共和国大統領 (イタリア)

イタリアの旗 イタリア共和国
大統領
Presidente della Repubblica Italiana
大統領旗
現職者
セルジョ・マッタレッラ(第12代)
Sergio Mattarella

就任日 2015年2月3日
呼称Presidente/大統領(通常時)
Eccellenza/閣下(外交時)
所属機関国防高等評議会
司法高等評議会
庁舎クイリナーレ宮殿
官舎クイリナーレ宮殿
ローズベリー邸
カステルポルツィアーノの邸宅
任命イタリア議会上下両院合同会議
任期7年(再選可)
初代就任エンリコ・デ・ニコラ
職務代行者元老院議長
(イニャツィオ・ラ・ルッサ)
俸給年額19,166ユーロ
ウェブサイトPresidenza della Repubblica

イタリア共和国大統領(イタリアきょうわこくだいとうりょう、イタリア語: Presidente della Repubblica Italiana)は、イタリア国家元首たる大統領

  1. イタリア共和国憲法制定以前 - 暫定国家元首(ざんていこっかげんしゅ、Capo provvisorio dello Stato
  2. イタリア共和国憲法制定以降 - イタリア共和国大統領(きょうわこくだいとうりょう、Presidente della Repubblica Italiana)。

概要[編集]

大統領は概ね象徴的な元首だが、議会解散権、首相任命権、軍隊指揮権などの非常時大権(議会や内閣の助言によらずに独自の判断で行使できる権限)を持っているのが特徴的である。

任期は7年で、再選については特に規定がない。

選出[編集]

大統領は、議会の上下両院合同会議において、全議員と各州議会から任命された選挙人による秘密投票で選出される。

  • 上院議員(200)
  • 下院議員(400)
  • 各州選挙人(58)※ 各州3名、ヴァッレ・ダオスタ州は1名

憲法の規定により、当選には3分の2の得票が必要である。しかし3回投票を行って当選者が決定しない場合は、4回目より単純過半数で当選者を決定する[1]

第10代カルロ・アツェリオ・チャンピまでは、いずれの大統領も1期7年限りで退任していた。第11代のジョルジョ・ナポリターノも高齢のため再選には否定的だったが、2013年の総選挙後に起こった長期にわたる政局の混迷から、後継の大統領候補がことごとく当選に必要な票を得ることができず、その結果不本意ながらも大統領に再選されるに至った。しかしナポリターノは1年8か月後、89歳の身にはもはや限界と2期目の任期途中で大統領を辞任している。

権限[編集]

大統領の権限は憲法により次のように規定されている。

  • 第74条
    • 法律に署名する前に議会に再議を求めることができる。
  • 第87条
    • 議会に教書を送る。
    • 議会議員の選挙を公示し、その招集の日を定める。
    • 政府提出の法律案の議会への提出を承認する。
    • 法律を審査し、法律の定める命令及び規則を制定する。
    • 憲法の定めるところにより国民投票を公示する。
    • 法律の定めるところにより国の官吏を任命する。
    • 外交使節に信任を与え、これを接受する。また議会の事前の承認を得て国際条約を批准する。
    • 軍隊を指揮し、法律の定めるところにより設置される最高国防会議を主宰する。また議会の承認を得て宣戦を布告する。
    • 最高司法会議を主宰する
    • 恩赦及び減刑をおこなう
    • 栄典を授与する
  • 第88条
    • それぞれの議院の議長の意見を聞いて、一方の議院を、または両議院を同時に解散することができる。

大統領の一覧[編集]

大統領 所属政党 在任期間 備考
00 アルチーデ・デ・ガスペリ
Alcide De Gasperi
キリスト教民主党
(DC)
1946年6月13日
- 1946年7月1日
18日 暫定国家元首
(首相)
00 エンリコ・デ・ニコラ
Enrico De Nicola
イタリア自由党
(PLI)
1 1946年7月1日
- 1947年6月25日
1年 + 183日 暫定国家元首
任期満了前に辞任
[注 1]
2 1946年6月26日
- 1947年12月31日
暫定国家元首
001 1948年1月1日
- 1948年5月12日
132日 大統領職に移行
[注 2]
任期満了前に辞任
[注 1]
002 ルイージ・エイナウディ
Luigi Einaudi
イタリア自由党
(PLI)
3 1948年5月12日
- 1955年5月11日
6年 + 364日
003 ジョヴァンニ・グロンキ
Giovanni Gronchi
キリスト教民主党
(DC)
4 1955年5月11日
- 1962年5月11日
7年 + 0日
004 アントニオ・セーニ
Antonio Segni
キリスト教民主党
(DC)
5 1962年5月11日
- 1964年12月6日
2年 + 209日 任期満了前に辞任
[注 3]
00 チェーザレ・メルザゴラ
Cesare Merzagora
キリスト教民主党
(DC)
1964年12月6日
- 1964年12月29日
23日 大統領代行
元老院議長
005 ジュゼッペ・サーラガト
Giuseppe Saragat
イタリア民主社会党
(PSDI)
6 1964年12月29日
- 1971年12月29日
7年 + 0日
006 ジョヴァンニ・レオーネ
Giovanni Leone
キリスト教民主党
(DC)
7 1971年12月29日
- 1978年6月15日
6年 + 168日 任期満了前に辞任
[注 4]
00 アミントレ・ファンファーニ
Amintore Fanfani
キリスト教民主党
(DC)
1978年6月15日
- 1978年7月9日
24日 大統領代行
(元老院議長)
007 アレッサンドロ・ペルティーニ
Alessandro Pertini
イタリア社会党
(PSI)
8 1978年7月9日
- 1985年6月29日
6年 + 355日 任期満了前に辞任
[注 5]
00 フランチェスコ・コッシガ
Francesco Cossiga
キリスト教民主党
(DC)
1985年6月29日
- 1985年7月3日
4日 大統領代行
(元老院議長)
008 9 1985年7月3日
- 1992年4月28日
6年 + 301日 任期満了前に辞任
[注 6]
00 ジョヴァンニ・スパドリーニ
Giovanni Spadolini
イタリア共和党
(PRI)
1992年4月28日
- 1992年5月28日
30日 大統領代行
(元老院議長)
009 オスカル・ルイージ・スカルファロ
Oscar Luigi Scalfaro
キリスト教民主党
(DC)
10 1992年5月28日
- 1994年1月18日
6年 + 352日
0(9) 無所属 1994年1月18日
- 1999年5月15日
DCの解散
任期満了前に辞任
[注 5]
00 ニコラ・マンチーノ
Nicola Mancino
左翼民主主義者
(DS)
1999年5月15日
- 1999年5月18日
3日 大統領代行
(元老院議長)
010 カルロ・アツェリオ・チャンピ
Carlo Azeglio Ciampi
無所属 11 1999年5月18日
- 2006年5月15日
6年 + 362日 任期満了前に辞任
[注 5]
011 ジョルジョ・ナポリターノ
Giorgio Napolitano
左翼民主主義者
(DS)
12 2006年5月15日
- 2007年10月27日
8年 + 244日
(11) 無所属 2007年10月27日
- 2013年5月15日
DP結成に不参加
13 2013年5月15日
- 2015年1月14日
任期満了前に辞任
[注 7][2]
00 ピエトロ・グラッソ
Pietro Grasso
民主党
(PD)
2015年1月14日
- 2015年2月3日
20日 大統領代行
(元老院議長)
012 セルジョ・マッタレッラ[3]
Sergio Mattarella
無所属 14 2015年2月3日[4][5]
- 2022年1月30日
9年 + 74日
15 2022年1月30日
- (現職)

大統領の年表[編集]

セルジョ・マッタレッラジョルジョ・ナポリターノカルロ・アツェリオ・チャンピオスカル・ルイージ・スカルファロフランチェスコ・コッシガアレッサンドロ・ペルティーニジョヴァンニ・レオーネジュゼッペ・サーラガトアントニオ・セーニジョヴァンニ・グロンキルイージ・エイナウディエンリコ・デ・ニコラ

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b 健康上の理由のため。
  2. ^ イタリア共和国憲法経過規定第1条より。
  3. ^ 脳血栓による加療のため。
  4. ^ ロッキード事件の疑惑により。
  5. ^ a b c 早期の職務移譲を行うため。
  6. ^ 弾劾動議が発議されたため。
  7. ^ 高齢のため。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部サイト[編集]