骸骨の踊り

骸骨の踊り
The Skeleton Dance
監督 ウォルト・ディズニー
原案 ウォルト・ディズニー
製作 ウォルト・ディズニー
出演者 ウォルト・ディズニー
カール・スターリング
音楽 カール・スターリング
エドヴァルド・グリーグ抒情組曲より「トロールの行進」)
製作会社 ウォルト・ディズニー・プロダクション
配給 コロンビア ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 1929年8月22日
上映時間 5分31秒
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
次作 おそろしい闘牛士英語版
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骸骨の踊り』(がいこつのおどり、原題: The Skeleton Dance)は、1929年のシリー・シンフォニー短編アニメ作品

ウォルト・ディズニーが製作・監督し、アブ・アイワークスがアニメーションを手がけた[1][2][3]。4体の骸骨が不気味な墓地の周りで踊り、音楽を奏でるストーリーで[4]、中世ヨーロッパの「死の舞踏」の絵画を現代映画で表現したもの。『シリー・シンフォニー』シリーズの第1作で、映像やキャラクターがメインであり音楽があくまで映像の補佐役であったミッキーマウスの短編シリーズに対し、映像が音楽の説明役であり音楽を重視して製作された[1]

1993年、ディズニーランドに「ミッキーのトゥーンタウン」がオープンしたのに合わせ、本作の音楽をアレンジしたものがBGMに使用された。本作の著作権は1957年に更新され、2025年1月1日にアメリカでパブリックドメインとなる[5]

ストーリー[編集]

満月を前に、枝にとまったフクロウが、腹を膨らませたり縮ませたりしながら、長い鳴き声をあげるところから始まる。フクロウの右側から枝が現れ、不吉な手になって触れようとするため、フクロウは怯える。続いて、教会を背景に誰もいない墓地が映し出される。教会の前には幹があり、いくつもの枝が風で動いている。教会の時計が0時を指し、が鳴ると、コウモリの一団が鐘楼から逃げ出す。最後の2匹のコウモリが画面に向かって飛ぶと、クモが木から落ちて右へ這い、画面の外へ去っていく。

イヌが月に吠えながら膨らんだり縮んだりし、2匹のネコが墓をめぐって争う。墓の中から骸骨が現れ、恐怖を感じたネコたちは逃げ出す。骸骨は歩き、走り、飛び跳ねる。フクロウの鳴き声を聞いた骸骨は怖くなり、墓の後ろに隠れる。フクロウの鳴き声に過剰に驚いたことに腹を立てた骸骨は、首から頭を外してフクロウにぶつけ、フクロウの羽を叩き落とす。その後、頭は墓に跳ね返り、体に戻る。墓の中には4体の骸骨がおり、危険がないことを確認する。この後、骸骨たちは墓から出てきて踊り始める。そして、そのうちの1体がパートナーの1体から2本のを取り出し、その背骨、脊椎骨、頭部で演奏して音楽を奏でる。別の骸骨は、猫の尻尾をヴァイオリンの絃ように使い音楽を奏でる。雄鶏の鳴き声が夜明けを告げている。骸骨たちは慌てて隠れようとするが、体がぶつかり合って混ざり合ってしまう。混ざり合った骸骨たちは墓に戻る。しかし、骸骨の1体が脚を残していったので、墓場から手が出てきて脚をつかむ。

製作[編集]

本作の起源は、ウォルト・ディズニーミッキーマウスを主人公にした新作アニメの配給契約の手配と、初のサウンドアニメ『蒸気船ウィリー』のサウンドトラック録音のためにニューヨークに向かっていた1928年半ばに遡る。カンザスシティに立ち寄ったディズニーは、当時イシス劇場のオルガニストだった旧知のカール・スターリングを訪ね、最初のミッキー短編2作『プレーン・クレイジー』と『ギャロッピン・ガウチョ』の作曲を依頼した。その頃、スターリングはディズニーに音楽とアニメーションを組み合わせた「ミュージカル・ノベルティ・アニメ」のシリーズを提案し、これが後に『シリー・シンフォニー』シリーズの起源となる。スタリングはやがてディズニーのスタジオにスタッフ作曲家として加わることになる[6]

1929年1月に製作が始まり、アブ・アイワークスがほぼ6週間で作品の大部分をアニメ化した[6]。サウンドトラックは1929年2月にニューヨークのパット・パワーズ英語版のシネフォン・スタジオで、ミッキーマウスの短編『ミッキーのオペラ見学』のサウンドトラックとともに録音された。最終ネガの製作費は5,485.40ドル[6]

作品の評価[編集]

バラエティ』は、1929年7月17日付で、「タイトルはストーリーを物語っているが、このサウンド付き短編アニメに含まれる笑いの数は語っていない。その数は多い。ピークに達するのは、1体の骸骨が、1対の太ももの骨をハンマーに見立て、シロフォンの要領でもう1体の骸骨の背骨を弾くときだ。完璧なタイミングのシロフォンの伴奏が効果を完成させる。骸骨たちは蹄を鳴らしてはしゃぐ。1匹はフクロウに頭蓋骨を投げつけ、フクロウの羽を叩き落とす。4人の骸骨たちは、遠吠えのようなユニゾン・ルーティンをする。フィニッシュを決めるために、夜明けに雄鶏が鳴く。一夜を明かした骸骨たちは近くの墓に飛び込み、蓋を引き下げる。そこに、なぜか取り残された一対の足がやってくる。スラブを蹴り、骨ばった腕が彼らを引き込もうと手を伸ばす。舞台はすべて墓場。子供を連れてきてはいけない」と書いた[7]

フィルム・デイリー英語版』は、1929年7月21日付で、「ここに、これまでスクリーンに映し出された漫画の中で最も斬新な題材のひとつがある。たくさんの骸骨たちが、自分たちの骨で笑いをとっているのだ。彼らは木琴のナンバーを演奏し、1体が他の人の背骨の上で曲を演奏する。舞台はすべて墓地で、雰囲気のためにフクロウと雄鶏が登場し、最初から最後まで吠え続ける」と書いた[8]

1994年、本作は、アニメ関係者の投票により、「史上最も偉大な50作品(The 50 Greatest Cartoons」の第18位に選ばれた[9]

封切り[編集]

シリー・シンフォニー』シリーズのアメリカでの配給会社を誘致するため、ウォルトとロイ・O・ディズニーは、1929年6月にロサンゼルスカーテイ・サークル・シアター英語版サンフランシスコフォックス・シアター英語版で本作を上演するよう手配し、パット・パワーズは7月からニューヨークロキシー・シアター英語版で上演するよう手配した。8月上旬、コロンビア ピクチャーズがシリー・シンフォニーを配給することに同意し、本作はコロンビア公開作品として9月にロキシー劇場で上演された[6]

1931年3月、『ニューヨーク・タイムズ』は、本作が不気味すぎるという理由でデンマークで上映禁止になったと報じた[10]

ホームメディア[編集]

アメリカでは、2001年12月4日にリリースの『Walt Disney Treasures Silly Symphonies - The Historic Musical Animated Classics英語版』と[6][11]、2002年12月2日にリリースの『Walt Disney Treasures Mickey Mouse in Black and White英語版』に収録された[12]。2023年7月7日には、Disney+でも配信された[13]

日本では、2012年9月5日にブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントよりリリースされた『シリー・シンフォニー 限定保存版』に収録された[14][15]

ビデオゲーム[編集]

2012年のビデオゲーム『ディズニー エピックミッキー2:二つの力』では、アンロック可能な短編として登場した。

脚注[編集]

  1. ^ a b Merritt, Russell; Kaufman, J. B. (2016). Walt Disney's Silly Symphonies: a companion to the classic cartoon series (Revised & updated edition ed.). Glendale, California: Disney Editions. ISBN 978-1-4847-5132-9 
  2. ^ BCDBでの作品解説ページより。
  3. ^ IMDBでの作品解説ページより。
  4. ^ (日本語) Silly Symphonies - The Skeleton Dance, https://www.youtube.com/watch?v=vOGhAV-84iI 2024年1月9日閲覧。 
  5. ^ Library of Congress. Copyright Office. (1957) (English). Catalog of Copyright Entries 1957 Motion Pictures And Filmstrips Jan-Dec 3D Ser Vol 11 Pts 12-13. United States Copyright Office. U.S. Govt. Print. Off.. http://archive.org/details/catalogofcopyrig3111213li 
  6. ^ a b c d e Merritt, Russell; Kaufman, J. B. (2016). Walt Disney's Silly Symphonies: a companion to the classic cartoon series (Revised & updated edition ed.). Glendale, California: Disney Editions. ISBN 978-1-4847-5132-9 
  7. ^ Variety (1929). Variety (July 1929). Media History Digital Library Media History Digital Library. New York, NY: Variety Publishing Company. http://archive.org/details/variety96-1929-07 
  8. ^ The Film Daily (1929-07). The Film Daily (Jul-Dec 1929). Media History Digital Library. New York, Wid's Films and Film Folks, Inc.. http://archive.org/details/filmdaily4950newy 
  9. ^ Beck, Jerry, ed (1994). The 50 greatest cartoons: as selected by 1,000 animation professionals (1st ed ed.). Atlanta: Turner Pub. ISBN 978-1-878685-49-0 
  10. ^ “TOPICS OF THE TIMES.” (英語). The New York Times. http://timesmachine.nytimes.comhttp//timesmachine.content-tagging.us-east-1-01.prd.dvsp.nyt.net/timesmachine/1931/03/04/102217341.html?pageNumber=26 2024年1月11日閲覧。 
  11. ^ Walt Disney Treasures: Silly Symphonies DVD Review - Page 1 of 2”. dvdizzy.com. 2024年1月11日閲覧。
  12. ^ Walt Disney Treasures: Mickey Mouse in Black and White DVD Review - Page 1 of 2”. dvdizzy.com. 2024年1月11日閲覧。
  13. ^ Sohrab (2023年6月19日). “Disney+ to Debut 27 Restored Classic Walt Disney Animation Studios Shorts” (英語). D23. 2024年1月11日閲覧。
  14. ^ ドナルドダックの原点!1934年の初登場映像収録!ディズニー『ファンタジア』の原点となった傑作短編集|シネマトゥデイ”. シネマトゥデイ (2011年4月25日). 2024年1月11日閲覧。
  15. ^ (日本語) シリー・シンフォニー 限定保存版|ブルーレイ・DVD・デジタル配信|ディズニー公式, https://www.disney.co.jp/studio/animation/0466 2024年1月11日閲覧。 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]