(98943) 2001 CC21

(98943) 2001 CC21
仮符号・別名 1982 VE13[1][2]
小惑星番号 98943
分類 地球近傍小惑星(NEO)[1][2]
軌道の種類 アポロ型[1][2]
発見
発見日 2001年2月3日[1][2]
発見者 LINEAR[1][2]
軌道要素と性質
元期:TDB 2,460,200.5(2023年9月13日[1]
軌道長半径 (a) 1.032 au[1]
近日点距離 (q) 0.806 au[1]
遠日点距離 (Q) 1.259 au[1]
離心率 (e) 0.219[1]
公転周期 (P) 383.121 [1](1.049 [1]
軌道傾斜角 (i) 4.808°[1]
近日点引数 (ω) 179.448°[1]
昇交点黄経 (Ω) 75.460°[1]
平均近点角 (M) 108.830°[1]
物理的性質
直径 329+78
−41
m[3]
420 - 560 m偏光観測より)[4]
700 mアルベドを0.15と仮定)[5]
自転周期 5.0247 ± 0.0001 時間[6][7]
スペクトル分類 S[4]
絶対等級 (H) 18.5[1][2][6]
アルベド(反射能) 0.285 ± 0.083[4]
Template (ノート 解説) ■Project

(98943) 2001 CC21は、アポロ群に分類される地球近傍小惑星 (NEO) である。2026年小惑星探査機はやぶさ2」によるフライバイでの近接探査が予定されており、2023年3月5日日本で (98943) 2001 CC21 による恒星 TYC 4082-00763-1(10.1等)の掩蔽で0.1秒間の減光の観測に成功した。

特徴[編集]

2001 CC21 は、2001年に地球近傍小惑星捜索プロジェクト「リンカーン地球近傍小惑星探査 (LINEAR)」によって発見された。軌道長半径は約1.032天文単位 (au)で、離心率が約0.219のやや潰れた楕円軌道を約383日かけて公転している[1][2]。新天体として発見されたのは2001年だが、その19年前の1982年サイディング・スプリング天文台から2回観測されていたことが判明している[2]。長軸に対する短軸の比が0.5となっているほど、球形からは程遠い歪な形状をしていると考えられている[8]

スペクトル分類においては以前はL型に分類されると考えられていたが、2023年に行われた近赤外線分光観測によって、2001 CC21 にはケイ酸塩が多く含まれており、L型小惑星では通常見られない輝石吸収線が確認されたことで、2001 CC21 は従来考えられていたL型小惑星ではなくS型小惑星であると考えられるようになっている[4][8]ケイ酸マグネシウムアルミニウムケイ酸鉄といった資源が含まれているとされており、2020年12月時点では2001 CC21の推定価値は1470.4億ドル、推定利益は297.7億ドルに達すると見積もられている[9]

探査[編集]

打ち上げから拡張ミッションの最終目標天体である1998 KY26に到着するまでの「はやぶさ2」の軌跡を示したアニメーション
      はやぶさ2 ·       (162173) リュウグウ ·       地球 ·       太陽 ·       (98943) 2001 CC21 ·       1998 KY26

2020年7月、日本宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は小惑星探査機はやぶさ2」がカプセルを地球へ分離した後に行う「拡張ミッション」の内容について、2001 CC21フライバイした後に小惑星1998 KY26へ向かう計画を発表し[10]、同年9月にこの計画で運用することを正式に選定された[5]。はやぶさ2による2001 CC21の近接探査は2026年7月に行われる予定となっている[5]。拡張ミッションのスケジュール公表時点では、まだ研究の進んでいないL型小惑星を高度約100 kmまで接近して近接探査することで、炭素質隕石に見られる白色包有物 (CAI) との類似性の判定に生かす予定が示されていたが[11]、先述の通り (98943) 2001 CC21 が後にS型小惑星であると考えられるようになったので、はやぶさ2ははやぶさ初号機が探査した(25143) イトカワと同程度の大きさを持つS型小惑星を探査するということになる[4][8]

名称[編集]

2001 CC21 という名称は、発見後に暫定的に与えられる仮符号である。発見後には正確な軌道要素の精査が行われ、発見から約4年後の2005年2月24日小惑星センター (MPC) から発行された小惑星回報 「M.P.C. 53677」にて小惑星番号98,943番が付与された[12]

小惑星番号が与えられた後も長らくは 2001 CC21 の正式な固有名は命名されていなかったが、はやぶさ2の拡張ミッションの探査天体に選定されたことを受けて、2023年12月6日にJAXAは 2001 CC21 に付与する名称の一般公募を行うと発表した。名称の公募は日本国内からに限られ、2024年5月9日まで公募が受け付けられる予定となっている[8]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r JPL Small-Body Database Browser: 98943 (2001 CC21)”. JPL Small-Body Database. Jet Propulsion Laboratory (2023-12-03 last obs.). 2023年12月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h (98943) = 1982 VE13 = 2001 CC21”. Minor Planet Center. 2020年3月4日閲覧。
  3. ^ Wright, E.; Masiero, J.; Mainzer, A. (2023). Preliminary Thermophysical Modeling of NEOWISE data on the Hayabusa2# Flyby Target 2001 CC21. 55th Annual DPS Meeting Joint with EPSC. Vol. 55. San Antonio, Texas. 107.03。
  4. ^ a b c d e Geem, Jooyeon; Ishiguro, Masateru; Granvik, Mikael; et al. (April 2023). "Spectral Type and Geometric Albedo of (98943) 2001 CC21, the Hayabusa2# Mission Target". arXiv:2304.02917 [astro-ph.EP]。
  5. ^ a b c JAXA はやぶさ2プロジェクト (2020年9月15日). “小惑星探査機「はやぶさ2」 記者説明会” (PDF). 宇宙航空研究開発機構. 2020年12月8日閲覧。
  6. ^ a b LCDB data for (98943) 2001 CC21”. Asteroid Lightcurve Database (LCDB). 2023年12月10日閲覧。(「Number」の欄に「98943」と入力)
  7. ^ Pravec, Petr. “"Prepublished" periods of asteroids” (txt). Ondrejov Asteroid Photometry Project. Astronomical Institute of the Czech Academy of Sciences. 2023年12月10日閲覧。
  8. ^ a b c d トピックス | 2001 CC21命名キャンペーン 小惑星2001 CC21の名称を募集します!”. はやぶさ2 拡張ミッション. 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) (2023年12月6日). 2023年12月10日閲覧。
  9. ^ Webster, Ian. “Asteroid Database and Mining Rankings – Asterank”. asterank.com. 2020年12月8日閲覧。
  10. ^ 宇宙科学探査ミッション進捗報告(はやぶさ2) - はやぶさ2地球帰還計画および拡張ミッションの検討状況” (PDF). 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 (2020年7月21日). 2020年12月8日閲覧。
  11. ^ 富岡恒憲 (2020年10月8日). “はやぶさ2、2度目の旅へ 地球に衝突の恐れある小惑星を調査”. 日経クロステック(xTECH). 2020年12月8日閲覧。
  12. ^ MPC 53585-53900” (PDF). Minor Planet Circular. Minor Planet Center (2005年2月24日). 2023年12月10日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]