天守物語

天守物語
作者 泉鏡花
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 戯曲
幕数 1幕
初出情報
初出新小説1917年9月号
刊本情報
収録 『友染集』 春陽堂 1919年1月
初演情報
公演名 新派公演
場所 新橋演舞場
初演公開日 1951年10月
演出 伊藤道郎
主演 花柳章太郎
水谷八重子 (初代)
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術
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天守物語』(てんしゅものがたり)は、1917年泉鏡花によって書かれた戯曲文芸誌新小説』に発表された。鏡花は「この戯曲を上演してもらえたら、こちらが費用を負担してもよい」という主旨の発言をしているが、生前には舞台化されなかった。第二次大戦後(1951年)に、新派花柳章太郎(富姫)、水谷八重子 (初代)(亀姫)らによって初演された(演出は伊藤道郎)。[1][2]

澁澤龍彦が『夜叉ヶ池 天守物語』(岩波文庫)解説を執筆しており、前者より「天守物語」を高く評価している。

坂東玉三郎監督・主演、宮沢りえ共演で1995年に映画化されている。2006年フジテレビ系列のTVアニメ怪 〜ayakashi〜』において『四谷怪談』『化猫』と並ぶ3つの怪談の一つとしてアニメーション化された。製作は東映アニメーション

知名度の高い作家の戯曲ゆえに現在までに舞台作品の公演は多数行われているが、本記事では追いきれていない。歌舞伎化、オペラ化と多様である。

あらすじ[編集]

姫路城天守から、妖しい夫人が地上を高みの見物のように見下ろしている。地方(猪苗代)から亀姫が遊びに来訪したりする。夫人が、地上での鷹狩の最中に不思議な力で鷹を武士らから奪い取ると、若い美男の鷹匠、図書之助が鷹を追って天守に上ってくる。恋に落ちる夫人と図書之助。そして事態は思わぬ方向へ……。

派生作品[編集]

映画版[編集]

1995年平成7年)製作、9月9日公開。松竹創業百年の記念作品。[5][6][7]

舞台[編集]

坂東玉三郎版[編集]

坂東玉三郎 (5代目)主演作品。

1977年[編集]

日生劇場で公演。音楽:冨田勲(シンセサイザー演奏の録音)

1985年[編集]

日生劇場で公演。増見利清が演出。
姫川図書之助役は真田広之

1993年[編集]

シアター・ドラマシティで公演。斉藤雅文が演出。
姫川図書之助役は堤真一

中村七之助版[編集]

中村七之助 (2代目)主演の歌舞伎公演作品。
上述の1977年より主演を重ねてきた坂東玉三郎が演出及び照明を担当し、七之助に直接「富姫役」を伝授した[8][9]

《キャスト》
《キャスト》
  • 天守夫人富姫:二代目 中村七之助
  • 若き鷹匠 姫川図書之助:中村虎之介
  • 亀姫眷属茅野ヶ原の舌長婆/工人 近江之丞桃六(2役):六代目 中村勘九郎
  • 富姫奥女中 薄(すすき):六代目 上村吉弥
  • 武田の家臣 小田原修理:四代目 片岡亀蔵
  • 亀姫眷属十文字ヶ原 朱の盤坊:二代目 中村獅童
  • 岩代国猪苗代亀ヶ城 亀姫:五代目 坂東玉三郎

ク・ナウカ[編集]

1996年、宮城聰演出でク・ナウカにより、利賀芸術公園野外劇場で初演。以後、日本を含め世界各地で再演されている[16][17]

泉鏡花の天守物語[編集]

1997年、『泉鏡花の天守物語』の題で、加納幸和の構成・演出により男優のみで構成されている花組芝居が4都市にて上演。2000年・2018年に再演。2018年版は「泉鏡花の」は題に付いていない。2012年にはリーディング公演もあった。

新国立劇場[編集]

1999年2月13日18:30と2月14日15:00に新国立劇場オペラ劇場で全2回公演。[18]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

少年社中[編集]

文化庁芸術祭[編集]

  • 2011年11月5日から20日まで文化庁芸術祭主催公演として新国立劇場・中劇場にて上演。[20][21][22][23] 「演劇特集 舞台 泉鏡花『天守物語』」として2012年1月15日15:00 - 17:00にNHK Eテレで放送、2017年1月22日0:00 - 1:55にNHK Eテレで再放送。[24][25] 以下のキャストとスタッフは本公演に準ずる。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

  • 演出:白井晃
  • 音楽:三宅純
  • 演奏:山田貴之
  • 美術:小竹信節
  • 照明:斎藤茂男
  • 音響:井上正弘
  • 衣装:太田雅公
  • 振付:康本雅子
  • 殺陣:渥美博
  • ヘアメイク:川端富生
  • 演出助手:河合範子
  • 舞台監督:藤崎遊
  • 芸術監督:宮田慶子
  • 主催:文化庁芸術祭執行委員会、新国立劇場
  • 共催:TBS
  • 後援:TBSラジオ

スタジオライフ[編集]

男優のみで構成されているスタジオライフにより、2012年6月9日から24日まで紀伊國屋ホール、2012年6月30日から7月1日まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて公演。[26][27][28][29]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

新版 天守物語[編集]

能楽師の梅若六郎玄祥が総合監修を担当。題名は、『新版 天守物語』。

フェスティバルホールBunkamura オーチャードホールにて2014年4月に上演。[30][31][32][33]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

オペラ[編集]

1979年初演[34]。(1977年にテレビオペラとしてNHKの委嘱により作曲・放送され、そののち舞台作品として改訂・上演された。)[35][36]

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 天守物語(てんしゅものがたり)とは - コトバンク
  2. ^ 須永朝彦バックナンバー03泉鏡花
  3. ^ 天守物語 Tenshu Monogatari - KINOBOOKS(キノブックス)
  4. ^ 天守物語-泉鏡花 宇野亜喜良 山本タカト - 河出書房新社
  5. ^ 天守物語 : 作品情報 - 映画.com
  6. ^ 天守物語|一般社団法人日本映画製作者連盟
  7. ^ 天守物語 | 映画の動画・DVD - TSUTAYA/ツタヤ
  8. ^ 密着!中村屋ファミリー 〜勘九郎の涙 七之助の宿命 姫路城で歴史が動いた!46年ぶりの衝撃SP〜”. フジテレビホームページ. フジテレビジョン. 2023年12月23日閲覧。 “「天守物語」は、人間国宝・坂東玉三郎が演出。主役の「富姫」は玉三郎が1977年初役で演じて以来、守ってきたが、その大役に中村七之助が挑戦することになった。繰り広げられたのは1日10時間以上にもおよぶ玉三郎の熱血指導と舞台演出”
  9. ^ 中沢絢乃 (2023年12月22日). “『密着!中村屋ファミリー』伝統を未来に、奮闘の1年に迫る”. 朝日新聞デジタル. テレビ番組評「試写室」. 朝日新聞社. 2023年12月23日閲覧。
  10. ^ 平成中村座姫路城公演”. 歌舞伎美人かぶきびと. 平成中村座. 松竹 (2023年5月). 2024年1月2日閲覧。
  11. ^ 平成中村座、初の姫路城公演に勘九郎&七之助喜び!上演演目に玉三郎演出「天守物語」(会見レポート)」『ステージナタリー』株式会社ナターシャ、2023年1月30日。2024年1月2日閲覧。
  12. ^ 歌舞伎「棒しばり」「天守物語」〜平成中村座姫路城公演〜”. NHKホームページ. 古典芸能への招待. 日本放送協会 (2023年6月). 2024年1月2日閲覧。
  13. ^ 姫路城運営事務所【公式】 [@himejijo_ops_o] (2023年6月25日). "【テレビ情報📺】 NHK Eテレ「古典芸能への招待」  #平成中村座姫路城公演 から、 #棒しばり 、#天守物語 の2作品をご紹介いただきます👏✨ 《放送日時》 6月25日(日)21:00〜23:30". X(旧Twitter)より2024年1月2日閲覧
  14. ^ 十二月大歌舞伎”. 歌舞伎美人. 歌舞伎座. 松竹 (2023年12月). 2024年1月2日閲覧。
  15. ^ 塚田史香「松緑と勘九郎の『猩々』、玉三郎・七之助がウフフと微笑み合う『天守物語』〜歌舞伎座『十二月大歌舞伎』第三部観劇レポート」『SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス』イープラス、2023年12月13日。2024年1月2日閲覧。
  16. ^ シアター・オリンピックス『天守物語』 spac、2021年1月27日閲覧
  17. ^ 第9回シアター・オリンピックスにて『天守物語』を上演! spac、(2019年6月30日)2021年1月27日閲覧
  18. ^ [ID:147] 天守物語 : 資料情報 | 所蔵品検索 | 新国立劇場 情報センター
  19. ^ 少年社中第24回公演【天守物語】公式サイト 2021年1月27日閲覧
  20. ^ 妖怪は人間より美しい!? 『天守物語』稽古場レポート チケットぴあ(2011/11/2 18:20)
  21. ^ 平岡祐太の“熱演”に篠井英介が大絶賛「劇世界を背負って立つ大ヒーロー」 ORICON NEWS(2011-11-03 18:05)
  22. ^ 篠井英介が平岡祐太の演技を大絶賛!!「平岡祐太は見かけによらずすごい!」ザテレビジョン(2011/11/04 14:18)
  23. ^ 篠井英介、平岡祐太が語る泉鏡花の世界『天守物語』 演劇情報サイト・ステージウェブ(2011年11月 7日)
  24. ^ 演劇公演「天守物語」中継放送のお知らせ 新国立劇場(2012年1月13日)
  25. ^ 演劇「天守物語」(2011年11月公演)アンコール放送のお知らせ 新国立劇場(2017年1月13日)
  26. ^ スタジオライフ×ロック×鏡花!? omoshii(2012/4/26)
  27. ^ 宇野亞喜良&BUCK-TICK今井寿も登場 Studio Life『天守物語』公演記念イベントが開催 演劇ポータルサイト/シアターガイド(2012/4/27)
  28. ^ SPECIAL! BUCK-TICK今井寿×宇野亞喜良×スタジオライフ 奇跡のコラボ! omoshii(2012/6/17)
  29. ^ お祭り気分で愉快に スタジオライフ「天守物語」 朝日新聞デジタル(2012年7月6日)
  30. ^ 大空祐飛、三上博史ら出演 梅若六郎玄祥総合監修『新版 天守物語』製作発表会(シアターガイド、2014/2/4)
  31. ^ 「私なりの花を」大空祐飛が泉鏡花の舞台に挑む チケットぴあ(2014/2/4 17:13)
  32. ^ 大空、三上…さまざまなジャンルのコラボでみせる スターファイル - 朝日新聞社(2014年2月17日)
  33. ^ 恋をした女の愛らしさ、大空が熱演 スターファイル - 朝日新聞社(2014年5月14日)
  34. ^ 昭和音楽大学オペラ研究所 オペラ情報センター
  35. ^ 2016年 日本オペラ協会「天守物語」上演パンフレット
  36. ^ 白鷺城の天守にうごめく魔性のものたち———泉鏡花の幽玄な世界《天守物語》公演レポート オペラ・エクスプレス
  37. ^ 中央公論社版 日本の文学4『尾崎紅葉・泉鏡花』への三島由紀夫による解説

外部リンク[編集]