組織プラスミノーゲン活性化因子

組織プラスミノーゲン活性化因子(tissue plasminogen activator:略称 t-PA または PLAT)は、線溶系に関与するセリンプロテアーゼの1種(EC 3.4.21.68)である。ウロキナーゼ(uPA)と同じく、プラスミノーゲンを活性化することでフィブリンを分解させ、血栓溶解薬として塞栓症および血栓性疾患(心筋梗塞脳梗塞)の治療に使われる。組み換え型t-PA(rt-PA)も用いられている。

血管内皮細胞から分泌される。ウロキナーゼと同様に、1本鎖t-PA(前駆体)として作られ、プラスミン等により開裂されて活性の高い2本鎖t-PA(ジスルフィド結合でつながっている)となるが、1本鎖t-PAも活性を有する。プラスミノーゲンを活性化し、活性型のプラスミンを生成する。プラスミンは血栓のフィブリンを溶解するセリンプロテアーゼであり、また細胞外基質の分解にも関与する。t-PAは凝固線溶系において、1本鎖型のプラスミノーゲンを開裂し2本鎖型のプラスミンにする。このプラスミンがトロンビンを分解し血栓を溶解する。また細胞外基質の分解を通じて細胞移動やがん転移にも関与する。

問題点[編集]

脳細胞は一度破壊されると再生せず、脳の血流が途絶えてしまうとその時点から脳細胞が死滅していく。そのため、t-PA製剤は発症した後すぐに薬を使用する必要があり、少なくとも発症後6時間以内に薬を投与しなければならない。

また、血栓溶解薬は全身に作用する。そのため、脳血管以外の部位から出血する危険性がある。

遺伝子組換え組織プラスミノーゲン活性化因子[編集]

天然型のt-PAは半減期が短く、医薬品として用いる場合には大量長時間に投与する必要があり、非梗塞部位での出血のリスクが高い。その改善の為アミノ酸配列を変更し、半減期を延長した遺伝子組換え製剤が開発された[1]

脚注[編集]