新潟県のラーメン

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新潟県のラーメン(にいがたけんのラーメン)では、新潟県の各地で供されるラーメンについて述べる。

概要[編集]

2002年には、すでに大崎裕史が新潟のご当地ラーメンとして「煮干し系」「背脂系」「生姜系のスープ」「味噌ラーメン」があることを指摘している[1]:179-183。2005年頃から、「新潟あっさり醤油」「新潟濃厚味噌」「燕三条背脂」「長岡生姜醤油」のラーメンが雑誌に特集されていた[2]:84-99。この四つをラーメン評論家の石神秀幸が「新潟4大ラーメン」と定義した[3]:34。2011年頃からは新潟四大ラーメンに三条カレーラーメンを加えることで、新潟5大ラーメンとしてのメディアへの露出が多くなっている[4][5]:13

5大ラーメンに「妙高豚汁ラーメン」「から揚げラーメン」を追加し、新潟7大ラーメン[6][7]、さらに「麻婆麺」を追加して新潟8大ラーメン[8]としてメディアで取り上げられたこともあるが、主流にはなっていない。

代表的なラーメン[編集]

名称 市町村 画像 解説
新潟あっさり醤油ラーメン 新潟市 新潟市中央区西堀通にある三吉屋西堀本店の中華そば 昭和初期に屋台で提供されていた、煮干し風味のあっさり醤油味のスープに細縮れ麺のラーメンがルーツ[2]:84
新潟濃厚味噌ラーメン 新潟市 新潟濃厚味噌ラーメン 野菜たっぷりでコクのあるこってり味噌というスタイル[2]:96。味噌スープを薄めるための「割りスープ」が付くのが特長[9]
燕三条背脂ラーメン 燕市三条市 燕三条系ラーメン うどんのような極太麺[2]:88煮干しなどの魚介類出汁が効いた、濃口醤油スープ[2]:88に、丼から湯気が上がらないほどに大量の[要出典]の背脂が表面を覆っている[2]:88のが特徴。
長岡生姜醤油ラーメン 長岡市 長岡生姜醤油ラーメン ショウガの効いた濃口醤油ラーメン[2]:94
三条カレーラーメン 三条市 三条カレーラーメン 三条市のラーメン店店主が、戦前に東京の修業先から持ち帰ったのが始まり[10]とされ、70年の歴史があると言われている[11][3]:85。2006年頃から、日本のカレーラーメンの店について一番古いのではないかとネット上で言われ始め[12]、地元が町おこしのためにラーメン店を集めて三条カレーラーメンと称した。ラーメンの上からカレーをかける「後のせタイプ」と、カレーと出汁でスープを作る「混ぜ込みタイプ」が混在している[13]

その他のご当地ラーメン[編集]

名称 市町村 画像 解説
麻婆麺 県内全域 麻婆麺 中華料理店でよくあるラーメンに麻婆豆腐をかけたタイプで、1967年創業の「広東飯店」(現在は閉店)が発祥といわれている[14][15]。2018年には、エースコックから、カップ麺「新潟麻婆麺」が発売されている[15][16]。派生として、背脂マーボー麺があり[17][18]、新潟市中央区の「たまる屋」が火付け役とされる[18]
上越豚骨醤油ラーメン 上越地方[19] 上越とんこつ醤油ラーメン 上越妙高とんこつという表記もみられる[20]。元祖とされる「オーモリラーメン」新井店は1951年創業。スープは九州の白濁系のものとは違い、やや透き通ったものである[20]
上越味噌ラーメン 上越地方[21][22] 上越味噌ラーメン 白味噌ベースで、ニンニクの風味が特徴のラーメン[21]。上越市にある「食堂ニューミサ」の店主が北海道出身であったことから札幌ラーメンを研究して看板メニューとして味噌ラーメンを提供したのが始まりとされている[23]「食堂ミサ」の創業者である中田ミサが二号店の立ち上げ準備中に、北海道の岩見沢で喫茶店を営んでいた娘婿の上田和年に商品開発を依頼。当時上田が常連だった味軒で提供されていた札幌ラーメンに着想を得てメニュー化し、一号店、二号店共に提供することになる。現在、一号店の食堂ミサ本店、あらい道の駅店、はまや店は有限会社ミサ企画が運営しており、二号店の食堂ミサは上田が引継ぎ、現在の場所に移転後、「食堂ニューミサ」として有限会社ニューミサが運営している。[要出典]
妙高とん汁ラーメン 妙高市 妙高とん汁ラーメン ラーメンスープの代わりにとん汁を用いたラーメン[24]。赤味噌・白味噌がベースの豚汁スープで、玉ねぎの旨みが利いている[25]。元祖は「松茶屋 らーめん亭」とされている[24]
佐渡あごだしラーメン 佐渡市[19] トビウオ出汁の上品なスープが特徴[19]のラーメン。
もつラーメン 新発田市 もつラーメン 「もつ」と呼ばれる豚の頭肉の煮込みを用いたラーメン[26]。本来の「もつ」ではないのになぜ「もつラーメン」という名前になったのか、由来は不明である[27]:180
あんかけラーメン 阿賀町[28]
へそラーメン 見附市[29] へそラーメン
雪むろ酒かすラーメン 上越市[30] 雪むろ酒かすラーメン
から揚げラーメン 下越地方 から揚げラーメン 新潟市には唐揚げラーメンを提供する店舗があり[31][32][33][34]、1970年頃から提供されている[35]。五泉市にも提供している店舗がある[36][37][7]

新潟におけるラーメン事情[編集]

新潟のラーメン店の多くはトレンドを取り入れアレンジして提供している[38]:91。地元の情報誌「新潟こまち」がラーメンに関して多くの情報を発信している[38]:91。新潟のラーメン店はUターンして開業する人が多い傾向にある[38]:91

新潟市はラーメンにかける外食費用が多い。総務省が全国の県庁所在地と政令指定都市を対象に行った家計調査では、2021年の一年間の支出で日本一を記録している[13][39]。また、新潟県は人口あたりのラーメン屋数で山形県と一二を争っている[40][41]

新潟ではラーメンと半チャーハンのセットメニューのことはラーチャンと呼ばれており、トレンドの一つとなっている[42][43]。ラーチャンの発祥は新潟市中央区の「衆楽」とされている[44]

脚注[編集]

  1. ^ 大崎裕史『無敵のラーメン論』講談社、2002年3月20日。ISBN 978-4061495951 
  2. ^ a b c d e f g 『新潟のラーメン屋』株式会社ジョイフルタウン〈月刊新潟タウン情報 MOOK〉、2005年。 
  3. ^ a b 『月刊 新潟こまち』ニューズ・ライン、2007年10月。 
  4. ^ 4月27日の特集 新潟はラーメン王国だ! 元気を作ろう!ラーメンの絆[リンク切れ] - BSN水曜見ナイト 2011年4月27日
  5. ^ 鳴見なる「六十五杯目 温泉ラーメン」『ラーメン大好き小泉さん』 9巻、竹書房〈バンブーコミックス〉、2020年8月28日。ISBN 978-4-8019-7041-0 
  6. ^ "マツコ有吉のかりそめ天国". 2017年4月5日(水). 5 April 2017. 2023年5月8日閲覧
  7. ^ a b 五泉市 応援隊 桜タマ吉 による 2017年4月6日 の投稿 - Facebook
  8. ^ 村上隆保 (2022年3月3日). “ラーメン外食費日本一! 新潟の「5大ラーメン」”. 週プレNEWS. 集英社. 2022年12月14日閲覧。
  9. ^ 佐藤勇馬、田巻玲未『新潟あるある』TOブックス、2014年、119頁。ISBN 978-4864722728 
  10. ^ 「三条でカレーラーメンが熱い 名物のPRきっかけ コンビニで発売=新潟」『読売新聞』、2009年3月21日、東京朝刊 新潟北版、27面。
  11. ^ 三条カレーラーメン(三条市HP)
  12. ^ 電脳麺日記” (2006年7月27日). 2016年10月21日閲覧。
  13. ^ a b TBS NEWS (16 February 2022). 新潟市が「ラーメン外食」日本一に!5大ラーメンなど実はラーメン王国. YouTube. TBSテレビ. 2022年2月17日閲覧
  14. ^ 大崎裕史 (2018年6月15日). “名乗り上げた新潟6番目の味「麻婆麺」 バリエーションも豊富、県内全般に拡大”. zakzak. 産業経済新聞社. 2020年3月5日閲覧。
  15. ^ a b “エースコック、カップ麺の「新潟麻婆麺」発売”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2018年9月13日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35340960T10C18A9L21000/ 2020年3月5日閲覧。 
  16. ^ 「「新潟麻婆麺」 カップ登場 県産米粉使用=新潟」『読売新聞』、2018年10月12日、東京朝刊 新潟2版、24面。
  17. ^ 新潟県第6のご当地ラーメン!燕三条系ラーメンと融合した「背脂マーボー麺」”. ニッポンごはん旅. SMNメディアデザイン. 2022年2月14日閲覧。
  18. ^ a b 池田証志 (2020年3月9日). “新潟麻婆麺が多種多様に進化 ご当地ラーメン狙う盛り上がり”. 産経新聞. https://www.sankei.com/article/20200309-3VDWPIKB2VPU5HX556EBK4ISNQ/ 2022年2月14日閲覧。 
  19. ^ a b c 表参道 新潟館・ネスパス「ご当地ラーメンシリーズ - PICK UP! 注目の商品」(PDF)『ネスパスニュース』、公益財団法人 にいがた産業創造機構、2頁、2020年6月29日閲覧 
  20. ^ a b 田中貴(サニーデイ・サービス) (2020年3月20日). “新潟5大ラーメンに続くネクストラーメンを探してみた!”. 新潟のつかいかた. 新潟県. p. 2. 2021年3月25日閲覧。
  21. ^ a b 池袋に新潟ご当地ラーメン「上越味噌」「長岡生姜醤油」など”. 池袋経済新聞 (2018年3月20日). 2020年5月28日閲覧。
  22. ^ 大崎裕史 (2019年9月13日). “「ご当地の味」アレンジした4種類のメニュー 池袋「ナベラボ」”. zakzak. 産業経済新聞社. 2020年5月28日閲覧。
  23. ^ 「みそラーメン」が人気の食堂ニューミサが9月23日に50周年イベント”. 上越タウンジャーナル. デジコロ (2017年9月21日). 2020年10月31日閲覧。
  24. ^ a b 新潟・妙高市の名店3店を巡る”. メシ通. リクルートホールディングス (2016年12月21日). 2020年3月7日閲覧。
  25. ^ うまさぎっしり新潟 妙高とん汁ラーメン”. 商品詳細. エースコック. 2020年11月11日閲覧。
  26. ^ 名物「もつラーメン」には「もつ」が使われていない?新潟県新発田市「食堂みやむら」”. メシ通. リクルートホールディングス (2018年10月29日). 2020年3月7日閲覧。
  27. ^ 田中貴『ラーメン狂走曲』ワン・パブリッシング、2021年12月27日。ISBN 978-4651201726 
  28. ^ “阿賀町の「あんかけラーメン提供店マップ」が更新”. にいがた経済新聞. (2020年1月14日). https://www.niikei.jp/28683/ 2020年3月7日閲覧。 
  29. ^ もはや唯一無二!? 名前も見た目もユニークなへそラーメン〈紅竜飯店〉”. 新潟のつかいかた. 新潟県 (2019年12月4日). 2022年2月14日閲覧。
  30. ^ 上越新名物「雪むろ酒かすラーメン」の紹介”. 上越市 (2022-91-24). 2022年3月3日閲覧。
  31. ^ ラーポン事務局 (2022年9月15日). “唐揚げとラーメンが融合!新潟市江南区「白浜屋」の名物メニュー”. &Komachi. ニューズ・ライン. 2023年5月8日閲覧。
  32. ^ okutani (2018年2月20日). “とん汁ラーメンがじわじわキテる!妙高市の「とん汁たちばな」に行ってきた”. 新潟永住計画. クーネルワーク. 2023年5月8日閲覧。 “新潟市内では「唐揚げラーメン」が人気急上昇中です。”
  33. ^ 大将ラーメン”. にいつ新光商店街協同組合. 2023年5月8日閲覧。
  34. ^ 旧新津の大将ラーメン”. Komachi web. ニューズ・ライン (2010年1月30日). 2023年5月8日閲覧。
  35. ^ 丼縁の特製網に唐揚げ!斬新ビジュアルの新津名物|新潟市秋葉区新津”. 日刊にいがたWEBタウン情報. ジョイフルタウン (2019年11月11日). 2023年5月8日閲覧。
  36. ^ 鶏のコラーゲンがたっぷり詰まった美容にも空腹にも大満足のからあげラーメン|五泉市”. 日刊にいがたWEBタウン情報. ジョイフルタウン (2023年4月13日). 2023年5月9日閲覧。
  37. ^ 五泉駅から徒歩5分圏内! 気軽に入れる飲食店「BOB HOUSE」「日の出食堂」/五泉市”. にいがた観光ナビ. 新潟県観光協会 (2021年12月2日). 2023年5月9日閲覧。
  38. ^ a b c 大崎裕史『日本ラーメン秘史』日本経済新聞出版社〈日経プレミアシリーズ〉、2011年10月12日。ISBN 978-4532260811 
  39. ^ 新潟市 ラーメンにかけた外食費用で初の日本一に”. 日本放送協会 (2022年2月14日). 2022年2月14日閲覧。
  40. ^ ポッポ (2021年3月21日). “【2021年最新版】ラーメン店が多い都道府県ランキング! ラーメン王国「山形県」「新潟県」に続く都道府県わかる?”. ねとらぼ. ITMedia. 2023年12月6日閲覧。
  41. ^ 山路力也 (2023年2月7日). “山形市が「ラーメン日本一」を奪還 なぜ山形や新潟はラーメン消費が多いのか?”. Yahoo!ニュース. LINEヤフー. 2023年12月6日閲覧。
  42. ^ ラーメンWalker (2021年3月17日). “新潟の麺文化を発信し続ける名店「我武者羅」。新メニュー「ラーチャン」での新たな挑戦とは?”. アスキーグルメ. KADOKAWA. 2022年2月15日閲覧。
  43. ^ 大崎裕史 (2018年10月19日). “ラーメンと半チャーハンで「1」 単なるチャーハンセットじゃない「ラーチャン」”. zakzak. 産業経済新聞社. 2022年2月15日閲覧。
  44. ^ #187 新潟SP”. 町中華で飲ろうぜ. BS-TBS. 2022年4月22日閲覧。

外部リンク[編集]