R

Rr Rr
ラテン文字
Aa Bb Cc Dd    
Ee Ff Gg Hh    
Ii Jj Kk Ll Mm Nn
Oo Pp Qq Rr Ss Tt
Uu Vv Ww Xx Yy Zz
  • 太字で表した字は母音である。

Rは、ラテン文字アルファベット)の18番目の文字。小文字は rギリシア文字Ρ(ロー)に由来し、キリル文字Р(エル)と同系の文字である。

字形[編集]

筆記体
ジュッターリーン体
  1. 大文字は、縦棒の上部右に右半円を付け、線中央から右下に斜線を付加した形である。フラクトゥール
  2. 小文字は、縦棒と上部右に接する左上四半円ないし上半円である。ρ(ロー)の円の下半分を略した形といえるかもしれない。または、大文字Rの下半分ないし左下部分と見ることもできる。フラクトゥール。手書き書体では、縦棒を先に書き、折り返して半円を書く。筆記体では、縦棒の上部に前の字からの接続線が左下から、次の字への接続線が半円の右端から右上に続く。
  3. このとき、前からの接続線が縦棒に緩やかに半円を描いて続いていれば、本来の半円は円弧を描かず、鋭く山形に曲がることがある。
  4. 別の小文字筆記体では、左下から上がって、頂点で鋭く山形に右下に方向を変え(このとき逆時計回りに非常に小さな円を描くことがある)、右下に少し下がってから真下やや左向きに進路を変え、そのまま右に弧を描きながらベースラインに達し、右上に抜ける。

呼称[編集]

音価[編集]

この文字が表す音素は、歯茎ふるえ音/r/)ないしその類似音である(R音)。言語によってさまざまであるが、舌を上歯茎にしっかり付けて発音するLと異なる音であるところで共通する。しばしばべらんめいのようないわゆる巻き舌(舌を数回硬口蓋にはじかせる)となる。軽い巻き舌で硬口蓋に1度だけはじかせると、日本語ら行子音に似る。英語では、舌を硬口蓋に付けることなく接近させる。フランス語のパリ方言では、舌を硬口蓋に付けずに舌先を下げ、奥のほうで摩擦する。

  • アメリカ英語では母音字の後ろにあるrを発音するが、イギリス英語では発音しないか黙字(スコットランドやイングランドの3分の1くらいの地域では発音されている)となっている。
  • ドイツ語の多くの無強勢音節末のr, 複音節語における語末の er は、ゆっくり発音するような特別な場合をのぞき [ɐ] となる。
  • フランス語では語尾が -er で終わる単語の大半で語末の r を黙字とする。ただし、後続の単語が母音で始まっていれば、リエゾンが起こり発音する。
  • 中国語ピンインでは、音節頭位では有声そり舌摩擦音(声母"日")である。これは日本人には「リ」とも「ジ」とも聞こえるような音で、ウェード式では"j"と書かれる。また、"er"(韻母"児")と書かれたときはそり舌の曖昧母音で、声調によっては主母音はアに近くなる。また"児"が接尾辞として用いられたときは、児化を起こす。
  • 歯茎ふるえ音
  • イギリス英語:歯茎接近音
  • アメリカ英語、中国語:そり舌接近音
  • ドイツ語:口蓋垂ふるえ音
  • フランス語:有声口蓋垂摩擦音
  • 日本語、朝鮮語歯茎はじき音
  • スペイン語:語頭や n, l の後の"r"、語中の"rr"は歯茎ふるえ音、それ以外は歯茎はじき音という風に弁別する。

多くの言語で、他の子音、特に破裂音に続いて現れたときは、一気に発音され、その間で音節を区切ることはしない。

歯茎ふるえ音 [r] 聴く イギリス英語のいくつかの方言、強調されたスピーチ、標準的なオランダ語フィンランド語ガリシア語ドイツ語、いくつかの方言でハンガリー語アイスランド語イタリア語チェコ語リトアニア語ラトビア語ラテン語ノルウェー語ポーランド語カタルーニャ語ポルトガル語(伝統的なもの)、ルーマニア語スコットランド語スペイン語アラビア語、そしてアルバニア語“rr”、スウェーデン語ウェールズ語
歯茎接近音 [ɹ] 聴く 英語 (最も多い種類)、いくつかの方言でオランダ語(単語の特定の位置)、スウェーデン語、いくつかの方言でポルトガル語(単語の特定の位置)、フェロー語シチリア語
歯茎はじき音 [ɾ] 聴く ポルトガル語カタルーニャ語スペイン語、そしてアルバニア語“r”、トルコ語オランダ語イタリア語ヴェネツィア語ガリシア語レオン語、一部のアラビア語方言
有声そり舌摩擦音 [ʐ] 聴く /r/ の異音としていくつかの南アメリカのアクセントでスペイン語普通話ピン音で);ベトナム語(南部方言)
そり舌接近音 [ɻ] 聴く アメリカ英語のいくつかの種類;普通話(ピン音で);そしてゴトランド語
そり舌はじき音 [ɽ] 聴く 時折スコットランド英語
口蓋垂ふるえ音 [ʀ] 聴く 公式な場でのドイツ語;いくつかのオランダ語方言 (ブラバント、そしてリンブルフなど、オランダのいくつかの都市)、南部スウェーデンでのスウェーデン語、西部及び南部地域でのノルウェー語、一部のアラビア語方言
有声口蓋垂摩擦音 [ʁ] 聴く ドイツ語デンマーク語フランス語ヘブライ語、いくつかのヨーロッパポルトガル語“rr”
無声口蓋垂摩擦音 [χ] 聴く いくつかのブラジルポルトガル語“rr”
無声声門摩擦音 [h] 聴く いくつかのブラジルポルトガル語“rr”

歴史[編集]

ギリシャ文字Ρ(ロー)に由来する。ギリシア文字Π(ピー、パイ)が、右足を曲げ、P(ピー)のようになって、Ρ(ロー)に似てきたため、区別するために線を付加したものである。

R の意味[編集]

主に大文字[編集]

主に小文字[編集]

  • 数学、図面などで半径 (radius) を表すのによく用いられる。
  • 回転数 (revolution) を表す。rpm は一分間あたりの回転数。
  • r SI接頭語 ロント (ronto)(10−27)
  • R SI接頭語ロナ (ronna)(1027)
  • 地域通貨アースデイマネーの単位

Rをもとにした記号[編集]

符号位置[編集]

大文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 小文字 Unicode JIS X 0213 文字参照 備考
R U+0052 1-3-50 R
R
r U+0072 1-3-82 r
r
U+FF32 1-3-50 R
R
U+FF52 1-3-82 r
r
全角
U+24C7 Ⓡ
Ⓡ
U+24E1 1-12-43 ⓡ
ⓡ
丸囲み
🄡 U+1F121 🄡
🄡
U+24AD ⒭
⒭
括弧付き
𝐑 U+1D411 𝐑
𝐑
𝐫 U+1D42B 𝐫
𝐫
太字

他の表現法[編集]

その他[編集]

大文字Rには、以下のような特徴があるため、上下逆・左右逆・反転の有無が容易に識別できる。このため、プリンターコピー機などの給紙方法の例示としてよく使われている[1]

  • 線対称ではない
  • 点対称ではない
  • 四隅が空白ではない、かつ、すべて形が異なる

脚注[編集]

関連項目[編集]