地球平和監視時計

地球平和監視時計
広島への原爆投下から28,000日[1]を迎えた地球平和監視時計(撮影当時、最後の核実験は2020年11月、撮影日:2022年4月4日)
座標 北緯34度23分29秒 東経132度27分11秒 / 北緯34.391472度 東経132.453056度 / 34.391472; 132.453056座標: 北緯34度23分29秒 東経132度27分11秒 / 北緯34.391472度 東経132.453056度 / 34.391472; 132.453056
所在地 日本の旗 日本
広島県広島市中区中島町1-2
広島平和記念資料館
設計者 岡本敦生
種類 石碑
素材 みかげ石
0.8 m
高さ 3.1 m
完成 2001年平成13年)7月24日
開場 2001年(平成13年)8月6日

広島への原爆投下からの日数: 28743 日
最後の核実験(2021年9月16日)からの日数: 943 日
2024年4月16日 (火曜日)現在(すべて日本時間
[キャッシュをクリアして最新の日数に更新する]

地球平和監視時計(ちきゅうへいわかんしどけい、: PEACE WATCH TOWER)は、広島県広島市中区広島平和記念資料館内に設置されている時計塔

概要[編集]

NPO法人である「広島からの地球平和監視を考える会」が2001年7月24日に設置し同年8月6日に除幕した。

デザインは広島市出身の彫刻家である岡本敦生あつおによるもので、高さ3.1メートルのみかげ石製。

一番上に現在の時刻を示すアナログ時計があり、文字盤には薄く8時15分(広島の原爆投下時刻)が刻まれている。その下には2つの日数カウンターがあり、一段目は広島への原爆投下からの日数を表し、二段目は最後の核実験[2]からの日数を表している[3]

日数カウンターの下にある15個の連なった歯車は、一番上の歯車が一分間に100回転している。核実験を含めた地球環境の危機的状況の深刻化に伴い徐々に下の歯車に回転が伝わっていき、最終的に、基部に固定された一番下の歯車に回転が伝わった瞬間に装置そのものが自壊するという発想で作られており、破滅する地球と人類を暗示しているとともに、回転を止めるために地球人類で協力しなくてはならないことを示している[4]

最後の核実験からの日数は新たな核実験が行われたことが明らかになるたびに、実施日を基準にリセットされる。最後の28回目のリセットは、2021年9月16日アメリカによる臨界前核実験によるものである[5][6]

2020年3月1日現在の最長記録は2006年10月9日から2009年5月25日までの959日で、いずれも北朝鮮による核実験によってリセットされたものである[7]

地球平和監視時計設置以降の28回のリセット回数の内訳は、アメリカが22回(うち2回はイギリスとの合同)、北朝鮮が6回となっている。

リセットの一覧[編集]

地球平和監視時計設置後の核実験およびリセット回数の一覧
リセット
回数
広島への原爆投下
からの日数
最後の核実験
からの日数
年月日[8] 実施国 備考[9][10][11][12]
- 0 - 1945年8月6日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 広島市への原子爆弾投下(人類史上最初の実戦使用)
- 10,000 - 1972年12月22日 - 広島への原爆投下から10,000日
- 20,000 - 2000年5月9日 - 広島への原爆投下から20,000日
- 20,220 0 2000年12月15日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる13回目の臨界前核実験
- 20,441 221 2001年7月24日 - 地球平和監視時計設置
- 20,454 234 2001年8月6日 - 地球平和監視時計除幕
1 20,506 286→0 2001年9月27日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる14回目の臨界前核実験
ブッシュ政権下で初
2 20,584 78→0 2001年12月14日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる15回目の臨界前核実験
3 20,647 63→0 2002年2月15日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
アメリカ・イギリス共同による臨界前核実験
4 20,760 113→0 2002年6月8日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる17回目の臨界前核実験
5 20,843 83→0 2002年8月30日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる18回目の臨界前核実験
6 20,871 28→0 2002年9月27日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる19回目の臨界前核実験
現在までのリセット最短記録
7 21,229 358→0 2003年9月20日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる20回目の臨界前核実験
8 21,478 249→0 2004年5月26日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる21回目の臨界前核実験
- 21,553 75 2004年8月9日 ロシアの旗 ロシア 2004年に入り、ロシアが複数回臨界前核実験を実施したことが判明
実験日が確認できないためリセットは実施せず
9 22,117 639→0 2006年2月24日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
アメリカ・イギリス共同による2回目の臨界前核実験
10 22,305 188→0 2006年8月31日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる23回目の臨界前核実験
11 22,344 39→0 2006年10月9日 朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 北朝鮮初の地下核実験
リセット実施は翌10月10日
12 23,303 959→0 2009年5月25日 朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 北朝鮮による2回目の地下核実験
リセット実施は翌5月26日
現在までのリセット最長記録
13 23,781 478→0 2010年9月15日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる24回目の臨界前核実験
オバマ政権下で初の実験
リセット実施は同年10月13日
- 23,845 64 2010年11月18日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」と呼ばれる装置を使った初の新型核実験
実験を把握していなかったためリセットは実施せず
- 23,865 84 2010年12月1日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる25回目の臨界前核実験
14回目のリセット後に実施が判明
- 23,921 140 2011年2月2日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる26回目の臨界前核実験
14回目のリセット後に実施が判明
14 23,978 197→0 2011年3月31日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った2回目の新型核実験
リセット実施は同年5月24日
- 24,153 175 2011年9月22日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った3回目の新型核実験
実施が確認されたのが同年11月16日の実験と同日だったためリセットは実施せず
15 24,208 230→0 2011年11月16日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った4回目の新型核実験
リセット実施は翌年1月10日
- 24,391 183 2012年5月17日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った5回目の新型核実験
実施日を確認中に次の核実験の実施が判明したためリセットは実施せず
16 24,493 285→0 2012年8月27日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った6回目の新型核実験
リセット実施は同年9月24日
- 24,530 37 2012年10月3日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った7回目の新型核実験
2013年の北朝鮮による核実験後の3月12日に判明したためリセットは実施せず
- 24,565 72 2012年11月7日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った8回目の新型核実験
2013年の北朝鮮による核実験後の3月12日に判明したためリセットは実施せず
17 24,593 100→0 2012年12月5日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる27回目の臨界前核実験
リセット実施は同年12月7日
18 24,662 69→0 2013年2月12日 朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 北朝鮮による3回目の地下核実験
19 24,754 92→0 2013年5月15日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った9回目の新型核実験
リセット実施は同年8月21日
20 24,874 120→0 2013年9月12日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った10回目の新型核実験
リセット実施は同年10月31日
- 25,000 126 2014年1月16日 - 広島への原爆投下から25,000日
- - - - - 2014年3月から2017年4月まで、本時計の設置されている広島平和記念資料館東館が
リニューアル工事のため閉館
時計も工事エリア内にあったため、21・22回目は実際にはリセット操作は行われなかった
- 25,231 357 2014年9月4日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った11回目の新型核実験
2014年10月の実験と同時に公表されたためリセットは実施せず
21 25,260 386→0 2014年10月3日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる「Zマシン」を使った12回目の新型核実験
実験の実施を公表したのは同年11月4日
22 25,720 460→0 2016年1月6日 朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 北朝鮮による4回目の地下核実験
北朝鮮は水爆実験であると主張
- 25,862 142 2016年5月27日 - 現職の米大統領として初めてオバマ大統領広島来訪
23 25,967 247→0 2016年9月9日 朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 北朝鮮による5回目の地下核実験
24 26,326 359→0 2017年9月3日 朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 北朝鮮による6回目の地下核実験
北朝鮮は大陸間弾道ミサイル搭載のための水爆実験と主張
25 26,427 101→0 2017年12月13日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる5年ぶり28回目の臨界前核実験
トランプ政権下で初の実験
実験の実施が発覚したのは2018年10月11日
26 26,854 427→0 2019年2月13日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる29回目の臨界前核実験[13]
実験実施の発表は2019年5月24日
リセット実施は5月27日
27 27,510 656→0 2020年11月30日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる30回目の臨界前核実験
実験実施の報道は2021年1月17日
リセット実施は1月18日
実施日が不明なため11月末日を公式に便宜上の実施日としている
- 27,714 204 2021年6月22日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる31回目の臨界前核実験
バイデン政権下で初の実験
実験実施の報道は2022年4月14日
32回目の臨界前核実験と同時に公表されたためリセットは実施せず
28 27,800 290→0 2021年9月16日 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アメリカによる32回目の臨界前核実験
実験実施の報道は2022年4月14日
リセットは4月13日
- 28,410 610 2023年5月19日 - G7広島サミット期間中に、米国のジョー・バイデン大統領をはじめ9人の首脳が視察・献花を行った[14]

注記のない限り、リセットは実験実施即日に行われている。

脚注[編集]

  1. ^ この日数のカウントは、日本時間での日付のみをもとにして行う。
  2. ^ 核爆発を伴わない、臨界前核実験も含む
  3. ^ 広島市広報紙 市民と市政 バックナンバー 平成22年 11月15日号 まちなかアート探訪”. 2012年9月26日閲覧。
  4. ^ SEIKO納入事例 平和記念資料館「地球平和監視時計」”. 2019年6月13日閲覧。
  5. ^ アメリカ バイデン政権で初の臨界前核実験 去年6月と9月に”. NHK NEWS WEB (2022年4月14日). 2022年4月14日閲覧。
  6. ^ 広島の平和監視時計、巻き戻し 米核実験受け「210」に”. 共同通信社 (2022年4月14日). 2022年4月14日閲覧。
  7. ^ 広島市/2010年10月13日 平和記念資料館の「地球平和監視時計」の「最後の核実験からの日数」表示をリセットします” (2010年10月13日). 2012年9月25日閲覧。
  8. ^ 全て日本時間
  9. ^ https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/232/1314163911326.html
  10. ^ http://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/recna/topics/2057
  11. ^ https://t-hibaku.jp/torikumi/protest/index.html
  12. ^ http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?cat=3923
  13. ^ 平和監視時計を巻き戻し、広島”. 共同通信 (2019年5月27日). 2019年5月27日閲覧。
  14. ^ “【速報】G7広島サミットが開幕 バイデン大統領らG7首脳が原爆慰霊碑に献花 原爆資料館を視察後”. 中国放送. (2023年5月19日). https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rcc/493886?display=1 2023年5月19日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]