化学兵器禁止機関

化学兵器禁止機関
: Organization for the Prohibition of Chemical Weapons
オランダハーグのOPCW本部
略称 OPCW[1][2]
設立 1997年4月29日
種類 国際機関[1][2]
法的地位 化学兵器禁止条約[1][2]
目的 化学兵器の禁止と拡散防止の推進[2]
本部 オランダの旗 オランダ ハーグ[2]
Johan de Wittlaan 32 2517 JR The Hague The Netherlands
北緯52度05分27.7秒 東経4度16分58.4秒 / 北緯52.091028度 東経4.282889度 / 52.091028; 4.282889座標: 北緯52度05分27.7秒 東経4度16分58.4秒 / 北緯52.091028度 東経4.282889度 / 52.091028; 4.282889
貢献地域 世界の旗 世界・化学兵器廃棄や拡散防止[2]
会員数
193か国[3]
事務局長 アフメト・ウズムジュ英語版
主要機関 締約国会議・執行理事会・技術事務局[1][2]
 上部組織 国際連合
職員数
約490人[1]
ウェブサイト http://www.opcw.org/
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ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:2013年
受賞部門:ノーベル平和賞
受賞理由:化学兵器の排除のための多大な努力

化学兵器禁止機関(かがくへいききんしきかん、英語: Organization for the Prohibition of Chemical Weapons, OPCW)は、化学兵器禁止条約(CWC)に基づき、1997年に設立された国際機関である。化学兵器の禁止と拡散防止のための世界的な活動を目的とする。本部はオランダハーグ市

概要[編集]

大量破壊兵器の規制に関して、生物兵器については、その開発・保有等を禁止した生物兵器禁止条約が1975年に発効したが、化学兵器についての開発・保有等の規制は遅れていた[4]。化学兵器禁止条約では、化学兵器の開発・生産・保有を禁止している[4]。また、その第8条において、実効的な検証を行うための機関設立が謳われており、OPCWは、そのための機関として、1997年4月29日の条約発効後に設立された[5]

日本からは、化学兵器の専門家として、陸上自衛隊自衛官が1997年以降2014年まで、自衛隊から6名派遣されている[6]。特に、陸将補秋山一郎は、初代査察局長を務め、防衛省退官後も含めて2回(のべ10年間)、査察局長を務めている。

最高意思決定機関は、全締約国からなる締約国会議であり、これは年に一度開催される。技術事務局には、検証局、査察局、渉外局、国際協力・援助局、行財政局などからなる[7]。実動の査察活動も多く、2013年9月までに約5,300回実施している[8]

事務局長は、1997年5月13日よりJosé Maurício Bustani英語版、2002年7月25日よりRogelio Pfirter英語版、2010年7月25日よりアフメト・ウズムジュ英語版が務める。2014年の予算は約73,304万ユーロ[9]

化学兵器廃棄に向けた活動が評価され、2013年10月11日ノーベル平和賞を受賞している[10][11]

日本への査察[編集]

OPCWは、化学兵器への転用の有無を確認するため、関連する化学物質を取り扱う工場・事業所への査察(産業査察)も実施しており[12][4]、日本は500ヶ所以上の事業所を申告し、2012年末までにのべ160回以上[4]、2014年末までにのべ230回以上の査察を受け入れている[13]

防衛省陸上自衛隊化学学校も査察を受けているが[14][15]、これらも含めて問題は生じていない[13]。また、地下鉄サリン事件に関連して、サリン製造プラントが建設された、山梨県西八代郡上九一色村にあるオウム真理教施設の「第7サティアン」も、日本で唯一の化学兵器生産施設として外務省が申告し、1998年12月の建物解体前に2度(1997年7月・1998年9月)、解体後にOPCWの査察を受けている[4][16]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年3月13日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンク. 2019年3月13日閲覧。
  3. ^ https://www.opcw.org/about-us/opcw-basics
  4. ^ a b c d e 日本の軍縮・不拡散外交(第六版) 第三部 生物・化学兵器,外務省,平成25年
  5. ^ 化学兵器禁止条約(CWC)の概要 外務省
  6. ^ 防衛省 化学兵器禁止機関(OPCW)への職員派遣
  7. ^ 技術事務局組織図
  8. ^ 化学兵器禁止機関(OPCW)概要 外務省
  9. ^ 化学兵器禁止機関(OPCW)第18回締約国会議(概要と評価)外務省 平成25年12月24日
  10. ^ 化学兵器禁止機関にノーベル平和賞 シリアの廃棄後押し”. 朝日新聞社 (2013年10月11日). 2013年10月11日閲覧。[リンク切れ]
  11. ^ 外務省 化学兵器禁止機関(OPCW)のノーベル平和賞受賞決定(内閣総理大臣コメント)平成25年10月11日
  12. ^ 化学兵器禁止条約に基づく査察の概要 経済産業省
  13. ^ a b 日本の軍縮・不拡散外交(第七版) 第六部 生物・化学兵器,外務省,平成28年
  14. ^ 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約に基づく査察の受け入れについて 平成24年6月14日
  15. ^ 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約に基づく査察の受け入れについて 平成29年7月21日
  16. ^ わが国の軍縮外交 第3部 化学・生物兵器の軍縮・不拡散に向けた取り組み 外務省 平成14年

外部リンク[編集]