銭太鼓

銭太鼓(ぜにだいこ)とは、日本各地の芸能にみられる銭(硬貨)が触れ合う音を利用した楽器[1][2]。竹筒型と曲輪型がある[1]。「ぜんだいこ」と呼ぶ地域もある[3]

竹筒型[編集]

竹筒型の銭太鼓は島根県安来節(やすぎぶし)などで用いられている[1]。一般的に筒(あるいは房)を紅白に分けて装飾し、それぞれ両手に持って2本1組で使う。左手に持つ白色の銭太鼓は大地、右手に持つ紅色の銭太鼓は天を表しているとされる[4]。両筒合わせて12枚の5円玉を封入し、12枚は1年を表し、1年間の幸せをもたらすという言い伝えがある[5](後述のように竹筒型でも地域により異なる場合があり、一方で曲輪型でも同様の言い伝えで12枚の銭を用いる地域がある)。

安来節[編集]

安来節の余技として行われてきたもので、切っても切り離せないものとなっている[2]。ちょうど真ん中に節目がくるように一尺程度(約30cm)の竹を切り取り、竹の両端内部にそれぞれ「穴のあいた銭(昔は文九銭、今では五円玉が主流)」を3枚ずつ「十文字になる様に」取りつけて閉じたものである[6]

岡天満宮祭礼行事[編集]

福岡県大牟田市の指定無形民俗文化財である岡天満宮祭礼行事の「ぜんでこ踊り(銭太鼓踊り)」では、長さ約20cmの竹筒の内部に銭5、6枚を糸で吊るした銭太鼓を用いる[7]

曲輪型[編集]

曲輪型の銭太鼓はタンバリン型とも呼ばれ、東北地方などの田植踊りの祭礼などにみられる[1]。ただし、銭ではなくに変わっている地域もある[1]

えんぶり[編集]

青森県八戸市の豊年祭「えんぶり」の際にも用いられている[8]。約20cmの輪に縦横十文字に針金(銭や鈴を通したもの)を取り付け、紅白の房などで飾ったものである[1]

豊田市の銭太鼓[編集]

愛知県豊田市駒場町に残るものは銭太鼓(ぜんだいこ)と呼ばれており、愛知県指定無形民俗文化財である[3]。銭太鼓は丸い木枠の中の銭を通した針金を付けたもので、内部の12枚の銭は1年(12か月)を表しており天地の恵みによる豊作を感謝するという意味があるという[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 菊地和博「菅江真澄の江戸期「胆沢郡徳岡田植踊」と豊作祈願芸能」『東北文教大学・東北文教大学短期大学部紀要』第1巻、東北文教大学・東北文教大学短期大学部、2011年3月、65-81頁、CRID 1050282676647271808ISSN 21858918 
  2. ^ a b 平成23年度第9回島根県文化祭出雲ステージ 島根民謡大会 島根県
  3. ^ a b c 銭太鼓【ぜんだいこ】 愛知県
  4. ^ 広報うんぜん 平成30年10月 雲仙市
  5. ^ 響け!幸せ運ぶ、銭太鼓!!創作鼓蝶流銭太鼓「鼓蝶会」 茂原市 2016年9月1日
  6. ^ 穴のあいた銭を数枚、十文字になる様に取りつけた写真 - 取り付け済みの断面画像。
  7. ^ ぜんでこ踊りとひゅうたん廻し 大牟田市観光協会
  8. ^ 八戸えんぶり写真 - 前列3人の子供達が手に持っている。

関連項目[編集]

  • 高山正行 - 「銭太鼓」と群馬県の「八木節」をリミックスして演じた最初の和太鼓奏者。
  • 山和なる緒・松本さん吉 - 戦中・戦後活躍した漫才コンビ、さん吉は元安来節出身で銭太鼓を得意とした。
  • 1000人銭太鼓【Music Video】 - 2023年3月島根県立安来高等学校の2年生によって制作された動画がYouTubeにて公開された。

外部リンク[編集]