Blazor

Blazor(ブレイザー)またはASP.NET Core Blazorは、開発者がC#HTMLCSSを使用して生産性の高いWebアプリケーションを開発できるようにする自由かつオープンソースのWebフレームワーク。マイクロソフトによって開発されている。様々な企業やサービスで利用されている[1][2]

Blazor
プロジェクトテンプレートの実行画面
作者 Microsoft
開発元 .NET Foundation
初版 2018年 (7年前) (2018)
リポジトリ github.com/dotnet/aspnetcore/tree/main/src/Components
対応OS Linux, macOS, Windows
内包元 ASP.NET Core
種別 Web framework
ライセンス Apache License 2.0
公式サイト dotnet.microsoft.com/en-us/apps/aspnet/web-apps/blazor
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概要

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2017年に開発構想が発表され、実験的なプロダクトとしてスタートした[3]。当初はC#とRazor構文によって記述する、クライアントサイドによる対話型アプリケーションフレームワークとして開発されていた。のちにサーバーサイドが追加され.NET Core 3.1で正式リリースされた。Blazorの名称は「Browser」と「Razor」が由来となっている。

現在、4つのエディションが利用可能となっている。

Blazor Web App (Blazor United)

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正式リリースまではBlazor Unitedと呼ばれていた。Blazor Server と Blazor WebAssembly の両方を組み合わせたもので、開発者がレンダリング モードをより細かく調整できる "両方の長所"を備えたソリューションが可能になる。このアプローチにより、Blazor WebAssembly が必要とするアセンブリの事前ダウンロードと、Blazor Server が必要とする常時接続のSignalRの欠点が克服される。.NET 8 ロードマップの一部であり、2023年11月15日のリリースとともに利用可能となった[4]

具体的には4つのレンダリングモードに分かれている[5]

Static Server

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Static server-side renderingとも呼ばれ、サーバー側で初回のみレンダリングされる。SignalRによる常時接続が不要だが、対話機能を有しないため、静的なコンテンツのページに向いている。

Interactive Server

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従来のBlazor Serverと同等で、サーバー側でレンダリングされ、対話機能を有する。

Interactive WebAssembly

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従来のBlazor WebAssemblyと同等で、クライアント側でレンダリングされ、対話機能を有する。

Interactive Auto

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Interactive WebAssemblyの欠点を克服するもの。初回の読み込み時のみInteractive Serverで動作すると同時にアセンブリがダウンロードされ、以降はInteractive WebAssemblyとして動作する。

Blazor Server

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ASP.NET Razor 形式で ASP.NET Core サーバーでホストされる。リモートクライアントはシンクライアントとして機能し、処理の大部分がサーバー上で行われる。クライアントの Web ブラウザーは小さなページをダウンロードし、SignalR接続を介してUIを更新する。Blazor Serverは .NET Core 3の一部としてリリースされた[6]

.NET 8ではBlazor Web App (Blazor United)がリリースされ、これに内包される形で非推奨となった。プロジェクトテンプレートは削除されたが、それまでに作成されたアプリは引き続き開発可能となっている[7]

Blazor WebAssembly

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実行前にクライアントの Web ブラウザーにダウンロードされるシングルページアプリケーション(SPA)。ダウンロードのサイズはBlazor Serverよりも大きく、アプリケーションによって異なり、処理はすべてクライアントハードウェアで行われる。ただし、このアプリタイプは応答時間が速い。その名前が示すように、このクライアント側フレームワークは、JavaScriptとは対照的に、WebAssemblyで記述されている(一緒に使用できる)。

Blazor Hybrid

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前者はプログレッシブ Web アプリケーション (PWA) をサポートしている。後者は(Webフレームワークとは対照的に)プラットフォームネイティブフレームワークだが、Webテクノロジー(HTMLやCSSなど)を使用してユーザーインターフェイスをレンダリングしている。WindowフォームWPFで利用可能で、.NET MAUIでは.NET MAUI Blazor Hybridとしてテンプレートが用意されている[8]

使用例

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次の例は、ボタンをクリックするとインクリメントするシンプルなカウンターの実装である。

<h1>Blazor code example</h1> <p>count: @count</p> <button @onclick="IncCount">Click to increment</button>  @code {     private int count = 0;      private void IncCount()     {         count++;     } } 

BlazorはRazor構文によって記述する。レイアウトをHTML(例の<h1>タグから<button>タグまで)、@Codeブロック内をC#で記述する。

相互運用機能を利用することで、alertなどのJavaScript関数や外部のJavaScriptライブラリを利用することもできる。

関連項目

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  • asm.jsC言語またはC++で記述された、クライアント側のWebアプリケーションを可能にするWebAssemblyの前身。
  • Google Native Client – ブラウザの動作環境に関係なく、ウェブブラウザ上でネイティブコードを実行できるようにするWebAssemblyの前身。現在は廃止されている。

脚注

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  1. ^ Blazor のお客様の紹介”. マイクロソフト. 2025年5月10日閲覧。
  2. ^ NITE-Gmiccs”. 独立行政法人製品評価技術基盤機構. 2025年5月10日閲覧。
  3. ^ マイクロソフトの実験的プロダクト「Blazor」、WebAssemblyで.NETランタイムを実装。WebブラウザでC#など.NETアセンブリをそのまま実行可能に”. Publickey. 2025年5月10日閲覧。
  4. ^ Blazor WebAssemblyとBlazor Serverが統合、フルスタックUIフレームワークに進化。サーバサイドレンダリングも可能に”. Publickey. 2025年5月10日閲覧。
  5. ^ ASP.NET Core Blazor のレンダー モード”. マイクロソフト. 2025年5月10日閲覧。
  6. ^ ASP.NET Core 3.0 の新機能”. マイクロソフト. 2025年5月10日閲覧。
  7. ^ ASP.NET Core 8.0 の新機能”. マイクロソフト. 2025年5月10日閲覧。
  8. ^ ASP.NET Core 6.0 の新機能”. マイクロソフト. 2025年5月10日閲覧。

外部リンク

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