2017年イギリス総選挙

2017年イギリス総選挙
United Kingdom general election, 2017
イギリス
2015年 ←
2017年6月8日
→ 2019年

庶民院(下院) 全650議席
投票率 68.7%
  第1党 第2党 第3党
 
党首 テリーザ・メイ ジェレミー・
コービン
ニコラ・
スタージョン
政党 保守党 労働党 スコットランド国民党
党首就任 2016年7月11日 2015年9月12日 2014年11月14日
党首選挙区 メイデンヘッド イズリントン北 不出馬[注釈 1]
前回選挙 330 232 56
選挙前議席 330 229 54
獲得議席 317 262 35
議席増減 減少 13 増加 30 減少 21
得票数 13,636,684 12,877,858 977,568
得票率 42.34% 39.99% 3.04%
得票率増減 増加 5.5% 増加 9.5% 減少 1.7%

  第4党 第5党 第6党
  Arlene Foster
党首 ティム・ファロン アーリーン・
フォスター
ジェリー・アダムス
政党 自由民主党 民主統一党 シン・フェイン党
党首就任 2015年7月16日 2015年12月17日 2011年3月9日
党首選挙区 ウェストモーランド・
ロンズデール
不出馬[注釈 2] 不出馬[注釈 3]
前回選挙 8 8 4
選挙前議席 9
獲得議席 12 10 7[注釈 4]
議席増減 増加 4 増加 2 増加 3
得票数 2,371,861 292,316 238,915
得票率 7.37% 0.91% 0.74%
得票率増減 減少 0.5% 増加 0.3% 増加 0.1%

党派別議席分布図
保守党 労働党 スコットランド国民党 自由民主党

選挙前首相

テリーザ・メイ
保守党

選出首相

テリーザ・メイ
保守党

2017年イギリス総選挙(2017ねんイギリスそうせんきょ、英語: United Kingdom general election, 2017)は、2017年6月8日イギリスで行われた英国議会庶民院(下院)議員の総選挙である。

概要[編集]

当初は、議会任期固定法により、次回の総選挙は2020年5月7日に実施されることになっていたが、テリーザ・メイ首相は2017年4月18日の閣議後に、議会を解散し、総選挙の実施時期を前倒しすることを表明した[1]。翌19日に議会下院は解散総選挙の早期実施について採決し、賛成522、反対13で、これを承認した[2]。これにより、5月3日の議会解散と6月8日の総選挙実施が確定した。

5月3日、議会下院は解散され、6月8日の投開票日に向けた選挙戦が本格的にスタートした[3]イギリスの欧州連合(以下・EU)からの離脱の賛否および離脱に向けた交渉方針が主な争点となった[4][5]

選挙データ[編集]

  • 議会構成:イギリス議会は、上院(貴族院)と下院(庶民院)の両院から構成されるが、上院は世襲貴族と一代貴族の中から任命されるため選挙は行われず、下院議員のみが総選挙で選出される。
  • 選挙権者:18歳以上のイギリス国籍を有する男女、および英連邦市民、アイルランド共和国市民で一定の欠格要件(刑務所に服役中など)に該当しない市民で、居住地域の自治体で選挙人登録をした者。
  • 被選挙権者:18歳以上の英国籍を有している男女、および英連邦市民、アイルランド共和国市民で、一定の欠格要件(貴族院議員であることなど)に該当しない者。
  • 下院議員の任期:5年(ただし、下院が解散された場合はその時点で議員職を失う)
  • 定数:650議席
  • 選出方法:完全小選挙区制(選挙区で最多得票を得た候補者が当選)
  • 選挙活動期間:2017年5月3日 - 6月7日
  • 投票日:2017年6月8日(即日開票)

選挙活動[編集]

選挙結果[編集]

2017年6月8日、投票され即日開票。その結果、与党・保守党は得票自体は前回の36.9%から42.4%と5.5%増加[6]させて第一党を維持するも、選挙前の議席(330議席)を下回り、317議席しか獲得することができず、単独過半数の326議席を維持することには失敗した。一方の最大野党・労働党も改選前の229から議席を増加させるも獲得議席は262議席に終わり、政権交代はならず、第二次世界大戦後では3度めのハング・パーラメント(宙ぶらりんの議会)となった[7]

また、スコットランド国民党は改選前54から35に減らし、自由民主党は改選前9から12に増やした。イギリス独立党アルスター統一党社会民主労働党は全敗に終わり、議席を獲得できなかった[8]

北アイルランド地域政党のユニオニスト(連合王国帰属派)最右翼である民主統一党は改選前8から10に、アイルランド帰属派のシン・フェイン党は改選前4から7に、それぞれ議席を増やした。

2010年の「ハング・パーラメント」で保守党と連立政権を組んだ自由民主党は、今回は早々に連立しないことを宣言した[9]。そのため保守党は、政権に留まるためには他党との協力か、少数与党となるかの選択を迫られた。保守党は民主統一党との協議を始め[10]、民主統一党は閣外協力を表明した。両党併せると328議席となり、わずかに過半数を上回る。また、シン・フェイン党は登院に必要な英国君主(エリザベス2世)への忠誠を拒否しているため、実質的な過半数は322議席で済むことになる。6月26日、保守党は民主統一党の閣外協力を得ることを正式合意した[11][12]

党派別獲得議席[編集]

e • d  イギリスの旗 2017年イギリス庶民院総選挙 (2017年6月8日施行)
党派 獲得
議席
増減 得票数 得票率
保守党 317 減少 13 13,636,684 42.34%
労働党 262 増加 30 12,877,858 39.99%
スコットランド国民党 35 減少 21 977,568 3.07%
自由民主党 12 増加 4 2,371,861 7.37%
民主統一党 10 増加 2 292,316 0.91%
シン・フェイン党 7 増加 3 238,915 0.74%
ブライド・カムリ 4 増加 1 164,466 0.51%
イングランド・ウェールズ緑の党 1 増減なし 512,327 1.59%
無所属 1 増減なし 151,471 0.47%
議長 1 増減なし 34,299 0.11%
イギリス独立党 0 減少 1 594,068 1.84%
社会民主労働党 0 減少 3 95,419 0.30%
アルスター統一党 0 減少 2 83,280 0.26%
北アイルランド同盟党 0 ± 0 64,553 0.20%
ヨークシャー党 0 増減なし 20,958 0.07%
国民健康行動党 0 増減なし 16,119 0.05%
北アイルランド緑の党 0 増減なし 7,452 0.02%
スコットランド緑の党 0 増減なし 5,886 0.02%
キリスト教人民同盟 0 増減なし 5,869 0.02%
利益より人民 0 増減なし 5,509 0.02%
アッシュフィールド独立党 0 増減なし 4,612 0.01%
イギリス国民党 0 増減なし 4,580 0.01%
モンスター・レイビング・ルーニー党 0 増減なし 3,890 0.01%
自由党 0 増減なし 3,672 0.01%
女性の平等党 0 増減なし 3,580 0.01%
伝統的連合主義者の声 0 増減なし 3,282 0.01%
北東党 0 増減なし 2,355 0.01%
イギリス海賊党 0 増減なし 2,321 0.01%
イギリス民主党 0 増減なし 1,913 0.01%
キリスト党 0 増減なし 1,720 0.01%
独立を守りウィジーブッシュを守る生活 0 増減なし 1,209 0.00%
社会労働党 0 増減なし 1,154 0.00%
動物福祉党 0 増減なし 955 0.00%
正義と反汚職党 0 増減なし 842 0.00%
サウサウプトン独立党 0 増減なし 816 0.00%
労働者革命党 0 増減なし 771 0.00%
アイスランド労働者党 0 増減なし 708 0.00%
新しい何か 0 増減なし 552 0.00%
民衆直接主義党 0 増減なし 551 0.00%
リバタリアン党 0 増減なし 524 0.00%
社会民主党 0 増減なし 469 0.00%
平和党 0 増減なし 468 0.00%
友達党 0 増減なし 435 0.00%
諸派 0 増減なし 5,718 0.02%
総計 650 増減なし 32,204,124 100.0%
出典: General Election 2017:results and analysis

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ スタージョンはスコットランド議会議員であるため、出馬を見送った。
  2. ^ フォスターは北アイルランド議会議員であるため、出馬を見送った。
  3. ^ アダムスは北アイルランド議会議員であるため、出馬を見送った。
  4. ^ シン・フェイン所属議員はエリザベス女王への忠誠を拒否しており、登院もせず歳費も受け取っていない。

出典[編集]

  1. ^ “メイ英首相、解散・総選挙を発表 6月8日に投開票”. BBC. (2017年4月18日). http://www.bbc.com/japanese/39633355 2017年4月20日閲覧。 
  2. ^ “General election 2017: MPs back plans for 8 June poll”. BBC. (2017年4月19日). http://www.bbc.com/news/uk-politics-39643804 2017年4月20日閲覧。 
  3. ^ 英下院解散 選挙戦が本格化 テレビ東京 2017年5月3日
  4. ^ 英首相がEU批判、離脱交渉に厳しく臨む姿勢アピールTBS 2017年5月4日
  5. ^ 英下院解散 選挙戦本格スタートフジテレビ 2017年5月4日
  6. ^ “激震!イギリス総選挙~メイ首相が陥った“カジノ民主主義”の罠 EU離脱交渉は混迷に逆戻り…”. 現代ビジネス. (2017年6月11日). https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170611-00051983-gendaibiz-int&p=3 2017年6月11日閲覧。 
  7. ^ 英総選挙 与党過半数割れ、EU離脱に影響 首相続投へ”. 毎日新聞社 (2017年6月9日). 2017年6月10日閲覧。
  8. ^ イギリス総選挙2017NHK
  9. ^ 【解説】 英政界はどうなっているのか 総選挙後の展望 2017年06月13日 - BBC
  10. ^ 2017年 06月 9日 18:52 JST 英保守党、北アイルランドのDUPと協議 過半数割れで=スカイ - Sky News/ロイター
  11. ^ DUP-Tory deal: Full text of agreement between Arlene Foster and Theresa May June 26 2017 - "Belfast Telegraph" (英語)
  12. ^ メイ英政権、保守地域政党と閣外協力で合意 野党は「無謀」「袖の下」と 2017年06月27日 - BBC