鈴木涼美

すずき すずみ

鈴木 涼美
生誕 (1983-07-13) 1983年7月13日(40歳)[1]
日本の旗 日本 東京都中央区[2]
出身校 慶應義塾大学環境情報学部
東京大学大学院学際情報学府
職業 作家[3]
活動期間 2013年 - 現在
著名な実績 著書
『「AV女優」の社会学』
『身体を売ったらサヨウナラ』
『愛と子宮に花束を』
『おじさんメモリアル』
『オンナの値段』
『女がそんなことで喜ぶと思うなよ』
『すべてを手に入れたってしあわせなわけじゃない』
『可愛くってずるくっていじわるな妹になりたい 』
『非・絶滅男女図鑑』
『JJとその時代』
『ニッポンのおじさん』
『娼婦の本棚』
『ギフテッド』
影響を受けたもの 宮台真司
大塚英志
テレビ番組サンデージャポン
有吉ジャポン
千原ジュニアのキング・オブ・ディベート
肩書き日本経済新聞社記者
AV女優[4][5]
鈴木晶法政大学名誉教授/父)
灰島かり(翻訳家/母)[6]
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鈴木 涼美(すずき すずみ、1983年7月13日 - )は、日本作家エッセイストコメンテーター、元日本経済新聞社記者である。慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程を修了。東京都中央区出身。父は法政大学名誉教授の鈴木晶、母は翻訳家の灰島かり。2009年から2014年まで日本経済新聞社で勤務していた[7]

中編小説『ギフテッド』が第167回芥川龍之介賞候補、『グレイスレス』が第168回芥川龍之介賞候補に選出された[8]

経歴[編集]

幼少期・学生時代[編集]

1983年昭和58年)7月13日(水曜日)、聖路加国際病院法政大学名誉教授鈴木晶を父に、翻訳家灰島かりを母に生まれた。6才から神奈川県鎌倉市に転居。小学校5年生から父親のサバティカルに同行して渡英し、2年ほどロンドンハムステッドの私立女子校セント・マーガレット・スクールに通った[9]

1999年平成11年)から2001年(平成13年)までは「ブルセラ少女」として高校生活を過ごす[10]。放課後は渋谷109にたむろし、クラブカラオケ三昧の“ギャル”として過ごすとともに、宮台真司大塚英志などを愛読した。清泉小学校清泉女学院中学校[1]明治学院高等学校を経て[11]慶應義塾大学環境情報学部を卒業し、東京大学大学院学際情報学府修士課程を修了。

AV女優時代[編集]

横浜・新宿でキャバクラ嬢として働き出し、アダルトビデオスカウトとの交際をきっかけに慶應義塾大学在学中にAVデビュー[12]。のちにAV出演の過去を明らかにする[13]。鈴木涼美の“AV歴の告白”によって、大学在学中にAV出演していた、という事実が判明する。

新聞記者時代[編集]

2009年(平成21年)から日本経済新聞社に入社。都庁記者クラブ、総務省記者クラブなどに配属され、地方行政の取材を担当する。2013年(平成25年)に東京大学大学院学際情報学府で執筆した修士論文が『AV女優の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』として書籍化される[14]。『NEWSポストセブン』で井上章一に取り上げられたほか[15]水無田気流に「語ることと語り得ぬことの相剋に立つ、異才の書」と評され[16]佐々木敦に「熱い文体と分析が魅力」と評価された[17]紀伊國屋じんぶん大賞第29位に[18]、『ダカーポ』で今年最高の本!第7位に選出された[19]

作家時代[編集]

2014年(平成26年)8月に退社し[1][20]、11月に自身2冊目の著書『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』を刊行[21]。AV出演が明らかになって日本経済新聞社を退社したと『週刊文春』にて記事にされるが、それが退社の原因ではないと否定している[22]

2017年(平成29年)『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』が映画化。『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞 優秀監督賞・優秀脚本賞を受賞した内田英治がメガホンをとった[23]。配給は東映ビデオ

以後、慶應卒、東大大学院卒、元AV女優、元日経新聞記者、元都議会担当記者など多数の肩書でメディア出演する。夜働く女性たちに関するエッセイや、恋愛・セックスのコラムを多数執筆[24]

芥川龍之介賞候補[編集]

2022年(令和4年)には小説『ギフテッド』で第167回芥川龍之介賞候補に推される(受賞はならず)。中編小説デビュー作にあたる。内容は、歓楽街の片隅のビルに暮らすホステスの私が、重い病に侵された母を引き取り看病し始める。母はシングルのまま私を産み育てるかたわら数冊の詩集を出したが、成功を収めることはなく、濃厚な死の匂いの立ち込める中、「私」の脳裏をよぎるのは、少し前に自ら命を絶った女友達のことだった、となっている。夜の街の住人たちの姿を圧倒的なリアリティに迫った新世代の日本文学と寸評されている[25]

人物[編集]

著書[編集]

単行本[編集]

  • 「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか(2013年6月24日、青土社ISBN 978-4-7917-6704-5
  • 身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論(2014年11月26日、幻冬舎ISBN 978-4-3440-2680-3 / 2016年12月6日、幻冬舎〈幻冬舎文庫〉、ISBN 978-4-3444-2551-4
    • 映画『身体を売ったらサヨウナラ』(2017年、東映)の原作[27]
  • 愛と子宮に花束を ~夜のオネエサンの母娘論~(2017年5月25日、幻冬舎、ISBN 978-4-3440-3117-3
  • おじさんメモリアル(2017年8月8日、扶桑社ISBN 978-4-5940-7803-4
  • オンナの値段(2017年12月8日、講談社ISBN 978-4-0622-0887-1
  • 女がそんなことで喜ぶと思うなよ ~愚男愚女愛憎世間今昔絵巻(2019年6月5日、集英社ISBN 978-4-0878-8011-3
  • すべてを手に入れたってしあわせなわけじゃない(2019年11月21日、マガジンハウスISBN 978-4-8387-3076-6
  • 可愛くってずるくっていじわるな妹になりたい (2020年1月31日、講談社、ISBN 978-4-0651-8901-6
  • 非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない(2020年8月5日、集英社、ISBN 978-4-0878-8043-4
  • JJとその時代 女のコは雑誌に何を夢見たのか(光文社新書、2021年12月14日、ISBN 978-4-3340-4583-8
  • ニッポンのおじさん(2021年4月21日、KADOKAWAISBN 978-4-0411-1144-4
  • 娼婦の本棚(2022年4月7日、中公新書ラクレISBN 978-4-1215-0761-7
  • ギフテッド(2022年07月12日、文藝春秋ISBN 978-4-16-391572-2) - ※芥川龍之介賞候補作品
  • グレイスレス(2023年1月14日、文藝春秋)芥川賞候補作品
  • 浮き身(2023年6月29日、新潮社)
  • トラディション(2023年12月8日、講談社)
  • YUKARI(2024年2月1日、徳間書店)

共著[編集]

  • 往復書簡 限界から始まる(鈴木涼美・上野千鶴子 共著、幻冬舎、2021年7月7日、ISBN 978-4-3440-3815-8

その他[編集]

連載[編集]

出演[編集]

テレビ[編集]

雑誌[編集]

新聞[編集]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c 鈴木涼美”. AP Entertainment. 2016年3月9日閲覧。
  2. ^ 【サイン本プレゼントあり】宮台真司『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』刊行記念セミナーレポート”. 幻冬舎plus. 幻冬舎 (2014年4月24日). 2014年6月6日閲覧。
  3. ^ 女の欲望と不都合な真実──作家・鈴木涼美の書きおろしセックス・ストーリー”. GQ JAPAN. コンデナスト・ジャパン (2015年7月11日). 2016年3月9日閲覧。
  4. ^ 「“AV女優の何が悪い!”という声のほうが気持ち悪かった」鈴木涼美インタビュー(前編)”. ダ・ヴィンチニュース. KADOKAWA (2014年12月27日). 2016年3月9日閲覧。
  5. ^ 「“カラダを売ると幸福になるのか”その答えを出すつもりはない」鈴木涼美インタビュー(後編)”. ダ・ヴィンチニュース. KADOKAWA (2014年12月27日). 2016年3月9日閲覧。
  6. ^ 絵本研究家・翻訳家、灰島かりさん逝去
  7. ^ 第167回「芥川賞・直木賞」候補作決まる 鈴木涼美氏が芥川賞初候補に”. ORICON NEWS (2022年6月17日). 2022年6月17日閲覧。
  8. ^ 公益財団法人日本文学振興会”. 日本文学振興会. 2022年12月16日閲覧。
  9. ^ 自著『愛と子宮に花束を』p31
  10. ^ 自著『オンナの値段』p25ほか
  11. ^ 女子高生という価値の喪失後に 夜のオネエサンの受験論”. 朝日新聞. 朝日新聞社 (2015年1月17日). 2015年5月17日閲覧。
  12. ^ 『「AV女優」の社会学』著者・鈴木涼美氏インタビュー なぜAV女優たちは饒舌に自らを語るのか 自身を商品化せざるを得ない女性と性産業”. ビジネスジャーナル (2013年8月8日). 2022年12月22日閲覧。
  13. ^ 鈴木涼美 (2014年10月5日). “【“AV出演”を報道された日経記者は話題の書『「AV女優」の社会学』著者だった】「文春」に“AV女優歴”を暴かれた元日経記者・鈴木涼美が緊急寄稿!”. LITERA. 2014年10月5日閲覧。全3ページ。
  14. ^ テーマ: 著者に聞く 『AV女優』の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか”. セックスワーク・サミット. ホワイトハンズ (2013年12月8日). 2014年6月6日閲覧。漂白される社会 自ら語ることで女の子は「AV女優」に変わる 彼女たちはなぜ、AVの世界を選んだのか鈴木涼美×社会学者・開沼博】”. ダイヤモンドオンライン (2014年10月15日). 2014年10月17日閲覧。
  15. ^ 井上章一 (2013年9月14日). “AV女優の壮絶な経験談を「鵜呑みにしてはいけない」との指摘”. NEWSポストセブン. 小学館. 2014年6月6日閲覧。
  16. ^ 水無田気流 (2013年8月25日). “「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか 鈴木涼美”. BOOK.asahi.com. 朝日新聞社. 2014年6月6日閲覧。
  17. ^ 佐々木敦 (2013年12月29日). “書評委員が選ぶ「今年の3点」”. 朝日新聞. 朝日新聞社. 2014年6月6日閲覧。
  18. ^ 発表!! 紀伊國屋じんぶん大賞2013 読者と選ぶ人文書ベスト30”. 紀伊國屋書店 (2014年2月10日). 2014年6月6日閲覧。
  19. ^ Book of the Year 2013 今年最高の本!”. ダカーポ. マガジンハウス (2013年12月4日). 2014年6月6日閲覧。
  20. ^ 鈴木涼美、峰なゆか (2016年12月6日). “女は「身体を売ったらサヨウナラ」なのか?――鈴木涼美×峰なゆかによるAV女優論”. 日刊SPA!. 2017年11月5日閲覧。
  21. ^ 女は「身体を売ったらサヨウナラ」なのか?――鈴木涼美×峰なゆかによるAV女優論”. 日刊SPA!. 扶桑社 (2014年12月6日). 2014年12月11日閲覧。
  22. ^ 鈴木涼美 (2017年9月9日). “肩書の多すぎる女「鈴木涼美」とは一体何者なのか? 慶應、東大、AV女優、日経記者、作家…”. 日刊SPA!. 2017年11月5日閲覧。
  23. ^ 【映画ナタリー】元AV女優・鈴木涼美の著書「身体を売ったらサヨウナラ」映画化
  24. ^ 鈴木涼美 (2017年9月18日). “東大からAV女優まで、肩書の多すぎる女“鈴木涼美”を担当編集が語る”. 日刊SPA!. 2017年11月5日閲覧。
  25. ^ 【速報】第167回芥川龍之介賞候補作が発表されました。
  26. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 所属事務所プロフィール
  27. ^ ナタリー (2017年5月7日). 「身体を売ったらサヨウナラ」予告編 (YouTube配信). 2023年10月17日閲覧
  28. ^ a b c d e f g h i j k l m n テレビ出演「鈴木涼美」一覧より

関連項目[編集]

外部リンク[編集]