吸血蛾 (映画)

吸血蛾
映画ポスター
監督 中川信夫
脚本 小国英雄
西島大
原作 横溝正史 小説『吸血蛾
製作 滝村和男
出演者 池部良
久慈あさみ
音楽 佐藤勝
撮影 安本淳
製作会社 東宝
配給 東宝
公開 日本の旗1956年4月11日[1]
上映時間 89分[1]
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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吸血蛾』(きゅうけつが)は、1956年に公開された中川信夫監督の日本映画。

横溝正史同名小説が原作。

あらすじ[編集]

ファッションデザイナーとして名声を得ている浅茅文代は、夜中に謎の男からデザイン画を買い取っては焼却していた。その一方で、文代が率いている団体の関係者が次々と殺害され、あるいは行方不明になる。実は、文代のデザインはパリで同棲していた伊吹のもので、オオカミのような形相で突発的に暴れまわる狼つきという奇病を患った伊吹から逃げるようにして帰国する際に盗んだものであった。謎の男は彼女のパトロン・長岡で、秘密を知って伊吹からデザインを買い取り、文代の良心に訴えるべく、素性を伏せて売りつけていたのである。

一方、伊吹は双子の兄である江藤が運営する昆虫館に文代を呼び出し暴行しようとして逆に殺害されており、それを目撃した浅茅会のマネージャー・村越徹は文代を脅して自らの目的に利用していた。快楽殺人者である村越は、伊吹の死が世間にまだ知られていないことを利用し、狼男・伊吹に成りすまして殺害を続けていた。行方不明になったモデルたちは、連続殺人を弟の犯行と考えた江藤が保護するつもりで拉致したのだが、その江藤も村越が殺害する。

しかし、金田一の指示で警察が伊吹の死体を発見する。狼男に扮して村越と文代の前に現れた金田一に真相を指摘された村越は文代を射殺して逃走する[2]。金田一が廃ビルの上階へ追いかけている間に警官隊が到着し、村越は逃げ損ねて転落死する。

原作からの変更点[編集]

おおむね原作通りのストーリーだが、省略されている設定も多く、大きなところでは以下のような変更がある。

  • ファッションデザインの色と江藤の蛾のコレクションの色とを関連させる設定は無く、文代が率いるグループの名は「虹の会」ではなく単に「浅茅会」である。
  • 加代子が人違いで拉致されたのは原作通りだが、文代が捻挫して代役を務めたためではなく、贈り物を渡したいという電話に代理で出向いたため。
  • 多美子が金田一の名を知っていてモデルたちが依頼した設定はなく、川瀬が金田一に依頼していた。
  • 切断された脚の一方がアドバルーンで漂流する展開は無く、2本ともラインダンスで踊っていた。
  • 等々力たちが双葉アパートへ来たときに伊吹らしき男がどのように脱出したかは明示されず、金田一が天井裏へ出入りできる場所を発見したことで示唆するのみ。
  • 長岡の死体発見後、昆虫館に来た文代を問い詰めた金田一を狼男が撃ち、金田一が水路に転落してしばらく行方不明になる展開が追加されている。
  • 江藤たちが保護するつもりで拉致したモデル3人が殺害される展開は無く、江藤が殺害される。
  • 最後には村越の狼男と文代の前にもう1人の狼男(金田一)が現れて真相を指摘、原作にはない活劇的な結末へ至る。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

同時上映[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 吸血蛾 - 日本映画データベース
  2. ^ 複数の映画情報サイト(外部リンクの節に列挙されているKINENOTE・Movie Walker・映画.com)に掲載されている全く同一テキストのストーリー情報や、18人の金田一耕助 ISBN 4-87719-531-9 p.91に「村越が文代に命じて弓子を連れてこさせ、江藤が拉致した3人と併せてまとめて殺害しようとするが、金田一に阻止される」という趣旨の記述があるが、実際の映画にそのような展開は見られない。村越は「まとめて火あぶりにしてやる」と発言しているが、対象は弓子ではなく文代を含む4人。村越が逃走し金田一が追いかけ始めた後で、弓子が川瀬に連れられて現場に現れる。

外部リンク[編集]