狩勝峠

狩勝峠
国道38号狩勝峠(2021年9月)
所在地 北海道空知郡南富良野町上川郡新得町
座標
狩勝峠の位置(日本内)
狩勝峠
北緯43度8分7.6秒 東経142度45分52秒 / 北緯43.135444度 東経142.76444度 / 43.135444; 142.76444座標: 北緯43度8分7.6秒 東経142度45分52秒 / 北緯43.135444度 東経142.76444度 / 43.135444; 142.76444
標高 644 m
山系 日高山脈
通過路 根室本線(新狩勝トンネル)
国道38号
道東自動車道狩勝第一トンネル
プロジェクト 地形
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狩勝峠(かりかちとうげ)は、北海道空知郡南富良野町上川郡新得町の境界にある。道路の峠の標高は644m。峠の西側は石狩川水系、東側は十勝川水系で、日本海側と太平洋側の分水界である。

峠名の由来[編集]

1896年(明治29年)に北海道鉄道敷設法(鉄道敷設法)が制定され、北海道官設鉄道の鉄道敷設部長田辺朔郎がルート選定のために佐幌岳周辺を踏査した際に旧石狩国・旧十勝国から一文字ずつ取って「狩勝峠」と命名した[1]

鉄道[編集]

1907年(明治40年)に鉄道院(後の鉄道省→日本国有鉄道)十勝線の落合駅 - 帯広駅間が開通し、峠付近には狩勝信号場が設置された。落合駅 - 新得駅間は狩勝峠を超えることから「狩勝線」と呼ばれた[2]。信号場から十勝寄りには狩勝隧道(狩勝トンネル、延長954 m)があり、トンネルを抜けると眼下に雄大な十勝平野が一望できることから「日本三大車窓」の1つとされ、1927年(昭和2年)には「日本新八景」にも選定された[3]

1951年(昭和26年)にはレールの切断による急行まりも機関車炭水車(テンダー)が脱線したまりも号脱線事件が起こる[4]

狩勝線区間は急こう配などによる過酷な運転条件や厳しい気象条件に見舞われたため、1966年(昭和41年)に勾配を緩和した新狩勝トンネルを経由する新線に切り替えた。トンネル内には上落合信号場が設置されており、根室本線石勝線分岐点となっている。

廃止となった狩勝線の一部区間(新内駅 - 新得駅間)は、1979年(昭和54年)まで脱線事故や車両火災事故などの実験線(狩勝実験線)として使用された。

新内駅跡周辺には旧狩勝線ミュージアム(資料館)などがあり[5]2005年(平成17年)には新得山スキー場脇のSL広場から新内駅跡を経て旧狩勝トンネルに至る約17kmが旧狩勝線フットパスとして整備された[6]。沿道にある鉄道施設の遺構は土木学会選奨土木遺産に選定されているものもある[7][8]

根室本線旧線跡からの狩勝峠付近の眺望。 日本三大車窓の一つ。(2015年4月) 根室本線旧線跡の一部は道として整備され、説明看板等が設置されている。(2015年4月) 旧狩勝隧道跡(2015年4月)
根室本線旧線跡からの狩勝峠付近の眺望。 日本三大車窓の一つ。(2015年4月)
根室本線旧線跡の一部は道として整備され、説明看板等が設置されている。(2015年4月)
旧狩勝隧道跡(2015年4月)

道路[編集]

国道38号標識
国道38号標識

日高山脈越えで最初に誕生した道路であり、江戸時代には十勝街道として存在していた[9]。現ルートは1931年(昭和6年)に開削され、1934年(昭和9年)「一般国道札幌根室線」に昇格、1952年(昭和27年)国道38号に指定された[10]

道央道東を結ぶ路線としては、最短ルートである国道274号日勝峠)が利用されることが多いが、気象条件や走行環境がより厳しい日勝峠を回避するために狩勝峠が利用される場合もある。

峠は大雪~富良野~十勝間に命名された北海道ガーデン街道のルートにもなっている[11]

2007年(平成19年)に道東自動車道(道東道)トマムIC - 十勝清水IC間が開通し、狩勝第一トンネルが貫通している。トンネル内の標高626mは、北海道内の高速道路最高地点となっている[12]

2011年(平成23年)には道東道が道央圏まで直結された。

狩勝峠頂上(2007年7月)。画像左側が南富良野方面、右側が新得方面。

周辺[編集]

新得側中腹には宿泊施設・ゴルフ場・アクティビティ施設が集積したサホロリゾート[13]、旧狩勝線ミュージアム(資料館)、牧場、キャンプ場などのアウトドア施設がある[14]

脚注[編集]

  1. ^ “開拓の動脈、発展の核に トンネル工事多くの犠牲者”. 十勝毎日新聞 (十勝毎日新聞社). http://www.tokachi.co.jp/kachi/jour/20kaitaku/6.html 2014年12月25日閲覧。 
  2. ^ 旧狩勝線の近代化遺産”. NPO法人 旧狩勝線を楽しむ会. 2014年12月25日閲覧。
  3. ^ 日本八景(昭和2年)の選定内容”. 環境省. 2014年12月25日閲覧。
  4. ^ “列車妨害、真相は闇の中 国鉄闘争など背景も混とん”. 十勝毎日新聞 (十勝毎日新聞社). http://www.tokachi.co.jp/kachi/jour/20.jiken/5.html 2014年12月25日閲覧。 
  5. ^ 旧狩勝線へのアクセス”. NPO法人 旧狩勝線を楽しむ会. 2014年12月25日閲覧。
  6. ^ 旧狩勝線フットパス” (PDF). 北海道 ウォーキング・ルート情報 <十勝圏>. 北海道. 2014年12月25日閲覧。
  7. ^ 狩勝峠鉄道施設群(大築堤群、新内隧道、小笹川橋梁)”. 土木学会選奨土木遺産(JSCE). 2014年12月25日閲覧。
  8. ^ 狩勝信号場跡”. 土木学会選奨土木遺産(JSCE). 2014年12月25日閲覧。
  9. ^ 道央〜十勝の道路交通網の発達と道東道の歴史”. 北海道ファンマガジン. PNG Office (2011年10月28日). 2014年12月25日閲覧。
  10. ^ 新得町百年史編さん委員会『新得町百年史』新得町役場、2000年
  11. ^ 北海道ガーデン街道”. 北海道ガーデン街道協議会. 2014年12月25日閲覧。
  12. ^ 雪の樹海貫く 夕張-十勝清水間を走行”. 高速道路特集 つながる北海道. 北海道新聞社 (2011年12月16日). 2014年12月25日閲覧。
  13. ^ 十勝サホロリゾート”. 加森観光. 2014年12月25日閲覧。
  14. ^ 北海道新得町観光協会”. 2014年12月25日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]