長野大学

長野大学
9号館(附属図書館)
大学設置/創立 1966年
学校種別 公立
設置者 公立大学法人長野大学
本部所在地 長野県上田市下之郷658-1
北緯36度22分8.9秒 東経138度13分23.3秒 / 北緯36.369139度 東経138.223139度 / 36.369139; 138.223139座標: 北緯36度22分8.9秒 東経138度13分23.3秒 / 北緯36.369139度 東経138.223139度 / 36.369139; 138.223139
学部 社会福祉学部
企業情報学部
環境ツーリズム学部
研究科 大学院総合福祉学研究科
ウェブサイト http://www.nagano.ac.jp/ ウィキデータを編集
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長野大学(ながのだいがく、英語: Nagano University)は、長野県上田市下之郷658番地1号に本部を置く日本公立大学1966年創立、1966年大学設置。略称長大(ながだい)。 都道府県名が校名となっている公立大学は、本学と宮城大学の2校のみである。

概観[編集]

大学全体[編集]

当時の所在地であった旧・塩田町が全額出資して設立した「学校法人本州大学」[1][注釈 1]により、1966年(昭和41年)4月、本州大学(ほんしゅうだいがく)として開学、翌年に本州女子短期大学を併設した。日本の公設民営大学の先駆的大学[注釈 2][注釈 3]である。

設立当初は認知度が低く志願者が低迷し、当時他に類例のない設立経緯や、小規模な地方自治体が提供した資産と地元住民らの寄付が元手という脆弱な経営基盤から財政状態が振るわず、1972年、本州大学は募集停止に追い込まれ、本州女子短期大学も別の学校法人に移管せざるを得なかった。その後、法人名を「長野学園」、大学名を「長野大学」と改め、学部学科組織も再編して再出発したところ、志願者の漸増により経営は安定。現在は内部留保50億円超を有し、無借金経営を実現するに至っており、収支は黒字である。学費は私立文系大学の全国平均額より40万円ほど廉価である。2007年4月に産業社会学部を改編して「環境ツーリズム学部」・「企業情報学部」を新設するなど、「地域に根差した大学教育」を掲げ地域社会に貢献する大学を目指している[注釈 4]2017年(平成29年)4月1日公立大学となった[2]。学生数は1990年代前半の大学受験生が多かった時期を過ぎてから、少子化の影響により急速に減少。2013年(平成25年)度まで8年連続で定員割れとなった[3]。本学が公立化の方針を示した2014年(平成26年)以降志願者が増加し、定員割れは解消。公立大学移行決定を受け2017年(平成29年)度入試の志願者が急増した[3](後述)。

建学の理念[編集]

建学の理念は次のとおりである[4]

  1. 清爽な自然環境を充分に活かした理想的教育研究の場の建設をめざす。
  2. .少人数教育により人間的接触を深め全人的形成をめざす。
  3. .専門的技術的教育のみに偏せず広い社会的視野の涵養をめざす。
  4. .地域社会との密接な結びつきにより学問理論の生活化をめざす。

歴史と環境[編集]

上田市郊外の塩田平に位置する県営工業団地上田リサーチパークの一角に所在している。塩田平は「信州の学海」と称される自然豊かな歴史文化遺産の宝庫であり、鎌倉時代には北条氏の庇護の下多くの学僧を育んだ。大正時代には大正自由教育運動の展開により、「働く民衆の自由な意志による大学創造」を掲げる「自由大学運動」が長野県を中心に広がり、先駆的機関であった上田自由大学が地域住民により別所温泉に設置された。「上田自由大学」は昭和時代初期に自然消滅し自由大学運動も途絶えるが、地域住民の教育熱は戦後まで維持され、農業主体で小規模な旧塩田町が4年制大学設立を政策に掲げ、「本州大学」を開学するに至った。長野大学が地域密着型の教育を掲げる背景には「上田自由大学」を生んだ地域の特性と伝統が意識[注釈 5]されている。現在はコンピュータ最先端技術の集積機関である上田リサーチパークや上田市マルチメディア情報センターと隣接する立地を生かした教育と研究が進められている。

沿革[編集]

年表[編集]

  • 1965年(昭和40年) - 塩田町により学校法人本州大学設立。文部省より本州大学設立認可。
  • 1966年(昭和41年) - 本州大学開学[2]。経済学部経済学科設置。
  • 1967年(昭和42年) - 本州女子短期大学開学。幼児教育科設置。
  • 1972年(昭和47年) - 本州大学経済学部募集停止。
  • 1973年(昭和48年) - 本州女子短期大学を経営分離し、学校法人上田女子短期大学(現・学校法人北野学園)に譲渡。
  • 1974年(昭和49年) - 法人名を「長野学園」、大学名を「長野大学」に改称。学生募集再開。産業社会学部産業社会学科・社会福祉学科(定員各50名)を開設。
  • 1976年(昭和51年) - 定員を産業社会学科・社会福祉学科とも100名に変更。
  • 1983年(昭和58年) - 経済学部廃止認可。
  • 1988年(昭和63年) - 産業社会学部産業情報学科(定員100名)を開設。
  • 2001年(平成13年) - 社会福祉学科の定員を200名に変更。社会福祉学部社会福祉学科設置認可。
  • 2002年(平成14年) - 社会福祉学部社会福祉学科開設、産業社会学部社会福祉学科募集停止。
  • 2004年(平成16年) - 全教員を任期制とする。
  • 2005年(平成17年)
  • 2007年(平成19年)
    • 3月 - 長野県軽井沢高等学校と高大交流に関する協定締結。
    • 4月 - 産業社会学部を改組。
    • 産業社会学部産業社会学科を廃止し、環境ツーリズム学部環境ツーリズム学科を設置。
    • 産業社会学部産業情報学科を廃止し、企業情報学部企業情報学科を設置。
    • 12月20日 - 長野県坂城高等学校と高大交流に関する協定締結。
  • 2014年(平成26年)
  • 2016年(平成28年)
    • 6月3日 - 上田市が設置した検討委員会が公立大学法人化を肯定する報告書を市長に提出[1]
    • 6月 - 上田市議会6月定例会において長野大学公立化に必要な関連議案を可決。
    • 12月20日 - 国と長野県が公立大学法人への移行を正式に認可[6]
  • 2017年(平成29年)
  • 2019年(令和元年)
  • 2021年(令和3年)
    • 4月1日 - 大学院総合福祉学研究科社会福祉学専攻(博士前期課程5人、博士後期課程3人)、発達支援学専攻(修士課程5人)を開設。淡水生物学研究所を開設。

全教員に任期制を導入[編集]

個性ある大学づくりを目指す改革として「大学の教員等の任期制に関する法律」に基づき、2004年度から全教員と雇用契約を結び5年任期で再任は原則として同一職位において1回限りとする「任期制」[広報 1][8][9]を採っている。任期制度を教員と研究員の一部に採る大学や研究機関は多いが、学長以下全教員に採る大学は国内初である。「教育の質の確保・向上のための教育研究活動の活性化と発展を図り、本学における自己革新の実現に資するため」に2002年から導入を検討して2004年2月に理事会で制度導入と諸規程制定を承認している。任期制により教員の資質や流動性を高めて教育研究を活性化し、少子化進行中でも優れた学生を輩出することを目指している。選挙で選ばれた委員と学部長らで構成する「業績評価委員会」が業績を評価して基準を満たす教員を再任する。2004年4月1日以降の新規採用教員には採用初年から制度を適用し、従前より在籍する教員は任期制の対象となっていない。業績評価の基準は、講義やゼミナールにおける教育実績など教育に関する事項、 論文、著書など研究実績に関する事項、大学の管理運営への寄与など校務に関する事項、地域活動や社会教育生涯教育活動など社会的貢献に関する事項の4分野である。再任は、1回目の任期満了時の審査で優秀と認められた場合は、「継続的在任資格(終身雇用権)」を獲得し、65歳の定年まで在任できる。1回目の審査で「継続的在任資格」が付与されない場合は2回目の任期(3年)で再審査され「継続的在任資格」を獲得することができる[10]。ただし、2回目の審査を通過できなければそれ以降の再任はない。導入検討時に任期制は身分が不安定で教育の場になじまないと懸念する意見が教職員から散見されるも、井出嘉憲学長は「首切りの制度というイメージがあるかも知れないが、再任の機会もあり、教育の質を高める手段だ。公正に評価し、良質な人材の確保に努めたい」「制度を教育研究活動の活性化に向け実効性あるものにするため、客観的な業績評価制度(基準・体制)の確立を目指す」と述べている。
 しかしながら、任期終了間際になって雇止めを通知された事例もあり、雇止めになっても次の職を探す期間が確保されない問題が生じるなどの適切な任期制の運用がなされているのか疑問が出されている。
 そして、公立化以降、長野大学では、労基法違反が行われたことで労働基準監督署から何度も是正勧告を受けたり[11]、多数の教員への懲戒処分(2022年10月26日からわずか1ヶ月で全教員の1割以上の人数の教員を懲戒処分)、訴訟問題が発生するなど教員の雇用に不安が出てきていることが指摘されている[12]。  さらに、長野大学では、教員の人権に関する「大学運営上の問題」が指摘されている[13]

 現在、長野大学を相手取った訴訟は複数件あるが、この任期制の雇止めによって、教員から労働審判訴訟(正式な裁判)を起こされ、深刻な訴訟問題に発展している[14]

公立化[編集]

公立化への動き[編集]

2004年施行の地方独立行政法人法に基づいて地方公共団体が設立者となる公立大学法人が制度化された。これを受け、従来の公立大学や公立短期大学に加え、設置経費の全額を地方公共団体が負担する公設民営大学のうち、高知工科大学静岡文化芸術大学鳥取環境大学名桜大学長岡造形大学の5大学が相次いで公立大学法人を設立し、私立から公立へと移行した。後発の公設民営方式の大学が公立に移行している現状を踏まえ、「最古」の公設民営大学である長野大学も、地域社会と連携し、地域振興に貢献できる人材育成等の教育活動を展開する上で公立移行が適切であるとの判断に至り、2014年3月6日、嶋田力夫理事長、野原光学長、事務局長ら6人が上田市役所を訪れ、本学を運営する学校法人長野学園を上田市が設置者となる公立大学法人とすることを求める要望書[広報 2][広報 3]を提出した[15][16]。法人理事でもある母袋創一市長は「さっそく検討に入りたい」と答え、「県や国と確認作業をしながら考えたい。行政だけでは決められないことなので、住民と相談しながら検討したい」と前向きな姿勢を示した。市は同年、白井汪芳・佐久大学信州短期大学部学長(信州大学名誉教授)を委員長とする長野大学公立化に関する検討委員会を設置した。2011年4月の野原光学長就任以来、公立化の検討に入り、2013年12月の理事会で公立大学法人化を目指すことを正式決定、要望書の提出に至った。公立大学法人になった場合、総務省から運営交付金が受けられるほか、設置主体の地方自治体に地方交付税交付金が配分されるが、その額は現在本学に交付されている年間約1億6千万円の私学助成金よりも高額になる見通しである。黒字経営を維持しているとはいえ、少子化と学生定員割れが続いており、このままでは今後の状況は厳しいと大学側は判断、この増額分で学費を引き下げ、学生・父母保証人の負担を軽減。18歳人口が減少する中でも学生数を確保することを見込んでいる[17]。その後の記者会見で、嶋田理事長と野原学長は「上田自由大学運動の歴史を踏まえ、改めて地域の学問所として根を張っていこうと決意した」「(要望書内に移行時期の目標を明確には示さなかったが)開学50周年を迎える2016年度に実現できればありがたい」「市に財政負担をお願いすることはない」「(県が予定する県立大(長野県短期大学の四年制大学化)や、県内の私立大との関係について)互いに手を携え、県内高校卒業者の県内大学進学率を上げられるよう努力したい」「公立大学になれば、地域と一体となった高等教育を進め、活性化にも大きなメリットが生まれる」等と述べた[18]。同年4月には在学生向けの説明会を開催した。これまで公立化した公設民営大学はいずれも開学後10年前後というまだ新しい大学であり、静岡文化芸術大学を除く各大学は開学後経営状態が安定せず、財務状況等の悪化が原因となって公立移行が検討され、経営基盤の安定と大学の存続を図ったものであった。本学のように50年に及ぶ歴史があり、自力で黒字経営を維持している大学が「今後の少子化の進行によりいずれは経営難に直面する可能性がある」という見通しのもとに公立移行を計画した例はないため、県や市による財政見通しに関する調査と分析が行われた。長野県内では私立高等学校が公立高等学校に移行した例(1985年4月、天竜光洋高等学校(設置者は学校法人清恵会)が組合立長野県松川高等学校(設置者は一部事務組合松川高等学校組合)に移行。1987年4月より県立)はあるが、私立大学が公立大学法人に移行した例はなく、長野大学が初となる。また2014年4月には本学同様公設民営方式(公私協力方式)によって設立された諏訪東京理科大学も公立大学法人化する方針を示し、2015年9月、茅野市に対して公立大学法人化を求める要望書を提出、県にも協力を求めるなど、長野県内において自治体を巻き込んだ形での大学改革の動きが活発化した。公立化については受験生・保護者の反応も早く、長野大学では公立化の方針を示した後の2014年度以降志願者が増え、定員割れの状態は解消した。長野県の「大学収容力」(その都道府県の18歳人口に占める県内大学への入学者の割合)は長年全国最低であり、2016年度には16.5%であった。県にとっては若年層の県外流出を防止するため、県内高校卒業者の県内大学進学率を上げ、地域の高等教育機関の維持と活性化を図ることが喫緊の課題となっている。

  • 2015年6月3日- 公立大学への移行の是非を協議した上田市の検討委員会は、公立化を「是とする」報告書を、市長に提出した[1]

検討委員会は、市長が「中立の立場で意見を聞きたい」として、研究者・市民代表ら13人で発足、14年11月から15年5月まで8回の会合を持った。委員長を務めた白井汪芳信州大名誉教授は「できれば来年度入試に間に合うようにしたい」と述べた。市長は5月に実施したパブリックコメントの結果なども踏まえて、最終判断することになった[19]

  • 2015年8月21日- 上田市が、2016年度の長野大学公立化に必要な関連議案の市議会9月定例会への提出を見送ることが判明した。市と市議会の懇談会では、議員間に公立化した大学の将来像が不明確で、来年度の公立化は拙速との意見も多く、市の財政負担への懸念も出された。これらから、市は、9月定例会への議案提出を見送った。市側は2017年度の公立化を目指す見通し。公立化には、公立大学法人の定款や同法人評価委員会の設置などを盛った議案を、市議会で可決することが必要になる。市は可決後の手続きに必要な期間を約6か月とみており、2016年度からの移行には、9月定例会での議案可決が必要としていた[20]。これを受け、長野大学側は2017年4月の公立移行を目指す方針を示した。
  • 2016年6月27日- 上田市議会6月定例会において公立大学法人長野大学の設置にかかる定款等を含む関連議案が全会一致で可決。長野大学は長野県に対し公立大学法人設立の認可申請を行い、2017年4月1日をもって公立に移行することになった。
  • 2016年9月30日- 上田市より長野県知事に公立大学法人長野大学設立認可を申請する。学校法人長野学園より文部科学大臣に学校法人長野学園の解散及び長野大学の設置者変更認可を申請する。
  • 2016年12月1日- 上田市は長野大学公立化に関する検討委員会委員長を務める白井汪芳・佐久大学信州短期大学部学長(信州大学名誉教授)を公立大学法人長野大学の理事長に任命する方針を固めた[21]
  • 2016年12月20日- 上田市に対し長野県知事より公立大学法人長野大学設立が認可される[6][広報 4]。学校法人長野学園に対し文部科学大臣より学校法人長野学園の解散[広報 5]及び長野大学の設置者変更[広報 6]がそれぞれ認可される。

公立移行後[編集]

2017年4月1日、公立大学法人長野大学設立記念式典・長野大学開学式を挙行し、公立大学に移行した。これまで本学は志願者・合格者・在学生についていずれも8割前後を長野県内出身者が占めてきた[注釈 6]が、2017年度からの公立化決定を受け人気が高まり、県外からの志願者が急増した。大学入試センター試験による選抜方式は以前から存在していたものの、2017年度一般選抜試験については他の国公立大学と横並びの選抜方法は採用せず、これまで通り私立大学の中でもより教科数を縮減した独自の入学試験方式を存続させた。また全くの新設校や短期大学の改組ではなく、四年制大学として既に建学後50年を経ており、大学の指導方針や教育内容も既に明らかであったことから、全国受験生とその保護者らからの注目を集めた。入試倍率は2016年度の1.4倍から4.8倍に跳ね上がり、公立化によって大学の人気が向上するということを如実に示した。2015年3月の北陸新幹線の延伸開業により、自宅からの通学も可能になっている地域が北陸方面の新幹線沿線に拡大しており、長野県同様に「大学収容力」が低水準の新潟県富山県、また群馬県からの志願者が増加したという。このため入試難易度が上昇、県内の受験生が多くはじき出される結果となり、合格者のうち県内出身者は36%と激減。2017年度新入学生の県内出身者も2016年度の75%から52%へと大幅に減少した。数年前まで志願者の大半が合格(全入)しており、定員割れ状態が続いていた本学の入試状況が一変したことは県内高等学校の進路指導担当教員らを困惑させ、「前年並みの難易度ならば合格したはずの生徒が不合格になった」「長野大学を諦め、難易度の低い県外の大学に進学した生徒が出た」と、本学の公立化により県内高校出身者が更に県外に流出してしまう状況が発生したとの声も出ている。公立移行初年度の入試は県内高校出身者の県内大学進学率を上げるという公立化の目的に全く反する結果となったため、2018年度より募集人員を増員し、各学部とも一定程度を「地元枠」に充てた。AO入試については「スポーツ特別枠」および「福祉学科等在籍特別枠(社会福祉学部のみ)」、推薦入試については「長野県内高校在籍者優先枠」および「上田地域定住自立圏域[注釈 7]優先枠(高校在籍者および居住者)」を設け、長野県内、特に上田市及びその近隣自治体在住・在校の生徒を優先して受け入れる選抜方法を導入した[23]。なお2018年度より一般選抜試験については大学入試センター試験の多教科の受験を要する等、他の国公立大学と類似した選抜方法に変更されたが、傾斜配点や同一教科の2科目でも有効とする取扱いを導入するなどして5教科の受験は課さず、入試全体として私立大学型の選抜方法を維持している[24]。公立化前のAO入試競争率は2倍に満たず、推薦入試はほぼ全員合格であったが、2017年度以降一転してAO入試・推薦入試とも難化。2018年度入試においては特別枠や地元枠を設けたものの競争率は更に上がり、AO入試は3~4倍、推薦入試は2倍以上で推移している。2018年は首都圏からの入学者が17%に達したという[25][26]

学部・学科再編および大学院設置構想[編集]

公立化後の2018年度に取りまとめられた大学改革に向けた中期計画に学部・学科再編と理工系学部および大学院設置構想が盛り込まれていた[広報 7]が、2019年2月25日、白井汪芳理事長は上田市議会全員協議会において大学院2研究科5専攻、大学4学部7学科を設置・再編する案を説明した[27]。内容は以下の通り。

  • 2021年を目途に社会福祉学部に大学院(社会福祉学専攻(博士前期課程5人、博士後期課程3人)、発達支援学専攻(博士前期課程5人)、福祉心理学専攻(博士前期課程5人)を設置。
  • 社会福祉学部を総合福祉学部(仮称)に改称、学科を社会福祉学科、発達支援学科、福祉心理学科に改組。
  • 環境ツーリズム学部を地域資源創造学部(仮称)に改称、学科を社会資源創造学科、環境資源創造系学科に改組。
  • 企業情報学部も学部名を改称し、経営系学科と情報工学・デザイン工学系学科に改組。
  • 情報工学・デザイン工学系学科と環境資源創造系学科を合わせて理工系学部に再編し、同学部にも大学院を設置。
  • 上田市が取得方針を示している国立研究開発法人水産研究・教育機構増養殖研究所上田庁舎(旧中央水産研究所内水面研究部上田庁舎。上田市小牧字大田切1088番1、敷地2万4000㎡、研究所誘致の際に土地を上田市が国に寄付した。2019年3月閉庁)を小牧キャンパス兼千曲川流域環境・水産研究所(淡水生物学研究所)として大学に組み入れ、環境資源創造系学科の研究基盤とし、文部科学省共同利用・共同研究拠点に申請。他大学、水産庁、水産研究・教育機構、長野県水産試験場漁業協同組合、企業などとの連携を図る。
  • 学部学科改組および大学院設置に際して当面追加の施設は建設しないが、同研究所上田庁舎の施設の維持に年600万円と新たな職員配置が必要になる。

上記について大学側は実現のため市議会に協力を求めた。今後更に大学側の考えを聴取しながら、市議会において検討、審議される。
2019年4月、上田市小牧に「千曲川流域環境・水産研究所(仮称)」開設準備室を設置した[28][29](同年、「淡水生物学研究所」(仮称)に改称[30][31])。同年10月3日にはメルシャン株式会社と包括連携協定を締結[32]。長野県内には理工系学部が少ないことから、公立化に際して本学への理工系学部設置要望があったといい、同年9月21日に上田市丸子地域内に開設された同社の「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリー」にて共同研究開発を行い、構想中の理工系学部の教育・人材育成における連携を目指すという[33]
2020年文部科学省に大学院総合福祉学研究科社会福祉学専攻(博士前期課程5人、博士後期課程3人)、発達支援学専攻(修士課程5人)の設置認可申請を行い[広報 8]、同年4月8日、文部科学大臣から大学設置・学校法人審議会へ諮問された[広報 9]。同年10月22日、大学設置・学校法人審議会より文部科学大臣に対し設置を「可」とする答申があり[広報 10][広報 11]、同月23日、文部科学大臣より設置認可[広報 12][広報 13]2021年4月1日、大学院総合福祉学研究科社会福祉学専攻(博士前期課程5人、博士後期課程3人)、発達支援学専攻(修士課程5人)を開設。また同日、淡水生物学研究所を開設した。

2026年4月には「環境・情報科学部」と「大学院環境・情報科学研究科」を開設する方針[34]。「環境・情報科学部」には1学科で3つのコースを設置し、また企業情報学部と環境ツーリズム学部を統合して「社会経営学部」を設置し、2学科とする予定[34]

基礎データ[編集]

所在地[編集]

  • 長野大学キャンパス(長野県上田市下之郷658-1)
  • まちなかキャンパスうえだ(長野県上田市中央2-5-10 丸陽ビル1階)
  • 淡水生物学研究所(長野県上田市小牧1088)

象徴[編集]

  • 校章は、長野県の花である「りんどう」と「大学」の文中に「長」を挿入した文字の組み合わせでデザインされている。開学10周年事業の一環として広く学生、教職員から公募し制定された。(長野大学三十年誌による)
  • 校歌は、飯島宗一作詞・小山章三作曲の「長野大学歌」である。開学20周年記念事業の一環として1986年11月1日に制定された。
  • シンボルマークは、「長」の文字を信州の大自然から伸び伸びと飛び立つ鳥のイメージでデザインされている。上部の青は青空を、中心の緑は豊かな自然を、そして真田の赤備えを意識した下部の赤は情熱をそれぞれ意味している。2018年4月2日に披露された。

教育および研究[編集]

組織[編集]

学部[編集]

公立大学改組後、学科・コースの統廃合が行われている[要出典]

大学院[編集]

開学以来大学院専攻科別科は設置されていなかったが、2021年4月、大学院総合福祉学研究科を開設した。

  • 大学院総合福祉学研究科
    • 社会福祉学専攻(博士前期課程、博士後期課程)
    • 発達支援学専攻(修士課程)

教育[編集]

企業情報学部[編集]

経営」「情報」「デザイン」の3つの分野を柱に実社会のビジネスシーンで活躍できる(就職に強い)学生を育てることに力を入れている[要出典]

シラバスによると経営や情報の科目に加えて、「デジタル映像表現」「コンピュータグラフィックス」「マルチメディア論」、といった映像表現力とともに「コマーシャルデザイン」、「メディアプランニング論」等の企画力を育成する科目があることが特徴である。こういったことからイベント企画やCM制作・マスメディアといった広報戦略・活動ついても学べる長野県内では珍しい学部である。

経営分野では、自分たちで商品やサービスを企画・デザインし、「どうすればお客様に喜んでもらえるのか」というお客様の視点から経営を学ぶことが特徴である。単に企業運営だけでなく広報戦略の立場からの学びがあることが特徴である。そして、学生自身が考えた経営戦略を実際の企業に提案して実用化を目指す実践的な経営を学ぶことも特徴である。

情報分野では、特に新しいサービス製品の開発に必要な技術(コンピュータグラフィックス、画像処理ゲームデザイン)といったデザイン工学を基礎とするソフトウェア開発に力を入れていることが特徴の一つとなっており、学生は様々な公的機関や団体から表彰を受けている。また、Linux等のオープンソースネットワークサーバスマートフォン等のソフトウェア開発にも強い。こういったことから自分たちで開発したソフトウェアを使ってベンチャー企業を起こそうとしている学生がいることも特徴である。また、学生はゼミなどの授業で本格的なゲーム開発を行っている。

デザイン分野では、ビジネス分野を想定した広報力「企画力・自己表現力」を学ぶことが特徴である。このため一般的なデザイン(イラストや子どもたちの遊具・アクセサリ制作など)に加え、経営分野の学びと融合させて学生の段階から本格的な広報デザイン(DTPによるパンフレット雑誌ポスター等の制作)を学んでいることが特徴である。デザイン系の学生も様々な機関や団体から表彰を受けている。

環境ツーリズム学部[編集]

環境とツーリズム(観光)をテーマとした学部であり、「自然と文化を守り、観光を振興し、地域社会の安定した発展を実現できる人」を育成することをねらいとしている。シラバスを見ると、「観光事業論」、「観光計画論」などの観光に関わる科目や、「地域環境学」、「自然再生論」などの自然環境に関わる科目だけでなく、「地域の産業と政策」、「地産地消論」などの地域のまちづくりに関わる科目も多く、学際的な学びを目指した学部であることが分かる。

また、2008年度文部科学省「質の高い大学教育プログラム(教育GP)」に選定された「森の生態系サービスの活用を学ぶ環境教育」という全学的な環境教育プログラムは、この学部が中心となって展開されている。

各学部で行われている学生の特徴的な取り組み[編集]

企業情報学部[編集]

学生主体の学術研究[編集]

企業情報学部[編集]

企業情報学部では、学生が主体的に学術研究を行っていることが特徴的である。特に学生のコンピュータグラフィックス画像処理に関するソフトウェア開発技術は学外からも評価が高く、様々な機関や学術組織から表彰されている。

独立行政法人日本学生支援機構文部科学省所管)が行っている優秀学生顕彰事業(学術分野)において、企業情報学部では2008年度から2015年度まで8年連続で複数の学生が「大賞」、「優秀賞」、「奨励賞」を受賞している[広報 14]

その他の研究施設[編集]

  • 淡水生物学研究所(上田市小牧、2021年4月開設)

キャンパス[編集]

キャンパス全体が斜面にあるため、施設が階段状になっている。

  • 1号館 管理棟・大学事務局(教務関連)・大学食堂・生協購買書籍店
  • 2号館 教室棟・社会福祉演習実習室・キャリアサポート
  • 3号館 研究室棟
  • 4号館 教室棟・計算機実習室・LL教室・ICT演習室
  • 5号館 大学会館・生協本部・ラウンジ「生協喫茶りんご」・保健室
  • 6号館 大学事務局(総務関連)・法人本部・研究室
  • 7号館 大学院棟・サークル棟
  • 8号館 体育館・トレーニングルーム
  • 9号館 附属図書館・多目的ホール「リブロホール」
  • サークルボックス
  • 総合グラウンド・ハンドボールコート・テニスコート
  • 学生駐輪場・学生駐車場
  • 学生寮「西北寮」(1号棟・2号棟・管理棟。廃止、2016年解体)

大学関係者と組織[編集]

理事長[編集]

公立大学法人化以降の理事長

学長[編集]

教員・元教員[編集]

同窓会[編集]

  • 長野大学同窓会
    • 山辺正重 同窓会長(三協産業代表取締役)

附属機関等[編集]

  • 長野大学附属図書館
  • 長野大学附属地域共生福祉研究所
  • 情報システムセンター
  • 国際交流センター
  • 地域づくり総合センター

不祥事・訴訟[編集]

不正と思われる不明朗なお金の流れと訴訟問題

2019年に長野大学において、不正と思われる不明朗なお金の流れが確認され、これを複数の教員たちが追求した結果、実際に多額の大学の予算が行方不明になっていることがわかった。そして、関与していた幹部職員が2020年に懲戒処分を受け、退職した。また、関わっていた理事も退職した[35][36]

2023年7月14日付の平井利博 理事長の文書[37]と「地域と大学を考える会」の文書[38]によれば、不正があったこと自体は大学は認めているようであるが、学外への公表は一切されておらず、監査報告書にも記載されなかった。

この一連の出来事の中で、特に注目されるのは、長野大学で不正追求があってから3年近くも経過した2022年10月26日に、蒸し返すように、この大学の不正を追求した教員たちが、逆に懲戒処分を受けたことである。特に5名もの教員が「不正調査を学長に求めた」ことを理由に懲戒処分を受けている[35]

このことから、2022年12月9日に訴訟問題(後述)に発展したが、その後、大勢の市民を巻き込んだ大規模な問題へと発展し、市民から長野大学へ公開質問状が出された[39][40]

懲戒処分に対する不当性を訴えた訴訟
2022年10月26日 長野大学の副学長らの不正疑惑の調査を学長に強く求めたことで、調査を求めた教員5名が逆に懲戒処分を受けたと報道されている[41]。 その5名のうちの一名である企業情報学部教授の田中法博教授は大学から減給10%3ヶ月の処分を受けた。2022年12月9日田中教授はこの処分について「副学長らの研究の不正を調査するよう学長に強く働きかけたことが原因で不当な処分だ」と訴え、長野地方裁判所に民事訴訟を起こした[42][43]
「長野大学・田中教授の裁判を支援する会」が立ち上がり、懲戒処分の不当性を訴える署名が700名以上集まっている[44]

違法な懲戒処分問題

2022年12月16日、この懲戒処分について、訴訟の中で不当処分であることに加えて、労働基準法違反であることが指摘された結果、この懲戒処分は労基法違反であることが確認され、大学は懲戒処分を減給10%から減給8600円に訂正した[45]

2023年1月16日、懲戒処分の減給の撤回がなされた。『信濃毎日新聞』の報道によると、長野大学は、本件を含む4名の教員の懲戒処分の減給を撤回した。撤回された減給額の合計は94万7千円余と報道されている[46]

この訴訟問題では、前述の大学内の不正問題に加え、2022年度にも大学内で理事者や幹部職員による複数のコンプライアンス問題が発生しており、その問題を調査することを求めた教員らが逆に懲戒処分されたと報道されている[47][35]

地域と大学を考える会の設置
長野大学の運営について「公の場で議論を」と上田市民らが中心となって市民集会が立ち上がった。「地域と大学を考える会」[48]が中心となって複数の市民団体が参加している。2023年6月11日には、市民ら90名が集まり、長野大学で起きた不当処分の撤回を求めた訴訟問題など「長野大学で起きている問題を公開の場で議論するため」に地域と大学を考える会が上田市民らによって開催された[49]
信濃毎日新聞』の報道によれば、大学側が、長野大学理事長名で「法的な手段に発展する可能性がございます」との文書を同会の共同代表に出していることに対して、主催している市民は「組織的権力を背景とした圧力」と批判している[50]
 2022年10月26日からの短期間で長野大学で大勢の教職員が懲戒処分されている背景として、理事や幹部職員による不正疑惑や不正義な行為が、教職員から指摘されてことにある、とされている。実際に、不正を指摘された理事のうち1名が退職した[41]
 集会の中では大量に発生している教職員の懲戒処分は、これらの不正や不正義な行為への調査や改善を大学に対して求めている教職員に対して、大学当局からの報復として行われているという主張がなされている。新聞報道などによれば、この市民集会の中で長野大学で起きている公金の私的流用や公的助成金の不適切利用の疑惑、学長選考における不正義な行為が指摘され、その問題を「大学に公の場で説明することを求める決議案」が採択された[49]

複数の市民団体から長野大学へ公開質問状
長野大学で発生している「不正が疑われる問題」や「人権上の問題」、特に「大勢の教員が不当に懲戒処分された問題」など大学運営上の問題に対して公開質問状が出された。質問状を出したのは「上田市の教育を考える会」、「ピースアクションうえだ」、「長野県退職教員の会上小支部」である[51]

市民団体からの粘り強い問いかけに対して、大学側も回答を出さざるを得ない状況になり、「長野大学の運営上の問題」が徐々に明らかになっている[52]

第三者委員会の問題

前述の「不正と思われる不明朗なお金の流れと訴訟問題」に対して第三者委員会が設置され調査されていたことが、市民らの質問状に対する平井利博理事長からの回答から明らかになった[51]

平井理事長によれば、2020年3月4日に、この第三者委員会の報告書が提出された。

市民らからは以下の疑問が出された。

  • 公立大学法人で第三者委員会が設置されるほどの大きな問題が発生しているのに、なぜ問題が全く公表されていないのか、
  • 第三者委員会の調査結果が「多数の教員の懲戒処分」の根拠とされた。しかし、複数名の弁護士が関わっていながら、なぜ、この懲戒処分問題は、労基法違反のような明らかな違法行為が行われたのか[53][46]
  • なぜ、「不正自体」ではなく、「不正調査の手続き」の方が問題視されているのか。


長野大学は、この第三者委員会の報告書を不開示としている[54]


長野大学問題の他大学や地域への広がり

信州大学(松本キャンパス)で2023年10月10日に「平和と憲法をまもる信州大学人の会 第93回シンポジウム」が、地域社会と大学の民主化 – 長野大学で何がおきているかというテーマで開催された[55][56]

ここでは、長野大学の運営上の課題や人権侵害が疑われる問題を中心に、急速に学問の自由が奪われ、大学内での人権侵害が行われている実情が報告された。

このシンポジウムでは、オンライン参加と現地参加とを併せて80名もの参加者があった。参加者は、大学関係者だけでなく地域からも多くの人々が参加しており、長野大学問題の議論が広がっている。

セクハラ・アカハラによる停職6ヶ月
2022年5月、40代男性教授が学外で女性にセクシャルハラスメントに該当する行為を繰り返したとして、同年10月31日付で停職6ヶ月の懲戒処分を受けた。大学は同年9月、外部の専門家を含む調査委員会において調査し、賞罰審査委員会を設置して対応を検討。40代男性教授が大学などでの上下関係を悪用し、女性が拒否することが極めて困難な状況で行われた不適切な行為であり、「アカデミックハラスメント」にも該当すると判断した。当該事案に関する詳細は被害者のプライバシー保護の観点から詳細は公開されていない。また、当該の40代男性教授は不適切な行為を全面的に認め、大学を依願退職した。大学は、相談体制を周知するとともにハラスメント防止の指針に沿った行動をするよう大学関係者に徹底するとのコメントを出した[57]

学生生活[編集]

部活動・サークル[編集]

スポーツ系・文化系・ボランティア系など様々なサークルが活動している。また、強化指定部として女子バレーボール部、女子バスケットボール部がある。

大学祭[編集]

毎年10月ごろに「りんどう祭」が開催されている。かつては「長野大学祭」という名称であり、公立化の際に改名された。

厚生[編集]

長野大学生活協同組合があり、購買書籍店・ラウンジ「喫茶りんご」の営業、その他サービス・共済事業を行っている。

対外関係[編集]

他大学との協定[編集]

単位互換制度[編集]

2005年度導入の単位互換制度により単位互換の対応を行う大学

国際・学術交流等協定校[編集]

周辺[編集]

アクセス[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 塩田町が7000万円を出資し[1]、校地が町より無償にて提供された[2](短大分含む10万坪)。[要出典]
  2. ^ 当時は「公設民営方式」なる言葉や概念が存在しておらず、本州大学は自治体が設立した学校法人によって運営される私立大学として開学している。国内初の「公設民営方式」を称する大学は1991年設立の東北芸術工科大学である[要出典]
  3. ^ 旧来、学校法人長野大学の理事は上田市長や青木村長ら地元自治体関係者が参画し、私立大学だが経営は地元自治体が一定度に関与していた。公立大学法人へ移行手続きが開始された2015年4月に自治体関係者らは理事を退任している[要出典]
  4. ^ 日経BPマーケティング社刊行の日経グローカル誌による『大学の地域貢献に関する全国調査』「大学の地域貢献度ランキング」では2015年に、2010年来連続で私立大学中貢献度第1位、国公立大学含む総合ランキングで第10位など地域貢献の取り組みは一定度の評価を得ていた。公立化以降は順位を落としている。
  5. ^ 環境ツーリズム学部教授であった長島伸一は、本州大学設立の思想的背景として大正時代の青年団運動や上田自由大学を挙げている[5]
  6. ^ 本学は「長野県および東北信(東信地方北信地方)にある大学として地域社会に有為な人材を送り出すことが長野大学の使命である」と表明しており、卒業生の地域内就職率の高さ(全国大学平均52%に対して長野大学80%)を大学の特性の一つとして掲げ、本学自体も地域内就職を奨励している。その特性は在学生の8割前後が長野県内出身者であることに依っているものに他ならず、日経BPマーケティング社刊行の日経グローカル誌による『大学の地域貢献に関する全国調査』「大学の地域貢献度ランキング」において多年にわたって私立大学中貢献度第1位となった評価の根拠の一つともなっている。しかし県外から入学する学生の場合、卒業後も長野県及び上田市とその周辺に残るとは限らず、県外の出身地に戻ることが当然想定される。従って県外出身者の比率が上がれば地域内就職率は下がる可能性が高く、本学が県内外に広く認知され人気が上昇するという歓迎すべき現象と反比例する形で地域貢献度が低落するという懸念材料が生じている。県外出身の学生も受け入れている以上、長野県および東北信という限られた地域への貢献を殊更重視することには限界もあり、これは今後公立化や四年制大学化により県外からの志願者が増えることが見込まれる公立諏訪東京理科大学や長野県短期大学についても同様である。公立四年制大学としての人気を維持し広く県内外から学生を集めることと、地域社会への貢献を掲げて長野県に有為な人材を送り出すことをいかにして両立するかが本学及びこれら諸大学の今後の課題となっている[要出典]
  7. ^ 「上田地域定住自立圏域[22]」は、以下の自治体の範囲。長野県上田市・東御市小県郡長和町・小県郡青木村埴科郡坂城町北佐久郡立科町、群馬県吾妻郡嬬恋村

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 小西数紀 (2015年6月4日). “公立化「意義大きい」 長野大 上田市検討委が報告”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 長野総合版 
  2. ^ a b c d 美細津仁志 (2017年4月16日). “マナビバ 教育 地方私大 公立化進む 大学 閉鎖や撤退免れ 自治体 若者引き留め 学生 授業料安く”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 小中1面 15 
  3. ^ a b 沢田佳孝 (2017年4月21日). “県外の入学者大幅増 県内初 公立化の長野大開学 関係者ら効果を実感”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 信州版 20 
  4. ^ 建学の理念”. 長野大学. 2020年1月26日閲覧。
  5. ^ 長島伸一「自由大学運動と聴講生の学びの実態」長野大学編『上田自由大学とその周辺―長野大学からの二十一世紀メッセージ』2006年 郷土出版社 ISBN 4876638330
  6. ^ a b 沢田佳孝 (2016年12月21日). “公立長野大 正式認可 上田市長「責任持って準備」”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 信州版 16 
  7. ^ メルシャン株式会社と包括的連携に関する協定を締結2019年10月3日 長野大学
  8. ^ 『信濃毎日新聞』2004年7月3日
  9. ^ 『朝日新聞』2004年3月14日
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  11. ^ 信濃毎日新聞2021年9月8日
  12. ^ 地域と大学を考える in うえだ | 地域と大学を考える会”. 2023年9月28日閲覧。
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  16. ^ 学校法人長野学園 「長野大 公立化を」 上田市に要望 少子化見据えMSN産経ニュース 2014年3月7日[リンク切れ]
  17. ^ 信濃毎日新聞2014年3月6日
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  20. ^ 信濃毎日新聞2015年8月22日
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  22. ^ 「上田地域定住自立圏」については上田地域定住自立圏(上田市ホームページ)を参照。
  23. ^ 「これほど難しくなるとは」公立化で人気急上昇読売新聞 2017年4月4日[リンク切れ]
  24. ^ 2020(令和2)年度 入学者選抜要項 一般選抜(前期・公立大学中期)2019年7月2日 長野大学
  25. ^ 人気高まる地方の「公立化」大学 倍率33倍超の学部も(1)2019年1月28日 NEWSポストセブン(『女性セブン』2019年2月7日号)
  26. ^ 人気高まる地方の「公立化」大学 倍率33倍超の学部も(2)2019年1月28日 NEWSポストセブン(『女性セブン』2019年2月7日号)
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  32. ^ 公立大学法人長野大学とメルシャンが包括的連携協定を締結2019年10月3日 メルシャン株式会社
  33. ^ ◆長野大学とメルシャンが「包括的連携協定」を結ぶ!教育や人材育成、共同研究開発など!上田市とは丸子地域の陣場台地の「椀子ヴィンヤード」「椀子ワイナリー」を通じて関係性が高まっている! 長野県 上田市2019年10月5日 『東信ジャーナル』[Blog版] 株式会社東信ジャーナル社
  34. ^ a b 初の「理工系学部」を新設へ 長野大学 信濃毎日新聞2023年3月17日
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広報資料・プレスリリースなど一次資料[編集]

  1. ^ 長野大学教員の任期制に関する規程平成16年2月27日 学校法人長野学園理事会決定
  2. ^ 「長野大学の公立大学法人化に関する要望書(写)学校法人長野学園 2014年3月6日(PDFファイル)
  3. ^ 学校法人長野学園 長野大学の「公立大学法人化」について学校法人長野学園(PDFファイル)
  4. ^ 公立大学法人長野大学の認可平成28年12月20日 長野県指令28私高第220号(pdfファイル)
  5. ^ 学校法人長野学園の解散認可平成28年12月20日 28受文科高第1239号(pdfファイル)
  6. ^ 長野大学の設置者変更認可平成28年12月20日 28受文科高第1576号(pdfファイル)
  7. ^ 公立大学法人長野大学 平成30年度 業務実績報告書9頁以降 2019年7月4日  令和元年度第1回評価委員会 公立大学法人長野大学
  8. ^ 令和3年度開設予定大学院等認可申請一覧(令和2年4月)2020年4月 文部科学省高等教育局高等教育企画課大学設置室
  9. ^ 令和2年3月末申請の大学の学部等の設置等認可の諮問について2020年4月 文部科学省高等教育局高等教育企画課大学設置室
  10. ^ 長野大学大学院「総合福祉学研究科」の設置について2020年10月22日 長野大学
  11. ^ 令和3年度開設予定大学院等一覧1頁 2020年10月22日 文部科学省高等教育局高等教育企画課大学設置室
  12. ^ 長野大学大学院「総合福祉学研究科」の設置認可について2020年10月23日 長野大学
  13. ^ 長野大学大学院(総合福祉学研究科)の設置認可について2020年10月23日 上田市学園都市推進室
  14. ^ 受賞

外部リンク[編集]