20世紀

千年紀: 2千年紀
世紀: 19世紀 - 20世紀 - 21世紀
十年紀: 1900年代 1910年代 1920年代 1930年代 1940年代
1950年代 1960年代 1970年代 1980年代 1990年代
日本の元号: 明治 - 大正 - 昭和 - 平成
未曽有の経済的繁栄マンハッタン摩天楼群)

20世紀(にじっせいき[注 1]、にじゅっせいき)とは、西暦1901年から西暦2000年までの100年間を指す世紀2千年紀における最後の世紀である。漢字二十世紀の他に、廿世紀と表記される場合もある。

20世紀の詳細な出来事(年表)については、「20世紀の十年紀と各年」より各年代、各年の記事を参照のこと。

歴史概説[編集]

20世紀の人類科学発展は著しかった。飛行機潜水艦宇宙ロケットの開発により、人類の行動可能な範囲は、空へ深海へ宇宙へと拡大した。そして、北極点南極点への到達などにより、地球上での人類未踏の地はほぼなくなった。科学の発展は産業の発展をもたらし、大量生産大量消費の社会を生み出し、人々の生活を豊かにした反面、環境問題など多くの解決しなければならない、諸問題をも生み出した。さらに高度な科学技術は、極めて破壊力の大きい兵器をも作り出し、現在では人類を何度も滅亡させることの出来るほどの核兵器化学兵器が存在する。

また、産業革命以降に増加のペースが早くなっていた世界人口は、20世紀に入り人口爆発とも呼ばれる急激な増加を見せた。20世紀初頭に約15億人だった世界人口は第二次世界大戦終結後の1950年に約25億人となり、それからわずか50年しか経ってない20世紀末には2倍以上となる約60億人にまで膨れ上がっている[1]

政治経済史[編集]

帝国主義の崩壊[編集]

ヤルタ会談(中央ソファー左からチャーチルルーズベルトスターリン

20世紀は、2度の世界大戦とその後の冷戦植民地の独立などにより、何度も政治的なパワーバランスの大きな変化が訪れた。19世紀までの西欧列強による植民地争奪競争と市民革命の流れは終了し、20世紀の初頭には列強による本国と獲得した植民地保護(帝国主義体制)を維持するために、勢力均衡による安全保障が図られるようになり、また市民革命人権問題白人至上主義等)などにおいては後まわしとされがちだった、社会改革・改良への要求が強まった。また日本の近代化の成功や日露戦争の勝利に刺激され、中国では辛亥革命[注 2] が起き、またイスラム圏の民族運動が盛んになった。

列強による勢力均衡が破れた時、第一次世界大戦が勃発した。この大戦は総力戦となり、ヨーロッパは疲弊し国際的な影響力が弱まった。また厭戦気分と専制政治への反感から、ロシア帝国では史上初の社会主義革命が発生し、世界最初の社会主義国家であるソビエト連邦が成立した。この大戦において敗戦国となったオーストリア=ハンガリー帝国ドイツ帝国オスマン帝国もまた、ロシア帝国同様に崩壊し、ローマ帝国以来およそ1900年以上の長きにわたって続いてきたヨーロッパにおける帝国支配の歴史は、名実共に崩壊の時を迎えた。その後の1930年代には世界恐慌が発生し、ここで行き詰った枢軸国と、植民地大国である連合国との間で第二次世界大戦が勃発した。

冷戦体制[編集]

東西冷戦(赤が共産主義陣営、青が資本主義陣営)

第二次世界大戦が終わると、2度の世界大戦を勝ち抜いたアメリカ合衆国超大国となり資本主義国を勢力下においた。さらに黒人の公民権運動などによりアメリカの民主主義はより高度なものに発展した。一方、これまで数百年の間欧米諸国、それも第二次世界大戦の勝戦国の植民地となっていたインド東南アジアでは独立運動が高まり、インドネシア独立戦争を火種に次々と独立していった。東南アジアでの独立運動は同じように、欧米の植民地だった中東やアフリカ大陸にも波及しアフリカの世紀と呼ばれる時期が訪れる。ソ連も大戦中に東欧諸国を衛星国化して超大国となった。両国は対立し冷戦と呼ばれる時代となった。

ヨーロッパ諸国は、アメリカや日本の経済力に対抗するため、EEC(欧州経済共同体)を発足し、さらにEC(欧州共同体)、EU(欧州連合)へと統合を進めた。ナショナリズムの高まりと西欧諸国の弱体化にともない、植民地の大半は独立し、第三世界と呼ばれるようになった。その後、東西の緊張緩和(デタント)の時期も存在したが、再び米ソ間は緊張状態に陥った。ソ連ではゴルバチョフペレストロイカをすすめるとともに軍縮と緊張緩和につとめ、1989年12月、マルタ会談ジョージ・ブッシュ大統領と冷戦の終結を宣言した。しかし1991年にはソ連共産党の支配体制のゆるみが抑えきれなくなり、ソ連の崩壊を迎えた。東欧諸国ではソ連の支配が緩むと東欧革命がおきて自立し、冷戦時代は過去のものとなった。しかし、冷戦時代に表に現れなかった民族間の対立が露呈し、アフリカやバルカン半島などの各地で民族紛争が発生した。

世界経済の発展[編集]

アメリカ合衆国や、イギリスをはじめとした欧州諸国では、世界恐慌による経済危機を克服するため、公共事業による雇用確保や景気回復を図ったり、社会保障制度を構築する社会政策に力が注がれた。市場メカニズムを活用しながら、国家が経済に介入することによって、矛盾の克服が目指された(混合経済大きな政府)。戦後、混合経済政策は社会自由主義政党や社会民主主義政党だけでなく保守政党にも採用されて各国に未曽有の経済成長をもたらし、世界的に経済規模は拡大を続けたが、オイルショック以降、国家にかかる財政的な負担が目立ち始め、多くの国では不況とインフレーションに見舞われた(スタグフレーション)。

そのため、英国や北米、日本などでは1980年代から民間の自発的な活力を期待して、各種の法的な規制を緩め(規制緩和)、公営企業の民営化による解体を行う新自由主義もしくは小さな政府と呼ばれる政策が新保守主義と結びついて推進された。一方、北欧などでは自発的な住民自治を期待して1980年代から政府機関の分権化をすすめ、環境などの新たな価値を取り込んで、福祉国家の再編成がはかられた。ソ連の崩壊で唯一の超大国となったアメリカは、世界をリードしグローバル化を進めることとなった。

重大なできごと・発明[編集]

科学・技術[編集]

20世紀科学の特徴としては、以下のような点があげられる。

  • 科学とその応用としての技術が緊密に結びつき、科学技術という語がよく用いられるようになった。
  • 20世紀前半は物理学、後半は生物学がとくに際立って著しい発展を遂げた。
  • 科学研究者の数が非常に増え、科学研究が国家プロジェクトとして推進されるようになった。
理学分野
医学・バイオテクノロジー分野
工学分野
月面着陸月面でポーズをとるエドウィン・オルドリンNASA

ほか多数

戦争[編集]

戦車(1916年、ソンムに於けるMk.I戦車“雄型”
戦略爆撃機B-29
広島原爆キノコ雲

政治[編集]

冷戦1945年1989年
冷戦終結後(1989年〜)

文化[編集]

その他[編集]

人物[編集]

首脳・君主[編集]

産業と科学[編集]

アルベルト・アインシュタイン
Oren J. Turnerによる1947年の写真

人権運動[編集]

文化[編集]

スティーヴン・スピルバーグ

音楽[編集]

スポーツ[編集]

その他[編集]

架空のできごと[編集]

  • 半ば - 欧州某国で通常生物にない塩基を持つ生物が捕獲される。その後の実地踏査と研究により世界各地で同種の生物が発見され、「特異遺伝因子保持生物」を略して「特遺生物」、日本では「怪」と総称されるようになる。(小説『ダブルブリッド』)[3]
  • 後半 - 突然、謎の生物「イペリット」が多数出現し、地球環境を己の生存に適したものへ造り変え始める。その過程で、人類はイペリットによる殺戮と放出されるガスによって排除され、21世紀にはガスの届かない高地などの極地でわずかに生き残るのみとなる。(漫画『Thisコミュニケーション』)[4]
  • 末 - 大型隕石の落下を引き金として、怪獣出現や他の惑星からの地球侵略などが連続して発生。これを受け、国連軍はロボット専門防衛チーム「テデロス(TDRS)」を発足させる。(玩具・特撮テレビ番組『20世紀未来ロボット防衛隊テデロス』)[5]
  • 末 - 異星人「スプ・トラ」の宇宙船が地球に到来。地球近傍で米ソの乗組員を乗せたシャトルとファーストコンタクトを果たした後、小型の船でネヴァダ州の砂漠に着陸する。これは機密とされ、極軌道上のスプ・トラの宇宙船はソ連の膨張型風船反射衛星だと発表される。(小説『エンベディング』)[6]
  • 末 - 宇宙飛行士イムボボを乗せて木星を目指していた弾道船が、ジャイロの故障によって遭難しガニメデに着陸。イムボボはガニメデで異星の種族「アンシル」の都市の遺跡と無尽蔵のエネルギー源「スターコア」を発見する。(小説『星の秘宝を求めて』)[7]
  • 末 - ユーラシア大陸中央部などに生じた異次元空間「ネスト」から未知の敵「イクシス」が出現。防衛線の確立には成功するが、その後も世界各地に小規模なネストとイクシスが発生するようになる。(プラモデルほか『リトルアーモリー』)[8][9]
  • 19××年夏 - 太陽に大黒点が生じ、そこから発せられた放射線の作用によって、メトロポリス市のチャールズ・ロートン博士が人造細胞を作り出すことに成功。これを狙う秘密組織「レッド党」がロートン博士を脅迫し、人造細胞を用いた超人「ミッチイ」を作らせる。(漫画『メトロポリス』)[10]
  • 19××年 - 「来訪」発生。異星の超文明からの「来訪者」により、ハーモント市を始めとする地球上の6ヵ所に内部で様々な異常が発生する「来訪ゾーン」が生じる。その後、この「ゾーン」の研究を目的として国際地球外文化研究所が創設される。(小説『ストーカー英語版』)[11]
  • 19××年 - 「大いなる存在」によって天からもたらされた石「メダリオン」を巡り世界大戦が再燃。文明が滅亡に向かう中、4人のパイロットが争いの元凶であるメダリオンを破壊するために飛び立つ。(ゲーム『ギガウイング』)[12][13]
  • 19××年 - 宇宙空間の各所に生じたワークスポットの調査に向かったスペースシャトルが、異次元空間に進入し地球に似た環境を持つファゾム星に漂着。ファゾム星の住人であるチハリア人と接触する。(プラモデル『スペースオペレーションシリーズ』)[14]
  • 19XX年 - 世界平和維持機構と兵器結社「アウターリミッツ」の間での局地戦が世界各地で頻発する中、終焉兵器(ドゥームズ・ディ・ウェポン)の開発を進めるアウターリミッツに対し、世界平和維持機構は2機の戦闘機による反抗作戦を開始する。(ゲーム『19XX THE WAR AGAINST DESTINY』)[15]
  • 19XX年 - 東京に巨大隕石が落下し、その直後に謎の銀色の飛行物体による攻撃が開始される。日本政府のSOSを受けた国連は、これに対して米ソが共同開発した戦闘機「バイプレーン」および「ミニプレーン」の使用を決定し、国会議事堂地下からバイプレーンが緊急発進する。(ゲーム『スクランブルフォーメーション』)[16]
  • カーンバ種族を始めとする異星の種族の通信が、星間宇宙の探査を目的とした電波探知機によって探知される。これを受け、地球上での争いは沈静化し始める。(小説『バーサーカー』シリーズ)[17]

脚注[編集]

注釈
  1. ^ 広辞苑大辞林など。
  2. ^ 辛亥革命:これにより清朝は内部崩壊、現在までにおける中国最後の統一王朝となっている。
出典
  1. ^ 【緑の地平5】世界人口70億人突破が発する“地球の危機”/千葉商科大学名誉教授 三橋規宏(企業家倶楽部2012年2月号:VENTURE STORY)
  2. ^ Telegram from Orville Wright in Kitty Hawk, North Carolina, to His Father Announcing Four Successful Flights, 1903 December 17”. World Digital Library (1903年12月17日). 2013年7月22日閲覧。
  3. ^ 中村恵里加『ダブルブリッド』メディアワークス、2000年、28,126,162頁。ISBN 978-4-8402-1417-9 
  4. ^ 六内円栄『Thisコミュニケーション 1』集英社、2020年、10-14,38,87頁。ISBN 978-4-08-882393-5 
  5. ^ MARUSAN MOVIE - 『20世紀未来ロボット防衛隊テデロス』公式サイト(マルサン公式サイト内)。2018年3月20日閲覧。
  6. ^ イアン・ワトスン『エンベディング』国書刊行会、2004年、105-108,120-135,139,162-173,268頁。ISBN 978-4-336-04567-6 
  7. ^ キース・ローマー『星の秘宝を求めて』早川書房、1979年、233,248-254,272-274頁。ISBN 978-4-15-010366-8 
  8. ^ おかざき登『リトルアーモリー —だから、少女は撃鉄を起こす—』実業之日本社、2016年、5・6・287頁・裏表紙頁。ISBN 978-4-408-41451-5 
  9. ^ WORLD - 『リトルアーモリー』公式サイト。2019年3月1日閲覧。
  10. ^ 手塚治虫『メトロポリス』角川書店、1995年、11-13,20-31,47-49,90頁。ISBN 978-4-04-185120-3 
  11. ^ アルカジイ&ボリス・ストルガツキー『ストーカー』早川書房、1983年、7-13,63,184-204頁。ISBN 978-4-15-010504-4 
  12. ^ アーケード版『ギガウイング』チラシ カプコン、1999年、2頁。
  13. ^ ドリームキャスト版『ギガウイング』取扱説明書 カプコン、1999年、2・3頁。
  14. ^ 『スペースオペレーション シリーズ オペレーションオメガ』組立図 ハセガワ、2007年、1頁。
  15. ^ 『最新特だね情報!! 19XXひみつ大図解』カプコン、1996年、3,6頁。 
  16. ^ MSX2版『スクランブルフォーメーション』プレイマニュアル タイトー、1987年、3・5頁。
  17. ^ フレッド・セイバーヘーゲン『バーサーカー 赤方偏移の仮面』早川書房、1980年、9,10頁。ISBN 978-4-15-010387-3 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]