怪盗グルーの月泥棒 3D

怪盗グルーシリーズ > 第1作「怪盗グルーの月泥棒 3D」
怪盗グルーの月泥棒 3D
Despicable Me
監督 ピエール・コフィン
クリス・ルノー
脚本 シンコ・ポール
ケン・ダウリオ
原案 セルジオ・パブロス
製作 クリストファー・メレダンドリ
ジャネット・ヒーリー
ジョン・コーエン
製作総指揮 ニーナ・ローワン
セルジオ・パブロス
出演者 スティーヴ・カレル
音楽 ハンス・ジマー
ヘイター・ペレイラ
ファレル・ウィリアムス
製作会社 イルミネーション・エンターテインメント
配給 アメリカ合衆国の旗 ユニバーサル・ピクチャーズ
日本の旗 東宝東和
公開 アメリカ合衆国の旗 2010年7月9日
日本の旗 2010年10月29日
上映時間 95分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $69,000,000[1]
興行収入 世界の旗$543,157,985[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗$251,557,985[1]
日本の旗 12億円[2]
次作 怪盗グルーのミニオン危機一発
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怪盗グルーの月泥棒 3D』(かいとうグルーのつきどろぼう、原題: Despicable Me)は、2010年に公開されたイルミネーション・エンターテインメント製作の3Dコンピュータアニメーションコメディ映画「怪盗グルー」シリーズの第1作目であり、ユニバーサル・ピクチャーズが配給する初の3Dアニメ作品となる。

あらすじ

悪党のグルーは、黄色い小さな生物である怪盗軍団ミニオン達と共に、ネファリオ博士が開発した道具を使って盗みを働いていた。しかし最近では悪党としての華やかな活躍は無く、世界一の悪党を目指す彼はこの状況を挽回するためにを盗むことを計画する。しかし月に行くための資金は尽きており、悪党銀行のパーキンス氏に融資を申し込みに行くもけんもほろろに断られてしまう。銀行の支援を受けるためには、月を縮小させて盗みやすくする「縮ませ光線銃」が必要だったため、グルーはその銃を手に入れるが、ライバル怪盗・ベクターに銃を盗まれてしまう。

グルーはベクターの家に侵入し銃の奪回を試みるが、最新の防衛システムを駆使するベクターにことごとく返り討ちにされてしまう。あるとき、ベクターの家に出入りしてクッキーを売っている孤児の三姉妹・マーゴ、イディス、アグネスを目撃したグルーは、彼女たちを利用して、何とか銃の奪回に成功する。三姉妹は養護施設におり、施設の職員であるハッティーにクッキーを売るノルマを課せられていた。グルーは三姉妹に懐かれてしまい、共同生活を送ることになる。最初は嫌がり、めんどくさがるグルーだったが、遊園地などで一緒に遊んだり生活する内に、子供達に少しずつ愛情が芽生えていく。しかし、盗みの仕事に身の入らないグルーは、三姉妹が作戦の邪魔になると考えた博士に三姉妹を追い出せと怒られてしまう。三姉妹は博士によって養護施設に戻されてしまい、グルーは落胆する。アグネスから、バレエの発表会に来て欲しいと言われるが、その日はグルーが月を盗む日だった。

グルーはロケットに乗って宇宙へと旅立ち、「縮ませ光線銃」で月を盗むのに成功した。作戦成功に大喜びするグルーだが、彼はある事をふと思い出す。それは三姉妹のバレエの発表会のことであった。実はグルーがベクターにクッキーを届ける前、三姉妹のバレエを見てアグネスからチケットをもらって見に行く約束をし、ミニオンがグルーのポケットにチケットを入れていたのだ。

急いで地球に戻りバレエの会場に着いたグルーだが、もう発表会は終わっていた。発表会の会場には、ベクターから三姉妹を誘拐したというメッセージがあり、返して欲しければ、月をよこせと書いてあった。グルーは三姉妹を助けるため、自分が手に入れた月をベクターに渡す。しかし、ベクターは三姉妹を返すことなくグルーを殺そうとする。博士の助けにより、グルーは三姉妹を取り戻すが、銃の効果が切れた月は少しずつ元の大きさに戻り始め、計画に失敗したベクターと共に宇宙に戻る。

グルーは本当の幸せを掴むため、三姉妹を引き取って一緒に暮らすことを決める。三姉妹とグルーは一度は盗んだ月を一緒に眺めるのだった。

登場人物

フェロニアス・グルー(Felonious Gru)
声 - スティーヴ・カレル笑福亭鶴瓶
本作の主人公。ミニオンたちのリーダー。盗みや嫌がらせなど、人々を困らせることが大好きで、子供嫌い。世界を驚かす悪事をしようと月を盗む計画を遂行する最中に、ひょんなことから三姉妹の父親代わりとなる羽目になってしまう。カイルというペットを飼っている。最近は成果を出せていないが悪党としての腕は悪くない。一方で嘘の付き方が下手など頭が良いとは言えない時もある。
ミニオンズ(Minions)
グルーの手下の黄色く背の小さい生物。ネファリオ博士がシリアル(日本語吹き替え版ではバナナ)から作ったという。しかし後に人類以前に存在していたことが、スピンオフ作で明かされる。やる気はあるが、ドジな性格のため失敗を重ねてしまう。底抜けに明るくて、能天気な性格。基本的に不老不死らしく、空気がなくても生きていける。話す言葉は独特の言語である(本シリーズのDVD英語字幕では、本作「月泥棒」でGibberish(ちんぷんかんぷん)、続編の「危機一発」以降は、Minionese(ミニオン語)と記されている)が、人間の言葉は理解できるようである。
ベクター(Vector)
声 - ジェイソン・シーゲル山寺宏一
グルーの宿敵。狡猾で自信過剰な性格。相手の真剣な約束を平気で破る卑怯者でもある。眼鏡にジャージ姿が特徴。グルーの計画を阻止しようとする。本名はビクター。通り名は「ベクトル」から取っている。グルーから月を貰い、まんまと基地から脱出したが、突然大きくなった月の影響でピンチに侵され、最後は元どおりになった月と一緒に宇宙に行った。
ネファリオ博士(Dr. Nefario)
声 - ラッセル・ブランド伊井篤史
グルーの家に暮らすマッドサイエンティスト。年齢は約150歳。頭脳明晰だが奇人。一方で冷徹でもあり、三姉妹がグルーにとって作戦の邪魔になると考え、養護施設に戻す。
マーゴ(Margo)
声 - ミランダ・コスグローヴ須藤祐実
グルーの元にやってきた三姉妹の長女。しっかり者で面倒見がいいが、理屈屋で過保護な所がある。実父については不明。フチありの眼鏡をかけている。制服のシャツは、スカートの外に出して着てる。
イディス(Edith)
声 - デイナ・ゲイアー英語版矢島晶子
三姉妹の次女。好奇心旺盛で何にでも手を付けたがる為に、よく騒動を巻き起こしてはグルーを困らせる。いつも白い長靴を履いていて、バレエの発表会も長靴でステージに立つ。
アグネス(Agnes)
声 - エルシー・フィッシャー芦田愛菜
三姉妹の三女。純粋な性格で誰にでも友好的に接するが、内面では愛に飢えている。三姉妹の中で最もグルーに懐いている。ユニコーンが大好きで、それを模したぬいぐるみをねだる。
マレーナ・グルー(Marlena Gru)
声 - ジュリー・アンドリュース京田尚子
グルーの母。グルーがロケットを作ってもそれなりの反応は見せず、かなりキツイ言動が目立つが、昔のグルーの写真アルバムをいまだに大切に持っているなど本来は優しい性格。
パーキンス氏(Mr. Perkins)
声 - ウィル・アーネット内海賢二
犯罪者に協力する「悪党銀行」の経営者。実はベクターの父親であり、「縮ませ光線銃」を取り返すように命令する。
ハッティーさん(Miss Hattie)
声 - クリステン・ウィグ安達忍
三姉妹がグルーのもとへ訪れる前にいた養護施設の経営者の中年女性。見た目は優しそうだが、冷たい性格。
フレッド・マクデイド(Fred McDade)
声 - ダニー・マクブライド青山穣
グルーの隣人。明るい性格でグルーに話しかけるが、彼が飼っている犬のしつけがなっておらず注意される。

キャスト

役名 声優
原語版 日本語吹替版
グルー スティーヴ・カレル 笑福亭鶴瓶
ミニオンズ ケビン ピエール・コフィン 多田野曜平
スチュワート 青山穣
ティム
マーク
フィル
デイブ クリス・ルノー
ジェリー ジェマイン・クレメント
ベクター ジェイソン・シーゲル 山寺宏一
ネファリオ博士 ラッセル・ブランド 伊井篤史
マーゴ ミランダ・コスグローヴ 須藤祐実
イディス デイナ・ゲイアー英語版 矢島晶子
アグネス エルシー・フィッシャー 芦田愛菜
マレーナ・グルー ジュリー・アンドリュース 京田尚子
パーキンス氏 ウィル・アーネット 内海賢二
ハッティーさん クリステン・ウィグ 安達忍
フレッド・マクデイド ダニー・マクブライド 青山穣
ニュースキャスター ロブ・ヒューベル英語版 大塚芳忠
カーニバルバーカー ジャック・マクブレイヤー
ツーリストパパ 桜井敏治
ツーリストママ ミンディ・カリング 雨蘭咲木子
エジプトの警備員 ケン・デュアリオ英語版
トークショーホスト ケン・チョン
その他
佐藤せつじ魏涼子石住昭彦佐藤拓也清水みか岡哲也榊原奈緒子

サウンドトラック

製作

当初、セルジオ・パブロス英語版が「Evil Me」という原題で本作を開発。理由として、息子たちを家族がテーマの映画に連れて行った際、息子たちの最も好きなキャラクターが悪役だったからだと述べている[3]。後に彼は製作総指揮として、本作に関わった。

2008年11月、イルミネーションは、最初の3Dコンピュータアニメーションであり、プロジェクトである本作の製作を開始したことを発表した[4]

リリース

マーケティング

NBCユニバーサルが所有するNBCは、広範なマーケティングキャンペーンを実施。アイホップでは、3種の新メニュー、子供用の朝食、飲み物にすべて「ミニオン」という単語が含ませた[5]ベスト・バイでは、「Best Buy Movie Mode」と呼ばれる無料のスマートフォンアプリケーションをリリース[6]。これは、本作のエンドクレジットに登場するミニオンが発したセリフをスマートフォン上で翻訳してくれるサービスである[7]

書籍

2010年5月、本当に関連する3冊の本「My Dad the Super Villain (ISBN 0-316-08382-8)」[8]、「Despicable Me: The Junior Novel (ISBN 0-316-08380-1)」[9]、「Despicable Me: The World's Greatest Villain (ISBN 0-316-08377-1)」[10]と、劇中にも登場する子供向けの人形本「Sleepy Kittens (ISBN 0-316-08381-X) 」[11]が出版された。

ゲーム

Despicable Me: The Game」と題されたゲームが、PlayStation 2PlayStation PortableWii向けにリリース[12]。後に、ニンテンドーDS向けの「Despicable Me: Minion Mayhem[13]iPhoneiPad向けアプリ「Despicable Me: Minion Mania」がリリースされた[14]

映像ソフト

2010年12月14日DVDBlu-ray、Blu-ray 3Dでリリースされた。特典映像として、Home Makeover英語版Orientation Day英語版Banana英語版の短編映画を収録[15]2017年6月6日Ultra HD Blu-rayでリリースされた[16]

評価

批評家の反応

Rotten Tomatoesでは82%(179人中146人)の評論家が肯定的な反応で、平均点は10点満点中6.8点だった[17]Metacriticでは34のレビューで平均点は72点だった[18]

シカゴ・サンタイムズ』の映画評論家のロジャー・イーバートは4つ星満点で3つ星を与えた[19]。他に『シカゴ・トリビューン』のマイケル・フィリップスや『ローリング・ストーン』のピーター・トラヴァースも好意的な評価を下した[20][21]

興行成績

2010年7月9日に北米の3476館で封切られ、週末3日間で約5600万ドルを稼いで初登場1位となった[22]。同年8月5日、ユニバーサル作品としては『ボーン・アルティメイタム』(2007年)以来となる北米興行収入2億ドル超えを達成した[23]

テレビ放送

地上波放送履歴
回数 放送局 放送枠 放送形態 放送日 放送時間 放送分数 平均世帯
視聴率
備考
1 フジテレビ 2013年9月21日 9:55 - 11:40 105分 地上波初放送。
2 2015年8月23日 13:00 - 14:55 115分 5.5%
3 土曜プレミアム 2017年3月25日[注 1] 21:00 - 23:10 130分 6.4%
4 日本テレビ 金曜ロードショー 本編ノーカット[24] 2023年2月17日 21:00 - 22:54 114分 5.3%
  • 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。

脚注

注釈

  1. ^ 過去2回は地域ごとに放送日時が異なり、今回が初の全国同時ネットでの放送となる。

出典

  1. ^ a b c Despicable Me (2010)”. Box Office Mojo. 2022年10月9日閲覧。
  2. ^ 2010年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟2022年10月9日閲覧。
  3. ^ Fleming, Michael (2008年11月13日). “Steve Carell to voice ‘Despicable’” (英語). Variety. 2020年3月8日閲覧。
  4. ^ Renner, Brian D.. “Everything You Need to Know About Despicable Me Movie (2010): Aug. 15, 2017 - mentioned in Universal Moves 'Secret Life of Pets 2' Up a Month” (英語). Movie Insider. 2020年3月8日閲覧。
  5. ^ "Despicable" Minions Invade IHOP This Summer”. www.ihop.com. 2020年3月8日閲覧。
  6. ^ Best Buy Enhances Theatrical and Home Movie Viewing Experience with a First-of-Its-Kind Mobile Application” (英語). www.businesswire.com (2010年6月14日). 2020年3月8日閲覧。
  7. ^ Giant, Wonder. “Best Buy Movie Mode”. Interactive Design Archive. 2020年3月8日閲覧。
  8. ^ (英語) Despicable Me: My Dad the Super Villain. (2017-06-27). https://www.hachettebookgroup.com/titles/lucy-rosen/despicable-me-my-dad-the-super-villain/9780316083829/ 
  9. ^ (英語) Despicable Me: The Junior Novel. (2017-06-27). https://www.hachettebookgroup.com/titles/annie-auerbach/despicable-me-the-junior-novel/9780316083805/ 
  10. ^ (英語) Despicable Me: The World's Greatest Villain. (2017-06-27). https://www.hachettebookgroup.com/titles/kirsten-mayer/despicable-me-the-worlds-greatest-villain/9780316083775/ 
  11. ^ (英語) Minions: Sleepy Kittens. (2017-06-27). https://www.hachettebookgroup.com/titles/cinco-paul/minions-sleepy-kittens/9780316083812/ 
  12. ^ Despicable Me: The Game For Wii: Video Games”. Amazon.com. 2020年3月9日閲覧。
  13. ^ Despicable Me: The Game: Minion Mayhem”. Amazon.com.. 2020年3月9日閲覧。
  14. ^ Despicable Me: Minion Mania”. iTunes. 2020年3月9日閲覧。
  15. ^ Despicable Me Blu-ray and 3D BD Announced, https://www.blu-ray.com/news/?id=5185 2020年3月8日閲覧。 
  16. ^ Despicable Me 4K Blu-ray”. web.archive.org (2017年3月27日). 2020年3月8日閲覧。
  17. ^ Despicable Me Movie Reviews, Pictures”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2010年10月30日閲覧。
  18. ^ Despicable Me reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2010年9月6日閲覧。
  19. ^ Ebert, Roger (2010年7月7日). “Despicable Me”. rogerebert.com. 2010年7月20日閲覧。 3/4stars
  20. ^ Phillips, Michael (2010年7月8日). Despicable does battle with itself, but sentiment wins in the end”. Chicago Tribune. http://www.chicagotribune.com/entertainment/sc-mov-0706-despicable-me-20100708,0,3234214.column 2010年7月14日閲覧。 
  21. ^ Travers, Peter. “Despicable Me”. Rolling Stone. 2010年7月14日閲覧。
  22. ^ Weekend Box Office Results for July 9-11, 2010 - Box Office Mojo”. Box Office Mojo. 2010年9月6日閲覧。
  23. ^ Ray Subers (2010年8月6日). “Seven-Day Summary: 'Inception's Reign Continues”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年9月6日閲覧。
  24. ^ “金曜ロードショーで2週連続「怪盗グルー」シリーズ、本編ノーカット放送”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2023年1月27日). https://natalie.mu/eiga/news/510399 2023年1月27日閲覧。 

外部リンク