全上古三代秦漢三国六朝文

全上古三代秦漢三国六朝文』(ぜんじょうこさんだいしんかんさんごくりくちょうぶん)は、厳可均(げんかきん、1762-1843)が編纂した文集。当時入手可能なより前のすべての文を集めたもので、全15集741巻から構成される[1]

概要[編集]

嘉慶13年(1808年)に、清の朝廷は多数の学者を招いて『全唐文』の編纂事業を開始したが、厳可均は同事業に招かれなかったことに不満を抱き、『全唐文』の収録範囲より前の文集を個人で編纂した[2]。体例は『全唐文』にならい、原則として詩は採録しない。また現存する経・史・子部の本文は除く[3]。『全唐文』と異なり、いちいち出典を記している。

厳可均に先行する同様の著書としてはの梅鼎祚『歴代文紀』、張溥『漢魏六朝百三家集』があり、『全上古三代秦漢三国六朝文』にはこの2書の目録を載せている。

厳可均の生前に出版されることはなかったが、両広総督張之洞は文化事業として広州に広雅書局を設立し、王毓藻に校訂を命じた。光緒18年(1893年)に広雅書局から出版された[4]

中華民国期には丁福保が広雅書局本を影印出版した。丁福保はまた『全漢三国晋南北朝詩』を編纂している。

構成[編集]

『全上古三代秦漢三国六朝文』は時代によって15集に分かれる。大部分の著者には略伝が付されている。

  • 全上古三代文(16巻、206人):先秦の文を集めたもの。
  • 全秦文(1巻、16人)
  • 全漢文(63巻、334人)
  • 全後漢文(106巻、470人)
  • 全三国文(75巻、294人)
  • 全晋文(167巻、830人)
  • 全宋文(64巻、278人)
  • 全斉文(26巻、131人)
  • 全梁文(74巻、204人)
  • 全陳文(18巻、63人)
  • 全後魏文(60巻、302人)
  • 全北斉文(10巻、84人)
  • 全後周文(24巻、61人)
  • 全隋文(36巻、168人)
  • 先唐文(1巻、54人):唐以前ではあるが時代不詳の文。

その他[編集]

銭鍾書『管錐編』(1979年出版、全4冊)のうち後半の第3・4冊は『全上古三代秦漢三国六朝文』の考証になっている。

脚注[編集]

  1. ^ 厳可均の序文では746巻とするが、目録に見える「韻編全文姓氏」5巻は存在しない。
  2. ^ 『全上古三代秦漢三国六朝文』総序による
  3. ^ 『全上古三代秦漢三国六朝文』凡例による
  4. ^ 中国古代文学要籍简介(一):总集』国学网、2011年2月15日http://www.guoxue.com/?p=2971 

外部リンク[編集]