校則

校則(こうそく)とは、学校内部における規則のうち、特に在学生自身に関わる定めのことである。児童規則(じどうきそく)、生徒規則(せいときそく)、学生規則(がくせいきそく)などともいう。校則を定めるかどうかは学則などとは異なり各学校の事情に委ねられ形式や効力は各学校によって異なっている。また、教師の裁量や校長の指針によっても異なる。

このように各学校によって校則が異なるため、教育委員会が細かな校則を把握できていない。そのため、日本の一部の学校においては、学業や人格形成の観点から本来必要のないルール(頭髪・服装規定といった「身だしなみ」に関するものなど)が存在している。このようなルールは生徒に「遵法意識の低下」や「規則全般へのアレルギー」をもたらす場合があり、かえって人格形成が妨げられる要因となっている。

2022年度より、東京都では不適切な校則や指導の見直しを行っており、教育環境の改善が期待されている。しかし、私立中高が数多く存在する東京都においては、都立高校を対象とした校則見直しの効果は限定的となっており、根本的な解決には至っていない。

概要[編集]

校則の内容としては手続きに関する規定と在学生の日常生活に関する規定とに大きく分けられるといわれる。

手続きに関する規定としては、家庭との連絡、出欠席、懲戒訓告停学退学など)、休学転学編入学進級卒業などについての規定がある。一般的にこれらの規定は、学則(教育に関して学校が定めた規則)の定めを受けて、在学生に対して行われる具体的な手続きや在学生が行う届出の方法などの細部が定められているものが多い。

日常生活に関する規定としては、制服標準服体操着の着用方法、運動靴を含む靴下の指定、染髪・パーマなど髪型にまつわること、化粧装飾品の着用にまつわること、学生鞄や学校への持ち込み物、校内外の行動(授業中の態度、登校時や下校時の行動、深夜や長期休暇中の行動など)についての規定がある。一般的にこれらの規定は、生徒指導(生徒の人間形成を図る活動)と密接な関連性を持ち、教育の目的(人格の完成など)を達成するためという建前のもとに定められているものが多い。しかし、多くが管理教育の一環として行われ、教育者本人の人格が損なわれるなど本末転倒となっている。また、人間形成の観点から本来守る必要のない規定が多く、「ルールは守らなくても良いもの」という価値観を生徒に与える要因の一つとなっている。生活指導部の教員が主に規定を定めている。

双方の規定とも、生徒の便宜を図るために定められているものであり、校則の運用は、生徒の利益を基本的に考慮して行われることが望ましいとされる。しかし、校則は、制定・改正・廃止などの手続きや、明文化されている(成文の)ものとそうでない(慣習の)ものが混在しているなど、形式が厳格に整えられていないことがあり、このような場合では、運用の際に不明瞭な点を残す場合もある。特に、日常生活に関する規定については、在学生に対する懲戒処分を行う際の規範となることがあるため、規定の有効性や内容の是非をめぐる裁判上の争いも見られる。

また、「校則は学校生活において在学生が直接関わる規則であり、在学生が法規範をはじめとする社会規範の理解を図る上で効果がある」と主張する者もいる。しかしながら、これは「副流煙に悩まされる現代社会の理解を図るために在学生にたばこを強要する」といった考え方に近い。社会規範に則った校則の運用よりも、社会規範そのものの見直しが有効な場合もある。また、在学生の法規範などに対する知識は必ずしも十分とはいえないため、学校はそのことに対して在学生の権利を不当に侵害したり、在学生が社会規範に不信を持ったりしないように校則を運用する必要もあるといわれる。

日本における校則[編集]

歴史[編集]

校則問題#歴史も参照のこと) 第二次世界大戦前は、学校の権限として、在学生と学校を結びつける物として、事務手続きや教育的指導についての規定が定められていたといわれる。この当時は、教育を受けることは義務的なものであるとも考えられていたことや、保護者は教育的な事項の多くを教員にゆだねる傾向が強かったことから、学校の裁量が比較的大きかったといわれる。

第二次世界大戦後に日本国憲法教育基本法が制定されると、教育を受けることが権利であるという認識が高まり、保護者も教育へ積極的に参加するようになった。当時も、学校が校則の制定者・責任者と考えられたが、校則を決定する際には、保護者の意見などを尊重した上で、それぞれの地域の実情をふまえて定める傾向が広がった。また、当時は家庭教育や地域社会教育がまだ充分に機能していたため、学校外での日常生活までに細かく踏み込んで制定したものは、宗教色の強い一部の私立学校を除いてはほとんどなかった。

文部省と都道府県教委は、1960年代末~1970年の学園紛争を契機として「教育の正常化」を旗印に大学・高校を管理主義的に再編成することに傾注した。とくに新設の高校において厳しい管理体制をしいた。やがて高校からでは遅いと、命令一下による集団行動の徹底に重きを置く「管理教育」は中学にまで波及した[1]

1980年代には、生徒指導を拡充する目的で、在学生の日常生活(本来なら家庭や地域社会の領域である学校外も含めて)に関する規定が肥大化し、校内暴力などの問題が多発した。

1988年3月、清水市立第二中学校(現・静岡市立清水第二中学校)は、校則に合わない髪型をした男女4名の生徒の写真を卒業アルバムから外し、花壇の花の写真に差し替えた[2][3]。「卒業アルバム事件」は新聞各紙で報じられ、同年3月31日には参議院法務委員会で質疑が行われるに至った[2]

これをきっかけとして文部省は方針を180度転換。同年4月25日、文部省初等中等教育局長は都道府県教育委員会中等教育担当課長会議において、校則の見直しを教育委員会に対し指示した。校則を最小限のルールにとどめること、児童生徒の自主性尊重などが促された[4][5][6][1]

1990年には神戸市の女子高生が遅刻しないように駆け込んだ校門に挟まれ死亡した(神戸高塚高校校門圧死事件)。この一件を受け、文部科学省は学校に対し社会の実態に合わせて校則の見直しを行うよう指示した。このことを受け、各地で校則の緩和が見られた。しかし、2000年代以降も細かなルールは残っており、根本的な解決には至らなかった。

1994年からは児童の権利に関する条約が日本国内でも発効したため、校則の内容について生徒の意見も取り入れようとする試みも以前に比べて盛んに行われるようになった。2000年代には、コミュニティ・スクールなどをはじめとして、保護者や地域社会も学校の運営に参画するという学校のあり方も提案され、校則は、学校外部の意見も相当に考慮して定められるべきであるという考え方が広まりつつある。

2018年3月29日には文教科学委員会で、林芳正文部科学大臣が厳しい校則について、「児童生徒の特性や発達の段階を十分に考慮することなく厳しい指導を行うということは児童生徒の自尊感情の低下等を招いて、児童生徒を精神的に追い詰めるということになる」と答弁しているが、髪の細かい規定、眉剃り禁止、下着の色指定などの厳しい校則が改訂されるまでには至っていない。

大阪府による大阪府立学校の校則改訂実施率は2018年4月16日時点で改定を行なったが33.0%、改定を行わなかったが51.3%であった。[1]

2022年5~6月時点での北海道の道立高校での校則改訂実施率は見直しを行なったが78%、点検を行なったが見直しを行わなかったが22%であった。[2]

2022年には、全国の校則をインターネットで公開する取り組みが始まっている。この取り組みは全国の中学・高校生らで作られたグループが、情報公開請求で集めた都道府県立高校の校則を掲載している。掲載されている学校数は、東日本を中心に1302校、全国の公立校の3分の2にのぼる。[3]また、校則を生徒自身が妥当であるかを考えるイベントなど開かれている。[4]


法的根拠[編集]

校則について、とりわけ私生活や生活態度など道徳的な部分や私的な領域に踏み込む、通例「生徒心得」と呼ばれるものについて、しばしば丸刈り強制や男女交際の禁止など人権に抵触する疑いが持たれ、時には裁判で争われる事態となっている。こうしたなかで、校則の効力の法的根拠が問われることとなった。

校則の法的根拠を主張する側の論拠としては次のようなものがあげられる。

特別権力関係論
学校という建物の使用規則として、公法上にいう包括的な支配関係である特別権力関係が成立しており、合理的な限度内で自由に規則を制定できるとする。しかし公法学上、特別権力関係が存在するという議論自体が後退しており、もはやほとんど主張されない。
仮に特別権力関係論を主張するにしても、義務教育を除く国公立学校のみである。
在学契約論
おもに高等教育や私立学校について、校則の存在や学校の制定権について、入学時に自由意志に基づいて契約が成立したものと(明文の規定がなくても)考える[誰?]説。これについては、人権にかかわる問題については契約も及ばないという点が指摘される[誰?]。また、判例は「入学時の自由意志」は生徒に違法な処分を受忍させる根拠とはならないという立場を示しており[7]、この在学契約論も広く支持される見解とはいえない。
部分社会論
現在最も表立って主張される理論であり、学校は自律的な部分社会であり、そこでの内部規律については法や人権が犯されない限り、外部は干渉すべきでないとするもの。また、憲法上の諸権利を根拠とした干渉についても、これらの権利は主として公権力と個人との関係を規定したもので、私人関係の関係には援用されないとされる。

校則の内容[編集]

共通に見られる事項[編集]

校則には、手続きに関する規定が、学校の種類を問わず比較的共通に見られる。

具体的には、家庭との連絡に「連絡帳」や生徒手帳などを用いること、欠席の連絡をする際の方法、懲戒処分(訓告・停学・退学など)が行われる際などに在学生に求められる行為、高等学校などの後期中等教育以上の段階にある課程では、休学、転学、編入学、自主退学などについての定めもある。

これらの多くは、細部を具体化する規定であり、それぞれについて改めて個別に規則を作って定めることも可能である。しかし、在学生の権利や義務などの重要な事項に関連するような規定もあるため、在学生の参照頻度が比較的高い校則にも組み込んで規定している場合が多い。

校則はあまり外部に公表されない場合が多いため、学校に入学してから初めて詳細な校則を知る場合も多い。

校則の例[編集]

廊下走る行為等の危険行為について(小学校などに多い)[8][9][10][11][12]
廊下を走るのは危険な行為であり[13]、出会い頭に衝突して負傷するリスクもある。
携帯電話PHSを含む)の扱い。(中学校・高等学校に多い)
携帯電話の扱いは、学校によって多種多様である。
持ち込んではいけないという規定を設けるところもあるが、隠れて持ち込んでいる生徒は多い。さらに、授業中にこっそり携帯電話を使うケースもある。もっとも現在では、高等学校以上の学校では持ち込んでいる生徒が大半であり、これを許可する学校は国公私立を問わず多い。このような場合、「学校にいる間は電源を切ること。」「休み時間や放課後は使用しても良いが、授業中や試験の時には必ず電源を切ること」などの条件を設けた所と、特に規定のない所に二分される。
近年、未成年者をターゲットとした犯罪が多発している(と感じている)ことから、長距離通学を強いられる国立・私立校を中心に、小中学校でも安全確保のため携帯電話の持込みを解禁した学校もある [5]。その場合、登校時に電源を切った上で学校が預かり、下校時に返すという措置をとる学校も多い。
また、聾学校においては、在学者自身が保護者と連絡を取るために携帯電話の電子メールが必要とされることがあり(耳が聞こえないため、通話ができず、文字通信に頼らざるを得ない)、積極的に携帯電話の所持を奨めている場合もある。
なお、このように携帯電話解禁が進んでいる時代であるが、携帯電話やスマートフォンの持ち込み、さらには所有すらも禁止する学校もある。
また、録画や録音機能を使って教師の不適切な発言、体罰等の行為を秘密録音で記録するという意味においては、携帯電話は必要であるという意見もある。(逆に「教師の不適切な発言、行為を記録させないために」持込を禁止すべきという意見も学校側には存在する)。実際に大韓民国で、生徒間のいじめの現場や教師の不正行為、体罰の現場を密かに録画し、これを動かぬ証拠として告発に成功した事例がある。一方、同様の記録を「校則に反して持ち込んで携帯電話だから」として無視し、教師側の不当行為は「証拠が無い」とし、逆に生徒側を携帯電話の持ち込みを理由に退学処分(この高校では事実上、通常携帯電話の持ち込みは黙認され、多くの生徒が教師の面前で普通に使用していたにもかかわらず)にした例もある。
頭髪検査
校内秩序を維持する目的として、規定の頭髪服装及び化粧の有無を調べる検査。検査により校則に反する場合は変更を求めるもの。地毛証明書や紙染めの強要やパーマ禁止などの他にも真っ直ぐに伸ばせば眉にかかることや肩に髪がかかったら結ぶ等の細かな毛髪指導も存在する。2019年3月、千葉県の県立高校で生徒指導の教諭らが生徒にごみ袋をかぶせて黒染めスプレーを吹きかけていた行為について、千葉県弁護士会は体罰に準ずる行為にあたるとして千葉県教育委員会や学校に警告書を出している[14]

服装規定

  服装に関して、代表的な例は靴下の色指定、マフラー・ネックウォーマーの着用禁止、タイツの着用禁止等である。また、夏服と冬服の着用期間を定め、期間内では指定された制服を着用しなければならないといった規則も見られる。このような規則に関しての共通点は学校指定品の購入を義務付けられることである。学校指定品の購入は金額が高く、家計の経済的負担が大きくなることが問題視されている。また、着用制服の指定は体調不良にもつながりうる。


部則 [編集]

中学校以降は「課外活動」扱いになり、法的には任意ではあるが、学校によっては必須になっていることもあり、下校時間以降の活動が強いられることもある。また、退部することが禁止されている場合もある。

幼稚園[編集]

幼稚園では、制服の着用や近隣の住民との接し方などについて幼児に教示していることが多いが、これらは、幼児に対しての日常的な保育活動・教育活動の一環として行われており、「幼児に対する規則」なのかどうかははっきりしていない。守られることが求められる規範は、保護者に理解を呼びかけて対応することが多く、学校の規則というよりは、学校と家庭との間の協定に近い傾向がある。

小学校[編集]

小学校では、上記の幼稚園と同様に然程校則は厳しくなく、あるとしても登校中・下校中の買い食いの禁止といった規定がある程度となっている。このほかに学区が広域にわたる学校などで、登校中・下校中などに困ったことが起きたときの行動について、地域社会との協定に基づいて、特別に児童向けの規定が設けられていることがある。なお、小学校で「校則」の用語は少なく、「教え」と言われることが多い。

中学校[編集]

中学校では、大部分の学校で制服が指定され、制服の下に着用する下着の色を色またはペールオレンジに規定している(文京区立中学校全10校中6校[15])学校もある。生徒に自我が芽生え始めるため、特に頭髪について着色や整髪料使用の禁止、パーマを禁止する規定が見られ、このため、天然パーマの生徒が天然パーマ証明書を携帯しなければならない学校もあった。現在では、特に明文の規則には定めず、学校と各保護者が個別に話し合ってその時々に決めていくという事例も増えてきている。なお、熊本県などの一部の中学校では、(男子)生徒の頭髪を丸刈りに統一する校則がごく最近(遅いもので2006年頃)まで残り、問題ともなって、廃止運動などが起きていた。日本弁護士連合会が丸刈りの強制は、日本国憲法に違憲と結論付けた。

高等学校[編集]

高等学校では、中学校よりも生徒の行動力、年齢的に可能な行為が広がる一方、大学ほど生徒の自主性に重きを置いていないせいか、運転免許証の取得、バイク通学の可否など「法律上は可能な行為の規制」が論点となる。全日制の課程では、在学中の運転免許の取得の禁止や、バイク・自動車購入・運転免許取得費用を調達するための就労の禁止をしている学校が多かった(原付のみ許可の場合もあった)。このため、秘密のアルバイトや、バイク運転などが発覚して問題となる場合があった。

しかし、在学中の運転免許証の取得禁止を1982年以来、全国単位で推進してきた全国高等学校PTA連合会が 『三ない運動全国決議』を、1997年の全国大会において、拘束力のない「宣言文」に格下げして以来、自動車・バイクの免許取得・運転を規制する校則は衰退の傾向にあるが、それでも運転免許の取得を禁じている高校は未だに多い。

ほかに、女子校などでは妊娠すると退学になるなどの慣習による規範があることもあるが、この規範については、日本における女子の婚姻が2022年の法改正以前は16歳から可能であったこと、またミッション系では男女交際を禁じる校則が存在し、会話すらも禁止されることがあるなどから、人権問題となることもある。

全日制の課程では、中学校同様に服装や頭髪の規定があるなど、多くの日常生活に関する規定が存在することが多い。しかし、定時制の課程通信制の課程では、就労、染髪(少数であるが、校則でアルバイトをはじめとする、就労禁止の定時制や通信制も存在する)などに関する制限があることは少なく、少数であるが、着用自由の制服や標準服がある学校も存在するが、華美な服装(学園生活にふさわしくない高級ブランドの服装、防寒着、シューズなど)での登校は禁止されている。

旧制中学校高等女学校を前身とするなど歴史の長い学校では、バンカラが盛んな当時の名残で、ラッパズボンの着用や下駄履き登校(応援団のため全面禁止ではない)を明文禁止する(音がうるさいことが理由と見られる)など現代社会では無意味な規定が残っていたり、校則の改正が頻繁に行われず、現代的な諸問題がほとんど規定されていない場合もある。

学校サイドによる退学処分をすると、学校のイメージが下がるためか自主退学、転校を勧めたり、無期限停学にして出席日数不足で留年・退学させるというケースも多く、各種統計における退学者の人数は氷山の一角にすぎない。中には、「××の場合には自主的に退学しなければならない」という論理的におかしな校則が存在する。

大学・短期大学[編集]

大学短期大学では、自動車通学の可否などが論点となることもある。また、大学紛争・大学闘争で混乱した経緯がある学校は、学生の政治運動(立て看板掲示やビラ播き)に関する届出制などの規定があることがある。大学の内部が事務組織と教育研究組織に分かれているため、それぞれが単独で学生に対して校則を定める場合もある。

特別支援学校[編集]

特別支援学校では、幼稚部・小学部・中学部・高等部に分かれており、それぞれで幼稚園・小学校・中学校・高等学校に準じた教育が行われる。校則については、各部ごとに教育段階に応じて作られていることが多いものの、少人数であるためか、詳細な規程もやや少なめであり、校則に関しての画一的な教示も少なめであるといわれる。尚、生徒指導が行われないという意味ではなく、規範に大きく反すれば個別的に対応がとられる。

校則の文体[編集]

教科書の文体などと同様に、校則の文体についても、幼稚園・小学校は「…ましょう」を多用した敬語体での表記が多く(ただし1980年代までは常用体を用いていた小学校も多かった)、中学校以上は法律と同様に「…である、…すること、…ればならない」などの常用体での表記が圧倒的多数を占めている。

裏校則[編集]

学校側が決める規則ではなく、先輩-後輩の関係など学生間においての慣習的規則による「裏校則」と呼ばれるものが存在することがある。いわゆる「アンリトゥン・ルール」。服装などを理由にいじめ等に発展するケースがある[16]

ブラック校則[編集]

ブラック校則とは、理不尽であったり、守る理由がわからない不合理な校則を指す(管理教育#管理教育的とされることのあるものも参照)。 頭髪や下着などを一律に制限、規定する校則は人権や多様性の観点から問題があると指摘され、批判が広がっている。

海外における校則[編集]

ドイツ連邦共和国(旧西ドイツ)における校則[編集]

西ドイツの校則については、『Die Bildung in der Bundesrepublik Deutschland ドイツの教育』(天野正治結城忠別府昭郎編著、東信堂、1998年7月初版発行)の「第Ⅱ部 学校教育の組織・内容・方法」の「第6章 初等教育と子どもの学校生活」の「3 子どもの学校生活」(結城忠執筆)では、ヘッセン州総合制学校(Gesamtschule)にスポットを充てて次のように紹介している。

④校則・髪型・服装
ドイツの学校にも校則はある。けれども、わが国の校則とは大きく異なり、それは、学校(生活)における最小限の約束事といった程度のものである。だから、たとえば、始業・終業時間、休憩時間、校庭におけるルールについて規定されているにすぎない。児童・生徒の法的地位や権限領域に触れる事柄は、教育における法治主義の原則により、校則では規定できない建前になっている。
髪型や服装に関するコントロールは、原則として、いっさい存在しない。髪型や服装はほんらい各人の個人的自由・嗜好に属する事柄であり、したがって、これについては、第一次的には生徒自身と親に権利と責任があり、学校運営や授業への支障があるなど特定のケースを除いて、学校は原則としてこれに介入できない、という考え方が法制上定着している。

ニュージーランドにおける校則[編集]

ニュージーランドでは、カトリック系中高一貫校セントジョンズ・カレッジが校則で髪の長さは「後ろは襟につかない、前は目に掛からない」としており、一人の在学生が散髪を拒んだため停学処分を受けたことから訴訟となり、2014年6月27日に裁判所は重い懲戒処分は真に重大な問題に対して適用されるべきであるとして少年が長髪にしておくことを認める判断を下した[17]

脚注[編集]

  1. ^ a b 森山昭雄『丸刈り校則 たった一人の反乱』風媒社、1989年3月31日、100-101頁。ISBN 978-4833109321 
  2. ^ a b 第112回国会 参議院 法務委員会 第2号 昭和63年3月31日”. 国会会議録検索システム. 2021年6月28日閲覧。
  3. ^ 朝日新聞静岡支局編『卒業アルバムから子どもの顔が消えた。―検証・静岡の教育』二期出版、1989年5月。 
  4. ^ 児山正史. “校則見直しに対する文部省・教育委員会の影響(1) 公共サービスにおける利用者の自由”. CiNii. 2021年6月28日閲覧。
  5. ^ 岡崎市議会 昭和63年6月 定例会 06月08日-08号”. 岡崎市会議録検索システム. 2021年6月22日閲覧。
  6. ^ 生徒指導関係略年表について”. 文部科学省. 2021年6月29日閲覧。
  7. ^ 裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan”. www.courts.go.jp. 2023年6月17日閲覧。
  8. ^ 田村市立古道小学校"学校のきまり"2011年4月8日(2011年7月31日閲覧。)
  9. ^ 輪島市立大屋小学校"平成23年度がスタート"2011年4月26日(2011年7月31日閲覧。)
  10. ^ 京丹後市立黒部小学校"黒部小学校のきまり"(2011年7月31日閲覧。)
  11. ^ 河内長野市立天野小学校"天野小学校の約束"(2011年7月31日閲覧。)
  12. ^ 瀬戸内市立牛窓中学校"牛窓中学校のきまり"平成22年4月30日(2011年7月31日閲覧。)
  13. ^ 大東市立住道南小学校"住南小だより第4号"平成23年5月17日(2011年7月31日閲覧。)
  14. ^ ごみ袋かぶせ髪に黒染めスプレー 千葉県立高に弁護士会警告 共同通信、2020年11月6日閲覧。
  15. ^ 文京区中学校の校則「白無地の下着着用」規定に物議 - R252016年10月25日
  16. ^ AERA1998年6月8日号の特集「学校の裏校則」より
  17. ^ 長髪が原因で停学の高校生、裁判で勝訴 NZ”. AFP (2014年6月28日). 2017年4月9日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]