多良岳

多良岳
雲仙市吾妻町より望む
南方の雲仙市吾妻町より多良岳火山を望む
標高 996 m
所在地 佐賀県藤津郡太良町長崎県諫早市
位置 北緯32度58分31.7秒 東経130度5分33秒 / 北緯32.975472度 東経130.09250度 / 32.975472; 130.09250座標: 北緯32度58分31.7秒 東経130度5分33秒 / 北緯32.975472度 東経130.09250度 / 32.975472; 130.09250
山系 多良岳山系
種類 成層火山溶岩ドーム
多良岳の位置(佐賀県内)
多良岳
多良岳 (佐賀県)
多良岳の位置(長崎県内)
多良岳
多良岳 (長崎県)
多良岳の位置(日本内)
多良岳
多良岳 (日本)
プロジェクト 山
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多良岳火山の地形図

多良岳(たらだけ)は、九州長崎県佐賀県の県境に位置する標高996mの山。多良岳山系の一峰。

多良岳山系[編集]

多良岳や、北西にある経ヶ岳、南西にある五家原岳などは、大型の成層火山であった多良岳火山が著しく開析してできた多良岳山系の峰である。多良岳火山は活動時期が二度あり、約130-100万年前と約80万~40万年前に活動した[1]。上部は安山岩質の岩体、山麓は玄武岩質の溶岩台地である。なお、南東にある竹崎島スコリア[2]

多良岳の西方、経ヶ岳、五家原岳、遠目山などの峰に囲まれる形で東西約6km・南北約4kmの凹地が見い出せるが、カルデラなのか浸食地形なのかは断定されていない[3]。この凹地は、西の大村湾に向かってが流れる郡川の源流域で、黒木渓谷と呼ばれる景勝地である。このほか、本明川塩田川などが多良岳山系を源流とする。

概要[編集]

山裾は、放射状に幾重もの谷が発達する。谷の部分では、下流に田畑や集落が細長く分布する。尾根の部分(丘陵)では、第2次世界大戦後、急速にミカン畑や茶畑が開かれた[4]。中腹はスギヒノキの林野が広がり、林業も盛ん[5]。多良岳材[6]としてブランド化が推進されている。長崎・佐賀両県で、それぞれ市町を跨ぐ広域林道「多良岳横断林道」が整備されている。

長崎県、佐賀県がそれぞれ山域を多良岳県立自然公園に指定している[5]。自然景勝として、多良岳と五家原岳の間の谷に広がるシャクナゲツツジの自生群落、キツネノカミソリ、東側の風配高原(山茶花高原)、南東側の轟の滝などがある[5]

中世から山岳信仰の場や修験道の霊場とされた。山頂の太良岳神社上宮や、山頂からやや下ったところにある真言宗金泉寺などはその面影を残す[7]。麓には、金泉寺の寺侍を歌った「ざんざ節」(岳の新太郎さん)という民謡が伝わる[5]

なお、肥前国風土記8世紀)に記された「託羅(たら)の峰」という地名は多良岳山系を指すと考えられる[5]

現代になって登山道ができると、車で中腹の中山キャンプ場(太良町)、奥平谷キャンプ場(鹿島市)や八丁谷(諫早市高来町)まで来て登山することが可能となり、千m級と比較的低いことから初心者に人気となる一方、険しい登山道は上級者向けともされる[8]

多良岳水源の森[編集]

多良岳北東の多良川糸岐川に挟まれた裾野の上部に位置する森林で、多良岳水源の森として水源の森百選に指定されている[9]

水源の森から浸透した水は成層火山が形成した緩やかな傾斜に沿い伊福川、多良川、糸岐川、休石川田古里川に湧出し有明海に注ぐ。裾野は林業や農業が盛ん。

主な登山道[編集]

画像解説[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 出典: 日本の火山 多良岳 - 産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2017年4月閲覧
  2. ^ コトバンク『多良岳』世界大百科事典 第2版、百科事典マイペディア より
  3. ^ コトバンク『多良岳』世界大百科事典 第2版 より
  4. ^ コトバンク『多良岳』ブリタニカ国際大百科事典、日本大百科全書 より
  5. ^ a b c d e コトバンク『多良岳』日本の地名がわかる事典、日本大百科全書 より
  6. ^ 多良岳材のブランド化をめざして - 佐賀県県産木材利用推進プロジェクト会議事務局
  7. ^ コトバンク『多良岳』ブリタニカ国際大百科事典、朝日新聞掲載「キーワード」、日本大百科全書 より
  8. ^ コトバンク『多良岳』朝日新聞掲載「キーワード」 より
  9. ^ a b c 水源の森百選:多良岳水源の森 - 林野庁、2017年4月閲覧

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]