象 (短編集)

』(ぞう、原題:Elephant and Other Stories)は、アメリカ小説家レイモンド・カーヴァーの短編小説集。

1988年5月、37編から成る精選作品集『Where I'm Calling From: New and Selected Stories』(アトランティック・マンスリー・プレス)が出版されると、イギリスのコリンズ・ハーヴィル社は、そのうちの「ニュー・ストーリーズ」部分の7編の短編を独立したかたちで本にした。それが1988年8月4日に刊行された『象、その他の短編Elephant and Other Stories である。日本国内で出版された翻訳書のタイトルは『』であるため、本稿のタイトルもそれにしたがった。

なおカーヴァーが亡くなったのは、本書が出版される2日前の8月2日のことである。

内容[編集]

タイトル 初出(本国) 初出(翻訳)
1 引越し
Boxes
The New Yorker, February 24, 1986 『par AVION』1988年7月6日・Vol.4号
2 誰かは知らないが、このベッドに寝ていた人が
Whoever Was Using This Bed
The New Yorker, April 28, 1986 『ささやかだけれど、役にたつこと』
(中央公論社、1989年4月20日)[1]
3 親密さ
Intimacy
Esquire, August 1986
4 メヌード
Menudo
Granta, No.21
(Spring 1987)
新潮』1989年4月号
5
Elephant
The New Yorker, June 9, 1986 『新潮』1988年5月号
6 ブラックバード・パイ
Blackbird Pie
The New Yorker, July 7, 1986
7 使い走り
Errand
The New Yorker, June 1, 1987 マリ・クレール』1989年12月号

1. 「引越し」の『par AVION』掲載時の題名は「」だった。

日本語版[編集]

『THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER 6 象/滝への新しい小径』
中央公論社 / 1994年3月7日 / ISBN 978-4-12-402936-9
翻訳は村上春樹。ジェームズ・D・ヒューストンの「レイの思い出」が収録されている。また付録には飛田茂雄と村上春樹がエッセイを寄せている。
『村上春樹翻訳ライブラリー 象』
中央公論新社 / 2009年1月10日 / ISBN 978-4-12-403513-1
この翻訳ライブラリー版で村上は訳文を大幅に改稿した。

脚注[編集]

  1. ^ 『ささやかだけれど、役にたつこと』(中央公論社)は村上春樹が独自にセレクト・翻訳した単行本。「誰かは知らないが、このベッドに寝ていた人が」のほかに、「引越し」「メヌード」「象」の3編も収録されている。

関連項目[編集]