国際オリンピック委員会総会

国際オリンピック委員会総会(こくさいオリンピックいいんかいそうかい)は、国際オリンピック委員会(IOC)の全体会議であり、同委員会において最高機関の役割を果たす。

概要[編集]

  • 1年に1~2回定期総会が開催され、総会開催都市は年により変わるが、オリンピックの開催年ではその開催都市にて総会が行われる。
  • 総会の開催都市は、その総会の3年前に行われる理事会または総会で決定する。
  • 夏季冬季オリンピックの開催地は、そのオリンピックの7年前に、開催地立候補都市(国)以外の中立国の都市で開催される総会で決定されることとなっている。[注釈 1]
  • 開催地はIOC委員の投票で決まる。過半数を獲得した都市が開催都市として決定する。しかし、過半数を獲得した都市がなかった場合は最下位の都市を落選させて、この手順で過半数を獲得する都市が出るまで投票を繰り返す。尚、最下位の都市が複数出た時にはその最下位都市のみで投票が行われ、落選都市を決める。
  • また、総会には臨時総会もあり、会長により招集されるか、もしくは3分の1以上の委員からの書面による要求に基づいて招集される。

IOC総会開催都市[編集]

ピンク色の回は夏季・冬季オリンピック、水色の回はオリンピックコングレスの期間中に開催された。

開催年 開催地 備考
1 1894年 フランスの旗 パリ 設立総会、アテネオリンピックパリオリンピック開催決定[1]
2 1896年 ギリシャの旗 アテネ
3 1897年 フランスの旗 ル・アーヴル
4 1901年 フランスの旗 パリ セントルイスオリンピック開催決定[1]
5 1903年[2]
6 1904年[2] イギリスの旗 ロンドン ロンドンオリンピック開催決定[1]
7 1905年 ベルギーの旗 ブリュッセル
8 1906年 ギリシャの旗 アテネ  
9 1907年 オランダの旗 デン・ハーグ
10 1909年 ドイツ帝国の旗 ベルリン[2] ストックホルムオリンピック開催決定[1]
11 1910年 ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク  
12 1911年 オーストリア=ハンガリー帝国の旗 ブダペスト
13 1912年 スイスの旗 バーゼル
14 1912年 スウェーデンの旗 ストックホルム ベルリンオリンピック開催決定[1]
15 1913年 スイスの旗 ローザンヌ  
16 1914年 フランスの旗 パリ
17 1919年 スイスの旗 ローザンヌ アントワープオリンピック開催決定[1]
18 1920年 ベルギーの旗 アントワープ
19 1921年 スイスの旗 ローザンヌ シャモニーオリンピックパリオリンピックアムステルダムオリンピック開催決定[1]
20 1922年 フランスの旗 パリ
21 1923年 イタリア王国の旗 ローマ ロサンゼルスオリンピック開催決定[1]
22 1924年 フランスの旗 パリ
23 1925年 チェコスロバキアの旗 プラハ
24 1926年 ポルトガルの旗 リスボン サンモリッツオリンピック開催決定[1]
25 1927年 モナコの旗 モナコ
26 1928年 オランダの旗 アムステルダム
27 1929年 スイスの旗 ローザンヌ レークプラシッドオリンピック開催決定[1]
28 1930年 ドイツの旗 ベルリン
29 1931年 スペインの旗 バルセロナ ベルリンオリンピック開催決定[1]
30 1932年 アメリカ合衆国の旗 ロサンゼルス
31 1933年 オーストリアの旗 ウィーン ガルミッシュ=パルテンキルヘンオリンピック開催決定[1]
32 1934年 ギリシャの旗 アテネ  
33 1935年 ノルウェーの旗 オスロ
34 1936年 ナチス・ドイツの旗 ガルミッシュ=パルテンキルヒェン
35 ナチス・ドイツの旗 ベルリン 東京オリンピック開催決定[1]
36 1937年 ポーランドの旗 ワルシャワ 札幌オリンピック開催決定[1]
37 1938年 エジプトの旗 カイロ
38 1939年 イギリスの旗 ロンドン 1940年開催地返上とロンドンオリンピックコルチナ・ダンペッツオオリンピック開催決定[1]
39 1946年 スイスの旗 ローザンヌ ロンドンオリンピックサンモリッツオリンピック開催決定
40 1947年 スウェーデンの旗 ストックホルム ヘルシンキオリンピックオスロオリンピック開催決定
41 1948年 スイスの旗 サンモリッツ  
42 イギリスの旗 ロンドン
43 1949年 イタリアの旗 ローマ メルボルンオリンピックコルチナ・ダンペッツオオリンピック開催決定
44 1950年 デンマークの旗 コペンハーゲン  
45 1951年 オーストリアの旗 ウィーン
46 1952年 ノルウェーの旗 オスロ
47 フィンランドの旗 ヘルシンキ アベリー・ブランデージ会長就任
48 1953年 メキシコの旗 メキシコシティ  
49 1954年 ギリシャの旗 アテネ 柔道バレーボールアーチェリーローラースケートの正式競技化が検討されるが全競技保留[3]
50 1955年 フランスの旗 パリ スコーバレーオリンピックローマオリンピック開催決定
51 1956年 イタリアの旗 コルティーナ・ダンペッツォ  
52 オーストラリアの旗 メルボルン
53 1957年 ブルガリアの旗 ソフィア  
54 1958年 日本における郵船商船規則の旗 東京
55 1959年 西ドイツの旗 ミュンヘン 東京オリンピックインスブルックオリンピック開催決定
56 1960年 アメリカ合衆国の旗 サンフランシスコ  
57 イタリアの旗 ローマ 柔道の五輪競技化決定[3]
58 1961年 ギリシャの旗 アテネ  
59 1962年 ソビエト連邦の旗 モスクワ
60 1963年 西ドイツの旗 バーデン=バーデン メキシコシティーオリンピック開催決定、柔道の五輪除外決定[3]
61 1964年 オーストリアの旗 インスブルック グルノーブルオリンピック開催決定
62 日本における郵船商船規則の旗 東京
63 1965年 スペインの旗 マドリード 柔道の1972年大会から五輪再競技化決定[3]
64 1966年 イタリアの旗 ローマ ミュンヘンオリンピック札幌オリンピック開催決定
65 1967年 イランの旗 テヘラン
66 1968年 フランスの旗 グルノーブル  
67 メキシコの旗 メキシコシティ
68 1969年 ポーランドの旗 ワルシャワ
69 1970年 オランダの旗 アムステルダム モントリオールオリンピック・デンバーオリンピック開催決定→インスブルックに開催地変更
70  
71 1971年 ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク市
72 1972年 日本における郵船商船規則の旗 札幌
73 西ドイツの旗 ミュンヘン マイケル・モリス・キラニン男爵会長就任
74 1973年 ブルガリアの旗 ヴァルナ
75 1974年 オーストリアの旗 ウィーン モスクワオリンピックレークプラシッドオリンピック開催決定、オリンピック憲章から「アマチュア条項」を削除[4]
76 1975年 スイスの旗 ローザンヌ
77 1976年 オーストリアの旗 インスブルック  
78 カナダの旗 モントリオール
79 1977年 チェコスロバキアの旗 プラハ
80 1978年 ギリシャの旗 アテネ サラエボオリンピックロサンゼルスオリンピック開催決定
81 1979年 ウルグアイの旗 モンテビデオ
82 1980年 アメリカ合衆国の旗 レークプラシッド
83 ソビエト連邦の旗 モスクワ フアン・アントニオ・サマランチ会長就任
84 1981年 西ドイツの旗 バーデン=バーデン ソウルオリンピックカルガリーオリンピック開催決定
85 1982年 イタリアの旗 ローマ  
86 1983年 インドの旗 ニューデリー
87 1984年 ユーゴスラビア社会主義連邦共和国の旗 サラエボ  
88 アメリカ合衆国の旗 ロサンゼルス
89 1984年 スイスの旗 ローザンヌ  
90 1985年 東ドイツの旗 東ベルリン
91 1986年 スイスの旗 ローザンヌ バルセロナオリンピックアルベールビルオリンピック開催決定
92 1987年 トルコの旗 イスタンブール
93 1988年 カナダの旗 カルガリー
94 大韓民国の旗 ソウル リレハンメルオリンピック開催決定
95 1989年 プエルトリコの旗 サンフアン
96 1990年 日本における郵船商船規則の旗 東京 アトランタオリンピック開催決定
97 1991年 イギリスの旗 バーミンガム 長野オリンピック開催決定
98 1992年 フランスの旗 アルベールビル  
99 スペインの旗 バルセロナ
100 1993年 スイスの旗 ローザンヌ
101 モナコの旗 モンテカルロ シドニーオリンピック開催決定
102 1994年 ノルウェーの旗 リレハンメル
103 1994年 フランスの旗 パリ
104 1995年 ハンガリーの旗 ブダペスト ソルトレークシティオリンピック開催決定
105 1996年 アメリカ合衆国の旗 アトランタ
106 1997年 スイスの旗 ローザンヌ アテネオリンピック開催決定
107 1998年 日本における郵船商船規則の旗 長野
108 1999年 スイスの旗 ローザンヌ
109 大韓民国の旗 ソウル トリノオリンピック開催決定
110 スイスの旗 ローザンヌ
111 2000年 オーストラリアの旗 シドニー
112 2001年 ロシアの旗 モスクワ 北京オリンピック開催決定・ジャック・ロゲ会長就任
113 2002年 アメリカ合衆国の旗 ソルトレイクシティ
114 2002年 メキシコの旗 メキシコシティ
115 2003年 チェコの旗 プラハ バンクーバーオリンピック開催決定
116 2004年 ギリシャの旗 アテネ
117 2005年 シンガポールの旗 シンガポール ロンドンオリンピック開催決定・野球ソフトボールを五輪競技から除外
118 2006年 イタリアの旗 トリノ
119 2007年 グアテマラの旗 グアテマラシティ ソチオリンピック開催決定・ユースオリンピック実施決定
120 2008年 中華人民共和国の旗 北京
121 2009年 デンマークの旗 コペンハーゲン リオデジャネイロオリンピック開催決定・ゴルフラグビー[注釈 2]を五輪競技に採用
122 2010年 カナダの旗 バンクーバー 南京ユースオリンピック開催決定
123 2011年 南アフリカ共和国の旗 ダーバン 平昌オリンピック開催決定
124 2012年 イギリスの旗 ロンドン
2013年 スイスの旗 ローザンヌ 臨時総会・唯一回数が付かない総会。ブエノスアイレスユースオリンピック開催決定
125 アルゼンチンの旗 ブエノスアイレス 東京オリンピック開催決定・トーマス・バッハ会長就任・レスリングを五輪競技に採用
126 2014年 ロシアの旗 ソチ
127 2014年 モナコの旗 モンテカルロ 臨時総会・バッハ会長による改革案「オリンピック・アジェンダ2020」採択
128 2015年 マラヤ連邦の旗 クアラルンプール 北京オリンピックローザンヌユースオリンピック開催決定
129 2016年 ブラジルの旗 リオデジャネイロ 東京オリンピックで野球・ソフトボール等の5競技18種目が追加種目になる
130 2017年 スイスの旗 ローザンヌ 臨時総会・次期リマ定期総会における2024年夏季オリンピック・2028年夏季オリンピックの開催地決定方法協議
131 ペルーの旗 リマ パリオリンピック・ロサンゼルスオリンピック開催決定
132 2018年 大韓民国の旗 平昌
133 アルゼンチンの旗 ブエノスアイレス ダカールユースオリンピック開催決定
134 2019年 スイスの旗 ローザンヌ 2026年冬季オリンピック開催地がミラノコルティナに決定[5]パリオリンピック追加種目がブレイキンを含む4競技12種目に事実上決定
135 2020年 江原ユースオリンピック開催決定[6]
136 ウェブ会議
137 2021年 ウェブ会議 IOC会長選
138 日本の旗 東京 ブリスベンオリンピック開催決定、オリンピックのスローガンに「一緒に(Together)」を追加することを採択[7][8]
139 2022年 中華人民共和国の旗 北京
140 2023年 ウェブ会議 国際ボクシング協会の承認取り消し
141 インドの旗 ムンバイ 次期パリ定期総会における2030年冬季オリンピック・2034年冬季オリンピックの開催地決定方法協議・ロサンゼルスオリンピックで野球・ソフトボール等の5競技10種目が追加種目になる
142 2024年 大韓民国の旗 平昌
143 フランスの旗 パリ 2030年冬季オリンピック・2034年冬季オリンピック開催地決定
144 2025年 ギリシャの旗 アテネ 2028年冬季ユースオリンピック開催地決定
145 2026年 イタリアの旗 ミラノ
146 セネガルの旗 ダカール 2030年夏季ユースオリンピック開催地決定
147 2027年 オーストラリアの旗 アデレード
148 2028年 開催地未定
149 アメリカ合衆国の旗 ロサンゼルス
150 2029年 開催地未定 2036年夏季オリンピック開催地決定
151 2030年 フランスの旗
152 開催地未定 2034年夏季ユースオリンピック開催地決定
153 2031年 開催地未定 2038年冬季オリンピック開催地決定
154 2032年 開催地未定 2036年冬季ユースオリンピック開催地決定
155 オーストラリアの旗 ブリスベン
156 2033年 開催地未定 2040年夏季オリンピック開催地決定
157 2034年 アメリカ合衆国の旗 ソルトレイクシティ
158 開催地未定 2038年夏季ユースオリンピック開催地決定
159 2035年 開催地未定 2042年冬季オリンピック開催地決定
160 2036年 開催地未定 2040年冬季ユースオリンピック開催地決定
161 開催地未定

IOCと日本[編集]

  • 1950年、コペンハーゲンで開催された総会にて、日本の国内委員会が認可。翌1951年、ウィーンで開催された総会後、IOC事務総長は会見の中で「日本は、IOCから除名されていた訳ではない」として、次期オリンピック参加に特別の決定をする必要はないとの見解を示し、第二次世界大戦後のオリンピック復帰を確実なものとした[9]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 例外もあり、ブリスベンオリンピックの開催地選考では本来ならば2025年にアテネで開催される第143回IOC総会で決定するがその4年前の第138回IOC総会で開催地が決定した。
  2. ^ ラグビーの国際競技団体ワールドラグビーは五輪競技化を諮った採決の前に可決された場合、五輪では7人制ラグビーを男女で2種目実施したい旨、表明していて、実際そうしている。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o IOC vote history
  2. ^ a b c “Sessions du Comité international olympique”. Olympic Review (International Olympic Committee) 26: 2. (March 1951). http://www.aafla.org/OlympicInformationCenter/OlympicReview/1951/BDCE26/BDCE26c.pdf 2010年2月4日閲覧。. 
  3. ^ a b c d 嘉納行光川村禎三中村良三醍醐敏郎竹内善徳『柔道大事典』佐藤宣践(監修)、アテネ書房、日本 東京(原著1999年11月)。ISBN 4871522059。"オリンピックの柔道競技"。 
  4. ^ オリンピック物語第五部 アマとプロ〈4〉読売新聞 - 2004年1月24日付[リンク切れ]
  5. ^ ミラノで2026年冬季五輪 コルティナ共催、イタリア3度目”. JOC (2019年6月25日). 2019年6月29日閲覧。
  6. ^ 2024年冬季ユース五輪 韓国・江原道での開催決定”. 聯合ニュース (2020年1月10日). 2020年1月11日閲覧。
  7. ^ 共同通信 (2021年4月22日). “五輪の新モットー採用へ 憲章に「共に」を追加方針”. 産経新聞. 2022年2月6日閲覧。
  8. ^ 五輪のモットーに「一緒に」が加わる”. 人民日報 (2021年7月22日). 2022年2月6日閲覧。
  9. ^ 「日本五輪大会へ自動的に参加」『朝日新聞』昭和26年5月10日