ライムライト (照明)

ライムライトの構造図

ライムライト英語: Limelight)は照明器具の一種。電灯が発明され、普及する前に舞台照明に用いられた。別称はカルシウムライト石灰灯灰光灯石灰光

ライムライトのライムとは石灰を意味する英語の lime のことであり、石灰を棒状、あるいは球形に成形したものに、酸素水素を別々の管から同時に噴出させて点火した高温の火炎酸水素炎)を吹き付け、白熱した石灰から発した光をレンズで集光して照明に用いる。酸水素炎は2800℃に達する高温の火炎であるが、それ自体は青白い弱い光しか発しない[1]。この火炎の中に石灰を置くと、高温になった石灰は熱放射を起こし、広いスペクトル域の可視光を強烈な白色光として発する。この現象は強熱発光として知られる[2]

19世紀中ごろに発明され、電灯が発明される前は劇場の舞台照明として盛んに用いられたが、1878年白熱電球が実用化されるとこれの普及に伴い次第に廃れ、20世紀初頭には使用されなくなった[3]。その代わり、ライムライトは「名声」の代名詞として用いられるようになった[4]アーク灯が発明されるまでは軍艦の投光器として使われ、南北戦争中には北部の封鎖艦隊が、封鎖突破船に対する警戒や南部の港湾や要塞に対する夜間砲撃に使用した。

関連項目[編集]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ ヘンリー・イ・ロスコー水素ノ酸化物」『化学新書(羅斯古)』 巻2、カル・ショルレンメル 訳、メナルダ・ハン・スコーウェンビルフ 再訳、ほか、柏原学而、1876, 1877、26頁。doi:10.11501/830609OCLC 673248298全国書誌番号:40054092https://dl.ndl.go.jp/pid/830609/1/262023年1月3日閲覧 
  2. ^ 安田正美「金属酸化物のレーザー解離による低速Yb原子生成と磁気光学トラップ捕獲」『表面と真空』第63巻第10号、日本表面真空学会、517-518頁、doi:10.1380/vss.63.514NAID 130007925252OCLC 1076700146国立国会図書館書誌ID:0306953192023年1月3日閲覧 
  3. ^ Bhangal, Sham『Flash Hacks:プロが教えるテクニック&ツール100選』クイープ 訳、オライリー・ジャパン、2005年7月、1頁。ISBN 4873112354NCID BA72593863OCLC 675541465全国書誌番号:20819364https://books.google.com/books?id=ArQNqB3HE2YC&pg=PAPT12023年1月3日閲覧 
  4. ^ 永田博人、赤瀬川史朗 編『アクセスアンカー英和辞典羽鳥博愛 監修、学研プラス、2016年11月、611頁。ISBN 978-4-0530-4553-9NCID BB23237688OCLC 966441373全国書誌番号:22820746https://books.google.com/books?id=axJb84JfgbEC&pg=PAPA6112023年1月3日閲覧 
  5. ^ 高橋雄造電気の歴史 人と技術のものがたり東京電機大学出版局、2011年、68頁。ISBN 978-4-5011-1560-9NCID BB06173658OCLC 763085177全国書誌番号:21976428https://books.google.com/books?id=Yn9AHvgXJqIC&pg=PAPA682023年1月3日閲覧