名古屋ガイドウェイバスガイドウェイバス志段味線

ガイドウェイバス志段味線
走行中の車両
走行中の車両
概要
通称 ゆとりーとライン
種別 軌道(案内軌条式ガイドウェイバス
起終点 起点:大曽根駅
終点:小幡緑地駅
駅数 9駅(専用軌道区間)
路線記号 Y[注釈 1]
運営
開業 2001年3月23日 (2001-03-23)
所有者 名古屋ガイドウェイバス
使用車両 名古屋ガイドウェイバス#車両を参照
路線諸元
路線総延長 6.5 km (4.0 mi)(専用軌道区間)
運行速度 最高60 km/h[1]
路線図
テンプレートを表示

ガイドウェイバス志段味線(ガイドウェイバスしだみせん)は、愛知県名古屋市東区大曽根駅から同市守山区小幡緑地駅に至る名古屋ガイドウェイバスガイドウェイバス案内軌条式軌道)路線。当線および、当線と直通して一般道路を走行する平面区間を含む運行系統についてゆとりーとラインの愛称がつけられている。駅ナンバリングを構成する路線記号はY[注釈 1]

2024年現在、日本で営業運転している唯一のガイドウェイバス路線である。

本項では、軌道法に基づき軌道特許を受けた大曽根駅 - 小幡緑地駅間の専用軌道区間(高架区間)[注釈 2]について記述する。平面区間を含めた運行路線の詳細については「ゆとりーとライン」を参照。

概要[編集]

守山区の志段味地区に造られる志段味サイエンスパークの足として計画され、バスと一般的な新交通システムの中間の輸送力を持つガイドウェイバスが採用された。

大曽根 - 小幡緑地間の専用軌道区間は新都市交通システムへの転用も考慮し、全線が高架線となっている。建設費は1キロメートル当たり54億円以上とガイドウェイバスにしてはやや高め(土地取得費用が不要だったオーストラリアアデレードのガイドウェイバスは1キロメートル当たり6億円程度)。施設・車両は名古屋ガイドウェイバスが保有・管理しており、専用軌道区間での車両の運転は同社から委託を受けて小幡緑地より先の平面区間(一般道路区間)から乗り入れるバス事業者(名古屋市交通局)が行っている。

なお、ドイツイギリスなどで導入されているガイドウェイバスの専用軌道区間は地上区間もあるが、名古屋ガイドウェイバスの場合、専用軌道区間は全線高架を走るので専用軌道区間を高架区間、また一般道路を走行する平面区間も全線地上を走ることから地上区間とも呼ぶことがある。

大曽根駅は東海旅客鉄道(JR東海)中央線名古屋鉄道(名鉄)瀬戸線名古屋市営地下鉄名城線との乗換駅であり、これら各鉄道路線では当ガイドウェイバスへの乗換案内もされるが、実態としては「バス」であるため、鉄道の時刻表の路線図には記載されていない(あるいは『JR時刻表』『JTB時刻表』の索引地図などではバス路線として記載されている)。[独自研究?]名古屋市営地下鉄の駅構内の路線図には、あおなみ線リニモと共に当ガイドウェイバスも記載されている。

路線データ[編集]

停車場・施設・接続路線
STR
JR東海中央本線
uWSLa STR
名鉄瀬戸線
uBHF BHF BHF
Y01 大曽根駅
uSTR tSTR+l KRZt KRZt tBHFq
名古屋市営地下鉄名城線
uSTR tSTR STRl KRZo
uBHF tBHF STR
Y02 ナゴヤドーム前矢田駅
uBHF tBHF STR
Y03 砂田橋駅
tSTRq umKRZt tSTRr HST
矢田駅
BHFq umKRZo STRq STRq STRr
守山自衛隊前駅
uBHF
Y04 守山駅
uBHF
Y05 金屋駅
uBHF
Y06 川宮駅
uBHF
Y07 川村駅
uBHF
Y08 白沢渓谷駅
uBHF
Y09 小幡緑地駅
uDST
モードインターチェンジ
uSTR+GRZq
専用軌道・一般道境界
uSTR
↓高蔵寺方面
  • 路線距離(営業キロ):6.5 km(専用軌道区間)
  • 案内軌条:側方案内式
  • 駅数:9駅(専用軌道区間)
  • 複線区間:全線
  • 動力:内燃(全線非電化)
  • 最高速度:60km/h[1]

軌道の規格について[編集]

本路線の軌道の規格は、大曽根駅取り付け区間(曲線半径30m)を除いて、最小曲線半径100m、最急勾配60としている[3]。これは、新交通システムに将来移行した場合でも走行が可能となるように設定したものとされている[3]

歴史[編集]

  • 2001年平成13年)3月23日 大曽根駅 - 小幡緑地駅間が開業[4]。当初、運行業務は、名古屋市交通局のほか、名鉄バスジェイアール東海バスにも委託しており、実質的には3事業者の共同運行であった。
  • 2009年(平成21年)10月1日 名鉄バス、ジェイアール東海バスが運行から撤退、運行は名古屋市交通局のみになる。
  • 2013年(平成25年)4月1日 守山市民病院駅を金屋駅に改称[5]
  • 2022年令和4年)5月30日 専用軌道に一般車両が侵入するトラブルが発生。一般車両の侵入は開業以来初めて[6]

運行形態[編集]

以下の運行区間の運転系統が運行されている。高架区間(専用軌道区間)である大曽根駅 - 小幡緑地駅間だけを走る系統を除いて平面区間に直通する。高架区間では昼間時間帯約10分間隔の運転である。高架区間では全て各駅に停車し(乗降がなくても通過しない)、先発便が大曽根駅または小幡緑地駅まで先着する。

  • 大曽根 - 小幡緑地
    • 主に朝夕に運行。
  • 大曽根 - 小幡緑地 - 志段味交通広場
    • 基本系統であり、終日運行されている。
  • 大曽根 - 小幡緑地 - 志段味スポーツランド - 志段味交通広場
    • 途中の上島(西)で本線から分かれる。
  • 大曽根 - 小幡緑地 - 志段味交通広場 - 高蔵寺

車両[編集]

運賃[編集]

2019年令和元年)10月1日時点の運賃は、高架区間は区間制で1区200円、2区230円、3区250円で、大曽根 - 小幡緑地間は250円。平面区間は他の市バス路線と同額の210円、両区間通しの大曽根-下島以東(中志段味・高蔵寺方面)間は440円である。高架区間と平面区間を通しで乗車する場合、両区間の運賃を合算し、一定料金を割り引く。こどもは半額であるが、10円未満は切り捨てとなる。

利用可能な乗車券類[編集]

ICカードはmanacaのほかTOICAなど交通系ICカード全国相互利用サービスに対応するそのほかのカードが利用できる[7]

乗車方法[編集]

運賃支払方式は、乗車口で整理券を取り、降車口で運賃箱に現金を投入するか、運転手に定期券や敬老パス・福祉パスの提示を行うことになる。

各種プリペイドカード(現在は使用不可)の場合はバス中央部の乗車口でカードを通し、バス前部の降車口でプリペイドカードを通していた。なお、現金投入時に釣銭は出ないため事前に両替が必要。旧500円硬貨および2000円以上の紙幣には非対応。

manacaなどの交通系ICカードの場合は乗車口のICカードリーダーにタッチし、降車口で運賃箱のICカードリーダーにタッチすることになる。

利用状況[編集]

高架区間の年度別輸送実績は以下の通り。乗車人員は『名古屋市統計年鑑』、輸送密度は『鉄道統計年報』による。

年度別輸送実績
年 度 乗車人員
人/日
輸送密度
人/日・km
2001年 5288
2002年 6225
2003年 6941
2004年 7529
2005年 8392
2006年 9163
2007年 9332
2008年 9756
2009年 9706
2010年 9804
2011年 10031
2012年 10282 7733
2013年 10703 8055
2014年 11063 8320
2015年 11388 9042
2016年 11640 8810
2017年 12143
2018年 12247

高架区間の駅別乗車人員は以下の通り(『名古屋市統計年鑑』による)。なお、地上区間からの直通利用は小幡緑地駅からの乗車に含めて計上されるが、小幡緑地駅からの乗車は全体の6.5%程度(往復で考えれば13%程度)にとどまっており、利用の多くが高架区間で完結していることがわかる。[要検証]

駅別乗車人員(2018年度)
駅 名 乗車人員
人/日
大曽根 4635
ナゴヤドーム前矢田 1068
砂田橋 1719
守山 728
金屋 942
川宮 957
川村 764
白沢渓谷 643
小幡緑地 787

駅一覧[編集]

駅番号 駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
Y01 大曽根駅 - 0.0 東海旅客鉄道CF 中央本線 (CF04)
名古屋鉄道ST 瀬戸線 (ST06)
名古屋市営地下鉄 名城線 (M12)
東区
Y02 ナゴヤドーム前矢田駅 1.0 1.0 名古屋市営地下鉄: 名城線 (M13)
Y03 砂田橋駅 0.6 1.6 名古屋市営地下鉄: 名城線 (M14)
Y04 守山駅 1.1 2.7 名古屋鉄道:ST 瀬戸線(守山自衛隊前駅:ST08) 守山区
Y05 金屋駅 0.6 3.3  
Y06 川宮駅 1.0 4.3  
Y07 川村駅 0.8 5.1  
Y08 白沢渓谷駅 0.9 6.0  
Y09 小幡緑地駅 0.5 6.5 (一般道路直通)

今後の予定[編集]

専用軌道である高架区間では車両側での制御による自動運転の実証実験が予定されている[8][9][10]

また、2026年(令和8年)を目処に、高架区間をガイドウェイバス専用軌道(軌道法による軌道)から(通常の)バス専用道に転換(事実上のBRT化)し、さらに自動運転とすることが検討されている[11]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b 愛称の「ゆとりーとライン(Yutorito Line[2])」から
  2. ^ 都市計画法に基づく路線名は「ガイドウェイバス専用道志段味線」。

出典[編集]

  1. ^ a b ガイドウェイバスのしくみ 名古屋ガイドウェイバス(2022年10月23日閲覧)
  2. ^ 名古屋ガイドウェイバス「英語版公式サイト」(2022年10月23日閲覧)
  3. ^ a b 名古屋ガイドウェイバス『ガイドウェイバス志段味線建設の記録』(2004年3月)「本体設計」章の55 - 66頁による。
  4. ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』平成十八年度版(電気車研究会・鉄道図書刊行会)
  5. ^ ゆとりーとライントピックス:守山市民病院駅の駅名変更について(お知らせ)”. ゆとりーとライン(名古屋ガイドウェイバス) (2013年2月27日). 2013年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
  6. ^ 路線バス専用の高架区間に一般の乗用車が進入 職員の制止振り切り走行 目的は?開業以来初の事態”. 中京テレビNEWS. 中京テレビ (2022年5月30日). 2022年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
  7. ^ ガイドウェイバス(ゆとりーとライン)におけるICカード全国相互サービスの拡充について”. ゆとりーとライン(名古屋ガイドウェイバス) (2016年1月29日). 2016年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
  8. ^ 名古屋市、バス自動運転で国と連携”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2017年6月21日). 2017年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
  9. ^ ガイドウェイバスに自動運転導入を検討…名古屋ゆとりーとライン”. レスポンス. 株式会社イード (2017年6月16日). 2018年12月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
  10. ^ 自動運転の実現に向けた今後の国土交通省の取組(案)(2017年6月)” (PDF). 国土交通省 (2017年6月). 2017年8月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月30日閲覧。
  11. ^ ゆとりーとライン、自動運転バスに転換 名古屋市が検討”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社 (2022年1月26日). 2022年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月3日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]