(343158) 2009 HC82

(343158) 2009 HC82
分類 地球近傍小惑星[1]
軌道の種類 アポロ群[1]
逆行小惑星
金星横断小惑星
地球横断小惑星
火星横断小惑星
発見
発見日 2009年4月29日[1]
発見者 カタリナ・スカイサーベイ[1]
発見方法 自動検出
軌道要素と性質
元期:TDB 2456200.5 (2012年9月30.0日)[1]
軌道長半径 (a) 2.5277350(3) AU[1]
近日点距離 (q) 0.4866930(4) AU[1]
遠日点距離 (Q) 4.5687770(5) AU[1]
離心率 (e) 0.8074589(2)[1]
公転周期 (P) 1467.8975(3) 日[1]
(4.02 年[1])
軌道傾斜角 (i) 154.49630(2) 度[1]
近日点引数 (ω) 298.51372(7) 度[1]
昇交点黄経 (Ω) 294.93010(8) 度[1]
平均近点角 (M) 349.88441(9) 度[1]
EMoid 2139万 km
(0.142993 AU[1])
前回近日点通過 JED 2456241.7624(4)[1]
(2012年11月10日[1])
次回近日点通過 JED 2457709.6599(7)
(2016年11月17日)
物理的性質
直径 2.16 km[注釈 1][2]
質量 1.4 × 1013 kg
平均密度 2.6g/cm3(仮定)
絶対等級 (H) 16.16 ± 0.33534[1]
アルベド(反射能) 0.13(仮定)[3]
他のカタログでの名称
K09H82C[4]
(343158) 2009 HC82
2009 HC82
2009 HC82[1]
Template (ノート 解説) ■Project

(343158) 2009 HC82とは、アポロ群に属する地球近傍小惑星の1つである[1]

2009年4月29日カタリナ・スカイサーベイによって発見され、小惑星番号2012年10月29日に付与された[1]


軌道の性質[編集]

2009 HC82は、軌道長半径が3億7820万km (2.528AU) と小惑星帯に近い軌道を持つが、離心率が0.8075もあるため、近日点距離は7280万km (0.4867AU) と金星軌道よりも内側となり、遠日点距離は6億8350万km (4.569AU) にもなる極端な楕円軌道を持っている小惑星である。また、軌道傾斜角は154.5度もあり、これは2009 HC82が珍しい逆行軌道を持つ逆行小惑星であることを示している。実際、地球の軌道を横断する地球横断小惑星では唯一の逆行小惑星である[1][5][注釈 2]。またこの軌道の性質から、後述するとおり地球に対しての相対速度がとても速い小惑星となっている。なお、公転周期4.02年は、逆行小惑星の中で最も短い。

なお、2009 HC82は地球近傍小惑星 (NEA) であるが、地球軌道との最小距離 (EMoid) が2139万km (0.1430AU[1]) あるため、潜在的に危険な小惑星 (PHA) ではない[注釈 3]。ただし、かつてPHAに分類されていたことはある[4]。衝突のリスクに関する指標は、2009年5月6日までに削除されている[6]

物理的性質[編集]

2009 HC82絶対等級は16.16等級である[1]。天体の大きさはアルベドが分からないと真の直径を推定できないが、地球近傍小惑星にしばしば適用される値である0.13[3]を入れると、推定直径は約2.16kmとなる[2]。また、質量は140億トン (1.4×1013kg) と推定される[7][注釈 4]

地球との相対速度[編集]

2009 HC82は、2013年現在発見されている、地球から0.5AU以内に接近する天体の中で、最も地球に対する相対速度が大きな天体である。2009 HC82は、小惑星で唯一の、地球に対する相対速度が70km/s以上になる天体である[注釈 5]。1900年から2200年までの期間で最も大きな値は、1956年8月10日の最接近時の値で、最速で81.05km/sと推定されている[8][注釈 6]。また、小惑星のみで相対速度の順をとると、実に38位までが2009 HC82の値であり、2009 HC82以外の小惑星が初めて来るのは2007 VA85の63.27km/sである。これほどまでに速いのは、2009 HC82が逆行小惑星であることと同時に、地球近傍を頻繁に通過する天体であることが大きい。

2009 HC82は近いうちに衝突のリスクはないと考えられているが、仮に最速の速度で衝突していた場合、その衝突エネルギーは10.8テラトン (4.5×1022J) に達する。これは史上最大の水素爆弾ツァーリ・ボンバの21万倍、恐竜絶滅の直接的な原因となったチクシュルーブ・クレーターを形成した隕石衝突の0.6%に相当するエネルギーである。

天体との接近[編集]

地球[編集]

2009 HC82は逆行小惑星で軌道がかなり傾いているが、地球とは頻繁に接近する。ただし、近年は2009 HC82が地球に大きく接近しない空白期となっている。最後に大きく接近したのは1956年8月10日の7262万km (0.4855AU) であり、次回は2024年11月11日の7282万km (0.4868AU) である。1900年から2200年までに最も接近するのは、2080年12月30日の2677万km (0.1790AU) である[1]

その他の天体[編集]

2009 HC82は、むしろ金星火星により接近する小惑星である。

金星に最も接近するのは、前回は1992年10月24日に1526万km (0.1020AU) まで接近し、次回は2045年1月26日に1896万km (0.1267AU) まで接近する。なお、2009 HC82の金星に対する相対速度は、地球のそれよりも大きくなることがあり、特に1940年1月19日の接近時 (0.1399AU) は、相対速度が83.3km/sに達する[1][注釈 7]

火星に最も接近するのは、前回は1972年5月29日に750万km (0.0502AU) まで接近し、次回は2060年10月22日に75万6000km (0.0051AU) まで接近する[1]

ちなみに木星には、2015年9月21日に2億9696万km (1.9851AU) まで接近する[1]

注釈[編集]

  1. ^ D: 直径 p: アルベド H: 絶対等級
  2. ^ 逆行小惑星は2013年7月現在で51個しか発見されていない。
  3. ^ PHAに分類される天体はEMoidが0.05AU以下の天体である
  4. ^ これは、2009 HC82が完全な球であり、また平均密度を2.6g/cm3と仮定した場合である。この仮定もまた、地球近傍小惑星において適用される値である。
  5. ^ 彗星を含めれば、SWAN彗星 (P/2005 T4)の78.51km/sなどいくつかある。
  6. ^ 仮に水星が地球と逆行軌道を持っていたと仮定しても(距離を考慮せず)、相対速度は77.7km/sとなるため、それよりも大きい。
  7. ^ なお、このときの接近からわずか5日後には、地球から5595万km (0.3740AU) まで接近している

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac (2009 HC82) JPL Small-Body Database Browser
  2. ^ a b Conversion of Absolute Magnitude to Diameter for Minor Planets Stephen F. Austin State University Archived 2012年07月12日, at WebCite
  3. ^ a b NEO GROUPS Near Earth Object Program
  4. ^ a b MPEC 2009-J04 : 2009 HC82 Minor Planet Center
  5. ^ Objects by properties: Inclination Min 90 Minor Planet Center
  6. ^ Date/Time Removed Near-Earth Object Program
  7. ^ 99942 Apophis (2004 MN4) Earth Impact Risk Summary Near-Earth Object Program
  8. ^ NEO Earth Close-Approaches Near Earth Object Program

関連項目[編集]


前の小惑星
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小惑星
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