単著のみ)[編集]

  • 『ザ・万歩計』(2008年3月 産業編集センター / 2010年7月 文春文庫)
  • 『ザ・万遊記』(2010年4月 集英社 / 2012年5月 集英社文庫)
  • 『ザ・万字固め』(2013年2月 ミシマ社 / 2016年2月 文春文庫)
  • 『べらぼうくん』(2019年10月 文藝春秋 / 2022年9月 文春文庫)
  • 『万感のおもい』(2022年4月 夏葉社)

共著[編集]

  • 『ぼくらの近代建築デラックス!』(2012年11月 文藝春秋 / 2015年5月 文春文庫) - 門井慶喜との共著

アンソロジー参加(単行本未収録)[編集]

※ 「」内が万城目学の作品

  • 児玉清の「あの作家に会いたい」 児玉清著(2009年7月 PHP研究所)- 著者と対談
  • 言葉ふる森 (2010年1月 山と渓谷社)「馬上少年過」
  • スタートライン ― 始まりをめぐる19の物語 (2010年4月 幻冬舎文庫)「魔コごろし」
  • 冬の本(2012年12月 夏葉社)「どんぐり」
  • 僕が愛したMEME(ミーム)たち 小島秀夫著(2013年2月 メディアファクトリー)- 著者と対談
  • 短篇ベストコレクション 現代の小説2014(2014年6月 徳間文庫)「インタヴュー」
  • 時の罠(2014年7月 文春文庫)「トシ&シュン」(その後『パーマネント神喜劇』に収録)
  • みんなの少年探偵団(2014年11月 ポプラ社 / 2016年12月 ポプラ文庫)「永遠」
  • 超短編! 大どんでん返し Special(2023年12月 小学館文庫)「おとうちゃん」

その他の未書籍化作品[編集]

  • 城崎裁判(2014年9月 NPO法人 本と温泉) - タオル地の表紙と撥水ペーパーで作られている/兵庫県 城崎温泉でのみ限定発売
  • みをつくし戦隊メトレンジャー 完全版(2023年9月 万筆舎) - 大阪メトロのイベントで配布した5編に書き下ろしの2編を加えて書籍化/文学フリマ大阪・東京での限定販売

単行本未収録作品[編集]

  • 「スーパー千代子」(『すばる』2014年1月号)
  • 「メダリストの肖像」(読売新聞関西版 2014年3月25日朝刊)
  • 「万城目学の熊野詣」(『本の旅人』2016年10月号 - 11月号) - エッセイ
  • 「四泊七日」(『小説幻冬』2016年11月号 - 2017年1月号)
  • 「六月のぶりぶりぎっちょう」(『オール讀物』2022年12月号) - 「新・古都」シリーズ第2作
  • 「カウンセリング・ウィズ・ヴァンパイア」(『小説新潮』2023年8月号) - 『あの子とQ』スピンオフ
  • 「あの子と休日」(『オール讀物』2024年1月号 - 2月号) - 『あの子とQ』スピンオフ

メディア・ミックス[編集]

テレビドラマ[編集]

映画[編集]

舞台[編集]

ラジオドラマ[編集]

コミックス[編集]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 万城目学 プロフィール”. NumberPREMIER. 文藝春秋. 2024年1月14日閲覧。
  2. ^ 高津祐典「万城目ワールド「半歩」前へ 『偉大なる、しゅららぼん』」『朝日新聞』、2011年5月10日。2013年4月22日閲覧。オリジナルの2018年9月17日時点におけるアーカイブ。
  3. ^ 島村幸恵 (2013年3月29日). “万城目学最新作、岡田将生&濱田岳で映画化決定!”. シネマトゥデイ. 2013年4月22日閲覧。
  4. ^ a b 芥川賞に九段理江さん 直木賞に河崎秋子さんと万城目学さん」『NHK』、2024年1月17日。2024年1月17日閲覧。
  5. ^ 高学歴就任ロザン、歴史的学校で1日校長」『日テレNEWS NNN』、2013年1月31日。2023年1月10日閲覧。
  6. ^ 万城目学(インタビュアー:小林恵士)「アホになって京大志望、「bと6」で浪人 万城目学さん」『朝日新聞デジタル』、朝日新聞社、2015年1月15日https://www.asahi.com/articles/ASGD86FXJGD8UEHF01G.html 
  7. ^ 村瀬信也「(京ものがたり)万城目学と賀茂川の河川敷 自問自答重ねた、いとしき青春」『朝日新聞』、2016年3月22日、夕刊、4面。
  8. ^ a b 万城目学(インタビュアー:波多野絵理)「著者インタビュー 万城目学さん『ホルモー六景』」『楽天ブックスhttps://books.rakuten.co.jp/event/book/interview/makime_m/ 
  9. ^ 片山一弘「「世にも奇妙な物語」20周年 人気5作家の5話 フジ系で来月4日」『読売新聞』、2010年9月28日、夕刊、11面。
  10. ^ 「戦隊メトレンジャー」 大阪メトロの駅で無料配布」『産経新聞』、2022年3月18日。2024年1月14日閲覧。
  11. ^ 荒井理恵 (2023年8月10日). “万城目学の最新刊『八月の御所グラウンド』は16年ぶりに“京都”が舞台。青春のまぶしさと切なさを描く小説2篇を収録”. ダ・ヴィンチWeb. KADOKAWA. 2024年1月14日閲覧。
  12. ^ a b 杉江松恋 (2024年1月12日). “書評家・杉江松恋が読む第170回直木賞候補作 混戦のなか、加藤シゲアキの新境地と「ともぐい」の技巧が光る(「日出る処のニューヒット」特別編)”. 好書好日. 朝日新聞社. 2024年1月14日閲覧。
  13. ^ 中村真理子「(トレンド)新たな京大作家群出現? リアルが非現実的に」『朝日新聞』、2007年3月2日、夕刊、8面。
  14. ^ 大矢博子「(書評)『ヒトコブラクダ層ぜっと』(上・下) 万城目学〈著〉」『朝日新聞』、2021年9月4日、朝刊、22面。
  15. ^ “Sexy Zone菊池風磨、主演で「バベル九朔」ドラマ化 全編ビルの中で「デジャヴ感もある」”. モデルプレス (ネットネイティブ). (2020年9月4日). https://mdpr.jp/news/detail/2209415 2020年10月20日閲覧。 

外部リンク[編集]