世界平和連合

世界平和連合
略称 FWP
設立 1991年8月28日
1996年3月21日(日本)[1]
設立者 文鮮明
種類 政治団体
目的 反共産主義憲法改正安保法制の推進[2][3]
本部 日本の旗 日本 東京都渋谷区宇田川町36-6 ワールド宇田川ビル9F
会長 梶栗正義[4]
重要人物 魚谷俊輔(事務総長)[注 1]
久保木修己(元会長)
梶栗玄太郎(元会長)
太田洪量(元会長)
関連組織 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)
国際勝共連合
ウェブサイト 世界平和連合 公式サイト
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世界平和連合(せかいへいわれんごう、英語: Federation for World Peace; FWP)は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の創始者の文鮮明が1991年に創設した政治団体。日本支部は1996年に設立された[2][3]

概要・沿革[編集]

1991年8月28日、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の創始者の文鮮明は自身の政治信条にかなう世界の実現のため、「世界平和連合」をソウルで創設した[2]。日本の公式サイトには、「残存する共産主義世界の解放とともに、世界が抱える諸問題、すなわち食糧・貧困・格差・環境・青少年教育問題等を解決する目的で創設」されたと記されている[4]。同年9月26日、日本統一教会会長の久保木修己は会長職を退き、アメリカの責任者であった神山威が日本統一教会2代目会長に就任した。

1996年3月21日、日本支部が東京で設立された。初代会長には久保木が就任した[1]反共産主義を掲げ、憲法改正を主張。保守系の政治家に様々な働きかけを行っている[2][3]。「アジアと日本の平和と安全を守る」と題した教団の関連イベントでは平和大使協議会とともに共催者として関わる[8]

2010年、日本統一教会第12代会長の梶栗玄太郎国際勝共連合会長と世界平和連合会長に就任[9]

2013年の第23回参議院議員通常選挙に際して、世界平和連合は3人の自民党候補者を支援した。そのうち名前が明らかとされているのは比例区から立候補した北村経夫であった[10]安倍晋三首相は北村の支援を統一教会側に直接依頼し[11][12]、北村は自民党が比例代表で獲得した18議席中、15位で初当選した[13]

2016年の第24回参議院議員通常選挙に際しても、安倍晋三は統一教会の組織票を差配。選挙公示直前、臨床検査技師の業界団体が比例区に擁立した宮島喜文への世界平和連合の推薦が決まった[14][15][16]。自民党は比例代表で19議席を獲得し、宮島は党内得票数17位で初当選を果たした[17]

2017年、太田洪量が国際勝共連合会長と世界平和連合会長を退任。後任に、梶栗玄太郎の長男の梶栗正義がそれぞれ就任。梶栗正義はそのほか、「平和大使協議会」と「国際ハイウェイ財団」の会長、「UPFジャパン」(天宙平和連合の日本支部)の議長も務めている[18][4][19][20][21]

2022年6月2日、第26回参議院議員通常選挙・比例区の立候補予定者である元職の井上義行は神奈川県小田原市で「井上よしゆき君を激励する会」を開催[22][23]。安倍晋三は、同選挙においては井上に教団の組織票を割り振っていた[15][16]。当該集会の司会者は冒頭で「参議院議員選挙のなかでご支援をいただくことになった全国の支援団体の皆様に本日はお越しいだいています」と述べたあと、いちばん初めに世界平和連合事務総長の魚谷俊輔を紹介した。集会には安倍も出席し、応援演説をした[24][5]

同年6月13日、「天宙平和連合」が創設した世界平和国会議員連合の日本の議員連盟「日本・世界平和議員連合懇談会」は総会を開催。顧問である梶栗は、同年7月の参院選に向けた講演をした。講演の際に配布されたアンケート用紙には「次期参議院選挙の地方区で、世界平和連合の応援を希望する議員がおられればお書き下さい」と書かれてあった[25][26]。会長代行の奥野信亮は「この懇談会に入っていればしっかり(選挙で)応援してくれる」という趣旨の発言をした[27]

同年6月16日、世界平和連合の多摩東京事務局長は、教団信者ら数百人が登録されているLINEグループに、教団の八王子家庭教会で行われる参院選関連の激励会への参加要請のメッセージを投稿した[28][29][30]。6月18日、八王子家庭教会には150人ほどの信者らが集まり、自民党東京都連会長の萩生田光一と、萩生田が強力に推すおニャン子クラブの元メンバーの生稲晃子を拍手で迎えた。二人が退席したあと、前述の井上義行も教会を訪問した[28][29][30]。7月10日に投開票が行われ、生稲は初当選した。自民党は比例代表に特定枠2人を含め計33人の候補者を擁立し、18議席を獲得。井上は11番目の得票数で2期目の当選を果たした[31]

同年10月6日、自民党参議院幹事長の世耕弘成は参議院本会議の代表質問で「この団体(統一協会)の教義に賛同する我が党議員は一人もいない」と言い切った[32]。ところが10月20日、朝日新聞のスクープにより、世界平和連合と平和大使協議会が2021年の衆院選と2022年の参院選の際、自民党議員に対し「推薦確認書」を提示し、署名を求めていたことが明らかとされた[33]。推薦確認書は下記の5つの項目から成り、事実上の「政策協定」であった[34][35]

「憲法を改正し、安全保障体制を強化すること」
「家庭教育支援法と青少年健全育成基本法の国会での制定に取り組むこと」
同性婚合法化などに関しては慎重に扱うこと」
「『日韓トンネル』の実現を推進すること」
「国内外の共産主義勢力などの攻勢を阻止すること」

教団関係者は取材に、全国各地で数十人規模に署名を求めたと証言した[33]。同年11月の時点で、推薦確認書に署名したことが判明した国会議員は、斎藤洋明大串正樹山田賢司深澤陽一の4人だった[36][37][38][39]

2024年2月6日、朝日新聞朝刊が、衆院選公示2日前の2021年10月17日、世界平和連合が盛山正仁のために神戸市勤労会館で主催した「盛山正仁衆議院議員国政報告会」[40]に盛山が出席し、前述の推薦確認書に署名していたと報じた。盛山が推薦状を手にした写真も掲載された[41]

所在地[編集]

日本支部の所在地は東京都渋谷区宇田川町36-6 ワールド宇田川ビル9F[2]。ワールド宇田川ビルの概要および主な入居団体は下記のとおり(2021年10月の時点)[42]

  • 建物名称:ワールド宇田川ビル・西村ビル(複合建物)
  • 所在地:東京都渋谷区宇田川町36-6
  • 建物規模:地上10階/地下2階
9F 世界平和連合
8F 渋谷家庭教会渋谷ミッションセンター[43]、南東京平和大使協議会
7F (略)
6F (略)
5F 日本放送協会
4F 渋谷セミナールーム
3F 日本放送協会
2F (略)
1F (略)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 事務総長の魚谷俊輔[5]は、「国際勝共連合」の事務総長、「天宙平和連合(UPF-Japan)」の事務総長も兼務している[6][7]

出典[編集]

  1. ^ a b 真の父母様と統一運動の歴史 1990-1999”. 光言社. 2022年10月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e 団体概要”. 世界平和連合 公式サイト. 2022年9月21日閲覧。
  3. ^ a b c 旧統一教会関連団体トップに問う 教会と政治、安倍元首相との関わり”. クローズアップ現代. NHK (2022年8月29日). 2022年8月31日閲覧。
  4. ^ a b c 会長挨拶”. 世界平和連合. 2022年8月2日閲覧。
  5. ^ a b 井上よしゆきチャンネル (2022年6月2日). “安倍元総理が生出演!講演会の模様をライブ配信いたします。”. YouTube. 2022年11月16日閲覧。
  6. ^ 「週刊文春」への抗議文を全文掲載”. 国際勝共連合 (2022年9月7日). 2022年11月14日閲覧。
  7. ^ 【魚谷事務総長の宗教講座】いまさら聞けない「仏教の基礎知識」”. 平和大使オンライン. 2022年11月8日閲覧。
  8. ^ 11.6アジアと日本の平和と安全を守る愛知県大会”. アジアと日本の平和と安全を守る全国フォーラム (2016年11月6日). 2021年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月13日閲覧。
  9. ^ 日本統一運動史~人物伝 3 天への絶対忠誠を貫いた忠臣”. 光言社 (2020年11月26日). 2022年7月21日閲覧。
  10. ^ 鈴木エイト、小泉耕平、福田雄一「安倍帝国vs.宗教 創価学会票が離反、接近する教団とは… 13団体にアンケート」 『週刊朝日』2014年4月11日号。
  11. ^ 統一教会の政界汚染、支援対象は「安倍さんの一存だった」 恩恵を受けた子飼い議員の名”. デイリー新潮 (2022年7月27日). 2022年7月27日閲覧。
  12. ^ 「安倍派が飛び抜けて多かった」旧統一教会と政治家“持ちつ持たれつの関係”その実態とは【報道特集】(3/3ページ)”. TBS NEWS DIG. TBSテレビ (2022年7月25日). 2022年11月11日閲覧。
  13. ^ 比例区 - 開票速報 - 2013参院選”. 2013参院選挙:朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2022年11月18日閲覧。
  14. ^ 旧統一教会側の支援受けた自民・宮島氏 陣営幹部「教団の力すごい」”. 朝日新聞 (2022年8月20日). 2022年8月25日閲覧。
  15. ^ a b 【解説】伊達前参議院議長 安倍元総理に旧統一教会票を依頼”. 北海道テレビ (2022年7月28日). 2022年7月29日閲覧。
  16. ^ a b 【前参院議長の告白 完全版】伊達忠一氏 安倍元総理に旧統一教会票を依頼”. 北海道テレビ (2022年7月28日). 2022年7月29日閲覧。
  17. ^ 比例代表 自由民主党”. 2016参院選 NHK選挙WEB. NHK. 2022年7月11日閲覧。
  18. ^ 政治資金収支報告書 国際勝共連合(令和3年分 定期公表)” (PDF). 総務省 (2022年11月25日). 2022年11月25日閲覧。
  19. ^ 梶栗会長が記念講演「日本は新太平洋平和文明の担い手に」”. 平和大使協議会 (2020年7月8日). 2020年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月1日閲覧。
  20. ^ 財団概要”. 日韓トンネルプロジェクトを推進する国際ハイウェイ財団. 2022年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月16日閲覧。
  21. ^ 組織概要”. UPF-Japan. 2022年8月6日閲覧。
  22. ^ 安倍元首相が応援演説 自民党候補予定者集会で”. タウンニュース (2022年6月10日). 2022年11月16日閲覧。
  23. ^ 井上よしゆきチャンネル (2022年6月3日). “安倍元総理が井上よしゆきとの出会い、エピソードを語る!激励会のダイジェスト版をお届けします。”. YouTube. 2022年11月16日閲覧。
  24. ^ 支援集会に旧統一教会“友好団体”安倍氏側近 入信は否定も「賛同会員に」”. テレビ朝日 (2022年7月18日). 2022年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月14日閲覧。
  25. ^ 今西憲之、吉崎洋夫 (2022年7月29日). “旧統一教会系団体に参院選の応援「希望する議員いれば記入を」 自民党が幹部の議連でアンケート”. AERA dot.. 2022年8月1日閲覧。
  26. ^ 東久保逸夫、李舜 (2022年9月15日). “参院選前、旧統一教会系応援希望アンケート 自民議員らに配布”. 毎日新聞. 2022年9月21日閲覧。
  27. ^ 吉崎洋夫 (2022年8月4日). “「○○容疑者は家庭がしっかりしていれば」旧統一教会系の自民議連トップ 奥野議員が激白”. AERA dot.. 2022年9月9日閲覧。
  28. ^ a b 「巨人の星」替え歌で激励した信者たち 生稲晃子氏は目頭を押さえた”. 朝日新聞 (2022年9月22日). 2022年9月22日閲覧。
  29. ^ a b 旧統一教会信者「萩生田さんとの絆は深い」 政界復帰は「神の計画」”. 朝日新聞 (2022年9月22日). 2022年9月22日閲覧。
  30. ^ a b 萩生田氏へ配慮、信者「深い絆」 選挙は「S」、政治家名記さず集会招集 旧統一教会”. 朝日新聞 (2022年9月22日). 2022年9月22日閲覧。
  31. ^ 比例代表 自由民主党 参議院選挙結果・開票速報”. 参議院選挙2022特設サイト. NHK. 2022年7月11日閲覧。
  32. ^ 「旧統一教会に賛同する議員いない」 世耕氏が発言、野党は「えー」”. 朝日新聞 (2022年10月6日). 2022年10月20日閲覧。
  33. ^ a b 旧統一教会側、自民議員に「政策協定」 選挙支援見返りに署名求める”. 朝日新聞 (2022年10月20日). 2022年10月20日閲覧。
  34. ^ 旧統一教会の関連団体 自民党議員と「推薦確認書」取り交わす”. NHK (2022年10月20日). 2022年12月22日閲覧。
  35. ^ 高木智也 (2022年11月1日). “立憲、党所属国会議員と教団側の「政策協定」は「確認できなかった」”. 朝日新聞. 2022年12月22日閲覧。
  36. ^ 独自 旧統一教会側が選挙前に「推薦確認書」 署名した自民党議員が証言「一種の政策協定だと理解」”. TBS NEWS DIG. TBSテレビ (2022年10月20日). 2022年10月20日閲覧。
  37. ^ 政務三役でも発覚 大串副大臣が旧統一教会の関連団体の推薦確認書に署名”. TBS NEWS DIG. TBSテレビ (2022年10月26日). 2022年10月26日閲覧。
  38. ^ 【速報】「サインして」教団側の要請に副大臣がまた・・・「よく確認せず」推薦確認書に署名”. TBS NEWS DIG. TBSテレビ (2022年10月28日). 2022年10月30日閲覧。
  39. ^ 旧統一教会から「推薦確認書」提示された自民党議員8人に 深澤陽一前厚労政務官ら4人が署名”. TBS NEWS DIG. TBSテレビ (2022年11月14日). 2022年11月14日閲覧。
  40. ^ TBS『報道特集』2024年2月17日放送、「旧統一教会『文教』接近の思惑は」。
  41. ^ 沢伸也、高島曜介 (2024年2月6日). “かけ放題プランで電話数百件 旧統一教会信者が語る文科相の選挙支援”. 朝日新聞. 2024年2月7日閲覧。
  42. ^ ワールド宇田川ビル・西村ビル”. TOKYOカオスエリアコレクション(TCC2) (2021年10月16日). 2022年9月16日閲覧。
  43. ^ 運営元・アクセスマップ”. ワクワクセミナー. 2022年9月21日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]