三俣蓮華岳

三俣蓮華岳
水晶岳から望む三俣蓮華岳
標高 2,841.37[1] m
所在地 日本の旗 日本
富山県富山市
長野県大町市
岐阜県高山市
位置 北緯36度23分24秒 東経137度35分16秒 / 北緯36.39000度 東経137.58778度 / 36.39000; 137.58778座標: 北緯36度23分24秒 東経137度35分16秒 / 北緯36.39000度 東経137.58778度 / 36.39000; 137.58778[2]
山系 飛騨山脈立山連峰後立山連峰穂高連峰
三俣蓮華岳の位置(日本内)
三俣蓮華岳
三俣蓮華岳の位置
プロジェクト 山
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三俣蓮華岳(みつまたれんげだけ)は、飛騨山脈にある標高2,841m長野県岐阜県富山県の三県境に位置する[3]。古くは立山七十二峰の1つに数えられてきた。山域は中部山岳国立公園に指定されている[注釈 1]日本三百名山に選定されている[4]

概要[編集]

三俣蓮華岳はほぼ飛騨山脈の中央部に位置する。比較的なだらかな山容で東側に圏谷地形(カール)があり、高山植物が咲き乱れるお花畑の豊富な山として知られる。とりわけ双六岳との間の巻き道は花が豊富である。中生代花崗閃緑岩から成る山である[5]ハイマツ帯は豊富な地下水を蓄えており三俣山荘は湧水でも知られる[3]

南側の三俣蓮華岳山頂(三俣山荘)と巻き道(助六小屋巻道)との分岐点に三俣峠がある[3]

山名の歴史[編集]

現在の三俣蓮華岳は明治の登山黎明期までは鷲羽岳であり[6]、現在の鷲羽岳 (2,924m) は東鷲羽岳あるいは龍池ヶ岳と呼ばれていた。戦国時代末期以後の加賀藩政時代より飛騨山脈の大半は加賀藩の奥山廻りによって調査され、山名や地形が詳細な絵図に記録されていた。特にこの現在の三俣蓮華岳付近は加賀藩政時代は三国境としての重要地点で詳細に調査されていた。

ところが1910年(明治43年)に日本山岳会小島烏水高頭仁兵衛上高地上條嘉門次を案内人として信州方面から登山したとき、彼らにとってこの山域は処女地であった。このとき三俣蓮華岳について越中側での呼び名を知らなかった案内人の嘉門次に「飛騨猟師が、この山で熊を射止めた。そうして熊の膽(キモ)のつもりで俗称蓮華膽(肝臓)を腹から引き出して喰ったので、信州の猟師達が嘲笑って蓮華喰みの岳と言ったのを略して蓮華と呼んでいる」と説明された。

当時の参謀本部陸地測量部の5万分の1地形図では、従来の越中側の山名を踏襲して鷲羽岳と記されていた。そこで日本山岳会の面々は、陸地測量部に調査不十分であると地形図の訂正を強く求めた。その結果1930年昭和5年)の修正版で改訂されて現在に至っている。

登山[編集]

槍ヶ岳から望む三俣蓮華岳周辺の山

登山ルート[編集]

折立の登山口から槍ヶ岳への西銀座ダイヤモンドコースルート上にある。

周辺の小屋[編集]

周辺には以下の山小屋があり、キャンプ指定地がある[9]

登山道の高山植物[編集]

東斜面のカール高山植物の大群落

山頂付近は森林限界のハイマツ帯で、登山道周辺では以下の高山植物が見られる[11]

地理[編集]

周辺の山[編集]

黒部川源流部と三俣蓮華岳(中央下)
画像右下 奥飛騨エリアに近接する三俣蓮華岳。黒部川源頭部をなす。

穂高連峰から続く主稜線は、ここが起点となり後立山連峰立山連峰に分かれる。

山容 名称 標高
m
三角点
等級
三俣蓮華岳
との距離
km
備考
黒部五郎岳 2,839.67 三等[1] 4.3 中ノ俣岳
日本百名山
鷲羽岳 2,924.35 三等 2.1 日本百名山
三俣蓮華岳 2,841.37 三等 0 三県境(富山・岐阜・長野)
日本三百名山
双六岳 2,860.42 二等 2.0
槍ヶ岳 3,180 7.6 日本百名山

源流の河川[編集]

以下の源流となる河川日本海へ流れる[9]

関連画像[編集]

三俣蓮華岳からの眺望[編集]

三俣蓮華岳の風景[編集]

樅沢岳より レンズ雲 鷲羽岳より 祖父岳より 水晶岳黒部源流の展望

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 1934年(昭和9年)12月4日に指定。その特別保護地区になっている。中部山岳国立公園区域の概要 環境省、2011年1月3日閲覧。

出典[編集]

  1. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2016年11月6日閲覧。
  2. ^ 日本の主な山岳標高(岐阜県の山) 国土地理院、2011年1月3日閲覧。
  3. ^ a b c 黒部五郎小屋方面 三俣山荘-三俣蓮華岳-黒部五郎小屋”. 三俣山荘 大町事務室. 2023年8月20日閲覧。
  4. ^ 『日本三百名山』毎日新聞社、1997年、ISBN 4-620-60524-7、p240
  5. ^ 『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1992年、ISBN 4-385-15403-1、p501
  6. ^ 『日本百名山』 深田久弥(著)、朝日新聞社、1982年、ISBN 4-02-260871-4、pp202-204
  7. ^ 『上高地・槍・穂高 (ヤマケイアルペンガイド)』 山と渓谷社、2000年、ISBN 4-635-01319-7、p237
  8. ^ 『新日本山岳誌』 日本山岳会(編)、ナカニシヤ出版、2005年、ISBN 4-779-50000-1、p925
  9. ^ a b 『剱・立山 (山と高原地図 36)』 昭文社、2010年、ISBN 978-4-398-75716-6
  10. ^ 『北アルプス山小屋物語』東京新聞出版局、1995年、ISBN 4-8083-0374-4、pp212-218
  11. ^ 『花の山旅⑥ 槍ヶ岳・雲ノ平』 山と渓谷社、2000年、ISBN 4-635-01406-1、pp86-88

関連項目[編集]